職場の苦手な上司との付き合い方は?あわない人間関係の改善策やヒント!
「せっかく自分の意見を言ったのに、部長に注意された…」
「報連相をするよう言われたのに、課長に相談したら叱られた…」
新入社員の頃ならまだしも、一通り仕事を覚えてきた頃に上司から注意を受ける日が続くと、仕事に対してやる気が出ませんよね。
でももしかすると、これまでの仕事の進め方をほんの少し工夫するだけで、注意を受けることが減るかもしれません。
そんな「+α」の魔法を具体例を使って紹介しますので、ぜひご覧くださいね!
ここでは、最近なんとなく「上司と合わないな…」と思い始めているあなたに、“毎日ココロをフルにするお手伝い!”ココロフルプランナーことマナー・プロトコール講師&国家資格キャリアコンサルタント@大川礼子が、苦手な上司との関係改善策をお伝えいたします。
まずは基本を見直そう
「入社した当時はそうでもなかったのに、最近、何だか上司が自分に対して厳しくなってきた気がする…」
あなたがそんな風に感じているなら、仕事の基本を見直すことが、あわない人間関係の改善策につながるかもしれません。
ここでは、仕事の進め方の基本となる、組織の仕組みや報連相について見てみましょう。
まずは、少し堅苦しい話になりますが、サラッとご確認くださいね!
組織の仕組みとそれぞれの役割
企業には、経営者層(社長や役員)、管理者層(部長や課長)、監督者層(係長やチーフ)、そして一般社員と階層があり、それぞれの役割は違います。
このような組織の場合、管理者である上司は、組織の方針に沿った業務を部下に振り分け、それぞれの進捗具合を管理する役割を持っています。
またそれと同時に、部下が次のステップに進めるように、人材育成も任されているんです。
あなたが新入社員の頃は、「とにかく業務を覚える」ということが目標でしたから、迷った時は相談して上司にその都度指示を仰ぎ、判断に従うだけで済んでいましたよね。
でも、ひととおりの業務を覚えたあなたの次の目標は「自分で考え、行動できること」、つまり、これまでの経験や、データ・根拠に基づいて判断できるようになることなんです。
もちろん、業務の最終的な判断は管理者である上司ですから、報告や連絡、相談と言った、基本のビジネスマナーは新入社員の頃と同じように必要です。
ただ、この基本のビジネスマナーに“+α”のコツを加えるだけで、次のステップに向けた働き方ができるんです。
報連相には一言添えて
「そう言われても、次のステップに向けた仕事の進め方って、よくわからないわ…」
あなたからは、こんな声が聞こえてきそうですね。
ではここで、「報連相」について見てみましょう。
報告…上司からの指示に対して、部下が業務や作業の経過や結果を知らせること
連絡…業務や作業情報を、業務の関係者に知らせること
相談…業務判断に迷うときや意見を聞いて欲しいときに上司などの意見を聞くこと
あなたは普段この言葉を、そのまま活用していませんか?
この「報連相」はチームで仕事を行う時の基本であり、中でも「相談」は特に重要です。
でも、後輩社員もいるあなたの場合、言葉の通りに活用していてはいつまで経っても1年目と同じまま。
次のステップに向かうには、「報連相」に“+α”の一言を添えることが必要です。
例)「課長、〇〇の件でご相談です。A案とB案を検討しています。どちらにいたしましょう?」
→「課長、〇〇の件でご相談です。現在、A案とB案を検討しています。私としてはA案で進めたいと思います。どちらにいたしましょう?」
ここで重要なのは、「自分で考え、意見を述べる」ということです。
「でも、自分の意見を言ったら上司に注意されたし…」というあなた。
上司に「なぜ、そう思うの?」と聞かれた時に、根拠となる理由はきちんと述べましたか?
例)「課長、〇〇の件でご相談です。現在、A案とB案を検討しています。私としてはA案で進めたいと思います。どちらにいたしましょう?」
「なぜ、そう思うの?」
→「はい、何故なら△△で××という数値が出ており、A案の方がより有効だと思われるからです。」
いかがですか?より、具体的に述べていると思いませんか?
この時に、間違っても「何となくA案の方が良いと思うから…」などと言わないようにしてくださいね。
またこのように回答するには、根拠を調べたり、結果を予測したりする事前の準備が必要です。
この事前準備自体が、あなたが次のステップに入ったことを示す成果となるのです。
「でもいつも、結局は上司に反対されて、意見を言う気がなくなるんだよね…」
そう、せっかく意見を言っても反対されると、次からは上司に何も言う気が起こらなくなりますよね。
ただ、「A案とB案のどちらが良いか」など、実行してみないとわからないことを、上司は管理者としての責任で判断したのです。
ですからあなたも、次のステップに向かう一般社員として、「自分の意見を、根拠に基づいて述べる」という責任を、一つずつ果たしていくことが重要なんですよ。
関係を改善させる仕事の進め方!
「〇〇の資料を作ってくれる?」と上司に言われたら、あなたはここでどう返答しますか?
「もちろん、“ハイ!”と返事をする」というあなた、本当にこのやり取りで指示の内容がわかりましたか?
最近、上司があなたに厳しく接するのは、もしかするとあなたのその「指示を待っている」姿勢にあるのかもしれません。
苦手な上司との関係を改善するために、ぜひ次の2つのヒントを試してみてくださいね。
1つ目のヒント!指示を受けたらどう返す?
仕事の指示を受けた時、最初に出来るだけ多くの情報を確認しておくことで、その後の仕事の進め方は大きく変わります。
「出来るだけ多くの情報を確認すると言っても…。実際に資料を作ってみないと、確認したいことや質問はわからないんだけど…」
そうですよね、確かに、実際に作ってみないとわからないことも多くあります。
でも「5W3H」を使えば、最初の指示を受けた段階でも、確認するべき項目がたくさん見えてきます。
Who(人物) How(方法・手段)
When(時期、時間) How many(数量)
Where(場所) How much(予算・費用)
What(対象の内容)
Why(目的・意図)
例えば「資料の期限は?(When)」「何枚分?(How many)」「何に使う?(What)」などを、指示を受けた段階で確認しておくのです。
「〇〇の資料を作ってくれる?」
→「はい、〇〇の資料ですね!期限はいつですか?」
「はい、〇〇の資料ですね!A4用紙1枚程度にまとめますか?」
「はい、〇〇の資料ですね!課長ご自身の確認用ですか?それとも、どなたかにお見せになりますか?」
これらの情報を確認しておけば、今自分が既に進めている業務との優先順位や、どのような体裁で作成するかの判断がつきやすくなりますよね。
この判断ができるようになると、実際に業務に取りかかる際の事前報告で、自分の意見を添えた報連相が実践できるのです。
例)
「先日ご指示いただいた資料ですが、〇日までに〇〇の方法で進めます。」
いかがでしょう?
この一言が加わるだけで、「自分で考え、積極的に業務に取組もうとしている」あなたの姿勢が、上司にも伝わるとは思いませんか?
2つ目のヒント!仕事の期日はいつが正解?
上司から「期限は10日後」と業務を指示されたら、あなたはいつまでに完成しようと思いますか?
これまで、もしあなたが「10日後が期限だから、10日目に提出すれば良いや」と進めてきたのであれば、ぜひ、次の2つを実践してみてください。
①自分の中での提出期限を2~3日前に設定し直す。
②業務が6割程度進んだら、中間報告を必ず入れる。
指示された仕事は、期日までに完成するのが鉄則です。
ですが、上司の思う「完成」は、修正がない状態であるのに対し、一般社員が思う「完成」は、とにかく言われた通りのものを作成しただけの未完成のものであることが多く、その認識が異なります。
ですから、ぜひ、上の2つを意識して、業務を進めるようにしてください。
またどの企業でも、上司の考えや判断の基準そのものが、指示を出した当初と、中間日程や10日後に変わる、ということがよくあります。
これは特に、会議で使う資料の場合などに多く見られますが、資料に反映する数値の状況が日々変化していることが原因です。
特に上司が意地悪で振り回しているわけではないので、資料の作成度合いと上司の考えを中間報告で相互に擦り合わせておくと、期日には完成形の資料が提出できるはずです。
もちろん、中間報告のタイミングも「〇〇の資料の件ですが、中間報告をしたいのでお時間10分ほどよろしいですか?」と自分から上司に声を掛けてくださいね。
きっと、上司のあなたに対する印象は「自分で考え、行動しているな」というものに変わり、苦手な上司との関係も改善に近づくはずですよ。
「仕事が楽しい」と思えるために
「あんなに注意してくるなんて、やっぱり上司が苦手かも…」
「あのイライラした課長の態度。きっと自分は嫌われてるのかも…」
ここまでは、基本のビジネスマナーや仕事の進め方に“+α”のコツを加えるヒントをお伝えしました。
でもやっぱり上司が苦手!というあなたのために、「仕事が楽しい」と思えるようになるための、2つの方法をお伝えいたします。
「上司と合わない」のは当たり前
いろいろあっても「仕事が楽しい」と思えるためには、「事実に注目し、目的に合わせた優先順位を考えること」をお勧めします。
人の価値観は、それまでに受け取った情報の多さや質、過去の実体験や見聞きした疑似体験から作られています。
ですから、あなたが既に「あの上司は苦手だ」「やっぱり合わない」と感じていることは、これまでの体験から作られた価値観であり、この価値観はすぐには変わりません。
それと同じように、上司にも上司のこれまでの経験で価値観が作られていて、誰にも変えることは出来ません。
上司と合わないのは当たり前なのです。
でもだからと言って、あなたがここで「あの人が苦手だ!」という自分の感情に負けて、上司に対してぞんざいな態度を取ったとしたらどうなるでしょう。
上司との関係は改善されるどころか、もっと悪化すると思いませんか?
実は私にも以前、意見や考えが全く合わず、普段の言動すら苦手だと感じてしまう上司がいました。
職務の関係上、私が直接何かを言われることは少なかったのですが、その上司が部下に取る言動を目にするうちに嫌悪感が募り、苦手だと感じていました。
次第に勤務時間はピリピリし、仕事が楽しくなくなる一方です。
ある時、「このままではいけない」と思い、“事実”に注目し、“目的に合わせた優先順位”を考えてみることにしました。
事実…上司は役職者である。また自分の組織の長である。
職場の目的…組織での個々の担当業務を問題なく遂行し、不要な業務を増やさない。
優先すること…自分の業務を円滑に進めるため、上司の決裁をすぐにもらえる状態にしておく。
このように考えてから、上司の細かな言動に不満を覚えることが多少あっても「上司の決裁をいつでもすぐもらえる状態にしておくため」、敬意を払った言動を常に無理なく取れるようになりました。
またこの方法を実践してからは、一時期は出社することすら憂鬱だった職場全体の雰囲気も気にならなくなり、淡々と自分の業務に集中できるようになりました。
事実に注目する方法は、慣れるまでに少し時間が掛かりましたが、最後には「今日も疲れたけど、仕事は楽しい」と思えるようになっています。
ぜひ、あなたも試してみてくださいね。
それでもやっぱり「苦手だな」と思う時は
「でも!!やっぱり苦手だ…!!」
基本のビジネスマナーや仕事の進め方に+αのコツも加えたし、仕事の目的と優先すべきことも実行している。
それでも「やっぱり無理!苦手!」だというあなたは、「自分でコントロールできないことには、考える時間を割かない」方法を試してみてください。
人は、自分が「苦手だ」と思っている人から何かを言われると、その内容がどれだけ些細なことであっても気を取られてしまい、思い悩む傾向があります。
そこで、何かしらの嫌だと思うことが起きた時、まずはその原因が「自分でコントロールできることかどうか」を考え、「コントロールできないことは、放っておく」癖をつけるのです。
例)上司があなたに「なんで、事前に報告しなかったんだ!」とイライラした態度で怒鳴ってきた場合。
①あなたが「事前に報告しなかった」という事実
②上司がイライラして怒鳴った態度
このように分けて考えると、①は自分でコントロールできること、反対に②は自分でコントロールできないことというのが分かりますよね。
その上で
①あなたが「事前に報告しなかった」という事実=コントロールできること→自分の行動を改善する
②上司がイライラして怒鳴った態度=コントロールできないこと→放っておく
という考え方を繰り返します。
すると、これを繰り返すうち「上司が何に対して叱るのか」が、段々とわかるようになります。
上の例で言えば「事前に報告しなかったこと」に対して叱っているので、次からは、事前に報告することを続ければ、上司の怒りを減らせることがわかりますよね。
このように癖づけることで、少しずつ上司の考え方を知り、自分の考え方や行動との違いを認めると、自分が取るべき行動も見えてきますよ。
仕事の場面でスムーズに行動ができることが増えると、思い悩むことも減り「仕事って、楽しい!」と思う日がきっと増えてくるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
職場での苦手な上司や合わない人との付き合い方や、関係改善策のヒントについて、マナーの視点からお伝えしました。
「相手を知り、尊重すること」はマナーの基本です。
仕事も人間関係も、思い悩んだ時には基本に立ち返り、自分や目的に合った“+α”を加えることを心掛けてみてくださいね。
あなたの人生が、より良い人間関係に基づいて、充実した毎日を過ごせるよう心から願っています。