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介護リーダー職のうつ状態から脱出!視点を変えればココロが軽くなる。

 
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1995年 看護師のキャリアを生かし、大手複合医療法人、社会福祉法人の介護・福祉サービス事業に11年間携わる。   2006年〜 認知症高齢者グループホームを立ち上げる。開所当初離職率82%から、4%に激減させる。 2018年〜 人財育成コミュニティ「ケアびと育成Lab.」立ち上げる。 現在までに、さまざまな家族介護の相談、介護保険についての相談、認知症介護の相談、介護職員のキャリア相談など、延べ1万人以上の方の相談、支援してきた。 今も認知症高齢者グループホーム所長として奮闘する中、「ケアする人、される人が、笑顔が溢れる世界を創ろう」と、わかちあう「ケアびと」と共に地域活動・社会貢献をも実践している。

うつ状態とは 物事に対する関心や取り組む意欲が失せて何もする気が起こらない状態が一日中ずっと、ほとんど毎日、2週間以上にわたって続いた状態を言います。

「眠れない」「食べられない」「体がだるくて動けない」「息苦しい」「喉の奥が詰まる」などの身体症状や、「何をするにもおっくう」「やる気が起こらない」「イライラしてじっとしていられない」「ボーッと過ごすことが多くなった」などの心理症状、行動の変化がみられ、日常生活に支障をきたしています。

この状態を繰り返し、持続する場合は「うつ病」と診断される介護職が増えている現状があります。

 リーダーやるくらいなら辞めます

この言葉は、かっての私が部下から受けた言葉です。組織改革、チーム作りをしようと意気込んでいた矢先、この人はと見込んで声をかけた相手から、突然言われた言葉です。その時の私は、「責任を持たされるのがいやなんだ、やる気のない人だな」と、相手を否定的に捉えていました。当時は、どうしてこの先進んでいったらいいのだろうと、私自身とても悩んだ経験があります。

しかし、そこにはいつくかの原因が隠くされていたのだなと、後から気がつくことができました。「辞めたい」といったその言葉には、いくつかの原因、要因があったのです。今回は、次の5つから考えて見たいと思います。あなたの職場でも、当てはまる要因があるのではないでしょうか。

リーダーが辞めたくなる5つの原因

 1 人手不足

介護事業所にはそれぞれサービスごとに、人員配置が法的に決められています。それを守らないと、介護報酬と言って介護保険(国)から事業所に入る報酬が減算されていまします。また介護サービスの質の低下や、事故発生につながらない為には、リーダー職が現場の人員配置に加えて、一時を凌がないといけない場合があります。その時のリーダーの兼務負担は大きい状態である。

 2 人間関係

職員、またその家族の様々な課題、トラブルは、日常的に発生しています。利用者の介護サービスに加えて、職員、その家族への処遇について対応することは倍以上の負担が増している。

 3 身体的負担

管理職は、時として時間外に働くことがありがちです。または休みの日にも事務仕事や、まとめものをしなくてならない場合があったとしたら、まずは、休日が休日にならず、身体を休めることができない。休みは休みにして、身体を休足させたいが、身体に負担がある。

 4 法人、介護事業所の方針

人員配置、給与規程、時間外労働、昇給、昇格、福利厚生、介護職員処遇改善について法人・介護事業書の考え方が、働く職員、管理職に浸透していない。理念やビジョンを掲げていても、現状として実感がもてない職員がいる。経営層と管理職、そして現場とのひずみがある。リーダーにしわ寄せが来ている。

 5 利用者や家族の言動

利用者やその家族から、介護サービスの過剰な要求や、苦情が、リーダーの心身に圧迫している。対応に追われ、パワハラに対して言いなりになっている。

 うつ状態になりやすい介護リーダー職

次にあげるタイプ別リーダーの声と状態を上げて見ました。それぞれのタイプからうつ状態になりやすいことが予想できます。

周りからは、「あのリーダー大丈夫かな」と心配をされていても、リーダー本人は、気がついていないことが多くあります。

うつ状態になりやすいつのリーダーのタイプを挙げて見ました。

  うつ状態になりやすいリーダーの7つのタイプ

 タイプ1 責任感が強い

「私は頑張っている」「一生懸命やっている」こう言った声は、周囲の状態が見えなくなっています。また「部下はもっとできるはずだ」と思い込んでいる状態です。「もっとがんばらなくっちゃ」と自分を追い込んでいる状態です。

 タイプ2 一人で抱え込みすぎる

「私がやる方が、早くもっとできる」といって、他のスタッフに任せられない。部下にやってもらったとしても、出来ていないところばかりが気なって、「こっちでやった方が、どれだけ楽かと思う。」「後から確認する方が、面倒だ。」と行って、リーダー自身が1から10まで、自分でやらないと気が済まない状態です。

 タイプ3 気が弱い

言いたいことがあるのだか、嫌われるのではないかと言いたいことを口にすることができないタイプです。また反論を恐れて対話を避けた状態を作っています。明確に自分の意見を言えず、オブラートに包んだ話し方をして、結局部下からは、「何が言いたかったのだろう」と疑問をいだかせてしまうことになっている。

 タイプ4 体調不調をきたしやすい

持病があり無理が効かない。またスタミナ不足で、自分のことで精一杯である状態である。「もう、疲れた」「しんどい」の言葉しか出てこない状態である。頭痛、腹痛などの症状があり、鎮痛薬や安定剤を常備している状態です。部下との面談や、イベントや会議があると休みがちです。

 タイプ5 完璧主義

一人で抱え込むタイプと合わせて、相手にも、自分と同じようなスキルやマインドを求めるタイプである。また、ミスは大きな事故につながることを恐れて、少しの失敗も許せない状態である。「〜なくてはならない」「絶対〜あるべきだ」と言い切る言葉を発している。

 タイプ6 プライベートに問題を抱えている

なにかしら、家庭や個人的な問題を、職場に持ち込んでいつもスッキリにしない状態である。仕事をしていても気がそぞろになって、部下の行動より家族のことが気になっていたりする。仕事中にも、電話がかかってきて中断、早退しがちである。だれにも相談しにくい状態である。

 タイプ7 経済的な課題を抱えている

プライベートな問題と合わせて、金銭的な課題、借金やローンなどの支払いと、過重労働の割には給与が上がらない、昇給、手当がないなどの不満、不安を抱えた状態である。家族の経済的な課題が重なり、重圧に押し潰されそうになっている。

 もしも「(介護)うつ病」と診断されたら

うつ病がなぜ、どのように起きるのかについてはまだよくわかっていません。感情や意欲は脳が生み出すもので、その働きになんらかのトラブルが起きていると考えられます。具体的には、脳の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン)のバランスの乱れが関係している可能性があると言われています。

もしもうつ病と診断されたら、まずは、休息を十分にとることです。仕事を継続しながらゆっくり休めることができにくい場合は、配置転換や休職、場合によっては退職することも必要になるかもしれません。

職場での偏見や不理解から、継続して就業できなくなる場合や、転々と転職を繰り返す事例も多く聞かれます。その為には、早めの治療が大切になります。

薬物療法 精神(心理)療法と症状に合わせた治療法があります。まずは専門医に早期にかかることが大切です。

近年、労災申請の中、介護職の申請が最大であるとも言われています。こちらの公的な支援も必要ですが、そうなると早期治療と早期予防に努めていきたいですね。

 うつ状態を回避する7つの視点

自己診断チェックを行う

早めの段階から、うつ状態になっているなと自覚できることが、状態を深刻化しないための必須条件となります。自己チェックシートといったものがあります。まずは自分でストレスをためたいないかどうかのチェックしてみていかがでしょうか。

5分でできる職場のストレス度チェック こころの耳 働く人のメンタルヘルスポータルサイト (厚生労働省)

https://kokoro.mhlw.go.jp/check/

見方を変えると、ココロが軽くなる7つ視点

 1 )静から動

まずは少し動いてみると、見えているものが違って見えてきます。じっと立ち止まって見ているのと、体を動かすことで体が軽くなり、すっきりした感覚になれます。

外の空気に触れる、声にだしてみる、ストレッチをする、などできることから動いてみましょう。

 2)個から複

「この状態になったのは、あのことが原因だ」と、一つの原因しか思いつかないことがあります。確かにそれも原因の一つでしょう。しかし、他に原因がないかどうか考えてみましょう。

例えば、「頭が痛い」という状態があったとします。頭痛の原因は「あの人から言われたことが原因だ」と考え、あの人さえいなくなったら、この頭痛からは解消されると思い込んでいることがあります。しかし、場合によっては夜更かしや不眠など不規則な生活リズムで過ごしていることや、運動不足が原因である場合もあります。

原因は決して一つではないことが多いと思います。

 3)虫から鳥

虫眼と鳥の眼という言葉があります。虫の眼で細かくじっくり観察していたことを、高い地点で見てみると大きく全体が見えてきます。虫眼鏡で重点的に見ていたものが実は高さを変えて観てみると、小さな木から森がみえることもあります。

本を読む時、内容をじっくりよむことから、目次から章立てや、節に目を向け、またはタイトルを気にかけてみることもいいかもしれません。

 4)内から外

フツフツと自問自答を繰り返し、自分の中で悶々と答えを求めようとしがちなパターンです。自分の中だけで考えていても答えが出ないことがあります。その場合は周囲の人に話をしてみることです。いやいや、そんなこと他人に話しても問題解決になって試しがないと言われる人もあるかもしれません。しかしその場合は、他人の声が耳に入ってこない状態になっています。

話ができなければ、まずは書くこと、文字にしてみることで、自分の内にあるものを、まずは外に吐き出し確認することからやってみてはどうでしょう。

 5)短から長

いつも陥りやすい自分のパターンに気がつくことです。例えば「あなたの言っていることがわからない」と言われた時、短絡的にかっと熱くなって否定的になる自分がいたとします。その時に「なんでそう言われたのだろう」「前にもそういう場面があったな」「わからない」ことを短所と捉えているが、「抽象的で、具体的な説明の余地がある」と長所と捉えることもできます。

一旦すこし長い期間置いてみることも大切です。解決しないで放り出すということではありません。課題を寝かせることで、時期を変えてみると違って感じることがあります。

 6)私から公

自宅で過ごしている自分と、一旦外にでて職場にいる自分とは、服装や態度、行動を変えていることが多いと思います。いや、あまり変わらないという方もいるかもしれません。しかし、悩みやうつ状態にいる時は、一人の自分の人格を、TPOに合わせて変えることでできなくなっていることがあります。プライベートで起きた問題を仕事中に考えこんでしまい、その逆で、職場で起こった出来事を、休みの日にも頭から離れず休まらないといったことがあります。

自分には仕事場と自宅の役わりがあると考え、出勤中、帰宅中の移動中にその役わりになる自分を、イメージして変えてみましょう。

職場では先頭に立ってバリバリ働く自分も、休日の自宅ではだらだらとだらしない自分でいることを楽しんでみましょう。

 7)上下から左右

「なんだかバカにされているようだ」「なんでこんな言われ方をされないといけないのか」など、相手から威圧感や、脅迫観念を抱いてしまっている時、上から自分を否定された感じ悔しくて仕方ないことがあります。自分の価値を認めてもらえていない相手に腹を立て、なんとかバカにされないように、相手も負かすことはないものかとそればかりに囚われがちです。しかし、相手もあなたに対して強い時には、罵倒してきたとして、その場合相手も、あなたと同じようにバカにされたくない、自分を否定されたくないと言った防衛反応であったとしたら、実はあなたと同じ、相手も人間です。同じような感情から反応している場合があると捉えていましょう。

時には、自分自身が、別の相手のマウントをとる対応をしているかもしれません。

そんな時、「相手も余裕がないのだな」「人がやることはそんなに変わらない」「だって人間だもの」など、私と相手は、同じ世界(フィールド)にいるだと、自分に語りかけてみましょう。

それでも、ココロが軽くならない場合は、「この人とは、住む世界(フィールド)が違うから」とあきらめるのも良いでしょう。

 まとめ

自分の見ている世界は、自分でしかわかりません。相手の見ている世界は、相手の視点でしかわかりません。つまりなにが言いたいのかというと、私たちは決して自分の視点は、相手の視点にはなれず、相手の見ている世界(思考、価値観)の視点になることはできないのです。関わりの中で想像性を駆使して、こうなんじゃないだろうかと仮説をたて、行動します。また共感する言葉を発し対応しています。

しかし、いつもいつも正解とは限らず、時には衝突や誤解、勘違いを起こします。絶対に一致することはありません。その度に感情は動いていて、自分自身の解釈で対応しています。

わたしたちの介護の仕事は、「感情労働」とも言われています。相手の反応を細やかにアセスメントしています。人相手の仕事だからこそ、相手の言葉や行動をキャッチする感度をあげ、自分自身を、一番に豊かにしてあげられる自分でありたいと思います。

もしも、今、職場の部下や新人の育成をおこなっていて、この記事がなにかしらの悩みの突破口になれば良いと思います。

そのためには、今回の「うつ状態を回避する7つの視点」が、介護リーダーのあなたにとって、ココロが軽くなれることにお役にたてればとても嬉しいことです。

最後までお読みくださいまして、ありがとうございます。

私が主宰する対人支援職のコミュニティの詳細は、こちらになります。

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1995年 看護師のキャリアを生かし、大手複合医療法人、社会福祉法人の介護・福祉サービス事業に11年間携わる。   2006年〜 認知症高齢者グループホームを立ち上げる。開所当初離職率82%から、4%に激減させる。 2018年〜 人財育成コミュニティ「ケアびと育成Lab.」立ち上げる。 現在までに、さまざまな家族介護の相談、介護保険についての相談、認知症介護の相談、介護職員のキャリア相談など、延べ1万人以上の方の相談、支援してきた。 今も認知症高齢者グループホーム所長として奮闘する中、「ケアする人、される人が、笑顔が溢れる世界を創ろう」と、わかちあう「ケアびと」と共に地域活動・社会貢献をも実践している。










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