国家資格キャリアコンサルタント集団が斬る仕事論

教員か民間企業どっちがいい?向き不向きと決め方についてのヒント

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国家資格キャリアコンサルタント&2級技能士。 大学職員として10年、総務、学生支援、入試など大学事務業務を幅広く経験。 学生の窓口対応をきっかけに、彼らが抱える社会人になることへの不安に寄り添った支援をしたいと思い資格を取得。現在は就職支援に携わる。 部活動の試合観戦が趣味で、シーズンになるといろんなクラブの試合会場を回り学生の応援を行っている。 自身も中学~大学まで陸上部に所属した経験から「部活学生」への想いが熱く、青春を捧げた経験を社会で活躍していくモチベーションに変えてもらう支援に力を入れる。

教員を目指すとき、しばしば大きな壁があなたの前に立ちはだかります。

指導案作成に追われる教育実習、アルバイト時間も取れないほどの授業数、範囲の広い教員採用試験勉強、教員による不正のニュース…

「こんなに大変な思いをしてまで教員になりたいかわからない」

「自分にはそんな大きな責任負えない・・・」

と悩んで教員を目指すことを躊躇し、民間企業への就職を考えたりしていませんか?

そんな教員か民間企業かと考え始めたあなた必見!納得して進路選択ができるヒントを、教員養成課程校で10年以上学生に関わってきたキャリアコンサルタント@中村朱里がご紹介します。

教員か民間企業か 進路選択のポイント

教員か民間企業か。

進路選択のポイントは「教員を目指すかどうか」に答えを出すこと。

あなたは今まで「なぜ教員になりたいか」を真剣に考えたことはありますか?

「小学校の担任教員のようになりたい」

「部活動の指導がしたい」

と、今までに出会った憧れの教員を思い描き教員養成課程のある大学・学部を選んだ人も多いと思います。

でも、

「自分はどんな教員になりたいか」

「教員として生徒に何ができるか」

教員になった後の姿や仕事の使命・責任についてまで、真剣に考えたことはなかったのではないでしょうか。

教育実習、免許取得、採用試験・・・憧れだけで乗り越えるには、教員の壁はあまりにも高い。

そこで、ここでは教員と民間企業の

  • やりがいや苦労といった「メリット・デメリット」
  • 性格や価値観から見た「向き・不向き」

について比較し、あなたが

  • 教員になりたいか
  • 教員に向いているか

について真剣に考えるヒントをお伝えします。これが整理できれば、きっと納得して進路選択ができ目の前のやるべきことに集中して取り組めるはず!

さあ、一緒に考えてみましょう。

教員と民間企業の「やりがい」と「苦労」

ではまず、教員と民間企業の「メリット・デメリット」を比べてみましょう。

ここでは比べやすいように

  • 「教員」・・・公立学校の教員
  • 「民間企業」・・・民間企業の営業職

と設定し、私がよく聞く学生の声を5つの視点で比較しています。

<教員・民間企業のメリットデメリット>

公立学校/教員 民間企業/営業職
やりがい ○生徒の成長に関われる
○生徒・保護者から直接感謝される
▲成果がわかりにくい
▲責任が大きい
○売上げや利益といった成果が数字で表れる
○成果に応じた評価がある
▲ノルマがある
▲利益重視の働き方
自己裁量権
(どのくらい自由に仕事ができるか)
 ○授業の進め方、生徒へのかかわり方等の裁量がある
▲任される範囲が大きいと業務過多になる
 ○担当の取引先との交渉方法等は任せられる
▲取引先の都合に合わせなければいけない
労働条件 ○給与が安定している
○産休・育休制度がしっかりしている(代替教員など)
▲部活動指導があると休みが取りづらい
 ○残業した場合は、残業代が支払われる

▲産休・育休中の代替社員がおらず休みづらい
▲転居を伴う転勤がある

社会的評価/性質  ○社会的信頼が厚い
▲教師社会は閉鎖的
▲私生活でも先生を求められる
▲利益追求を優先しなければいけない
継続性 ○地方公務員として終身雇用
▲学校以外の転職が難しい
 ○異業種でも転職しやすい
▲終身雇用の終焉

こうして整理すると、

「教員の責任は大きいけど、やっぱり子どもの成長に関われるのは魅力的だな」とか「教員は大変だと思ったけど、企業もノルマや取引先との交渉があって大変なんだな」などといった気づきが得られますね。

さらに、あなたが気になっている項目があればそれを追加して、客観的にメリット・デメリットを比較してみましょう。

教員に向いている人、民間企業に向いている人

次に、教員と民間企業の「向き・不向き」を比較してみましょう。

こちらは、私がこれまで関わった学生のうち、教員になった学生と民間企業に就職した学生の特徴をまとめてみました。

性格 価値観
教員に向いている 聞き上手
面倒見が良い
温厚
道徳やモラルを大切にする
子供の成長に関わりたい
安定した仕事がしたい
民間企業に向いている チャレンジ精神が旺盛
論理的
想像的
アイデアを形にしたい
人と協力して仕事がしたい
公私をきっちり分けたい

どうでしょう?もちろん、どちらにも共通して必要な性格や価値観など、この他にも色々ありますが、特徴的なものを上げてみました。

あなたの性格や大切にしたい価値観に近いものはありましたか?

教員か民間企業か 先輩たちの選択は?

ではここで、先輩たちの選択をご紹介しましょう。

部活指導を目指し採用試験合格

高校の部活動で熱心に指導してくれた顧問の姿を見て教員に憧れ、スポーツ推薦で教員養成課程のある学部へ進学。体育教員を目指していたが、教員採用試験は1次試験で不合格。その後の教育実習では何度も指導案の書き直しをさせられ、「自分は教員に向いていないのかも・・・」と、免許取得も諦めかけていた。そんな時、高校時代の恩師から「生徒に諦めないことの大切さを教えたいなら自分が諦めてどうする」と励まされ、もう一度やる気を取り戻し免許を取得。講師を続けながら採用試験に挑み、卒業から3年目にようやく合格。現在は念願の部活動顧問として生徒指導に励んでいる。

教育学部だけど民間企業へ就職

両親と親戚が教員だった影響で、自身も何となく教育学部へ進学。しかし、日々の授業で自分は教員には向いていないと感じ始めたが、周りの友人も皆教員を目指しており誰にも相談できずにいた。そんな矢先、他学部の友人に誘われて参加したインターンシップで営業職の楽しさに触れ、民間企業への就職を考えるが、両親は反対。担当教員にも「これまでやってきたことが無駄になってもがいいのか」と問われ言い返せない自分がいた。何度も自問自答をした結果、「教員免許は取得するが、今やりたいと思った道で自分を試したい」と思い、両親と担当教員を説得。就職活動の末、念願の営業職に就くことができた。今も営業マンとして活躍しているが、プレゼンなどの場面で教育実習の経験も役立っているという。

この先輩たちは現在、それぞれの職場で今も生き生きと活躍しています。そしてみんな自分の選択に後悔はないと言います。

大切なことはどちらを選ぶかではなく、その時どれだけ真剣に考えたか、ということではないでしょうか。

私自身、教員免許を取得せず後悔した経験があります。

単位の取得が苦になり教員免許の取得を諦めたのですが、教育業界で働くことになった時「せめて免許を取っておけばよかった」と思うことがありました。「学生時代に真剣に向き合っておけば・・・」、と思うと悔やまれますね。

あなたも今一度

  • 「どんな教員になりたいか」
  • 「本当に教員を諦めて後悔しないか」

ぜひ真剣に考えてみてください。

教員と民間企業 両立はできるか

どちらか選べなかったら、両方受けたらよいのでは?と思うかもしれません。企業の内定を取って教員採用試験も受ける。

一見良い選択のように見えますが、これは次の理由からあまりお勧めしません。

1.スケジュールが重なる

  • 教員採用試験は6~8月にかけて行われるが、就職の採用試験も6月が面接のピークとなる
  • 教育実習の時期が、民間企業の説明会時期や秋採用時期と重なる場合が多い

2.準備する内容が異なる

  • 教員採用試験と民間企業の採用試験では、筆記試験や面接試験で問われることが異なる
  • 民間企業の場合、企業毎に企業研究が必要

限られた準備期間の中でどちらも取り組むためには、綿密なスケジューリングで準備時間を確保する必要があり、多大な労力を費やします。そして、成し遂げたとしても最終的にはどちらかを選ばなければいけないので、問題の先送りとなるだけといったことになりかねません。

よほど余裕がある場合以外は、どちらかに集中して準備をする方が良いでしょう。

最後に

辛いことが多い教員への道のり。この苦労を乗り越えるためにたゆまぬ努力を続けることも、これまでの努力や夢を諦めることも、どちらにも大きな覚悟がいりますね。教員の道を考えるあなただから、ぶつかる壁。

それでも、この道に進む!と覚悟を決めてすすめたなら、困難なことがあってもきっと後悔はないでしょう
自分を信じて、明るい未来に向けた一歩を踏み出してください。応援しています!

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国家資格キャリアコンサルタント&2級技能士。 大学職員として10年、総務、学生支援、入試など大学事務業務を幅広く経験。 学生の窓口対応をきっかけに、彼らが抱える社会人になることへの不安に寄り添った支援をしたいと思い資格を取得。現在は就職支援に携わる。 部活動の試合観戦が趣味で、シーズンになるといろんなクラブの試合会場を回り学生の応援を行っている。 自身も中学~大学まで陸上部に所属した経験から「部活学生」への想いが熱く、青春を捧げた経験を社会で活躍していくモチベーションに変えてもらう支援に力を入れる。










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