取引先の訪問マナー アポイントの取り方や訪問時間のポイント!
「○○さんが担当しているA社、次に訪問する時に同行したいから、先方にアポイント入れておいてくれる?」
最初は上司や先輩との同行が多かったものの、ようやく一人で取引先を訪問することにも慣れてきたあなた。
上司からの提案に、内心焦っていませんか?
「アポイントって言っても、担当者に電話して、“じゃあ今から行きます”って伝えているだけだしな…」
既存営業の場合、相手先の担当者とも気心が知れてくると、直前に電話をかけて都合が良ければ先方に向かう、なんてことも少なくありません。
だからこそ、取引先への訪問マナーが正しく実践できることは「“親しき仲にも礼儀あり”ができているな」と、取引先にも上司にも信頼してもらえることにつながりますよね。
ここでは、取引先への訪問マナーがわからない!というあなたへ、“毎日ココロをフルにするお手伝い!”ココロフルプランナーこと現役マナー講師&国家資格キャリアコンサルタント@大川礼子が取引先への訪問マナーとアポイントの取り方や訪問時間のポイントをお伝えいたします。
事前準備は目的に合わせて念入りに
取引先を訪問すると言っても、職種や訪問する相手先によってその目的は様々ですよね。
ただ、どの職業・業種でも「仕事の8割は準備で決まる」と言われるように、事前準備が業績に与える影響はとても大きいんです。
下調べや資料の準備は抜かりなく
訪問する時は先方とアポイントを取り、打合せ内容の下調べや資料の準備を行います。
ただ、実際に訪問したい日まで2週間以上の余裕がある場合は、ある程度の下調べや資料準備を行ってからアポイントを取ることをお勧めします。
何故なら、こちらが「来週以降でご都合の良い時に…」と伝えても、先方の都合によっては「今週なら大丈夫」という返答をもらうこともあるからです。
アポイントを取る前の下準備は、以下の通りです。
- 会社の所在地
- 自社からの移動にかかる所要時間
- アポイントを取る担当者の役職や氏名
- 前回の訪問時の打合せ内容の確認
- 担当者以外に打合せに参加する人がいれば、その氏名と役職
- 取引先の課題や訪問目的に合わせた概要資料
そして、アポイントが確定したら、詳細な資料の準備を行います。
例えば、同じ「自社の商品を売る」行為でも、訪問の目的が「その日中に契約を取る」のか「検討を促し次のアポイントを取る」のかで、見積書の出し方は異なりますよね。
新規開拓か既存営業かにかかわらず、詳細な資料を準備する際には、取引先との会話の流れをシミュレーションし、内容に漏れがないよう念入りに行ってくださいね。
アポイントを取る時のポイントは?
アポイントを取る時のポイントは、「目的や所要時間を明確にする」「アポイントを取る時は相手の都合から確認する」という2点です。
アポイントを取る手段は、「電話+メール」「電話」「メール」などがありますが、いずれの場合も基本は同じです。
では早速、ポイントを一つずつ見ていきましょう。
目的や所要時間は明確に
ポイントのひとつ目は、アポイントを取る時の目的と所要時間を伝えることです。
「でも、打合せの所要時間って、相手の反応によって変わったりしない?」
確かに取引先の方の反応によっては、予定していた時間から前後してしまうこともありますよね。
ただ、目的と所要時間を予め伝えることによって、相手の方は安心して時間を取ってくださることにつながると思いませんか?
また電話でアポイントを取る時など、その場で簡単な概要を質問されることもあります。
その時に「資料は今から作るので、詳細はわかりません。」なんて答えることはできませんよね。
そうならないためにも、訪問の目的に沿った資料を手元に準備し、どんな質問にも回答でき得る準備をしておく必要があるんです。
アポイントを取る時は相手の都合から確認する
次に、アポイントを取る時は、相手の都合から確認します。
「自分自身も何かとスケジュールが入っているし、先にこちらの都合を伝えてはいけないの?」と、あなたは思うかもしれませんね。
でも、想像してみてください。
例えば、あなたの友人が「あなたの家に遊びに行かせて!私、〇日の〇時だったら行けるけど、予定はどう?」と言ってきたら、どう感じますか?
自分の家に「行かせて」と言っておきながら、こちらの都合は聞かないの?と感じませんか?
ましてや、取引先への訪問は企業の利益に関わる内容です。
先に相手の都合を確認し、先方が「そちらに合わせます。」と言ってくださる場合は「お言葉に甘えさせていただきます。」とありがたく受けましょう。
また複数の同行者がいて訪問の日が限られる場合は、「大変勝手ではございますが…」「誠に恐縮ではございますが…」と前置きしたうえで、候補の日程を3日ほど伝えてくださいね。
先日のご訪問で伺いました〇〇の件につきまして、お見積りを持参したく存じます。
恐れ入りますが30分ほどお時間をいただきたく、〇〇様のご都合のよろしい日程を3日ほどお聞かせ願えませんでしょうか。
ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせていただきます。
〇月〇日、×日、△日など、ご都合はいかがでしょうか。
訪問時間のポイントは?
ビジネスの場でコミュニケーションを取る時に最も大切なのは、「相手の時間を大切にする」ことです。
例えば、話し方の基本である「結論を先に言う」や、ビジネス文書の基本である「要件を簡潔に書く」などは、全てこの「相手の時間を奪わないため」であると言えます。
時間は有限です。
取引先を訪問する際にも、この前提を踏まえて打合せをぜひ有意義な時間にしてくださいね。
時間の区切りは15分単位で考える
あなたは訪問の時間を、30分単位で考えていませんか?
もしそうなら、訪問に限らず、打合せを行う時は15分単位で考える癖をつけておくことをお勧めします。
「アポイントを取る時は〇時ちょうど、とか〇時30分とかじゃないの?」
確かに、アポイントを取るときや会議では、1時間を30分単位で考えることが多いですよね。
ですが、例えば午後一番からと言って13時から打合せを行う場合、お昼休憩が12時~13時の企業だと、担当者は少し早めに休憩を切り上げなければなりません。
また、訪問の内容によっては30分も必要ない場合もあります。
「15分だけお時間をいただけますか」「13時15分に御社へ伺います」など、15分単位で考える癖をつければ、取引先にも「時間を大切にしているな」と思ってもらえますよ。
どれが正解?訪問当日のマナー
最後に、訪問当日のマナーです。
- 受付には何分前に行けばよいの?
- 出されたお茶はいつ飲むの?
- 手土産はいつ渡す?
など、「今さら聞けない!」という内容も、ここで確認しておいてくださいね。
受付へ到着するのは何分前?
「アポイントの時間の、何分前に行ったらいいんだろう…」
ちょうどに着くと遅いと言われ、10分前だと早いと言われる…。
『アポイントに遅れない』というのは大前提ですが、あまりに早く着きすぎるのも、取引先の相手に負担をかけてしまうようで、悩みますよね。
このような時は、「アポイントの時間ちょうどに打合せが開始できる状態にする」と覚えておいてください。
取引先によって、ビルや建物の大きさや受付の有無などは異なります。
取引先を訪問する場合、目安としては「受付がある=建物の大きさに合わせて8~5分前に、受付がない=5分前に」と覚えておくと、担当者を焦らせることもないでしょう。
もちろん、だからといってこの時間ぎりぎりに到着して良いというわけではありません。
電車の遅延やトラブルに見舞われることも含め、30分前には建物に到着し、近くの公園や喫茶店で打合せの準備を整え、時間に合わせて移動してくださいね。
- 15分前頃…エントランスホール付近で待機(身だしなみを整えておく)
- 10分前頃…エレベータで移動
- 8~5分前頃…受付で担当者を呼び出してもらい、受付の案内に従う
- 5~3分前頃…受付に指示された場所で待機
- 10分前頃…エントランスホール付近で待機(身だしなみを整えておく)
- 8分前頃…エレベータで移動
- 5~3分前頃…担当者に連絡、指示に従う
例外として、ホテルの喫茶ルームなどお互いの会社外で打合せを行う場合は、待ち合わせの10分前までには到着し、取引先をお待たせしないよう気を付けてくださいね。
出されたお茶はいつ飲むの?
応接室に通されて、担当者が来るまでに出されたお茶。
「このお茶、いつ飲むんだろう…飲んでもいいのかな…」なんて困っていませんか?
出していただいたお茶は、取引先からの厚意ですから、必ずいただきます。
ただ、訪問先でお茶をいただくタイミングは、訪問する側の自分(達)だけお茶が出されているのか、訪問を受ける側の取引先にも出されているのかで変わります。
担当者が来る前に、お茶に口をつけても良い
但し、お詫びや謝罪で訪問する際は、口をつけずにそのまま待機する
担当者が応接室に来て、「どうぞ」と勧められてから口をつける
「そうはいっても、担当者が話に夢中で、なかなかお茶を勧めてくれないんだけど…」
確かに、相手の方が「どうぞ」と勧めてくれない時もありますよね。
そんな時は会話の流れを遮らないタイミングで、自分から「いただきます」と声を掛け、お茶に口をつけてくださいね。
手土産を渡すタイミングは?
「今日は手土産を用意したんだけど、これって、いつ渡すんだろう?」
取引先へ訪問する際、手土産としてちょっとしたお菓子やノベルティをお渡しすることもありますよね。
訪問先への手土産は、「挨拶や打合せで訪問する時」「お詫びで訪問する時」でタイミングが異なります。
次のポイントを覚えてくださいね。
取引先の担当者が応接室に入ってきたタイミングで立ち上がり、手土産を渡します。
初めての訪問の際は、名刺交換を行った後に渡します。
手土産が紙袋に入っている場合は、渡す前に紙袋から出し、相手から見て正面となるように持って渡します。
お詫びや謝罪の場で手土産を渡す場合は、取引先がお詫びや謝罪を了承した後に渡します。
まだお詫びに納得していない段階で手土産を渡すと「これで済まそうとしている」と受け取られる可能性もあります。
また、お渡しするまでは手土産が相手の目に触れることのないよう、持ち運びにも配慮する必要があります。
またいずれの場合も、訪問先へ手土産を持参する際は「日持ちのする」「あまりに高額すぎない」「多人数で食べられるような個包装」のものを選ぶようにしてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
取引先への訪問マナーは、目的や主旨によっても異なります。
ですが、訪問マナーの大切なポイントはお互いにとって“有意義な時間を共有できた”と思えるように過ごすことです。
この点を忘れずに、しっかりと事前準備を進めてくださいね。
あなたの人生が、より良い人間関係に基づいて、充実した毎日を過ごせるよう心から願っています。