【贈答マナー】人付き合い、人間関係がしんどい。取引先にお中元は必要?
「○○さん、A社へのお中元、手配した?」
「え!取引先に、お中元って必要なんですか?」
「今さら言ってるの?早く総務に手配をお願いしておいてね。」
突然、会社の先輩に言われて驚いたあなた。
取引先のお中元手配をしていなかったんですね。
「お中元なんて母親が親戚に贈るくらいで、取引先に必要なんて知らなかったわ…」
最近では企業間でも贈答が禁止されていたり、簡略化されていたりするので、知らない人も多いですよね。
ただ企業によっては、取引先との関係を良好にするため、季節の贈答品を効果的に使うこともあるんですよ。
「でも、何を贈るのが正解なの?」
確かに、取引先ともなると失礼になってはいけないと気になってしまいますよね。
そこでここでは、取引先への贈り物に悩むあなたへ“毎日ココロをフルにするお手伝い!”ココロフルプランナーことマナー・プロトコール講師&国家資格キャリアコンサルタント@大川礼子が、贈答のマナーをお伝えいたします。
贈答の目的
「取引先にお中元を贈るなんて、今まで全然知らなかった…」
取引先にお中元を贈ることを、これまで知らなかったあなた。
お中元などの贈答と呼ばれるものには、目的があります。
「目的?」
贈答の目的は様々ですが、大きく分けて「季節の贈答」「気持ちを表す贈答」「いただいた贈答に対するお礼」の3つです。
あなただって、突然誰かから「何もないけど」と贈り物をされると驚いてしまいませんか?
ましてやそれが取引先であればなおさらですよね。
まずここではその贈答の目的について、ひとつずつお伝えいたしますね。
季節の贈答
贈答の目的の1つ目は、季節の贈答。
例えば今回のお中元や、年末のお歳暮がこれに当てはまります。
日頃お世話になっている方々への、感謝の気持ちを表すものです。
気持ちを表す贈答
贈答の目的の2つ目は、気持ちを表す贈答。
例えば誰かのお誕生日や、結婚など、相手の方にとって喜ばしいことをお祝いする気持ちを伝えるものです。
いただいた贈答に対するお礼
贈答の目的の3つ目は、先に何かをいただいたことに対するお礼。
内祝いと呼ばれるものが、これに当てはまります。
贈答品を贈る時期は?
「ふーん…、贈答って目的があるのね。」
「でも、お中元って、いつまでに贈るものなの?」
お歳暮の時期は年末というのが分かりますが、お中元の時期は地域によっても様々ですよね。
そもそもお中元とお歳暮は、別の習慣から生まれたものなんですよ。
ここでは贈答品を贈る時期と表書きを、その由来と併せてお伝えいたしますね。
お中元を贈る時期と表書き
お中元を贈る時期は細かく分けると、北海道や東北、関東、北陸…と地域様々ですが、大きくは「お盆をいつ行なうか」という考えにより変わります。
新盆(7月15日)を基本…東京を中心とする主に関東の地域。7月初旬~7月15日までに贈る。
旧盆(8月15日)を基本…主に関西などの西日本。地域により、7月中旬~8月15日まで、あるいは8月初旬~8月15日までに贈る。
御中元:新盆の地域は7月15日まで。旧盆の地域は8月15日まで。(お盆までに贈る)
暑中御見舞・暑中御伺い:7月16日~立秋(8月8日頃)まで
残暑御見舞・残暑御伺い:立秋(8月8日頃)~8月中旬頃まで
お中元の由来
お中元は、ご先祖様への供物を親戚に配ったのが始まりです。
元々は、古来中国での年中行事である1月15日の「上元」、7月15日の「中元」、10月15日の「下元」が日本に伝わり、7月の「中元」だけが、日本のお盆の行事と結びつき、今の日本にも残っているんですよ。
お歳暮を贈る時期と表書き
お歳暮を贈る時期は12月上旬から12月25日まで。
お正月用の生鮮食品を送る場合は年末近くに届けます。
御歳暮:12月初旬~12月25日頃まで(生鮮食品の場合は、年末近くに届ける)
御年賀:元旦~1月7日(松納め)まで
寒中御見舞:1月8日~立春の前日(節分)まで
お歳暮の由来
お歳暮は、お正月に「歳神様」をお迎えするための供物を、年末のうちに本家に届けたのが始まりだと言われています。
*歳神様…五穀豊穣や子孫繁栄、家内安全などとともに、新しい年を連れて来てくださる神様。
お中元とお歳暮は両方贈るもの?
「お中元を贈ったら、お歳暮も贈るものなの?」
今回、お中元を贈ったらお歳暮は必要かな…と思っているんですね。
お中元とお歳暮は、異なる習慣が由来のため、両方贈る必要はありません。
ただ季節の贈答は、「感謝」を表すものである以上、今年は贈ったのに、来年は贈らないということはありませんよね。
一度切りの感謝であれば、表書きを「お礼」としてくださいね。
取引先へ贈る時のルール
「へえ、よく親戚から届くお中元って、そんな由来があったのね…。」
「でも、取引先に贈る時はどうすればいいの?まさか親戚に贈るのと同じわけにはいかないわよね…」
確かにその点が気になりますよね。
お贈りする時期や表書きは基本的に同じですが、少し注意が必要な点もあります。
ここでは、取引先への贈答で気を付ける点について、「送り状」と「予算」「品物」の3つをお伝えいたしますね。
送り状を忘れずに
まず一つ目は送り状について。
取引先に限らず、本来、贈答の基本は持参するのが丁寧ですが、お相手の方のご都合などもあり、配送することもあるでしょう。
配送する場合、一般のご家庭の場合だと、品物にお手紙を同封する「添え状」ということが可能です。
ただ、取引先の場合は、品物が届く前に「こういう理由で、品物をお届けします」ということを記した「送り状」を郵送するのがマナーです。
「企業の場合だと、添え状ではだめなの?」
企業の場合は、会社の方針で贈答を一切受け取らないというところもあります。
またセキュリティの観点からも、何もお知らせしないまま、封を開けなければ目的のわからないものを配送するのは避けましょう。
感謝の気持ちを伝えるものとは言え、企業間での取引に影響するものです。
お付き合いの度合いによっては、事前に電話で伝えるなども良いですよね。
予算は事前に確認を
そして二つ目は予算について。
贈答品については、お中元に限らず必ず事前に自社に予算を確認します。
また初めてお贈りする場合、一般的には取引先の相場は5,000円~10,000円とされています。
あまり高額すぎると、会社にとっても受け取る相手先にとっても負担となり、また素直な感謝の気持ちだと受け取られにくく誤解を招きかねません。
ただ、これまでにすでに何度も会社から贈答品をお送りしているのであれば、前回の金額からは下回らないように、自社の総務部など、担当部署へ事前に確認をしてください。
普段からお取引のある企業に、正しく感謝を伝えるためにも送り状と予算についてはご注意くださいね。
品物はどうする?
最後に、お贈りする品物について。
「取引先の人へ贈るのに、失礼なものってあるのかな…?」
取引先だと、失礼があってはならない、と気になりますよね。
取引先の企業の規模によりますが、取引先の企業への贈答のポイントは「日持ちのするもの」「においの出ないもの」「皆で分けられる個包装のもの」などがポイントです。
スティックタイプのコーヒーと紅茶のセットや、個包装のスイーツなど、取引先の方の年代に合わせて贈ってくださいね。
贈答品をいただいたら?
「こちらから贈るのはわかったけど、ひょっとしてもらうこともあるのかな?」
普段から長いお付き合いの中で、既にお中元などのやり取りがある企業であればいただくことも考えられますよね。
ここでは「配送されてきた時」と「直接いただいた時」の2つの視点で、対応を見ていきますね。
配送されてきた時
取引先から、事前の連絡なしにお中元が配送されてきた場合。
まずはすぐに担当の方へ宛てて、お礼の電話もしくはメールを入れましょう。
その上で、ハガキか封書で礼状を送ります。
「え?電話も、ハガキもってこと?」
手間がかかるな…なんて思っていませんか?
ただ、その意図は少し異なります。
電話もしくはメールは、御礼と合わせて「届きました」とお相手に安心してもらう意味も含まれています。
またハガキや封書は、感謝の気持ちを文字で表現するもの。
親しい方であれば、近況を兼ねて電話でお礼を述べることもありますが、取引先など企業からいただいたものであれば、ハガキか封書など手紙の方がより丁寧です。
また通常の手紙であれば、取引先など目上の方に対しては封書が基本ですが、お礼状に関してはハガキでもかまいません。
それよりも、品物を受け取ってから『3日以内』と早めにお礼を伝えることが重要であることを忘れずにいてくださいね。
直接いただいた時
直接いただいた時は、その場でまずお礼を言いましょう。
また自社の都合でどうしても受け取れない場合は、その場ではっきり丁寧にお断りすることも必要です。
お返しは必要?
配送であれ、直接であれ、取引先からお中元を受け取り、自社も特に制限のない場合はいただいたお中元と同等かそれ以下のものを準備します。
いただいた以上の金額のものをお返しすると、取引先へかえって気遣いをさせてしまうことにもつながるので、気を付けてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
お中元やお歳暮など、企業によっては廃止しているところも多くあまり馴染みが薄いかもしれませんね。
ただ、企業と企業のお付き合いとはいっても、結局は人と人とのつながりです。
この機会に、正しいマナーで取引先との関係をより良いものにしてくださいね。
あなたの人生が、より良い人間関係に基づいて、充実した毎日を過ごせるよう心から願っています。