【ビジネスメールの返信マナー】フォーマットに+αで印象アップ!
会社の上司や先輩にこんなことを言われて、落ち込んだことはありませんか?
「〇〇さん、昨日送ったメール見てくれた?」
「はい、見ました!」
「見たなら見たで、教えてくれないと、こっちも困るんだけど…」
「は…はい…。」
取引先の人ならまだしも、社内で届く、上司や先輩からの業務メール。
「これって、返信は必要なの?」
「毎回、返信するって時間の無駄じゃない?」
そんなことで、悩んでいませんか?
ここでは、社内でのビジネスメール返信に悩むあなたへ “毎日ココロをフルにするお手伝い!”ココロフルプランナーことマナー・プロトコール講師&国家資格キャリアコンサルタント@大川礼子が、ビジネスメールの返信マナーをお伝えいたします。
ビジネスメールの基本
「メールって、なんか苦手なんだよね。」
「文章も長いし、必要なことだけさっと送れるチャットでよくない?」
そんなふうに思っているんですね。
確かにチャットと比べると、文章は長くなることが多いですよね。
電子メールがビジネスの場面で使われるまでは、コミュニケーションの主な手段は電話やファックスでした。
そのため、実はまだ電子メール自体の歴史は浅く、共通のルールというものは確立されていないんです。
ただ、幅広い年代の方に「読みやすい」と感じてもらえるメールが書けるようになると、それだけであなたの印象はぐっと良くなりますよ!
まずは電子メールの「メリット・デメリット」と「基本となるルール」から見ていきましょう。
メリット・デメリット
まずはメールのメリット・デメリットについて。
注意事項とあわせて、整理してみますね。
- 一斉に、大勢の人に同じ情報を送信できる。
- 自分の都合の良い時に送信でき、相手の好きな時に読んでもらえる。
- 文字に残るので、後で読み返すことができる、等。
- 簡潔にすると感情が伝わりづらく、丁寧にすると文章が長くなる。
- セキュリティ対策が必要。
- 宛先間違いが起こりやすい、等。
- 文字に残る分、間違った内容も相手の手元に残る。
- 宛先間違いが起きた時の対処方法を誤ると、信用を失くす。
- 返信をもらうまで、相手が読んだことがわからない、等。
送受信の基本
次に、一般的な「基本となるルール」について。
どの企業や組織でも共通となる、基本の送受信ルールについてポイントをお伝えしますね。
- 個人情報には配慮し、機密情報のやり取りは避ける。
- 受信確認や、期日までに回答が欲しい時は、その旨を書き添える。
- 急ぎの用件は、メール+電話(もしくは対面)で行うと丁寧で確実。
- お詫びの場合は、訪問(対面)の後+メール(文書)が原則。
- 返信は早めに出す。(1~2営業日以内)
- 返信メールに、別の用件を書かない。
- 受信したメールを転送するときは、事前に送信者の了解を得る。また文章を加工しない。
- ウィルスに感染しないよう、セキュリティ対策を行なう。
ビジネスメール作成のポイント
「へえ…メールって、こんなメリットやデメリットがあるのね…」
「そう思ったら、余計にメールを送るのが苦手に感じてしまうわ…」
確かにこういった決まりを見てしまうと、気軽に送れないと思ってしまいますよね。
ただ、社外の方との連絡手段にも、まだまだ活用されるものですよね。
また、ビジネスの場面ではいろんな年代の方が働いています。
次に挙げる作成のポイントを押さえて、少しずつ慣れていきましょうね。
件名は具体的に、内容は簡潔に
件名は具体的に
件名は、例えるならメールの顔。
仕事を進める上で大切なのは、スピード力と言われませんか?
その時に必要となることの一つに、優先順位を判断する力が挙げられます。
これは、届いたメールを確認する時にも同じことが言えるんですよ。
ビジネスの場面では、1日に何十件とメールが届くことも普通です。
そんな時、内容のわからないメールが届いたら、見落とされたり、後回しにされてしまいますよね。
あなたがメールを送る時にも、社内外を問わず、メールの件名は具体的、かつ分かりやすく書いてくださいね。
内容は簡潔に
反対にメール本文の内容は簡潔に書くことが必要です。
受信者側に、メールの目的が何なのかを確実に伝えることで、仕事の効率は上がります。
- 結論から書く
- 箇条書きにする
- 記号や下線、太字などを取り入れる
など、受信した方が読みやすいメールを心がけましょうね。
宛先と署名は必ず入れる
社外の方へはそうでもないのに、社内となると忘れがちになるのが宛先と署名。
ただ社内外を問わず、メールの誤送信を避けるには宛先を入れることで防ぎやすく、敬称のつけ方を間違えなければ、失礼にはあたりません。
また署名を入れることで、メール本文への問合せを電話で行いたい時などもスムーズに進みます。
特に社内でも違う組織の方には、内線番号などを入れておくだけでも親切ですよね。
個人 ⇒ 様 もしくは 役職・肩書 例)〇〇様、〇〇部長、部長 〇〇様
複数の個人 ⇒ 各位 例)お客様各位
企業・団体 ⇒ 御中 例)〇〇株式会社御中
企業の個人 ⇒ 個人と同じ 例)〇〇株式会社 〇〇様、〇〇株式会社 〇〇部長、〇〇株式会社 部長 〇〇様
また署名の例は次の通りです。
〇〇株式会社総務部 △△△△
〒123-4567 東京都〇〇区××町1丁目2番3号
TEL 03-XXXX-XXXX FAX 03-XXXX-XXXX
E-mail abcde@xxxxx.co.jp
URL https://www.〇〇〇〇.com
総務部 △△△△(内線:〇〇-〇〇〇〇)
「ふーん…、メールの基本ルールを知れば、それほど難しくないのかな?」
「でも、マナーが確立されてないってことは、結局は相手次第ってこと?」
そうですね。
お相手との関係性はもちろん、組織によっても独自のルールがあるなど、異なります。
ただ、どの企業や関係性にも共通して言えるのは、電子メールはビジネスを円滑に進めるためのコミュニケーションツールであるということです。
メールを作成する時には無機質なパソコンに向かっていても、画面の向こうには受信者がいますよね。
送信者側の都合だけで一方的になることなく、受信者側にストレスを感じさせない配慮が必要だと覚えておいてくださいね。
ビジネスメールの返信マナー
「基本のルールや作成のポイントはわかったけど、返信するのにもマナーってあるの?」
そうですね。
返信する際にも、一般的に言われているマナーがあります。
ここではよく質問される3つの項目について、お伝えしますね。
返信は「Re:」のままで良いの?
「この『Re:』って、いったいどこまで続くんだろう…」
メールのやり取りが何回か続くと、返信をする時、件名を変えるかどうかで迷いますよね。
基本的には、受け取ったメールと同じ用件の返信であれば、件名は同じものを使うことが多いのですが、統一したルールはありません。
ただあまりにも『Re:Re:Re:Re:…』と続くようなら、電話で話すか、打ち合わせ日時を決めるなどした方が良いかもしれませんね。
また受け取ったメールの内容に、確認や質問がある場合、下記のように内容がわかるような件名にすることで、相手の方に見落とされることも少なくなりますよ。
開封確認があれば返信は要らない?
「メールって既読がつかないから、開封確認をつけて送ろうかな。」
確かに、メールはチャットやメッセージアプリと違って既読がつかないので、受信者が確認したか気になりますよね。
ただ、「開封確認」はチャットの既読と同じように、『返信を急がなければ。』と受信者側に負担をかけてしまい、相手によっては失礼と受け取られます。
また受信者側のシステムや設定により、必ずしも開封確認が通知されるとは限りません。
この点を踏まえると、開封確認の設定されたメールを受け取った際にも返信する、あるいは「見ました」とだけ口頭で伝えることで、相手の方のあなたに対する印象はよくなりますよ。
またあなたがメール送信を行なう際、受け取ったことを確実に知りたいのであれば、メール本文に一言添えるなどしてくださいね。
TOとCCの時の返信は?
「CCで送られてきたメール、返信した方が良いのかな…?」
メールの宛先(TO)に名前が入っていないものの、CCで自分にも送られてきたメール。
もしくは自分がメールの宛先になっているものの、CCのところには他の人達のアドレスが入っている。
こんな時はどうすれば良いの?と思ってしまいますよね。
ここでは、TOとCC、BCCの違いを先に見ていきましょう。
TO(宛先)とは
メール本文の受取人。
メール本文の目的(指示や情報の伝達)など、メインで受け取って欲しい相手のアドレスをTOに入れる。1人の時もあれば、複数の時もあります。
CC(カーボンコピー)
特定の人に送る内容を、情報共有として送信する時に使います。
メールの受信者をTO(宛先)、情報を共有したいグループのメンバーや上司などはCC欄にアドレスを入れます。
その際、TO(宛先)の受信者も、CC欄での受信者も、誰に同じ情報を送られているかがわかります。
BCC(ブラインドカーボンコピー)
個人情報に配慮が必要な時に使います。
複数の人に宛てて送る際、受信者のアドレスを見えなくして送るため、TO(宛先)の受信者と送信者の情報しかわかりません。
方法は、TO(宛先)に自分のアドレスを、受信者のアドレスをすべてBCC欄に入れます。
例えば、企業が複数の顧客に対して、同じ情報を送る時などに使われます。
返信が必要な時、不要な時
TOやCCなどの違いが分かったところで、よく迷う2つの例について、返信が要るかどうかをお伝えしますね。
TOに自分のアドレス、CCにグループのメンバーや上司などのアドレス
⇒送信者は、「受信者のあなたとのやり取りを、CCの方々とも共有する」目的を持っている。
送信者側がCCのアドレスを外さない限りは、TO:送信者、CC:入れたままで、返信を送る。
TOに別の方のアドレス、CCに自分やグループメンバー等のアドレス
⇒送信者は、「受信者とのやりとりを、確認するように」との目的を持っている。
返信する必要は特にない場合が多いが、内容は必ず目を通しておくことが求められる。
苦手でも安心!返信メールは+αで印象アップ
「そっか…。基本のルールはある程度わかったけど、メールって文字が残るから時間がかかるんだよね…」
確かに、文字で残ると思うと、文章の作成にも時間がかかりますよね。
そんなあなたは、次の3つの項目を工夫することで、時間短縮だけでなく、苦手なメールでの印象アップがはかれますよ!
- フォーマットをうまく活用する
- 時間がかかる時には[受信連絡]のワンクッションを
- 結びの文にひと工夫
では、ひとつずつ見ていきましょう。
フォーマットをうまく活用する
メールの文章を作成する時に、予めフォーマットを作成しておくのも一つです。
フォーマットを活用する時のポイントは、3つあります。
下の図とあわせて、見てくださいね。
- ①~⑥ごとに、1行ずつ開けて見やすくする
- ①~⑥それぞれ、1~3行までに文章をおさめる
- 1行の文字数は約30文字以内を目安にすると読みやすい
*図の本文は、先方から依頼されたことに対する返信例です。
自社から依頼しているのか、先方からの依頼なのかによっても文章は異なります。
時間がかかる時には[受信連絡]のワンクッションを
「どうしよう…、返信に時間がかかりそう…」
社内外を問わず、いただいたメールの内容によっては、調整に時間がかかる、上司の承認が必要であるなど、返信までに時間を要する場合もありますよね。
ただその場合でも、「受信した」ということと「時間がかかる」ということだけでも、先に返信しておくと良いですよ。
もしあなたが送信した側だった場合、「メール、届いているかな?」「返信はいつ頃になるのかな?」と気になりますよね。
ビジネスの場面では効率を求められますが、自分側だけの効率を重視してひと手間を省くと、結局は、相手の方の仕事の手を止め、時間を奪うことにもつながります。
相手の方に安心してもらえるよう少しだけ配慮することで、お互い仕事を進めやすくなり、あなたの信頼感も増していきますよ。
お疲れさまです。商品課 〇〇です。
いただきました資料を、間違いなく拝受いたしました。
回答に(〇日ほど)時間を要しますので、確認次第、改めて(〇日以内に)お知らせいたします。
まずは受信確認のご連絡まで、ご返信申し上げます。
文末にひと工夫で印象アップ
「面談の希望日を教えてと言われて返信したけど、いつになったら確定されるのかな…」
「でも、催促できるものでもないし、どうすれば良かったんだろう…」
社内外を問わず、相手方に依頼されたから返信したものの、なかなか返答が届かずに困ってしまう…。
そんなこと、ありますよね。
ただ、いくら相手の方の回答を待っているからと言って、「遅いですよ!」なんて言えませんよね。
また反対に、いつまでも待っていては、自分の仕事は止まってしまいます。
お願いや催促をする場合は、「感謝・結論・要望・理由・期日などの数字」で表現できます。
ただ、お願いや催促と言っても、見方を変えると「相手に動いてもらう=こちらからの命令」です。
でも、不安になることはありません。
相手の立場や年代に合わせて、文末の表現にひと工夫することで、柔らかい表現が可能ですよ。
時間短縮とともに、あなたの印象もアップするので、次の内容をご覧くださいね。
命令表現の種類
相手の方にお願いする表現を「命令表現」と言います。
命令表現には多くの種類があり、本来、命令表現は、相手に断る選択肢がないことがほとんどです。
ただ、丁寧に柔らかい表現をすることで、強制力が弱まるとも言われています。
自分が決定権を持つ場合は、
「〇〇(して)ください」「〇〇(して)いただきたく存じます」
相手の方に判断を委ねる場合は
「〇〇(して)いただけます/ません(でしょう)か」「〇〇願えます/ません(でしょう)か」「〇〇(して)いただければ幸いに存じます」
またこの表現は、後に進むほど、相手の方へ判断を委ねる表現となりますので、覚えておいてくださいね。
返事を催促する場合の例
では、実際に例を挙げて見てみましょう。
例えば、会社で上司から面談日時の希望を出すように言われて、返信してから1週間。
面談日がなかなか決まらず、また上司とは顔を合わせる機会がありません。
取引先のアポイントが入りそうで、早く面談日が決まらないかな…と思っている場合。
いつも、ご指導ありがとうございます。(感謝)
早速ですが、面談希望日について確認させてください。(結論)
先日お伝えした面談日時の確定は、いつ頃となるかお教えいただけますでしょうか。(要望)
実は、取引先からのアポイントをその前後でご希望いただいております。(理由)
ご多用のところ恐縮ですが、〇日までにお知らせいただければ幸いです。(期日を明確に)
最初から期日を決めてお願いする場合の例
いかがですか?
「もちろん、それも知りたいけど…返信する時に、先に『早く教えて』って伝えればよかったのかも…」
そうですね。
取引先のアポイントが入りそうということがわかっていたら、先にお伝えしておくことで、今回のことは避けられたかもしれませんね。
それでは、今後同じことがないように、事前に伝えておく時の返信メールを見てみましょう。
この度は、面談日程のご調整ありがとうございます。(感謝)
〇日×時~、もしくは〇日△時~での、面談希望をお知らせいたします。(結論)
なお、大変勝手なお願いではありますが、〇日までにご回答いただくことは可能でしょうか。(要望・期日)
実は、取引先とのアポイントを、同じ週で提案する予定です。(理由)
ご調整くださいますよう、よろしくお願いいたします。
まとめ
いかがでしたか?
電子メールと言っても、パソコンの向こうには必ず読み手がいます。
また、まとまった文章などチャットには向かない内容や、反対にチャットと同様に一言で返信することも可能な分、ルールを押さえれば仕事の場面で幅広く活用することも可能です。
直接、顔を合わせて話す時と同じように、相手の方の立場や年代に合わせた配慮で、あなたの印象をぐんとアップさせましょうね!
あなたの人生が、より良い人間関係に基づいて、充実した毎日を過ごせるよう心から願っています。