【40代】病気になった!仕事と治療を両立させ、出世をあきらめない働き方とは
40代から50代、仕事をバリバリこなし、結果を出している中で体調不良を起こし、病院で検査・診察してもらったら、即入院・加療が必要です!!と言われたらビックリだし、ショックですよね。
お先真っ黒になりますよね。まさしく中高年の危機。
ただ、このような方々は、日本国中にたくさんいます。
2016年の厚生労働省の調査によれば、仕事を持ちながら治療のため通院しているがん患者は 36.5万人もいるそうです。
脳や心臓疾患、メンタル疾患の方々を含めると多くの方が仕事と治療の両立に悩み、今後について不安になっていると想像されます。
そこで、2年間の休職を経験し、手術10回、入院15回の中高年危機脱出キャリアコンサルタントの坪根克朗が、「仕事と治療を両立させ、出世をあきらめない働き方」をお話します。
病気で長く休んだ時の現実
心配なのは、長く休むことで出世に影響しないかということですよね。
私が思うには、昔はいざ知らず、スピードを要求される社会においては、入院・休職しなければいけないくらいの病気をした時点で、「課長→部長→事業部長(支店長)→役員」といった「組織長になるといった出世」の道は閉ざされたと思っていいでしょう。
復職後、病気を抱えて仕事と治療を両立させるのですから、部下の面倒を見ながら組織の意向や指示受けながら働くことは無理だと思います。
無理して働くと悪化させるし、最悪の場合再発します。
それでは、復職後は、会社のぶら下がり社員になって会社にしがみつくしかないのでしょうか。
そうなると、給料は下げられ、リストラの対象になってしまいます。
私の考えとしては、自分の専門性を高め、市場価値を上げ、自律して働き、会社に貢献できれば、出世をあきらめる必要はないのです。
ここでいう出世とは、部長、事業部長、役員のような組織長になるのではなく、部長や事業部長や役員と同等の給料をもらう専門職を指します。
肩書は、「シニアエキスパート」「エクゼクティブ〇〇」「△△フェロー」とかになるのですかね。
病気とわかったらやること
病気とわかったら、まずは、治療に専念しなければいけません。
そのためには、自分自身が、信頼し、安心して治療をまかせることができる病院、医師を見つけることが最優先だと思います。
安心して治療をまかせることができる病院・医師を探す
探し方としては、かかりつけの医師とか、知り合いの医療関係従事者などの評判などから「きちんと診断をくだせる先生」「手術の腕がいい先生」がいる病院から始めるといいと思います。
きちんと診断をくだせる病院・医師
内臓系や脳や心臓系の疾患の場合は、セカンドオピニオンを使って「きちんとした診断の下せる先生」を探すことをお勧めします。
私の場合、最初の検査で「胆のうがん」の疑いがあると言われたので、胆のう・すい臓の疾患診断で、中四国一といわれる病院への紹介状を書いてもらって、訪ねて行きました。
その病院での検査により、「胆のうがん」ではないことは分かったのですが、肝臓の病気の可能性があり「この病院では、正確な診断や治療ができない」という説明があったので、紹介してもらった広島の病院に転院しました。
その結果、「(指定難病93)胆汁性胆管炎」とわかり、内服を続けることによって症状は治まり、現在では、半年の1回の定期診察で済んでいます。
手術を受ける場合は、「手術の腕」が一番
整形外科のように最初から手術をしなければいけない場合は、大きい病院とか大学病院といった名前で判断するのではなく、「早く入院できて、手術のうまい先生がいる」と評判のいい病院を探すといいと思います。
患者力をつける
治療を有効にするのは、患者自らが「患者力」つける必要があります。
医師との信頼関係を作る
主治医を決めたら、あなた自身も主治医とのよりよい関係を築く努力が必要です。
たとえば、「あいさつをきちんとする」「先生から言われたことを守る」「治してもらったらお礼を言う」「他の病院に紹介してもらったら結果を報告する」など、一方通行でない関係が患者と医師のよい人間関係を作り上げていくのです。
自分の体と病気に責任を持ち、医師まかせにしない
自分の体と病気に責任を持つために、私たちには以下の3つの行動が大切になります。
- 初診では、自分が感じている自覚症状と病歴を正確に伝える
- 症状が改善しても悪化しても治療を受けた後の変化について、情報提供する
- 治療の効果や危険性についても医師とよく相談する
このように患者と医師の二人三脚で治していくのだという気持ちを持つ必要があります。
そしてその上で、医療とは不確実なものであり、限界もあるということを認識したうえで、妥協も含め、自分が納得できる方法を見つけることが重要です。
病気の情報を知る
自分の病気についての知識がないほど不安になるものです。
診察の時間内では、医師から聞き出せる情報には限界があるので、医師の話を理解するためにインターネットとか書籍で調べましょう。
ただ、インターネットで入手する情報は、信頼性の問題や断片的なこともあるので、1つの病気についてじっくり調べたいときは、書籍を読むことをお勧めします。
自己管理をする
慢性病など治療期間が長い病気では、患者による自己管理が重要になってきます。
乱れた生活習慣が病気の引き金になっていたり、生活習慣の改善が必要な病気であればなおさら、治癒に向かうかどうかは患者自身の力にかかっているからです。
「患者会」の活用
患者会とは、同じ病気をもつ患者さんが集まって結成された組織です。
日常生活の中でのちょっとした不便だとか、生活の工夫の仕方など、患者同士だからこそ共感できる話題も多く、得るものは多いはずです。
会社への報告
病気はプライバシーだから、会社に言わない人がいますが、会社を休む場合は必ず、会社(上司、人事)に話をする必要がります。
病気発症の時
緊急を要する入院の場合は、本人か家族のどなたかが会社への連絡がいります。
ただ、緊急を要しない場合は、正式な診断・治療方針が示されるまでには、1カ月程度時間がかかる場合があります。
この場合、職場は心配しているので、適時、以下の点を会社(上司、人事)に伝えてください。
- 〇〇の疑いがあり、正式な診断に向けて△△日に検査予定
- いつごろ診断結果が出そうなのか
- それまでに休みを取る可能性
報告時点で「分かっていること」「先にならないと分からないこと」を整理して伝えれば、会社側も今後の準備ができます。
正確な病名がわかった時
正確な病名がわかった時、会社が知りたい情報は以下の6項目になりなるので整理したうえで説明しましょう。
- 病気の内容
- 治療方法
- 治療期間
- 予想される副作用
- 就業上の配慮事項
- 禁忌事項
特に大切なことは、上司や同僚の方々にも「病気についての正しい情報」「治療期間」を伝えることです。
だいたいの病院では、「病気説明の冊子」を置いていますので、これを使って伝えればいいと思います。
病気になって困った時、知っておくと便利な制度と知識
病気になって困ったことって出てきますよね。以下の図は、困ったことに対して会社や国が提供してくれている便利な制度をまとめたものです。
「国家資格キャリアコンサルタント」「社会保険労務士」「ファイナンシャルプランナー」である森脇昌子さんが、「休職制度」「高額療養費」「傷病手当金」「障害年金」について、わかり易く書いてくれていますので詳細を知りたい方はこの記事を読んでみてください。
出世をあきらめない働き方
出世をあきらめない働き方には、「プロフェッショナルになる」「特命業務請負人になる」「組織のサポート役になる」の3つがあるのではないかと思っています。
プロフェッショナルになる
会社でプロフェッショナルになるにはどんな行動をして、どんな考え方を持てばいいのでしょうか。
「専門家」としての地位を確立する
社内で、「専門家」としての地位を確立する必要があります。
担当分野についての専門的知識やスキルを、「あの人が一番詳しい」「社内の生き字引」と言われるレベルまで高め、かつ常に更新し続けることが重要になります。
いずれも、マネジメントには不向きでも、担当業務に関しては課内・部内でナンバーワンになることです。
プレーヤーとして断トツの業績を上げる
上司や同僚を断トツで引き離す業績(受注・売上・利益)を1プレーヤーとして、予算達成どころか予算の50%増し、100%増し以上の業績を上げる道もあります。
私の前職(IT会社)の後輩で、自ら望んで「ビジネスコーディネーター」というタイトルをつけた専門職(部長職級)は、数社のお客さまの課題を、「暗黙知(日頃から経験的に使っている知識だが、自分自身も簡単に言葉で説明できない)」を使って、解決し、喜ばれ、会社の業績に抜群の貢献をしているそうです。
結果として、お客さんからヘッドハンティングの話もあるみたいで、彼は会社から「頼むから事業部長クラスの専門職として会社に残ってくれ」と言われているそうです。
「プロセス」ではなく「結果」にこだわる
プロフェッショナルにとっては「結果」がすべてになります。
いくら「プロセス」が完璧で、適切であったとしても、「結果」が伴わなければ、失敗です。
また、結果がついてくることによって、「プロセス」も磨かれてきます。
自律して、判断、行動する
プロフェッショナルに「上司」はいません。「上司」は自分自身になります。
プロフェッショナルは「他者の命令や指図」で動くのではなく、あくまでも「自分自身の主体性」で判断し、行動していきます。そして「自主管理」が基本になります。
特命業務請負人になる
プロフェッショナルは、無理かなと思っている方は、他の社員との競争を避けつつオンリーワンの座を確保する「特命業務請負人になる」があります。
特定の得意先やニッチな業務分野に特化した仕事で、部長だけからでなく、その上の役員や事業部長クラスから直々に任命されるケースもよくあります。
この場合部下は付きませんが、一定の責任と権限が与えられます。
ここで頑張って結果を出し、かつ仕事内容の専門性や取引先との関係をどんどんレベルアップしていって、この会社の担当は、「〇〇さん」でないとだめという他の社員が参入できないような「聖域」をつくってしまうのです。
このような関係の取引先を2~3社作ることで、生き残りのための椅子取りゲームに参加しなくてもよくなるわけです。
組織のサポート役に回る
プロフェッショナルも特命業務請負人も無理という方は、組織のサポート役、縁の下の力持ちになる手もあります。
ライン管理職が手の回らないところを請け負うことにより、社内に自分の居場所を作れ、一目置かれることが可能になるのです。
後進の指導
「人に教える」ということがやりがいをもたらすことは数多くあります。
たとえば、ライン管理職に代わっての「部下育成」もその一つです。
部下なし管理職のほうが、責任がないぶん失敗を怖れずに客観的な指導や助言ができますし、人事評価の権限がありませんから、若手も率直に相談を持ちかけやすいということもあります。
ただし、このとき注意点があります。
それは、「決して会社や同僚・上司の悪口を言わないこと」です。
そういうことをやっていると信用されないですし、若手は離れていくでしょう。
ライン管理職の苦手な領域をカバー
クレーム案件の顧客対応なども、ライン管理職が苦手としていればぜひフォローすべき領域だと思います。
クレーム対応は、ノウハウや知識は必要ですし、経験すればするほどノウハウや知識たまり、組織での存在価値が高まると思います。
クレーム対応のノウハウについては、「人間関係構築プランナー」「 国家資格キャリアコンサルタント」「日本マナー・プロトコール協会認定講師」でもある大川礼子さんが、書かれた記事を読んでみてください。
まとめ
古代ギリシャの哲学者 エピクテトスは、病気について以下のように語っています。
病気はあなたの肉体の故障であって、意志の故障ではない。足が不自由な人は、足が悪いのであって、その人の意志に故障があるのではない。何事かがあなたに起こるたびに、必ずこのように考えよう。そうすれば、どんなことでも決して、あなたに障害をあたえないだろう
そして、「逆境は人の真価を証明する絶好の機会だ」とも言っています。
病気は、加齢に伴ってだれしもが経験する逆境(中高年の危機)の一つです。
あなたの意思に問題があるわけではないので、自分の真価を証明するために前に向かって進みましょう。
中高年の危機を感じている方は、是非、相談に来てください。