【倒産、リストラ、ボーナスカット】50代再就職も怖くない!考え方とやるべき行動

50代のみなさん!
コロナ不況が深刻になるなか、「会社の倒産」「人員削減としてのリストラ(希望退職者募集)」「給与クライシス(残業削減・昇給延期・賞与削減)での生活苦」によって再就職を余儀なくされて、やるせない思いを抱えている方もいらっしゃいますよね。
そして、50代からの転職は無理と思って、ヤケッパチになっていませんか。
大丈夫です!
2019年度の職業訓練校(中高年含む)の就職率94%(16名中15名就職)の実績から、今は氷河期世代の就活支援をしているキャリアコンサルタントの坪根克朗が、コロナ不況禍でも再就職を成功させるための考え方とやるべき行動についてお話していきます。
本記事の内容(目次)
コロナ不況はいつまで続く
コロナ不況はリーマンショックより悪質
大和総研の調査では、新型コロナ不況とリーマンショックを比較すると、今回のほうがはるかに悪質な不況だと言っています。
その訳というのは、経済を回す3要素である「ヒト・モノ・カネ」で考えた場合、リーマンショックでは「カネ」だけだったのが、コロナ不況では「ヒト」と「モノ」の動きが止まってしまっています。
そのため、個人消費に関係する観光、運輸、外食、イベント、レジャーなどの業種が壊滅的な打撃を受けているのです。
そして感染症が収束して景気がよくなったとしても、1人の人間が2倍から3倍、消費するわけにはいかないので、失われた消費は二度と戻ってこないことを理由としてあげています。
コロナ前の景気にもどるのは、2024年
2020年8月17日の日経新聞では、「複数の民間エコノミストの予測として、コロナ前のGDPに回復するのは2024年」と書いています。
コロナ不況で再就職を選ばないといけない人とは
会社の倒産
コロナ不況のあおりを受けて、倒産した会社は、723件(11/20時点)に上るそうです。
業種としては「飲食店」(110件)、「ホテル・旅館」(66件)、「アパレル・雑貨小売店」「建設・工事業」(各48件)、「食品卸」(37件)、「アパレル卸」(26件)などと発表されています。
会社が倒産すれば、再就職を考えざるを得ないですよね。
コロナ便乗リストラ(退職勧奨)
東京商工リサーチによれば、希望・早期退職者の募集をした上場企業は、10月29日時点で72社に達したと言われ、これは昨年同時期の2倍以上であり、かつ希望・早期退職者の募集人員は1万4000人強になっているそうです。
コロナ不況禍では、「コロナ便乗リストラ」が行われると言われています。
コロナ便乗リストラというのは、従来のリストラの対象者は、「低評価・低業績」「成長の見込めない」方々が中心たったのが、新型コロナの影響で始まった「テレワーク・ジョブ型賃金(注1)といった新しい働き方に反対したり、応じない方」も含めるみたいです。
年功によって賃金が決まる年功賃金制度とは違って、ジョブ型賃金とは、各自の職務範囲や役割に応じた賃金になる制度です。
給与クライシスによる生活苦
残業削減・昇給延期・賞与削減といった給与クライシスによって、ローンが払えなくなったりして、自分の生活を守るため、あるいは家族の生活を守るため、再就職を考える人もいます。
コロナ不況下での再就職事情
再就職市場は「大激戦」
転職支援サービス会社DODA(デューダ)の発表によると2020年7月の求人数は前年同月比65.0%と大きく落ち込む一方で、転職希望者数は前年同月比109.8%と大幅に増加しているそうです。再就職市場は、「大激戦市場」になっています。
求人は「即戦力」
求人の状況に関しては、「即戦力」か「猫の手でも借りたい」という逼迫した求人しか今はない状況です。
50代でも会社が必要とする人材は
50代の再就職事情
コロナ禍以前から、50代の再就職事情は二極化しています。
まずは、スキルのある人は奪い合い状態で、一方で未経験な分野への再就職はほとんど決まらないそうです。
今後の再就職を考えるなら、もっている経験・スキルをアッピールするしかないでしょう。
会社が50代を採用する理由
2018年 マイナビ転職のデータによると会社が50代を採用する理由としては、仕事に関しては、「豊富な経験」「専門性が高い」ことがあげられています。
また、性格やポータブルスキルに関しては、「モラルや責任感が強い」「様々な環境に適応できる」「対人関係能力が高い」ことになっています。
再就職を成功に導く考え方とやるべき行動5選
50歳以上でも再就職を成功に導く考え方やるべき行動とは、「再就職に向けてのマインドを変える」「いかに仕事ができるかのアッピール」「いかに人として好ましいかをアッピール」「リフィアル採用の活用」「正社員以外の働く選択選択肢を広げる」ことになります。
以下順に説明していきます。
再就職に向けてマインドを変える
50歳からの再就職にあっては、いままでもっていたマインドを変えていく必要があります。
50歳以上という年齢バイアスを捨てる
50歳以上の方の再就職支援をしている時に感じることは、本人が「50歳以上だから再就職は無理」という年齢バイアス(先入観)にかかっています。
50歳以上の再就職を成功させるのは、まずはこの年齢バイパスを捨てる必要があります。
再転職活動は、「自分という商品」の営業活動
再就職活動は、「自分という商品」を会社に売り込む営業活動です。
これまでに積み上げてきた「自分の経験やスキルそして性格」を商品として、営業活動を展開して、「会社側に自分を雇うメリット」を伝えるのです。
そして、他の応募者との「差別化する」活動ということもしっかり理解しておく必要があります。
「いかに仕事ができるか」のアッピールの仕方
いかに仕事ができるかをアッピールする場所として、応募書類の一つでもある職務経歴書になります。
職務経歴書は、自らの経験・スキルをわかりやすく表現し、自分を雇うことで企業側にどんなメリットがあるのかを、具体的にイメージさせる必要があるものです。
ただ、50歳以上の再就職希望者の多くは、「職務経歴なんか覚えていない」「言うほどの経験やスキルはない」という理由できちんと書こうとしません。
コロナ不況の再就職市場は、書類選考が厳しくなって、職務経歴書の内容のレベルが低いと見てもくれません。
そこで、今回は、特に職務履歴書で他の応募者と差別化する「アッピール実績(あなたのウリ)」の書き方を中心に説明します。
会社の求人ニーズを把握する
職務経歴書を書くには、まずは会社の求人ニーズの把握が必要です。
ハローワークの求人票だけでは情報不足なので、転職サイトや会社のホームページの「求人要項」にある「仕事内容」「求める人物像」「必要な能力・スキル」をチェックする必要があります。
また、社長や社員インタビューを読んで、会社が必要としている人物像を探りましょう。
職務経歴書は3つのパートから構成
職務経歴書は、過去の職務について経歴を説明するものです。
「どんな会社に勤め(会社情報)」「どんな仕事にかかわり(職務内容)」「どんな実績を残したか(アピール実績)」という過去の経歴や職務内容はあなたが採用された後に、会社にどれだけ貢献できるかの根拠を示すものです。
アピール実績は「STARS」の法則で書く
アピール実績を書く目的は、採用担当者に過去の実績・成果から「過去の実績の再現性や新しい会社・職場への貢献の可能性」を読み取ってもらう必要がでてきます。
そのためには、「STARS」の法則に従って、特に最後の「Self-appraisal」(振り返ってみてどう思ったか)を盛り込むことで職務経歴が自己満足に終わらずにストーリーとして完結するので、読み手にとってわかりやすく、理解しやすい文章になります。
また、以下の文章を使うことによって、採用する側にとってのメリットをより理解してくれるようになります。
- 「だから・・することができる」
- 「・・・ではだれにも負けない」
- 「・・・もたらすことができる」
- 「・・・において確実に貢献できる」
「STARS」の書き方サンプル
私が、人事で労務管理の仕事をしていた時の経歴を「STARS」の法則で書くと以下のようになります。
2013年同時、従業員4500名の会社で3か月連続の長時間残業(80時間以上)が40数名/月の状態で、長時間残業の削減が全社としての喫緊の課題
全社横断の残業削減チームのリーダとして
全社の各地区(関西中四国)の問題を洗い出し、解決策として、残業実績(月/四半期/年)の見えるかと残業時間予測をアラーム情報として事業部に提供する「残業管理マネジメントシステム」の企画、提案、設計そして導入、全社展開した
私が在籍する広島でのシステムを使った残業管理手法を各地区に横展開することによって、運用1年後には、全社で3か月連続の長時間残業者(80時間以上)は「ゼロ」になった
システムを利用した残業管理手法は、長時間残業削減が各地区でも「再現性」があったため、システムとして必要な機能および残業管理手法は、長時間残業削減で困っている会社では役立つ
職務経歴のネタ探し
職務経歴のネタ探しの方法としては、半年か年1度、業績レビューを上司とやりますよね。
半年なり、1年なりの目標に対して、「達成できたかどうか」「どんな方法をとって」「その結果どんな成果をだせた」という内容をEXCELやWordで作成した文書をベースに話しをしますよね。
基本的にその内容がそっくり職務経歴に使えるのです。
職務経歴書作成における留意事項
その他、職務経歴書作成における留意事項には以下のものがあります。
- アッピール実績は、会社の求人ニーズにできるだけ合わせる
- アッピール実績の優先順位が高いものから記載する
- 1つの職務に対して、アッピール実績は1~2個で充分
- すべての職務にアッピール実績を書く必要はない
- 「略歴(職務経歴の概要)」は必ず冒頭にいれる
- 同じ職種でも、職位職責変われば、別職務になる
「いかに人として好ましいのか」のアピールの仕方
他の応募者との差別化を図り、「いかに人として好ましいのか」をアッピールするのは、「自己PR」になります。
自己PRのネタとは
自己PRのネタとしては、「仕事の苦労話」「自分のもつ長所、強み」「どんな会社でも使えるポータブルスキル」になります。
そして、それぞれの書き方(表現の仕方)は違ってきます。
自己PRのネタの見つけ方
自己PRのネタは、なかなか見つけにくいものでみなさん苦労されています。
私なりに考えた自己PRのネタの見つけ方は以下のようなものです。
正社員に限らず、アルバイトや派遣社員の経験しかない方でも働いているときに「苦しい状況を乗り越えた努力や工夫」を思いだせばいいと思います。
国家資格2級キャリアコンサルティング技能士の上岡愛さんが、「自己PRで最高に輝く長所の見つけ方」というブログを書いてくれていますから、読んでみてください。
ポータブルスキルについては、多種多様でたくさんあります。その中から、自分なりに定義ができて、具体例に相当するエピソードとして語れるものを選択するのです。
- 対課題スキル:情報収集力、課題解決力、発想力、計画性、実行力
- 対自己スキル:自立心、自律心、ストレスマネジメント、意欲創出力
- 対人スキル:コミュニケーション能力、リーダーシップ、協調性、共感力、交渉力
自己PRのネタ別の書き方
「仕事での苦労話」は、「STARS」の法則に従うといいと思います。
- Situation(どんな環境):どんな状態や立場だったのか
- TasK(どんな仕事を):職務の概要や大変さ
- Action(自分は何を実行して):苦しい状況を乗り越えた努力や工夫
- Result(その結果):あなたがやり遂げた成果
- Self-appraisal(振り返ってみてどう思うか):自分の成長にどのように関係したか
長所、強み、ポータブルスキルは「PREP」の法則に従うと書きやすいです。
- Point(要点):結論(自分の長所、強み)から入る
- Reason(理由):「なぜなら・・・」と結論に至った理由を伝える
- Example(具体性):「例えば・・・」と結論に至った具体例詳しく説明
- Point(要点):「この長所や強みが貴社の〇〇〇で活かせる」と最後の一押し
リフィアル採用の活用
50歳以上の再就職は一筋縄でいかないところがあります。
それで、有効な再就職方法として「縁故採用」「コネ採用」に近いニュアンスをもつ社員の紹介による「リファイル採用」があります。
「リファラル採用」では以下のような方々から引っ張ってもらうことを言います。
- かつての取引先、かつての顧客
- かつての上司、先輩、同僚、部下、後輩
- 友人、知人、親戚の会社、関係先
リファイル採用は、会社側にとっても、仕事のスキルや技術だけでなく、性格や人間性、人となりまで紹介者によって担保されているので、ミスマッチが少ないだけでなく、採用コストが大幅に削減できるメリットもあります。
リファイル採用されるためにも、現役時代の時から「絆」を作っておく必要があります。
正社員以外の働く選択選択肢を広げる
今後80歳まで働くことを考えたら、定年が必ずある正社員として働くのではなく、「業務委託契約」「契約社員」で働く道もあると思っています。
業務委託契約
業務委託契約の場合、月一回や週一回、会社側は知識やスキルが必要な時に、必要な分だけシニア層の経験やスキルを借りられます。
また、働くシニア側もフルタイムより体力的に働きやすいうえに、複数の企業で働けるのでスキル次第で収入アップにつなげることができます。
業務委託契約は、お互いの需要と供給がマッチした形になり、今後のシニア層の働き方の主流になってくると思います。
契約社員
50代になると正規雇用で採用される可能性が低くなりがちです。
一方、非正規雇用の雇用率は世代による差が少ない傾向にあります。
そのため、正社員にこだわりすぎずに非正規雇用など再就職先の選択肢を広げることが必要になります。
幅広い視野をもって転職活動を行うと、短期間でも採用に結びつく可能性が高まると思います。
まとめ
コロナ不況禍になって、50代で再就職になかなか踏み切れない理由は以下の3つと言われています。
- 時期やタイミングが悪いため、不安に感じている
- 自分のスキルや経験に自信がないため、不安に感じている
- 今後の方向性ややりたいことが分からないため、再就職が不安
中高年にとって、コロナ禍で再就職を考えなければいけないことは、中高年の危機(注2)
そのものです。
ただ、今回の私のブログを読んでみたら、「再就職なんとかなるかな~」という思いになりませんでしたか。
中高年危機脱出キャリアコンサルタントの坪根克朗がお手伝いしますから、今から再就職活動をはじめましょう。
中高年の危機とは、中高年を迎えた個人が「出世や能力の限界」「中高年期特有の身体的変化と病気」「働き方の環境変化」といったことを経験することによって、自分が持っていたプライドが壊され、自己肯定感も下がります。その結果、「自分が何者なのか」「何をめざしていたのか」「これから何をしたいのか」が分からなくなり、行動や努力ができなくなってしまうことを言います。
中高年の危機を感じている方は、是非、相談に来てください。