応接室や車での席次がわからない!【席次のマナー】

これまでは上司とともに訪問していた取引先を、初めて一人で訪れたあなた。
「では、こちらへ掛けてお待ちください。」
案内してくれた受付の方も去り、ひとりぽつんと応接室の入口で困っていませんか?
「いったい、どこに座って待つのが正解なの?」
「そもそも、座っていてもいいのかな…?」
上司と訪問した時は、隣で真似をしていればよかったものの、初めて一人で訪問した時は、正解がわからなくてモヤモヤしてしまいますよね。
そこでここでは、車や応接室での席次がわからない!と悩むあなたへ“毎日ココロをフルにするお手伝い!”ココロフルプランナーことマナー・プロトコール講師&国家資格キャリアコンサルタント@大川礼子が、席次のマナーについてお伝えいたします。
席次の基本ルールは?
「席の順番って、何だか大変だよね…?」
席次に対して、大変なことがあったんですね。
「一度、何も知らずに近くの席に座ったら、後から上司に注意されて…。」
「それからどこに座ればいいのか、いつも間違わないか気になってしまうのよね…。」
何も知らずに座ったことで注意を受け、それ以来、どこに座ることが正解か、あなた自身が気になっていたんですね。
それでは最初に、席次の基本ルールからお伝えいたしますね。
上座・下座って?
席次を考える時に、覚えておきたいのが「上座(かみざ・じょうざ)・上席(上席)」と「下座(しもざ・げざ)・末席(まっせき)」のこと。
これは、会合や式典の時に座る順番を、身分や役職などによって決める、いわば席の順番です。
「そんなの、みんな好きなところに座ればいいのに…」
確かに、思い思いの席に座るという方法もありますよね。
ただ例えば、応接室へお茶を出す際、席次の上座・下座が決まっていることで、取引先の方にも間違いなく役職順にお茶を出すことができると思いませんか?
「確かに…。自分の知らない取引先の方にお茶を出す時は、誰が上位者かがわかるといいかも…。」
特に社外の方と関わる時は、上座にご案内することで「お客様をこの部屋の一番良い場所にお迎えしている=大切なお客様」と表現することもできるんですよ。
上座は出入り口から遠い場所
「応接室で待つ間、どこに座っていればいいのかな…」
初めて一人で取引先を訪問した際、どこに座って待つのが正解か、迷ってしまいますよね。
席次は「出入り口から遠いところ=上座・上席」が原則とされています。
そして、訪問した側が、迎える側よりも上座に座る、というのが基本です。
なぜなら、出入り口など人の出入りが近いところは落ち着きませんよね。
また出入り口から遠いところが2箇所あり、それが同条件であれば「洋室=右上位」「和室=左上位」になりますよ。
「ふーん、じゃあ入口から遠い席に座っていたらいいのかな?」
あ、ちょっと待ってください。
先方を応接室で待つ場合、担当者が入ってくる時に座っているのは失礼にあたります。
取引先を訪問した時は、上座側である出入り口から遠い席の足元に鞄を置き、担当者が来るまでは室内の絵などを鑑賞して、座らずに待っていてくださいね。
取引先との上座・下座のあれこれ
席次の基本ルールがわかったところで、次に取引先を訪問した時によくあるシチュエーションでの席次についてみてみましょう。
初めて一人で取引先へ訪問する時、先方の担当者とは顔見知りでも、受付の方がご案内くださると緊張するものですよね。
そこでここでは、「エレベータでの乗り降り」と「応接室ではどこに座る」かについて、お伝えいたしますね。
エレベータの席次は?
「普段会社では私が一番下だし、操作ボタンの位置に立たれると落ち着かないな…」
確かに、エレベータでの立ち位置は迷いますよね。
エレベータの中では操作ボタンの近くは案内役の方、訪問した側が複数いらっしゃる場合は、役職の高い方から
①案内役の真後ろ
②①の左横
③案内役の隣
の順番に立つのがマナーです。
「じゃあ、自分一人の時は受付の方の真後ろに立つの?」
本来はそうですが、エレベータの中にあなたと受付の方しかいらっしゃらない場合は、エレベータの奥側、中央付近でも大丈夫です。
受付の方の真後ろだと、相手の方も気まずいでしょうし、かと言って真横に立つのも、何か話さないといけないのかな…と気をもみますよね。
ただ、途中でエレベータが混雑してきたら、案内役の方があなたをスムーズに誘導できるよう、臨機応変に動くようにしてくださいね。
反対にあなたの会社に取引先の方をお迎えする場合、あなたが操作ボタンの前に立ち、お客様を誘導してください。
その際、お客様に背中を全部見せるのではなく、少し体を中央に向けて、お互いの動きが視界に入るように立ってくださいね。
応接室ではどこに座る?
エレベータでの移動も済み、応接室に到着したあなた。
応接室まで案内してくれた受付の方が「こちらのお席へどうぞ。」と言ってくれたら、間違えなくても済むのに…なんて思っていませんか?
もちろんそうであれば迷わずに済みますが、毎回、案内役の方が、座席まで指定するとは限りませんよね。
こんな時は、先にお伝えした基本ルールを思い出してみてください。
「席次は、訪問した側がお客様だから出入り口から遠い席ね…。」
「あれ?この部屋、出入り口から遠い席が2つある。どっちに座るのが正解かな?」
応接室によっては、部屋の中心に出入口があり、扉を開けると中央にテーブルがあり左右に椅子が置かれている時がありますよね。
こういった場合は、先に述べた右上位の原則で、扉正面から向かって左側の椅子に座るのが基本です。
ただ扉の位置によっては分かりづらいこともありますよね。
そんな時は、椅子の形でどちらが上座になるか判断することもできるんですよ。
椅子にも格がある
「椅子の形でも判断できるんだ…」
そうなんです。
実は椅子にも格があり、椅子の形でどちらが格が高いかを判断できます。
肘掛・背もたれ付き > 肘掛・背もたれ無
また最初の項目でもお伝えしたように、座って待つように伝えられても立っているのが礼儀です。
時間がかかる等で座って待つ場合でも、取引先の担当者が来られたら、すぐに立ち上がって挨拶をしてくださいね。
車に乗ることに!どこが正解?
「どうしよう!無事に訪問が終わったと思ったら、取引先の方が車に乗せてくださるって!」
初めての訪問が終わってホッとしたのに、今度は車に乗ることになったんですね。
「前に上司と営業に同行する時、後ろに乗ったら注意されてしまって、それからちょっと同乗したくないのよね。」
乗車の際の席次について、上司に叱られたことがあるんですね。
車の席次には2種類あり、タクシーなどの商用車か、取引先の方が運転してくださるかにより異なります。
それでは最後に、車に乗る時の席次について、それぞれお伝えいたしますね。
タクシーなどの商用車は?
タクシーなど、仕事としての運転手がいらっしゃる場合は、運転席の後ろが上座、助手席が下座と考えます。
また後部座席は、運転席の後ろ > 助手席の後ろ > 後部真ん中の座席の順番です。
「よかった!以前、上司2人とタクシーに乗った時、単純に自分が一番細いから真ん中に入るって思ってたけど、順番としては間違っていなかったんだ!」
間違えなくて、良かったですね。
「私が訪問した側なら、取引先の人と同乗する時、私が運転席の後ろ…?」
本来はそうですが、取引先の方と目的地が同じなのか、また途中で降ろしてくださるのかでも順番は変わります。
その時は、取引先の方と相談しながら臨機応変に対応してくださいね。
自分がお客様側になった時には、後部座席に座るのが基本だということを覚えておいてくださいね。
取引先の方が運転される時は?
取引先の方が運転されたり、社用車の場合でも上司が運転したりする場合は、オーナードライバーと言って助手席が上座になります。
この場合、商用車と同じように後部座席に座ると、取引先や上司をあなた専属の運転手のように扱うこととなるので、注意が必要です。
「そっか、だから以前、上司と車に乗る時に後部座席に座ったら注意されたんだ。」
そうですね。
運転される方とあなたの2人で乗車する場合は、原則としてあなたは助手席に座るのが基本です。
ただ取引先の方によっては、また上司が異性であるなどで、後部座席を勧められた場合はそれに従うのが一番です。
また、もし後部座席を勧められたとしても、運転席の後ろではなく助手席の後ろに座るようにしてくださいね。
まとめ
いかがでしたか。
席次は窓の位置や、和室であれば床の間など、その空間の造りによっても変化します。
大切なのは、相手の方とあなた自身の関係性を見極め、その場に適した振る舞いをすること。
一つ一つ覚えながら、取引先の方との信頼関係を深めてくださいね。
あなたの人生が、より良い人間関係に基づいて、充実した毎日を過ごせるよう心から願っています。