【障害者の就労、就職】家族がサポート、考える、準備できること

障害者本人が「仕事をしたい」と希望を出した時、その意欲や気持ちを家族としては叶えていきたいですよね。
でも、
- 福祉系の就労か一般の会社に行く?
- 障害者手帳の取ったほうがいい?それともそうではない?
- 親なきあとも考えて、社会に出て欲しいと思うけど、本当にできるの?
色々と考えすぎて
「我が家ではハードルが高そう…」と構えすぎていませんか?
親自身も障害者本人も「働く」というイメージが弱く、無理と思っていませんか?
卒業も約半年後になりました。
まだ、まだ春まで先だし、大丈夫?
いえいえ、今のままだと予定通りに進まない時イライラしたり、焦って目の前の事をこなしているうちにあっという間に時間が過ぎてしまいますよ!
そんなふうにならないためにも、今から家族で、障害者本人の個性に合わせた就労を考えて準備していきましょう。
高校・特別支援学校や大学・専門学校卒業後の就労先
一般就労(障害者雇用)
公務員、企業、特例子会社の障害者雇用枠で就労。雇用契約を結び、給与が支給されます。
*最近では、障害者専門とする人材派遣会社の紹介による就労も増えつつあります。
*採用後にテレワークという選択肢もでてきました。
福祉的就労にはなにがあるの?
①就労継続支援A型(雇用型・利用期限なし)
◆通常の事業所では雇用が難しいものの、雇用契約に基づく就労が可能と見込まれる65歳未満の方が対象。
◆働く機会の提供や一般企業に向けた知識や技能の習得の支援が行われます。
◆雇用契約をむすんでいるので、最低賃金は保証されます。
平成29年度平均賃金 74、085円/月
就労継続支援B型(非雇用型・利用期限なし)
◆一般企業の雇用に結びつかなったり、50歳以上の年齢である障害者に就労の機会を提供。
◆生産活動に必要な知識、能力の維持や向上を目指した支援が行われます。
平成29年度平均工賃 15、603円/月
就労移行支援(利用期限は2年間・工賃なし)
◆企業で求められるスキルを身につけます。
⇒一般就労等に向けての必要な知識を学んだり、社会人としてマナーやコミュニケーションなど
◆実際に障害者が働いている会社での実習もあり、「働く」ことのイメージを積み重ねていきます。
※障害福祉サービス受給者証があれば障害者手帳の有無関係なく利用できます。
≪注目≫就労先の多くは障害者雇用が前提になることが多いです。
長く働くため定着支援がスタート
一般就労した後、就労先で長く働くことができるように障害者本人と面談をします。
その時、就労先やご家族と連絡調整を行いながら仕事や生活面で困ったことを把握したうえで支援を行います。
平成30年度に創設されました。
面談時に障害者本人が困っていること悩んでいる事を抱え込まず支援者に話せるかが大切です。
きょうだいさんへ
工賃や給料の実態を知って、自分が障害者の将来のためにお金を貯めようと思ったりしてませんか?
そういう考えは回避してください。
障害者には障害年金などのお金が入ってくる仕組みや困った時の仕組みなどがあります。
家族も大切ですが、きょうだいさんの人生も大切。
まずは、自分自身の生活をどう進めるかに思い巡らすことです。
1~3は障害福祉サービスです。なので、
住んでいる行政窓口へ利用したいことを申請。
(地域によって行政窓口、発効までの手続きは違います!)
⇒計画相談⇒障害者福祉サービス受給者証の発効⇒利用契約を結ぶ。
の手順が必要になります。
障害者本人が働くイメージをもつようにするためには?
体験することが成長の第一歩
障害を持つ子どもの「働く」というイメージはどれくらいありますか?
長年、教育現場にいましたが障害の有無に関係なく子供たちは本やドラマの中では働く大人の姿を知っています。
でも、会社での仕事内容や職種、働き方については思い描けていないと感じていていました。
そこで特例子会社のインターンシップや施設見学と体験をしましょう。
実際に働く障害者の情報が少ないから不安になる
「仕事の体験をする」といっても、家族としては慣れないことの連続で失敗したり、注意されてしまって障害者本人のやる気がが下がってしまうのでは?と不安になると思います。
そういうことは障害者本人も伝わってしまって、どんどん不安の方が大きくなって行動できなくなってしまいます。
ということは家族が勝手にチャレンジできる可能性を制限しているんです。
知識と体験が結びついた時、ぐんと子どもたちが伸びる姿を見てきました。
可能性の幅を限ることなく、背中を押してくださいね。
体験の時はどこを見る?感じ取る?
遠くにいてはわからない職場の情報や雰囲気を肌で感じてることが重要です。
そこから自分が働くというイメージを高めていきましょう。
☑仕事や作業内容は?どんなことをしているの?
☑同じくらいの世代ばかりだった学生時代と違います。
年齢層も幅広く様々な価値観を持っている人と仕事をするというのはどんな感じ?
☑休憩時間の過ごし方は?
☑給食の有無(福祉的就労の場合、食費がかかる場合があります。)
比較検討もして準備を進めていく
一つではなくいくつかをみて比較検討することもおすすめです。
学生生活と違って、仕事をするのは大変な事はたくさんあると思いますが、それだけ価値のある体験ができるのです。
長く同じ場所に通うからこそ、どこが安心して日中をすごすことができるのかも考えておくと良いですね。
しっかり長く働く為にも、行きたい就労先は本人の希望を聞きながら、準備をして決めていきます。
親なきあともふくめた金銭管理を考える
銀行口座の使い方はどうする?
就労するという事は銀行口座にお金が振り込まれることになります。
ということは、今まで障害者本人にかわり親が代理でしていた銀行口座の使い方も必要になれば、お金の引き出し方、預金方法も伝えていかなければなりません。
いつまで、親が障害者本人のお金の管理ができますか?
今は元気でもどんな時に病気や事故に遭うかわかりません。
元気なうちに親なきあとも視野に入れた金銭管理に取り組んでいきましょう
きょうだいにも自分の人生があります。
自分たちが無理になったからじゃあきょうだいにという考え方は一度置いておきます。
お金の事なので、家族以外の他人が関わる事には抵抗があると思いますが、必要なら支援の手を借ります。
◇成年後見人制度
◇生活自立支援事業…社会福祉協議会が行っている日々の生活に欠かせないお金の管理の利用。
(低額ですがサービス利用料有)
お小遣いから始めるお金の使い方
特別支援学校でもお金に関する授業もしていますが、大勢の中の一人になるものです。
生活環境にあった本人の経験を交えながら、まずは、地域で暮らしていくためのお金の知識と技術を身につけていくことが大事です。
なぜならお金は日々の暮らしと地続きだからです。
そして、働くというのは、経済活動に参加して社会が活発になる役割をになう事にもなります。
そこで、お小遣いから練習を。
現金での買い物はもちろん、最近はキャッシュレス化の社会になってきましたね。
電子マネーの使い方も伝えていきたいところです。
自分が働いて得たお金って特別なんです。
我が家にも働く障害者はいます。
お小遣いとはまた違って、自分が働いて得たお金はやはり特別な事。
コンビニやカフェで自分の好きなもの買ったり、自分なりの設定金額を家族の生活費にいれたりすることは仕事を続けて行くモチベーションにもなっています。
発達障害のある人の大学からの一般就労
自分で考えて行動するが苦手な発達障害のある人たち
ここ数年、発達障害の理解と支援も広がり大学への進学も増えています。
けれども、高校生活と大きく違うのは、主体的な行動を求められることです。
・時間割が決まっていた高校生活から履修計画を立てる。
・レポートなどの提出期限。
・相手の気持ちを想像するのが苦手なのにグループワークの参加。
・同じ教室で授業を受けることが多かったのに、授業ごとにクラスが変わってそれを自分で把握する。
などなどが目白押しになってきます。
主体性が必要な大学生活になれるまでに時間がかかり、周りの協力や理解が少なければ、頑張っていてもなかなか上手くいかないことが多くなってきます。
学生支援などの情報収集をする
こういったことが苦手な発達障害のある人は戸惑っているうちに就活も加わってきます。
そこで、就活の時にはキャリアセンターや学生支援などサポートを受けるという考えも、有効な準備といえます。
障害者家族としては入学段階からオープンキャンパスなどに足を運んで情報を集めていきたいものです。
優先順位を考えて必要な事を身についていく
働くにあたっては、注目するのはお給料になりがちですが、本当にそこに注目して良く考えて下さい!
は、障害者本人はどこまでできていますか?
苦手な部分は少しずつ支援の手を借りながら工夫してできた経験を積み重ねて行く事も大切です。
就労移行支援の手も借りてみる
障害の有無に関係なく、就職活動は学業と就活の同時並行で進んでいきます。
マルチタスクが苦手な発達障害のある人たちにとっては大変。
思うような就職活動ができないまま卒業という流れに…。
場合によっては就労移行支援事業所に通いながらも就活ができます。
就活にとって必要な自己理解を深めたり、配慮を得られやすい環境で就労体験をします。
働く障害者の先輩たちの姿を見て働くとはどんなこと?
仕事で求められている資質や能力どんなこと?
などを知って、就労までに障害者自身が身につけたいことをみつける機会になります。
できることと苦手なことを知る
障害者の就職活動では、
仕事を選ぶために「できることと」、得意ではないけれども支援があれ出来ることを知る事も大切です。
今の自分にとって何が足りていて足りないのか自分の状態を理解して、就労を目指していきましょう。
障害者手帳の取る取らない?
就活が上手くいかないから手帳を取る?
手帳の種類は
身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類あります。
就職活動が進まないから、手帳を取ろうと思ってませんか?
各自治体によって変わりますが医師の診断から2~3カ月かかります。
待っている間に卒業という事態になりかねません!
もちろん、障害を受け入れるという行動ですので、家族にとっても障害を受け入れて、正面から向き合って生きていく選択することになります。
大きな葛藤を生む選択であることは察してあまりあるものがあります。
それでも本人の意見を尊重して、家族内で話し合うことがとても大切です。
私自身が障害者手帳について思うこと
ずっと身につけて他人に見えるようにしているわけではないんですね。障害者手帳は。
だから、私は障害者自身が何か困った時に福祉サービスが受けられるのが一つ。
もう一つは、障害者本人の老後を考えて、お金がでていくのを減らすことをめざすための≪お守り≫みたいなものと思っています。
障害をオープンするそれともしない?
障害者手帳を持っていてそれを使って就活するかそうではないかは悩みどころです。
メリット・デメリットを考えてどちらかに決めて進めていくことになります。
〇大学でも合理的配慮によりキャリアセンターや学生支援などのサポートを受けて就活の準備や活動が出来ます。
〇就職の際も通勤時間など、本人の特性に合わせた配慮があります。
〇障害者雇用枠では職種が限られているため、長く勤めるためのモチベーションやキャリアアップになかなかなりにくい
〇限られた職種ではなく、さまざまな選択肢がある。
〇キャリアップに繋がる可能性がある。
〇就活を経て採用されいるので、メモを取ることやコミュニケーションなど社会人としてできて当たり前ということが上手くいかず、評価がさがることもあります。
自立って一人だけではない
『自立』とみると、自分一人で何でもするみたいに思いがちですが、いえいえそうではありません。
社会に出ることによって、学校生活ではなかった家族以外の人と繋がること。
ちょっとずつ、そして、できるだけたくさんの頼れる人や自分にとって安心して過ごせる居場所をつくっていくことです。
本当に働くことができるの?
普段、一緒に過ごしているとすぐにできなかかったりして本当に働くことができるのと思ってしまいますよね。
安心して下さい
教育現場や障害者の支援現場にいて感じるのは、本当に自分で工夫してできることを積み上げて力を発揮しています。
家にいると障害者本人が甘えたり、反対にこちらが先回りしてしまったりしまうこともありますよね。
でも、ご家庭でのお手伝いなどしっかり根付いています。
障害者本人の力を信じて下さい。
おわり
社会の中で新たな立場や役割を得ることで働く意欲もわき、誰かのお役に立っていると実感できるのが働くことです。
それを感じながら障害者の姿は本当に素敵です。
SDGs(持続可能な開発目標)や法定雇用率のアップ、精神障害者の雇用が始まり、これまでよりも企業側もどうすれば長く働いてくれるか考えてくれる時代になってきました。
私は障害者が働いている事がもっと身近になりその存在がより認められる。
今よりもさらに障害者が貴重な社会の担い手になると確信しています。