【年上の部下を攻略】苦手と感じる原因と年上部下とうまく付き合う方法5選

「令和Ο年Ο月Ο日付けをもって〇〇課長に任命する 」「・・・〇〇部長に任命する」という辞令をもらった時、会社員人生の目標を一つクリアできた、よしこれからも会社のために頑張るぞ~と思いますよね。
しかし、部下になる人の中に「昔の上司」「仕事を教えてくれた先輩」がいることに気がついたら、モヤとした感じになり、元気がなくなります。
そう、それくらい年上の部下とのかかわりが心の負担になってくるのです。
一般的に年上の部下は、それまでの経験や実績がある一方で、プライドが高く、年下の上司と衝突しがちといわれています。
会社員生活30数年、中高年危機脱出キャリアコンサルタントの坪根克朗が、年上の部下との付き合い方、そして彼らのモチベーションを上げ、会社を離れても「生涯現役」として働いてもらう方法についてお話します。
年上の部下が増えた原因
この四半世紀の間に、日本を取り巻く経済状況は大きく変化しました。
「終身雇用」「年功序列」「定期昇給」といった旧来の日本型経営は姿を変え、年齢や勤続年数にとらわれず、実力やこれまでの実績に応じた「実力主義」による人材登用や中途採用を進める会社が増えてきました。
その結果、「年上の部下」が増えることになったのです。
なぜ年上の部下が苦手なのか
年上の部下を苦手とする理由
年上の部下に苦手意識を持っている年下の上司に、その理由を聞いてみると
- 素直に話を聞いてくれない
- こちらの指示に、何かとケチをつけてくる
- ミーティングで、反抗的な態度を取られる
- 自分のやり方に固執し、何度注意しても聞く耳をもってもらえない
ということみたいです。
年上の部下が苦手な原因
年上の部下が苦手な原因はどういうところにあるのでしょうか。
上司としての気負いが空回り
それは、「自分は管理職なのだから、部下より上の立場である」という感覚が強く、かなり気負っているということです。
そのため、無意識に年上の部下を警戒する態度を取ったり、少し威圧的に接してしまっているのではないでしょうか。
それによって、年上の部下も人の子ですから、自分より年下の人から「私のほうが上の立場、あなたは下の立場」という空気を感じ取ると、反抗したくもなるという感じですかね。
人事考課の「あや」によって、立場の逆転
人事異動によって「年上の部下」と「年下の上司」となってしまった両者の関係は、かつては、「上司と部下」「先輩と後輩」の関係であったかも知れません。
仕事を教えたり、悩み事を相談されたり、時には酒を酌み交わしたことがあったかも知れません。
それが、一転して会社からの扱いが、自分より後輩が上回ってしまったのです。
年上でしかも、自分よりも知識も経験も豊富な人が部下になると、年下の上司からするとなかなか指示や注意はしづらいですよね。
年上部下との付き合い方5選
これからの時代、年上の部下とはどのように付き合っていけばいいのでしょうか。
【付き合い方①】舐められない圧倒的な成果を出す
上司には、会社から評価されていること含めて、上司という立場でいるだけの理由があります。
能力・スキルの高さかもしれないし、成果を出し続けた結果かもしれません。
だから、あなたは、今後も自信をもって、仕事に邁進し、今まで以上に圧倒的な成果を出すことです。
【付き合い方②】役職は役割と割り切る
会社にはいろいろな役職が存在しますが、役職の意味を、企業の中での「役割分担的な意味合い」として捉えるのです。
つまり、部長は部長の仕事を、課長は課長の仕事、担当者は担当者として与えられた役割の仕事をしているのにすぎないのです。
そのため、役割に関しては年齢は関係ないのです。
【付き合い方③】年上の部下とのコミュニケーションの秘訣は敬意
あなたが、「年上の部下」の立場になったことを考える
30数年のおよぶ長い会社員人生。役職定年や雇用延長になってくると間違いなく、あなたは「年上の部下」になっています。
あなたは、今は「年下の上司」ですが、それを「年上の部下」になったと立場を入れ替えて、上司からどのように接しられたら嫌か想像してみてください。
例えば
- このような呼ばれ方をしたら、嫌だな
- こんな態度で接してきたら、ムッとするだろう
- こんな言われ方をされたら傷つくよな
想像することによって、おのずと年上の部下にとって「嫌な上司の接し方」といったものが見えてきます。
そして、想像した接し方を出来るだけしないように心掛けることが、年上部下との関係を良好に保つ第一歩になります。
敬意をもつ
職場においての「役職が高い=人間として偉い」というわけでは決してありません。
そして、上司だからと年上の部下に横柄な態度をとるのは間違いです。
相手は部下である前に、自分よりも年上の人であり、人生としての先輩でもあります。
素直に年上の方には敬意を表すようにしましょう。
年上の部下には、必ず丁寧な言葉を使う
敬意をもっている証として、重要なことは、必ず丁寧な言葉使いをすることです。
たとえば指示を出す際も、「~をお願いします」等、丁寧な言葉遣いを心がけることによって、相手が先輩として尊重してくれていることを感じ取ると、素直に指示を受け入れてくれるでしょう。
【付き合い方④】年上の部下への指示の出し方
年上の部下に指示を出す時、部下が年上ということで遠慮しすぎたり、上から目線を気にして指示が「あいまい」になることがあります。
あいまいとは、部下にとって「やらなくてはいけないものなのか」「できればやってほしいものか」がわからなくなることです。
あいまいさを無くした年上の部下への指示には「ゴールを示す」「やり方を示す」「肯定表現を使う」の3つのことが必要です。
ゴールを示す
ゴールについては、「なんのために(目的)」「なにを(対象)」「いつまでに(納期)」「どのレベルの水準で(要求水準)」やってほしいかを示すことが大切になります。
やり方を示す
やり方を示すとは、言い換えれば「自由にしてよい範囲を示す」ということになります。
この時、やり方を細かく示してしまうと、自由にしてよい範囲が狭くなります。
ただ、「なんでもあなたの自由にしてください」とお願いすると、期待したのと違うものができあがってしまうこともあります。
そこで「これだけは守って」というルールを示す必要があります。
例えば、「提案書作成に関しては、部の〇〇フォーマット(PPT)に従った形で作成してください。具体的な記述内容はおまかせします」という具合です。
肯定表現を使う
伝え方には以下のような「否定表現」と「肯定表現」のふたつのアプローチがあります。
- 説得力のない企画は求めていません(否定表現)
- 説得力のある企画を求めています(肯定表現)
1のように「否定表現」で伝えた場合、相手に“高圧的で上から目線”と受け取られてしまいます。
一方、2のように「肯定表現」を使うと、相手に“高圧的で上から目線”と受け取られことはなく、指示されたほうもやり気が出るのではないでしょうか。
以下の例を参考に年上の部下に指示を出す時は、「肯定表現」を使っていきましょう。
【付き合い方⑤】他の部下の前で、年上の部下の陰口をたたかない
苦手意識を持っていると、どうしても年上の部下の陰口をたたく人がいます。
しかし、他の部下の前で陰口をたたいた場合、それは確実に本人に伝わります。
このような場合、傷つけられた年上の部下はあなたを信頼しなくなります。
年上部下のモチベーションをあげる方法
後輩に抜かれた50歳を超えた年上の部下達の多くは、会社で働き続けることができるかどうか不安に思っています。
また、経済の先行きが不透明な中、転職は無理と思い込んでいます。
それは、彼らに対して「会社への貢献、働き場所を自分で考えろ」ではなくて、会社での働き場所をみつけてあげ、その上で、会社を離れた後のセカンドキャリアを考える「キャリアデザイン」の支援をしてあげることではないでしょうか。
会社で長年顔を突き合わしていますが、上司は、部下のことを知っているようで知らないのです。
今さらですが、まずは部下を知ることから始めるのです。
そのためには、「年上の部下」自らに「自己取り扱いマニュアル」を書いてもらうのです。
自己取り扱いマニュアルの必要性
自己取り扱いマニュアルは、年上の部下自らが、自分のバックグラウンド、「才能(強さ)」「仕事でのやりがい・成果」「趣味趣向」を伝えるツールになります。
自己取り扱いマニュアルの内容とは
自己取り扱いマニュアルでは、以下の3つの項目を書いてもらい、会社で導入の進んでいる「1on1ミーティング」での面談をとおして年上の部下のことを知ってください。
自分の才能(強み)を把握
私は、中高年の方々を対象としたキャリア相談とか就活支援をしていますが、感じることは会社人生が長い人ほど、自分の才能(強み)をわかっていないように思っています。
自分の才能(強み)知るために、私が勧めるのは、ストレングス・ファインダー2.0です。
アメリカの世論調査と組織コンサルティングのギャラップ社が200万人へのインタビュー結果から人の「強み」を34種類にパターン化したものから作られた診断テストになります。
Webサイト上で177個の質問に答えていく(30分)ことで、自分の「才能(強み)」をランキング形式で、ベスト5まで教えてくれます。
また、この本では、「自分の才能(強み)がどんな場面で生かされて、どんな行動をとればいいか」ということまで教えてくれます。
年下の部下にやってもらうことは、診断結果で示された才能(強さ)のベスト5それぞれについて以下の内容を紙に書きだしてもらってください。
- 過去の仕事や経験(エピソード)を通してどんな行動をとってきたか
- そのことは、あなたにとってどういう意味をもっていたのか
この診断によって、気がついた才能(強さ)は、年上の部下のキャリア形成を行ううえでの貴重な情報になります。
仕事でのやりがい・成果
仕事でのやりがい・成果については、今までの仕事や経験の中で以下の4つのことを思いだしてアウトプットしてもらってください。
- この会社に入ろうと思った動機につながる、もっとも古いきかっけ
- この会社で一番努力し、やりがいのあったこと(複数可)
- 自分が100%を超えて頑張ってしまうこと、それはいつ
- これだけは、絶対勘弁してほしいこと、自分の取り扱い注意ポイント
趣味趣向
自分の趣味を深堀します。1つでなくていいです。
自分の趣味、「映画」「漫画」「本」「釣り」といったジャンルについて、そのジャンル1つずつについて掘り下げていくのです。
漫画を例にとると、「好きなタイトル」「好きな登場人物」「好きなエピソード・シーン」「感動した言葉」等を思いつくまま綴ってください。
自己取り扱いマニュアルの活用
上司、本人の自己取り扱いマニュアルの活用には以下のようなものになります。
【上司】年上の部下を生かす組織デザインに利用
自己取り扱いマニュアルを作ってもらい、その説明をしてもらうことより、共通の趣味に気がついて盛り上がったりするでしょう。
その結果、部下との距離は縮まり、親近感も濃いものになってきます。
また、今までの仕事でのやりがいや成果の話を聞くことによって、「他部署との根回しは得意」「数社の顧客の社長とツーカーの仲」「縁の下の力持ちの仕事が好き」「プレゼン資料の作成スピードが速い」など才能、スキルに気が付けば、それを自分が考える組織デザインに、組み込むことによって、組織は強くなるし、年上の部下の活躍の場所を見つけることができます。
【年上の部下】キャリアの見直し、将来のために使う
自己取り扱いマニュアルで書く内容は、将来の再就職にあたっての応募書類(自己PR、職歴のアッピール)に使えますし、個人事業主になるにあたってのパーソナルブランディングの材料にもなります。
まとめ
年上の部下が職場で生き生き働いてもらう秘訣は、部下自らに「自己取り扱いマニュアル」を書いてもらって、その方のバックグラウンドを理解したうえで、少なくなってきた会社員生活を充実させるとともに、会社を離れたことも踏まえたキャリアの自律を促すことだと思います。
ただ、自己取り扱いマニュアルは、なかなか一人では書けないです。
キャリアコンサルタントに話を聞いてもらいながら、書いて、添削して初めてアッピールできるものになってきます。
私が提供している中高年の危機脱出キャリア相談サービスでは、まさしくその「自己取り扱いマニュアル」作成のための支援を行っています。
年上の部下でお悩みの上司の方は、会社に働きかけて、部下の方が私のサービスを受けることを勧めてください。もちろん会社契約なら割引サービスもあります。