障害者家族だからこそできるリーダーとしての姿勢の持ち方
人材育成や若手の指導などを任されても、気負いの気持ちが強すぎて自分だけが空回りしている状態にだなと感じてしまった時。
任された時のやる気はどこへやら。
いつの間にか相手が思うように動かなかない、自分の仕事がはかどらずたくさんの時間を割かれているとマイナス思考に。
「自分には無理だ」、「もうどうすることもできない」「何をしたらいいかわからない」とはまり込んでいき、気づくと眉間にしわを寄せてしまっているにっちもさっちもいかないとなげいていませんか?
こんな時はただただ動き回っていては物事が好転しません。
そこで、一度立ち止まります。
そして、今の状況を整理し見方を変えて、「障害者家族だからこそできるリーダーとしての姿勢の持ち方」を見つけていきます。
まずは自分を振り返ることからスタート
過去にこだわらずに今を見る
「たら」「れば」という考え方は過去にこだわりすぎている証拠。
「障害者家族でなかったら」と現実から目を背けていても障害者本人の障害がなくなるわけではありません。
これからどうしようと考えてばかりいて同じ場所をぐるぐる回っているだけで、前に進めないことになってしまいます。
これでは家族も障害者本人も息苦しさだけが積み重なっていくだけです。
だったら、「こんな風にならなければよかったのに」などと問いかけるだけではなくて、今ある状況を改善するためにできることは何かを掘り下げていきます。
痛くても自分の言動を振り返る
人間って物事が上手くいかないと、どうしても相手や周囲の人間関係、環境のせいにしてしまいがちです。
でも、これでは何も生まれません。
そこで、かなり心には痛い作業ですが、これまでの自分の言動を振り返ります。
●なめられてはいけないと上から目線になっていませんか?
●周りの目を気にし過ぎている。
特に上司からの評価を下げられたくないと相手に頑張れを強要し過ぎていませんか?
自分の仕事への取り組む姿勢、気持ちの持ち方は、リーダーになる前と現在とどう違うでしょうか?
ここはじっくりと自分と対話していき、修正や改善点をみつけていくことで、自分が納得する方向へ修正や改善点を見つけていきます。
振り返りは現状の整理をすること
これまでの生活や仕事での環境、知識、経験が自分の思考パターンを作り上げています。
振り返ることは物事と自分を客観的に見つめる作業です。
- そもそもなぜ、人材育成を引き受けたのか
- 自分は状況をどれくらい変えられるのか
- そのためには何が足りず、どんなことを取り組めるのか
- 今の現状をどうしたいのか
そこから、「しっかりしているべき」「こうすべき」といった今まで通りの考え方を変えます。
そして、「べき」という決めつけない価値観を選びなおしていきます。
向き合い方、思考と行動を変えるだけで1つの軌道に乗っていきますよ。
全てを思い通りにはできない
相手に多く求めすぎたり、正しいことをどんどん伝えると相手の重圧になります。
障害者本人に身だしなみ、食事の仕方、外出についてなどあれもこれもできて欲しいからいっぱい詰め込んだらどうなりますか?
出来ないことが目の前にたくさんあるので、そんなことにはしたくないはずなのに、挫折を味わって自分を嫌いになってしまいますよね。
これは、わかっているのにできないから相手も理不尽さ、もどかしさ、怒りを感じてしまっているから。
では、どうすればいいのか?
どんな人に対しても全てをコントールできるという思いは捨てる意識改革が必要です。
自分の時間を生み出すために手放す勇気を持つ
このやり方が正しいとこだわりすぎると責任感の強さに結びついて融通がだんだんきかなくなります。
意地になってこれまでやってきたやり方を続けていると、どこかでやめたり、変えるのってかなり勇気がいります。
でも、「自分の仕事がはかどらずたくさんの時間を割かれている」と感じているなら、ここで思い切って手放します。
それにより、時間の余裕が生まれたり、新しい方法を試すエネルギーが出てくるんです。
相手を理解する=サポートという視点が大切
最初のとっかかりとして一人ひとり、個性があり、考えていること、大切にしていること、物の見方、物事の進め方が違うことを押さえておきます。
依頼した仕事が思ったようにはかどっていない時、つい責めがちになります。
が、「大丈夫です」としか返事が出ない場合も。
そこで、ここは忍耐力の出番で、仕事の進め方などについて、相手が自分なりに考えたことをまずはしっかりと聞きます。
その上で、これまでの経験を通じて知った仕事をする上でさまざまな進め方があると提示します。
本人にとってどれが有効かを検討してもらいます。
ここで注意したいのは手早く進めるを目指すのではありません。
速さを求めると焦りを生じたりして同じ結果を招く恐れがあります。
正確に仕事を進めるやり方を覚えてもらいましょう。
不安に感じるのであれば「どこまで進んでいる?」と相手が話しやすいコミュニケーションをとりながら進み具合を確認していきます。
本人が困っている、つまづいているからという視点を持つ
「私ばかりをこまらせているんじゃないか」
障害者家族でいると障害者本人が毎日に起こす出来事に対してそう思える瞬間があります。
でも、こういう気持ちでいるとストレスがたまるばかりでいいことは何もありません。
そこで、障害者本人が困っているから、つまずいているから上手くいかないという視点を持つとガラリと手立てが変わってきます。
まずは今から取り組めることを少しずつ目標にして、一緒に行動して、本来持っている能力を伸ばしていきます。
これは障害者本人が自分らしさを発揮できる第一歩。
リーダーとしてこれを取り入れていってみましょう。
経験という手札をつかいこないしていく
これまでの仕事や、障害者家族でいることの『経験』という手札を良く見つめてください。
それらをどう使いこないしていくのかに集中してみてください。
障害者家族になった時の衝撃から逃げださず今ここにいます。
障害者家族になった時、これまでの描いていた家族像はガラリと変わりました。
ゼロからもしかしたらマイナスからの組立だったかもしれません。
その上で、相手を変えたり、コントロールしようとするのではなく自分が変わり、自分から働きかけることで物事が進むのを実感したと思います。
また、人生を歩む中で様々な出会いがあったはずです。
それも大きな経験になります。
出会った人からどんな影響をうけていますか?
人を育てる上で自分自身に見習って取り入れたいなと思うところはやってみます。
相手を理解するために相談をしてみる
第三者の意見で気づくこともあります。
そのため、相談することも有効です。
障害者家族でいることで基本となるのは「家族で抱え込まない」。
大変な時、しんどい時、「自分には無理だ」、「もうどうすることもできない」「何をしたらいいかわからない」が応援があると前に進む力にもなります。
一人では浮かんでこないアイデアも出てきて選択肢も広がります。
伝えることは難しいけれど育成の可能性がある
「伝える」のメンテナンスを怠らない
意図したことを相手に伝えるって本当に難しい。
日々、暮らしの中で、障害者本人が納得して取り組んでもらえるように伝え方を試行錯誤の連続ですよね。。
それが「わかりやすく伝える」を知らず知らずのうちに身に付けています。
何気ない毎日に大事なことがギュウっと詰まっていてお役にたてることがあるのです。
相手の心情を推し量り、言動に見合った意味を持つ言葉を使うこと
伝わるポイントを探しながら、「伝える」のメンテナンスを怠らず、定期的に目を向け、意識を傾けておくを習慣にしていく。
それが、自分の意見を持っていて伝えることが出来る人だと信頼にも結びつきます
専門用語は使わずわかりやすさを追求する
カタカナ語や専門用語は難しいけれど、普段聞きなじみがあると簡単に使ってしまいます。
例えば、インフラ、イノベーション、ベネフィットなど。
それってどういう意味って聞かれるとなんとなくわかっている程度で結構ちゃんと答えられないものもあります。
もし、障害者本人に説明を求められると理解するようにわかりやすく伝えられますか?
なので、優しい言葉に置き換えます。
相手にきちんと伝わる、戸惑わず安心できる
まずは自分の伝え方を変えていく
仕事を覚えて欲しいと気持ちが焦り、自分自身も小言を繰り返すのは自分だって疲れてしまいますよね。
だったら、伝え方を変えていくのです。
一つ目は失敗した時。
若い人は失敗したくない、なるべく失敗にならないようにしたいという気持ちが強くあります。
でも、慣れないこと、初めてのことはは失敗がつきもの。
そんな時、「前にも言ったんだけど」は相手が失敗したくない気持ちが強まり、かえって失敗が多くなります。
さらに、仕事がはかどらないと「なんでできない」と問い詰めるとさらに相手が縮こまってしまいます。
一言添えればよかったと自分も悔しい気持ちを表しつつ、「私だったらこう思う」、「〇〇してくれると私は嬉しい」と伝える
そうすると相手も上手くいかなかったのは他人や環境のせいにしません。
自分で失敗した内容を振り返り次に活かしていきます。
ミスをしたから終わりにしない
ミスをしたときチャンスを与える余裕を持ちます。
障害者本人が日常生活の中で約束や決まり事が守れないこともあります。
そんな時、これで終わりではなく、どうしてそうなったのか状況を聞きますよね。
部下にも報告漏れや資料の提出期限等ミスがあってもその時の状況をまず聞きましょう。
原因や理由をぐいぐい追及してしまうと否定されていると感じて、「自分はダメな人間だ」と追い込んでしまいます。
自分で見直したりリーダーと考え直したりして、ミスを起こさないような新らしいマニュアル作り直していきます。
何度も繰り返してぴったりくる方法を見つけていく
障害者本人は苦手なことって多く、何か覚えるにしても一度でイメージ通り出来ることって本当に少ないですよね。
障害者本人に日常生活を送る中で身に付けて欲しいことは、家族が目の前でやって見せて、それから障害者本人に実際にやってもらうを繰り返した方が確実に定着していきますよね。
これを会社でもやってみましょう。
手間と時間はかかりますが、イラスト入りで伝える、実際にやって見せる、体験してもらうを取り入れましょう。
1を聞いて10を知るなんて、とってもハードルが高いと思ってください。
上手くいかないことがあれば、「今、どこの部分に不安に感じているのか」や「どこでつまづいているのか」を聞き取ります。
体験する中で上手くいかないことがあっても「フォローする」姿勢を示す
安心して取り組めるとわかれば、失敗しても再度チャレンジできます。
何度も何度もあれこれ試してパズルのピースのようにぴったりくるやり方を見つけていきます。
わかりやすい説明があった方が、取り組みやすくやる気を出してくれます。
言葉が通じていてもコミュニケーションにはならない
社会では「ハラスメント」・「モラハラ」という言葉を目にするようになりました。
コミュニケーションをとる上で個人的なことを聞くのは「ハラスメント」になるかもしれないと大きく距離を置くのはいかがなもの。
言葉が通じるからってコミュニケーションが取れている訳ではありません。
聞かないとわからないその人が求める配慮も見逃してしまうかもしれません。
興味・関心持って聞く姿勢がポイントです。
スマホやパソコンンの使い方など「わからないから教えて」と言葉にするのは恥ずかしいかもしれません。
でも、人ってあんがい自分の知識を教えたいっていう気持ちがあるんです。
私の場合は学校司書時代、中学生に「ライトノベル」やオンラインゲームについて興味を持って聞きました。
そうするとどんどん教えてくれました。
育休や介護休暇取得に来たら出来ること
ケアや介護についての大変さ、手続きの煩雑さをわかっているからこそ、申請を出すまでの迷い、障害者家族として仕事や家庭の両立の不安も身近に感じることができるんです。
だから、育休や介護休暇の取得に来たら
「気になることはないか?」「いつでも協力する」といったワークライフバランスを考慮した声掛けをしましょう。
その際は、引継ぎをするために業務の進捗状況、優先順位の高い業務などを担当業務を洗い出してもらいます。
「どのように業務を改善していきますか?」と投げかけることで、自分の仕事の時間の使い方を見直してもらいます。
この際、不要だなと思っていた業務の点検をしてもらい、効率的にできる別のやり方があるのかも考えてもらいます
気づいたらお互いに話し合いを重ね、修正していって、よりよい安心して休暇が取れる体制と関係性を築いていきます。
自立を促す姿勢をもつためにできること
社会人として自立を促したいと思っても、こちら側が一生懸命になりすぎて、視野が狭くなり自分本位になってしまうこともあります。
原因の一つとして「指導慣れ」していないことも挙げられます。
その中で、嫌われたくないという思いから良かれと思ってあれこれアドバイスしても、相手から感謝がなければ、かえってイライラの原因になります。
それは、「自分のよい」と「相手のよい」にずれがあるからです。
一生懸命に取り組むことは素晴らしいことですが、やみくもにやっても上手くいきません。
自分で考えて行動してもらうためにできること
「どうすればよいのか」を自分で考えさせることが大事です。
あらかじめ答えを出しても社会人としての成長にはなりません。
障害者本人は、「自分なりにどうしたらできるのか」を真剣に考えて、周りの人の様子をじっくり観察したり、手を動かしてみたりして日々の生活の中で、自分なりに工夫して出来ることを増やしていますよね。
増えている中で、家族が出来ていることを認めいくと、ますます自分の持っている良いところを伸ばして、どんどん自分の自信になっています。
「自分で考えること」ここが大切なのです。
学校の授業のように受け身の姿勢だと、「今日は〇〇して」といわれたことをやる指示待ち状態になり、自分から進んでとはなりにくいのです。
また、「どうしたらいいですか?」と質問を繰り返しているのも受け身の状態です。
仕事を進めていく上で今、不明な点を自分から質問する➡アドバイスをもらう➡自分でまずは試してみると働きかけていきます。
自立するための土台作り、基礎の力となるので、適当にすればよいというものではありません。
できるまで、サイクルを繰り返し身に付けてもらいます。
出来たことは素直に認めていく
責任を持ってもらいた痛いと思っても、特に若い人は間違えたくないという気持ちも強くあり、仕事を全てを任せっきりにするとかえって困ってしまいます。
そこで、守備範囲や判断基準を明確に示しておきます。
それでも、形になるまでは心配も不安もあって、できてないことをあれこれ言いたくなりますが、それでは公正な評価になりません。
まずは少しでも行動をして、成長を感じられる部分は認め、次はどう取り組むかを話していきます。
その際、どうしても行動に移せる案が出てこなければ、
例えば、「こういう便利な機能もある」とPCスキルやデータの探し方、進め方を教えていきます。
「私は、次はこうしたらいいのではないか」と行動がちょっと変わることにつながる言葉で一歩を踏み出せるように伝えていきます
そもそも報告はなんのためにするのか考える
報連相も大切にしたい所ですが、報告を受けてダメ出しの連続ではいただけないもの。
そうなってしまうのかというと、そこには、部下の方向性と自分の方向性の違いもあるかもしれません。
また、催促しないと報告しない場合もイライラしてしまいます。。
感情に任せて「仕事をへらしてみては?」と言ってしまうと「自分は仕事ができない人間なんだ」とさらにやる気を下げてしまう可能性もあります。
そこで、そもそも何のために報告してもらうのか、相手は報告するのかを考え直してください。
その上で、やりたいことよりできることを優先して仕事を進めるなど、報告で気が付いたならその時点ですりあわせて次につなげていきます。
一度に全部を伝えるのは混乱の元
報告や話し合いで気になったことは一気に指摘していきたい所ですが、ここは段階を踏んで行います。
障害者本人にも一度にあれもこれもというと混乱して、パニックの原因になりますよね。
せっかくできていることもできなくなって自信を無くしたり、出来なくなってしまう残念な結果になることも。
なので、相手に優先順位をつけてもらって、一つ一つ取り組んでもらいます。
成果ばかりに注目せず、そのプロセスを必ず見てくださいね
手間を惜しまずにすることが大切
社会人として大切な基礎の力を確実に身に付けて欲しいや成長を促したいなら、最初の手間を惜しまずに段取りをしっかり踏んでおくことがポイントです。
そして、相手の本来持っている力を信じることも忘れずにいてください
ここで大事なのは完璧を目指すよりも発想力を使って伝わるを方法を考えて試した自分をきちんと認めることも忘れないでくださいね
そして、指導やサポートに慣れること。
それが苦手意識も目減りして、構えず向き合えます。
変化を長期的に変えていく方法は、段階的に自分自身も様々な経験を積んでいくことです
終わり
人材育成はやりがいと苦労の繰り返しです。
その中で、悩むのは自分から積極的に働きかけて状況を変えたいという気持ちの表れです。
人を育てるという道をどんなふうに進めるのか、どのような態度で取り組むか、考え直す入り口に立っています。
ということは、まだまだへこたれている場合ではありません
障害者家族として意識の替え方は十分持っているので、発揮していきましょう。
★八木尚美のHPはこちら