【30歳後半~40歳代】再就活、転職のコツは?成功させる会社の選び方と行動5選
今、30歳後半から40歳後半の方、何世代と言われているか知っていますか。
バブル崩壊の影響から特に雇用状況のひどかった1993年~2004年に就職活動をした方々のことを就職氷河期世代と言っています。
非正規雇用から正社員、または転職を考えていた矢先の新型コロナ。
コロナ時代での就活に怖気ついていませんか?
国が責任を感じて、皆さんの就活を支援する制度(就職氷河期世代支援プログラム)を全国8か所で立ちあげています。
ただ、いくら国が制度を準備してくれても、あなた自身が就活にしっかりした考えを持ち、実行していかないと成功はできません。
就職氷河期世代の方こそお持ちの「真面目で前向き」「コミュニケーション力がある」「ITリテラシーが強い」を活かした形で、就活にチャレンジしましょう。
今、「広島再チャレンジ就職支援事業」で講師およびキャリアコンサルタントとして活動している坪根克朗がコロナ時代における就活を成功させる会社の選び方、行動についてお話します。
就職氷河期世代とは
就職氷河期世代とはどんな世代なのでしょうか。まずは、就職氷河期世代が生まれた背景からお話したいと思います。
就職氷河期世代が生まれた理由
このような就職氷河期世代が生まれた理由は、日本型雇用の特徴でもある「終身雇用」「新卒採用時の年齢制限」があるのです。
終身雇用の影響
終身雇用を柱とする日本では、正社員として雇用するとなかなか解雇はできません。そのため、会社は、非正規社員の雇止めや新卒採用を辞めてしまうのです。
新卒採用時の年齢制限
採用するにしても新卒採用時の年齢制限(学齢+2年)を設けている会社がほとんどでした。
その結果、新卒採用年齢を超えている人は、採用の入り口にも立てなかったのです。
そして、社会に出るスタートでコケた就職氷河期世代が、その後も不運を引きずらねばならなかったのは、社会全体の問題ということで、政府は3年間集中の就職氷河期世代支援プログラムを行っているのです。
政府が特定の世代を支援することは異例中の異例なことなのです。
就職氷河期世代の特徴
就職氷河期世代の特徴は一般的には以下のものがあげられています。
大卒でも非正規雇用
大きな特徴として、優秀な大学を卒業したにも関わらず、フリーターや派遣社員にならざるを得なかったことです。
心身が安定しない
就職活動の失敗というトラウマがあるため、リーマンショックやコロナ不況等が起こるたびに、会社の倒産やリストラで、「自分も職を失うのではないか」という心が安定しない状態が続いています。また、厳しい労働環境で働かないといけないため、体を壊してしまった人も多くいます。
引きこもりが多い
就職活動でつまずいてしまい、そのまま引きこもりになってしまった人が多くいることも特徴です。
内閣府の調査では40歳~44歳での引きこもりの推計数は15万人を超えていると言われています。
就職氷河期世代は優秀
ここまで就職氷河期世代のネガティブな話をしてきましたが、実は優秀な人が多いことでも知られています。
私は、前職でこの世代の後輩を多くに見てきましたし、キャリアコンサルタントとして再就職の支援を行ってきたこの世代の方々と話してみて、感じたことは以下のようなことです。
前向きで真面目でストイックに働く
スタートで躓き、希望の会社でなくても、派遣、アルバイトでもあっても、前向きに真面目にストイックに働いて、キャリアを磨いています。
そして転職によってキャリアアップしている方も多かったです。行動が前向きですよね。
コミュニケーション力がある
「職場での上司とか同僚とのコミュニケーションの取り方」がうまい感じです。
上司、同僚に対して文句言う時も「トゲ」のある言い方はしないし、発言にユーモアがあります。
そして、「職場の空気がよめるのでしょう」上司、同僚などから好かれている人が多かったです。
ITリテラシーが他の世代より強い
この世代は、高校時代からコンピュータが登場し、大学時代は、インターネットが普及しはじめたことにより、「コンピュータスキル」「ネットワークスキル」「情報活用スキル(検索)」といったITリテラシーは、他の世代より「早く接した分」強いという特徴があります。
このITリテラシーが高いことは、就活においても今度の働き方においてもストロングポイントになります。
今後の社会変化
日本型雇用の崩壊を受けて、社会はどう変わっていくのでしょうか。
個人と会社の関係は、「縦」から「横」へ
日本型雇用の崩壊によって、個人と会社の関係は、「縦の関係」から「横の関係」に変わっていきます。
日本型雇用は、会社が個人の雇用保障をするかわりに、異動や配置転換に文句を言わないで働いてもらう「滅私奉公」を期待する関係、すなわち、「縦」の関係と言えましたよね。
しかし、会社側が安定雇用を保証しなくなり、社員に対して、「副業OK」「社内起業OK」と言い出し、社員へ「キャリアの自律」を求めるようになってきました。
その結果、個人側も「学び」「副業」「ボランティア」を進めて行く中で新しいつながりが出てくることになります。
会社は、個人にとって仕事を提供してくれる1つの関係に他ならないのです。
個人と会社の関係は最悪
リクルートワークス研究所が個人と会社の関係における「質(内容)」を調べた結果の図を以下に引用させてもらっています。
上の図からわかるように
- 日本で働く人たちは会社にまったく満足していない
- 「経営理念に共感して仕事にのめり込んでいる」エンゲージメントの高い人は10%
このような個人と会社の関係、不健全ですよね。
エンゲージメントを高める「環境的報酬」「関係的報酬」も必要
会社としては、社員のエンゲージメントが低いことを何とかしないといけないし、少子高齢化でなかなか「優秀な人」を採用できないという問題を抱えています。
そこで、会社は、社員のエンゲージメントを高めるため、「金銭的報酬」だけでなく「環境的報酬」や「関係的報酬」といった報酬の選択肢を増やそうとしています。
- 金銭的報酬:給与、特許インセンティブ、学費補助、退職金
- 環境的報酬:安定雇用、やりがいの仕事、成長機会の提供
- 関係的報酬:差別やハラスメントがない、一体感のあるチーム、上司が成長を支援
そして、リクルートワークス研究所では、上記に対して「キャリアの時間軸」を入れてマトリクスで表現しています。
- Time0:日々「安心」して働ける
- Time1:毎日「喜び」を持って会社に行きたいと思える
- Time2:2~3年たつと「成長」できる
- Time3:10年後の人生に「展望」がもてる
私は、「差別やハラスメントのない」「経営への参加」「メンター」など関係的報酬を提供してくれる会社で働きたいですね。
みなさんはいかがですか
テレワークの拡大
アフターコロナで間違いなく、テレワークでの働き方が主流になってきます。
テレワークによって、どこでも働けることが、個人も会社も理解できたことが大きいのではないでしょうか。
たとえば、テレワークの活用によって、転勤とか単身赴任といった家族に影響を与える働き方は減ってくると思います。
また、地方で就活する人も地元だけが働き場所ではなくなり、東京、日本全国で働けるようになるのです。
ジョブ型雇用が主流になってくる
一方、テレワークの普及によって、「何の仕事をすればいいかわからない社員」「部下をうまくマネジメントできない管理職」が増えてきた話をよく聞きます。
そのため、会社は各社員の職務内容を明確に決めたうえで雇用契約を結ぶ「ジョブ型雇用」を導入する会社が増えてきています。
ジョブ型雇用については、従来から行われてきた「メンバーシップ型」と対比する形で私のブログ中で紹介しています。
今後の転職市場
Withコロナでの転職市場はどうなっているのでしょうか。
知り合いの転職エージェントから聞いた話を紹介しますね。
超売り手市場から買い手市場へ
採用会社側の求人数は、ほとんどの会社で激減(20%超減少)しているそうで、超売り手市場から買い手市場に変わってきているそうです。
選考基準が厳しくなっている
会社の採用活動のプロセスうち、「書類通過率」「1次面接通過率」といった採用の意思決定の部分で2019年と比べて、選考基準が上がっていると言っていました。
- 書類通過率 34%(2019年)→22.2%(2020年)
- 1次面接通過率 34.3%(2019年)→32.3%(2020年)
買い手市場だから選びますよね。
今武器になるのは年齢や資格よりも「経験」
最後にもう一つ。
「どの企業も今は経験を重視する傾向にあるので、新たに資格を取ってジョブチェンジするよりも、経験を生かして同じ職種を狙ったほうが圧倒的に有利」と言っていました。
就活を成功させる会社の選び方と行動5選
会社の選び方を見直す
いままでは、「一部上場」「大企業」「有名な会社」といった基準で就活希望の会社を選んでいた方もいたでしょう。
ただ、今後は、あなた自身の仕事や働き方への価値観、社会の変化を踏まえて会社の選び方を見直す必要がいるのではないでしょうか。
【会社の選び方①】危機対応力の強い会社
コロナが数年先に落ち着いたにしても、この先どのような緊急事態が起こるかもしれません。就職するなら危機対応力の強い会社がいいのではないでしょうか。
コロナに際して、すばやくテレワーク、オンライン会議、オンライン面接に切り替え、事業の継続を滞りなく行っている会社は、この先不慮の事態が起こっても対応できる力があると思っていいでしょう。
【会社の選び方②】ジョブ型雇用をしている会社
ジョブ型雇用の場合、求人段階で、会社が期待する「職務内容」「遂行に必要なスキル」「経験」が明確にされているので、自分のスキルや経験と照らし合わせて応募するかどうか判断できます。
また、入社後も「適所適材(注1)」に報酬もリンクしているので、高い報酬を獲得したいなら、自らが考える能動的なキャリア形成が可能になります。
(注1)適所適材とは、起点が仕事にあり、その仕事に必要なスキルや経験がある人を配置すること
【会社の選び方③】自分が優先する「報酬」を提供している会社
会社は、独自の強みをアッピールするために、「金銭的報酬」だけでなく、「環境的報酬」「関係的報酬」といた多種多様な報酬を提供してくることになります。
そういった中、自分は「どんな報酬を会社に望むのか明確にして、会社を決めればいいのではないでしょうか。
- 自分は、「学習費の補助や個人業績連動賞与」(成長させてくれる金銭的報酬)
- 自分は、「社会的に意義/やりがいのある仕事」(喜びを持たせてくれる環境的報酬)
- 自分は、「人権の尊重/ハラスメントがない」(安心させてくれる関係的報酬)
【行動①】職務履歴書の「質」を上げる
書類選考で振るい落される可能性が高いのですから、「経験」をアッピールする職務履歴書の質をあげる必要がでてきます。
そして、面接では、職務履歴書で書いたことをベースに聞いてくるので、職務履歴書がきっちり書けていれば心配はありません。
職務経歴書は「STARS」の法則で書く
非正規雇用やアルバイト経験しかないから、「職務履歴書は書けません」という方がいますけどそんなバカな話はないのです。
仕事=職務なのです。
いままで対応してきた仕事の内容を「STARS」の法則で書いていくのです。
- Situation(どんな環境で)
- Task(どんな仕事)
- Action(何を実行して)
- Result(どんな結果を出して)
- Self-appraisai(振り返ってどう思ったか)
特に重要なことは最後の「S」(自己評価)です。これを盛り込むことで職務経歴書が自己満足に終わらずにストーリーとして完結して、採用担当者も理解しやすくなるのです。
自分だけでは無理という方は、キャリアコンサルタントといっしょに考えてみてもいいと思います。
職務経歴書は採用者が知りたいことを書く
職務履歴書の成果のところに、営業として「売上を前年比150%に伸ばしました」と書いて満足している人をよく見かけますが、この内容だけではダメなんです。
採用担当者が知りたいのは、
- どうやって、何を工夫してその数字を作ったのか
- 会社に入社してもらって同じことができるのか
ということなので、上記のこと踏まえてしっかり書く必要があります。
【行動②】希望する職種のスキルがないなら作る
希望する職種のスキルが自分にない、または足りないと思ったら、専門学校や職業学校に通ってスキルを作ればいいのです。
そして、スキルアップを目的として就活することもありと思います。
そこで狙うスキルが得られたら、またキャリアアップの転職をするのです。
【行動③】会社と交渉する
個人と会社の関係は、「仕事(職務)」の繋がりになってきます。
そのため自分がそのジョブ(仕事)に値するスキルや経験があり、会社に貢献できると思えば、会社と「給料」「勤務時間」「働く場所(勤務地、テレワーク利用)」等について、自分の思いを伝えていけばいいと思います。
希望が叶うかどうかわからないですが、「言わない」と始まらないのです。
【行動④】転職を考えているなら今動く
転職を考えているなら、今動くべきです。なぜならコロナは長期化が予想されるからです。
終息してから活動しようと思っても、それがいつになるかは不透明です。さらに、今採用に動いているのは主に「危機対応力の強い会社」です。
採用数を絞って真の戦力を求めている場合が多いので、入社後に活躍の場を得られる可能性が高いからです。
【行動⑤】「トライ(応募)&エラー(不採用)」を恐れない
オンライン面接があたりまえになってくるので、東京の会社でも地方の人材を積極的に採用しようとしています。希望する会社あればドンドン応募して、不採用は恐れないことです。
まとめ
就職氷河期世代の方々の中には、時代に翻弄されて、いまだに厳しい環境にさらされてきた人は少なからずいます。
そしてこのような方々は、「うまくいかないことを自分のせいにしてしまう」傾向があります。そういった考えは間違いです。社会の問題で運が悪かったのです。
ただ、転職活動も、不採用経験が多くあるため、あまり気乗りがしないことも事実でしょう。
しかし、職場で前向きに、まじめに汗をかき続けてきた自分の経験やスキルを信じて、自信をもって行動することで、価値は認められていきます。
TC坪根キャリアコンサルティングOfficeではそのような方々を応援しています。