終活っていつ(何歳)から何を始めるの?後悔のない人生を歩む3つの方法
「終活」という言葉を耳にされたことはありますか?
終活は、自分や家族の「終わり」について考える、大切な機会。
テレビや雑誌で特集が組まれる等、耳にする機会も増えていますので、興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
私事ですが、約2年前に母親が他界しました。それも突然、思いもよらぬタイミングで。
ファイナンシャルプランナーとして「終活」の大切さを実感していたにも関わらず、母親と終活について話し合う時間が私にはありませんでした。
人生の終わる時期は誰にも分かりません。だからこそ、「早めに終活を始めることが大切」という思いを込めて記事を書かせていただきます。
終活って何?
「終活」という言葉を聞いてどんなイメージを持たれますか?
文字だけを見ると「終わるための活動」。
文字から受け取るイメージが少し寂しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。
終活のご相談の際、「整理しなきゃ」という言葉をよく耳にしました。
「終活」は、終わりについて淡々と整理していくだけの寂しい活動ではありません。
もっと前向きな、「今」をより良く生きるための活動。そんな「終活」の側面についてもご紹介します。
何のために終活するの?
「終活」とは、2012年の新語・流行語大賞にもノミネートされた言葉で、人生の終わりのための活動の略語です。
故・金子 哲雄 さん(週刊朝日編集部/流通ジャーナリスト)
人生の最期を自分の望むように自分で準備すること。10月2日、41歳で急逝した流通ジャーナリスト金子哲雄さんは、生前から自分の通夜や葬儀・告別式、墓の準備を万全に進めていた。「終活」という言葉は、週刊朝日で2009年連載された「現代終活事情」で知られるようになり、『現代用語の基礎知識』には2010年版から登場。
終活が広まった背景
終活が広まった背景には、日本の超高齢化社会が影響しているとも言われています。
- 高齢化率は27.7%
※総人口1億2,671万人中、65歳以上人口は、3,515万人。
- 将来推計人口でみる平成77(2065)年の日本
①総人口が、9,000万人を割り込む。
②2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上となる。
日本は先進国の中でいち早く超高齢化社会を迎えると言われています。
人生100年時代をどのように過ごしていくのか、世界のモデルケースとなるかもしれません。
終活は、当初は、人生の終わりを迎えるにあたっての「事前準備」という意味合いが濃かったかもしれません。
でも、最近では、人生の振り返りや、残りの人生をよりよく生きるための活動としての側面も増えています。
いきいきと笑顔で過ごす人たちで溢れる日本って素敵だと思いませんか?
私も、笑顔が可愛らしいおばあちゃんになれたらいいな、と思っています。
終活を行うメリット
終活を行うメリットとして、下記の3つをご紹介します。
①亡くなった後の家族の負担を減らすことができる。
- 手続き面
亡くなった後は、金融機関への届出や、年金の手続き、相続手続き、不動産の名義変更等、多種多様の手続きが生じます。
どんな手続きが必要になるのか、事前に知っておくことで、備えることができます。
- 精神的負担
終活には、延命治療等に関することも家族で話し合う項目があります。
ある日突然、延命治療の判断を医師から迫られた際、家族はどうしていいか分かりません。
実際、私達家族も、突然医師から「延命治療をどうするか?」と聞かれ困惑したことを今でもはっきり覚えています。
健康な内に話し合っておくことで、決断がそれでよかったのかという後悔や悩みが軽減されるのではないでしょうか。
- 争族を防ぐ
相続が争族になったという言葉を聞いたことがありませんか?
あらかじめ、家族に思いを伝えておくことや、対策を立てておくことで、家族間のトラブルを防ぐことができます。
②自分の軌跡を確認することができる
終活は、自分自身が歩んできた軌跡を振り返る時間にもなります。
どんなことが今の自分につながっているのか、シナリオ作家になったつもりでストーリーを描いてみましょう。
③今何をすべきか、したいか、が見えてくる。
自分自身を振り返り、気持ちや物の整理をすることで、今何をすべきか優先順位が見えてきます。
また、同時に、これからの人生を豊かなものにするために、今できることは何か、について考える機会となります。
どのくらいの人が終活してるの?
では、どのくらいの人が終活に興味を持っており、実際に終活を実施しているのでしょうか?
楽天インサイト株式会社が、「終活に関する調査」をインターネットで行った結果は下記のとおりです。
- 終活の意向があるか?
はい 39.1% (内訳:男性41.4% 女性58.6%)
- 「はい」と答えた人のうち、既に終活を実施している割合は?
「予定はないが、時期が来たら始めたい」(76.5%)
「近いうちに始める予定」(10.2%)
「実施している」(7.9%)
「実施する予定はない」(5.4%)
以上のように、終活の意向がありつつ実際に実施している人は約1割となっています。
実際にご相談の場でも、行動に移されている人は少ないという印象を持っています。
終活に興味がありつつ実施できていない人が多いのは何故でしょうか?
「人生の終わり」を考える終活が、高齢の方を対象にしたものという印象があることも一つの要因ではないでしょうか?
いつ(何歳)から何を始めたらいいの?
終活は、「今をよりよく生きる」ための活動です。
そうであれば、年齢に関わらず必要な活動だと思いませんか?
また、私個人の体験として、「終わり」が見えてきてから終活をしたのでは遅い、と思っています。
母親に終活を言い出せなかった要因。
それは、母親が「がん」という病気に突然かかってしまったからです。
今では初期の発見であれば完治もできると言われるがんですが、やはり言葉から「死」を連想してしまう人も多いのではないでしょうか。
母親も相当ショックを受けていました。
先生に「普段どおり生活して大丈夫ですよ」と言われたにもかかわらず、外に出かけない、人と会うことを避ける等我が家のムードメーカーであった母親の生活が一変したのです。
その際に私が感じていたことは、このままで本当に母親は人生の最後を後悔しないのだろうか?ということでした。
人と話すことが大好きな母でしたから。
「本当の終わり」と感じてしまうと恐怖で動けなくなってしまうかもしれません。
元気な内に、なるべく早く終活を始めて欲しいと思っています。
エンディングノート
終活を実践するツールとして「エンディングノート」があります。
エンディングノートの形式は様々ですが、どんな内容を書くのか一例をご紹介します。
- 自分自身と家族の情報(学歴や職歴、家族との思い出や好きな物等人生の棚卸し)
- 健康状態、医療や介護等の希望、病気の告知や延命治療について、
- 財産について
- 葬儀やお墓について
- 住所録(連絡したい人リスト等)
- これからやってみたいこと
- 大切な人へのメッセージ
いかがでしょうか?40代の私にも取り組める項目がたくさんありそうです。
後悔のない人生って?
人生最後の日、少しでも後悔が少ない人生でありたいと思いませんか?
終活のメリットとして、後悔のない人生のために「今」できることについて考える機会になることです。
では、どんなことが人生の後悔として挙げられるのでしょうか?
「人生で後悔していること」アンケート
アメリカで、80代以上の方を対象にしたアンケートでは、7割以上の人が「チャレンジしなかったこと」と回答したそうです。
以下、後悔すること20項目の内、上位10項目をご紹介します。
- 他人がどう思うか気にしなければよかった
- 幸せをもっと噛みしめて生きるべきだった
- もっと他人のために尽くせばよかった
- くよくよと悩まなければよかった
- 家族ともっと時間を過ごせばよかった
- もっと人に優しい言葉をかけていればよかった
- あんなに不安を抱えながら生きるべきではなかった
- もっと時間があれば・・・
- もっと思い切って冒険すればよかった
- 自分を大切にすればよかった
いかがでしょうか?自分自身も後悔しそうな項目はありましたか?
それぞれ様々な事情を抱えられていると思います。
「後悔のないように」と言われても費やせる時間がない、という方もいらっしゃるかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか?後悔のない人生を歩むのは自分次第。
できないことを数えるのではなく、ささやかなことでもできることはないか考えてみませんか?
後悔のない人生を歩む3つの方法
私は、終活のことを「祝活」と呼んでいます。漢字が変わるだけでイメージが変わりませんか?
私が考える祝活の定義は下記のとおりです。
祝の意味 = めでたい出来事を喜ぶこと
①これまで生きてきた人生を振り返り、今の自分につながっている出来事を喜ぶ活動
※マイナスの出来事も意味付け次第でプラスに!
②人生の終わりを迎える時に、出来るだけ後悔のないよう、今できることがあることを喜ぶ活動
※感謝と笑顔で終えられることが「私」の目標!
後悔のない人生を歩むために、大切だと思う3つの方法をご紹介します。
自分史作成
歴史上の人物や偉大な功績を残された方の自叙伝等、たくさん発行されています。
日々一生懸命生活している一人一人も、自分が主役のかけがえのない人生を歩んでこられていると思います。
どんな人生にもドラマがある。そんな自分史を作成してみませんか?
今までの人生を振り返ってみよう
今までの人生を、映像を見るように鮮明に思い出してみてください。
- どんな子どもでしたか?
- どんな人と出会ってきましたか?
- 人生を変えてくれた人や出来事は?
- 今までで一番輝いている、と思った出来事は?
どうでしょうか?大切に胸の奥にしまっていた経験と出会えましたでしょうか?
私は、今まで色々な人に出会い、支えられてきたエピソードを思い出すと、自然と笑顔になります。
大切な宝物です。
自分と家族の幸せな未来を描こう
自分自身について振り返ることで、自分が大切にしている価値観は何か?ということが見えてくるかもしれません。
その価値観が満たされる生活が「幸せな生活」と言えるのではないでしょうか?
どんな人生が幸せだと感じるか、それが人生の羅針盤となります。
誰のものでもない自分の人生です。
こういった生活が幸せだよね、という一般的な幸せな未来は描く必要はありません。
自分らしい幸せな人生。その人生のために、今できることは何かを考える機会にしてみませんか?
私の幸せな未来は「自分も周囲も笑顔でいること」。
その羅針盤に向かって、一歩一歩歩んでいきたいと思っています。
現状把握
現在生活していく上で欠かせないお金。今をよりよく生きるためにも、「お金」に関することを把握しておくことも大切です。
我が家の家計(資産・負債)を洗い出してみよう
我が家の家計の詳細をすぐに答えられますか?
すぐに答えられないという人も多いのではないでしょうか。だからこそ、一度洗い出すことをお勧めします。
不要なものや整理が必要なものが見えてくるかもしれません。
また、どこに何を預けているかを一覧にすることで、万が一災害等に合った場合にも、備えることにもなります。
- 預貯金(金融機関名、支店名、種類(普通、当座、定期等)、口座番号、金額)
- 株式、債券、投資信託等
- 不動産(種類、用途、所在地、名義人、固定資産税評価額) 等
- 各種ローン(住宅・自動車・カードローン等)
- 奨学金
- クレジット
保険会社、保険種類、契約者、被保険者、受取人、保険金額
公的年金、個人年金、確定給付年金、確定拠出年金等
相続人は誰?
大切な誰かが亡くなった場合に、どんな人が相続人になるのでしょうか?
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
第1順位:死亡した人の子供(既に死亡している場合は、その子供や孫)
第2順位:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
第3順位:死亡した人の兄弟姉妹(既に死亡している場合は、その子供)
現在独身の私の相続人は、父親。
父親が私より先になくなった場合は、姉、弟ということになります。
もし、姉か弟が私より先に亡くなった場合は、甥と姪が相続人になります。
あなたの相続人は誰でしょう?この機会に確認しておきましょう。
相続税はかかりそう?
相続税には非課税の範囲があります。
法定相続人の人数によって、非課税の範囲が変わってきます。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 墓所、仏壇、祭具など
- 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄附した財産
- 生命保険金のうち次の額まで:500万円×法定相続人の数
- 死亡退職金のうち次の額まで:500万円×法定相続人の数
対策を立てる
現状が把握できたら、最後の時、家族に迷惑がかからないかどうか確認していきましょう。
- 多数の金融機関に口座を持っていませんか?できるだけ纏めておきましょう。
- どんな保険に入っていますか?保障は十分でしょうか?
- 保険の受取人は誰でしょう?相続人以外が受け取る場合、保険金の非課税枠は受けられません。
誰に何を遺したいか話し合う
現状が把握できたら、誰にどんな財産を遺したいか考えてみましょう。
遺したい人に遺せるようになっていますでしょうか?
亡くなった後、争族とならないためにも、今のうちにご家族に思いを伝えておきましょう。
もし、長い間話しができていないご家族があれば、終活が一つの話すきっかけとなるかもしれません。
遺言書
誰に何を遺したいか決まったら、遺言書を作成しておくことをお勧めします。
エンディングノートには法的根拠がありませんので、専門家(弁護士、行政書士、司法書士)に作成を相談してみましょう。
遺言書の種類は3種類あります。
- 自筆証書遺言
自分で紙に書き記す遺言書です。誰でも気軽に作成が可能で費用もかかりません。
ただし、書き間違えや遺言内容が曖昧で遺言書として無効になってしまったということがとても多いので注意が必要です。
- 公正証書遺言
公証役場にいる公証人と呼ばれる人が、法律の規定どおりに公正証書として書類を作成するので、確実に有効な遺言書を残すことができます。
- 秘密証書遺言
公正証書遺言と同じく公証役場で作成手続きをしますがが、遺言内容は公証人に知られずに作成できるので、絶対に亡くなるまでは秘密を守りたい、誰にも内容を知られたくない、という場合に利用されています。
今日から始めることを決めよう
終活をするとやるべきことがたくさんあって不安に思うかもしれません。
全て一度にしようと思うと大変です。それが、ついつい後回しにしてしまう要因かもしれません。
小さなことでも構いませんので、今日から始めることを決め、まずは取り組んでみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今をよりよく生きるための終活、少しは興味を持っていただけたでしょうか?
私は終活をすることで、母親に頑張ってきた自分を褒める機会にして欲しいと思っていました。
専業主婦で、家族のことを第一に考えてくれていた母親。
私とは違う生き方で、お互いにわかり合えないこともありましたが、それは、素晴らしい人生だったと。
急に天国に旅立ってしまったので、戸惑っているかもしれませんが、母親もそう実感してくれていると嬉しいなと思います。
終活(祝活)が、皆様と大切なご家族の幸せな時間につながりますように。。。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。