【40代後半】やる気が起きない、何もかもむなしくなる!その正体と乗り越える方法
40代(40歳)から50代(50歳)、いわゆる人生の折り返しといわれる歳になったとき、ふと次のような感覚にとらわれることはありませんか。
- 40代 若い頃のようにレベルアップしていくことが感じられず、やる気が起きない
- 50代 仕事をしていても惰性でこなしていて、働くことにむなしさを感じる
- 50代 ビジネス環境についていけず、能力の限界から「先が見えてきた」と感じる
こういった感じは、「中高年の危機」といわれていて、アメリカの心理学者、ダニエル・レビンソンによれば、「正常な中高年の80%は経験する」と言っているくらい誰にでも起こることなのです。
私も、40年近くの会社員生活のなかで、中高年の危機を経験した時「暗いトンネルに入ったみたいで先が見えず」むなしい気持ちになり、モチベーションがあがりませんでした。
しかし、危機への向きあい方を考え、自分の人生を振り返りながら、根っこの価値感(自己概念)を見つけ、行動することによって、なんとか乗り越えることができました。
今回は、そのような経験に基づいて「中高年危機脱出相談サービス」を提供しているキャリアコンサルタントの坪根克朗が「中高年の危機の正体」「乗り越える方法」についてお話していきます。
中高年の危機とはどういうもの
中高年の危機(やる気が起きない、むなしい)とは
中高年を迎えた個人が「年功序列の崩壊」「出世や能力の限界」「リストラ(退職勧奨)」といったことを経験することによって、自分が持っていたプライドが壊され、自己肯定感も下がります。
その結果、「自分が何者なのか」「何をめざしていたのか」「これから何をしたいのか」が分からなくなり、行動や努力ができなくなってしまうことを言います。
それでは、私自身の経験を例に、中高年の危機とはどんなものかご紹介します。
上昇停止症候群
自社製品としてお客様(企業や大学の研究所・部門)に納める「研究開発支援システム」のリーダとして、製品開発、販促、営業と月100時間の残業を2年間続け、社長賞を2年連続とって、会社からも評価された仕事人生でした。しかし、おりからの平成不況(バブル経済の崩壊)を背景に、お客さまが研究にかける予算を削減し、その結果プロジェクトは解散させられ、別の組織に組み込まれてしまいました。
新しい組織に組み込まれたことによって、頑張れば頑張るほど仕事に成果がでて、それが認められて地位が上がっていくといった感じがなくなり、停滞感にさいなまれました。
上昇から水平飛行に以降するどころか、さらに下がっていく感覚を覚えています。
このような状態を「上昇停止症候群」というそうです。
燃え尽き症候群
事業部のNO2の立場だった時、プロジェクトの進め方で上司である事業部長(執行役員)と対立し、事業部長を飛ばして上位上司(常務)と相談しながらプロジェクトを進めました。このことが、事業部長の逆鱗に触れ、ある時呼ばれて「あなたを事業部長にすることはない。事業部から出て行って!行先は自分で探して」と言われてしまいました。
突然上司から左遷に近い人事異動を突き付けられ「事業部を会社で1番にするために、身を粉にして働いたのに、これまでの会社人生はなんだったんだろうか」といったむなしさに包まれ、頑張る気力が急速に失われてしまいました。
この状態を「燃え尽き症候群」というそうです。
中高年の危機が起こる原因とは
中高年の危機は、一般的には中高年期の特有のストレス要因から発生するといわれています。
ただ、ライフコースは人によって多様であり、中高年の危機である「むなしい、モチベーションが上がらない」原因は、ストレス要因だけでなく以下のようなことも関係しているといわれています。
中高年期特有の身体的変化と病気
中高年期には体力・運動能力の低下に加え、生活習慣病、更年期障害といった身体的変化を体験します。
また、就業に影響する病気をきっかけしても起こります。
私も30歳で病気し、2年間休職ときは、まだ働かないといけないのに、お先真っ暗になったことを覚えています。
職場での変化
AI化や自動化技術の導入、年功序列制が崩れた人事制度、それに伴う職場環境の急激な変化などによって、挫折体験などを通して出世や能力の限界が見えてくるのも中高年期です。
家族ライフサイクルの変化
中高年期は子離れに伴う心理的問題も多いです。
子どもという夫婦共通の目標を見失うことで、親という役割によって成り立っていた夫婦関係を作りなおす必要が生まれます。
また、老年期の親の介護や、片親の死によってもう一人の親を引き取るなど、家族構成が変わってくることにより、危機が表面化する場合もあります。
中高年の危機の乗り越え方(モチベーションのあげ方)
中高年の危機の乗り越え方には、中高年の危機への「向き合い方の見直し」「行動の見直し」「キャリアコンサルタントの活用」の3つになります。
中高年の危機への向きあい方の見直し
「朝の来ない夜はない」
私の中高年危機の乗り越え方として、先が見えず不安な気持ちになった時は必ず、吉川英治さんの「朝の来ない夜はない」という言葉を唱えていました。
「もの事は必ずいい方へと向かう」という意味になりますが、自分自身に対して「必ず出口はあり、絶対いい方向に向かうので今は踏ん張れ」と励ましていました。
挫折とは「成長痛」
左遷同然の人事異動、降格、リストラといった会社員生活での挫折経験は、惰性にように流されていた会社員生活を一旦停止させてくれることになります。
私たちは、自分を取り巻く状況が変化していくなか、いつまでも同じ価値観、生き方を押し通そうしても無理があります。
私たちは変わっていかなければいけないのです。
そのためには、挫折はそうした変化や成長していくための「成長痛」もしくは「脱皮の苦しみ」と捉えたらいいのです。
病気になることも価値はある
私も30歳からの両股関節の手術に始まって、手術の輸血によっての「C型肝炎」また自分の持つ免疫で、自分の体に悪さをする病気になったりして、病歴はA4用紙1枚でおさまりきらず、手術は10回、入院は検査含めて15回経験しています。
病気療養中は、検査結果に一喜一憂しながらも、時間があるので、自分の人生の歩みを振り返ったり、今後のキャリアについて考えていました。
その結果、「広島への転籍」「キャリアコンサルタントを生業」「フリーランスで働く」ことを決めたのは、すべて退院後でした。
このように病気になることも価値があるのです。
日頃は、仕事に追われて考えもしなかったことを考え、気づく機会にもなるのです。
中高年の危機の時の行動は
中高年の危機の時だからこそやっておく、できる行動があります。
持ち物の整理によって、心のモヤモヤを解消
私たちの持ち物は、私たちの「心の状態」を表していると言われます。
私たちの心がどこに向けられており、どんなことにエネルギーを使ってきたのか表わします。
私は、仕事関連の知識習得に力を入れていたので、本棚に限らず、部屋中に仕事関係の本や書類が散らばっていて、書斎は「飽和状態」でした。
私の場合、「ケース1」「ケース2」といった中高年の危機の時は、飽和状態になっている本や書類が今後の自分の仕事に参考になるかどうか考えました。
そう思うと本は売り、書類は捨てしまいました。
また、会社や自宅のパソコンでも関係するメールや資料はすべて削除しました。
その結果、書斎にはスペースができ、パソコンも軽くなり何かスッキリした思いがあります。
このように身近な持ち物を整理することによって、中高年の危機がもつ心のモヤモヤ(やる気が起きない、むなしくなる)を解消してくれるのです。
そして、空いた本棚のスペースやパソコンに新しい仕事に取り組むための書籍や資料で埋めていくと、心の中で新しい決意(やるぞ)が沸き起こりました。
睡眠時間を必ず確保する
中高年の危機の時、睡眠が不足すると、気持ちが繊細になり、悩むことが広がり、ドンドン深みにはまっていきます。寝なかったら、翌日の日常業務にも影響を与えます。
中高年になると自分の調子がいいときの睡眠時間がわかっているので、その時間は必ず確保しましょう。「寝られない」と思っても布団に入っていれば、人はいつのまにか寝てしまいます。
少し寝るだけでも、心理的な葛藤は和らぎます。
「やらなくてはいけない」ではなく「今できること」をする
「やらなくてはいけないことは分かっている」しかし、今はできない、手につかない。
中高年の危機になったらありますよね。
そんなときは、「今できること」をコツコツこなしていきましょう。
どんなに些細なことでも、出来て当たり前と思うことでも、構いません。
私の場合は、「依頼」「問い合わせ」「相談」といったメールには遅くとも1日以内で返信することを「今できること」として実行しました。
そして、この「今できること」を淡々と続けていくうちに、少しずつエネルギーが回復し、元気なったことがありました。
キャリアコンサルタントに頼る
中高年の危機を乗り越えるには、ありのまま自分を受け入れ、過去を悔やむのではなく、今までの人生を振り返り、得てきたこと、捨ててきたこと、そして新しく手に入れることをキャリアコンサルタントいっしょに考えていけばいいのです。
一人で悩むことはないのです。
私は、中高年の危機を乗り越えてもらうため、以下のような「中高年危機脱出相談サービス」として、3回の相談を行うことにより、中高年の危機を乗り越えてもらっています。
【1回目】現実的な問題と心との折り合いをつける
1回目は、現実的な問題と、それに対する本人の感情(悔しさ、悲しさ、絶望、後悔、やりきれなさ)をぶちまけてもらっています。
話をキャリアコンサルタントに聞いてもらうことにより、気持ちの整理をしながら、「何が自分を苦しめているのか」「ほんとうに悩んでいること」が見えてくることにより、心に「先を考える余裕」がでてきます。
【2回目】過去の経験から、自己概念を見つける
2回目は、心の余裕がでてきたら、次は、先に進むためには「その人の持つ根っこの価値観(自己概念)」を探していきます。
方法としては、過去の話「なぜその道へ進んだのか」「現在の仕事を選んだキッカケは何か」などを物語として語っていただくことによって、一見バラバラにみえる出来事の中にその人の「自己概念」を見つけることができます。
そして、その「自己概念」がわかれば、今後のその人が置かれている環境に合わせた具体的な行動を、いっしょに考えることができるようになるのです。
【3回目】新たなやりがいの場所をみつける
3回目では、自己概念を見つける過程において、
- 「会社から与えられる環境、仕事」で頑張ってみる
- 「幼少期に好きだったこと」「本当はやりたかったこと」に立ち返る
- 「社会貢献やボランティア」に生きがいを見つける
- 「パートナーや友人とゆったり日々を送ることに幸福」を見出す
といった新しいやりがいの場所をいっしょに探していきます。
まとめ
私の中高年の危機を振り返って考えてみると、ある意味で自分にとっての「転機」なっていました。
中高年の危機は、マイナス面だけでなくプラス面もあります。
中高年の危機を克服することによって、中高年期における成熟した「成長」に繋げることができるのではないでしょうか。
この時期を絶好の「機会」と捉えて、乗り越えることができれば、人生の良き「転機」になると私は思います。
今回のブログ作成における参考図書は以下になります。
中高年の危機を感じている方は、是非、相談に来てください。