障害者の外出、通勤、着替えで家族ができる準備。ヘルプマーク、イヤーマフとは?

障害者雇用でも少しずつテレワークが導入されつつあります。しかし、現状としては基本、自力で通勤する事が求められています。
1人で行きたい場所に行くことはできますか?
「それって当たり前のことじゃないの?」という声も聞こえてきそうですがそうではないのが障害者なんです。
障害を持っている人たちにとっては、電車やバスに乗って移動する際、次のことを思います。
大勢の人・音などをかいくぐって迷わず行けるかどうか、途中で体調不良を起こさないかなどです。それぞれの特性に合わせた不安や心配について外出や通勤時には心の準備が要ります。
通勤や外出に向けての家族ができる準備を紹介します。
障害者家族が外出、通勤に向けて準備すること ヘルプマークとは?
弟は肢体不自由のためすぐに障害者とわかるので「お願いします」と言った時、お店にいればスタッフさん達はスムーズに要望に応えてくれ助かっています。
本人にとってできるだけ自分のことをしたいと思っています。
「〇〇して下さい」とお願いすることは、自分ではどうにもならない時が多いです。気軽に応えるようになってくださってとても感謝しています。
急に話しかけられお願いされたときの対応の方法は?
障害者の中には、発達障害や内部障害を抱えている方々もいます。
駅などで急に話しかけられて、弟の様な肢体不自由ではない時は判断し、対応する時困ってしまいませんか?
さらに続けてお願いされてびっくりして、思うような対応が取れず、あとあと後悔したことがあるかもしれませんね。
障害者もお願いされた方も双方が気まずい思いをしない為に「ヘルプマーク」というのがあります。
障害者家族として「ヘルプマーク」を活用しよう
最近、電車など交通機関を利用するとカバンなどに「ヘルプマーク」を付けている人をみかけるようになりました。
もし、電車やバスでの優先座席に若い人が座っていたとします。
すぐに「優先座席に座っていてなんなんだ」と思わないでください。もしかしたらヘルプマークを付けている人かも。
「ヘルプマーク」は内部障害などを抱えている方が配慮を求めるマークです。
東京都から始まった活動が全国に広まりつつあり、企業も応援している企業もあります。
また、任意ですが裏面にシールを貼り、次のような内容を書き込むことができ、何かあった時対応できます。
近年、外出、通勤時には自然災害などによって突発的なことも増えつつあります。
うまく活用して、必要な手立てが得られるようにしたいですね。
障害者本人が困っている時に援助を求めるために
外出先で障害者本人にとって困ったことが起きた場合についてです。
どれくらい自分から周りの人たちに援助を求めることができますか?
また、通勤して職場に到着時、体調が思わしくない時も発生します。
その時もどれくらい自分の状態を伝えることができますか?
この辺りを家族で話し合って、必要な時には援助要請ができるように練習をしていきましょう。
そのヘッドホンは音楽を聴くもの?それともイヤーマフ?
イヤーマフって何?障害者家族として知っておくべきこと
発達障害の人は、周りの音が全て意識に入ってきます。
そのため、聞きたい音の内容の判別ができなくなってしまっている聴覚過敏の人が多くいます。
本来、音選別は無意識に行われていますが、そうでない方々もいるのです。
そんな時に活躍するのが苦手な音から身を守るために装着するイヤーマフ。
タイプによっては必要な音を聞くことが出来るタイプもあります。
こちらも出かけた先で見かけて声をかけたのにヘッドホンを外さないで話すなんてと思わないでください。
もしかしたらとう想いを巡らせてほしいものです。
イヤーマフ使用中のシンボルマークを使ってみよう!
さて、上記のようなこういった誤解が生まれるため、現在はシンボルマークもでてきました。
ネットで使用条件を明記した上で無償公開されており、ヘッドホンに貼って周囲への理解を示すことができます。
こちらも障害者家族として活用していって欲しいです。
株式会社石井マーク「聴覚過敏保護用マークより」
どのイヤーマフがおすすめ?レンタルをしてマッチングをしてみる
いま、ネットで検索すればイヤーマフを購入する事はできます。
しかし、種類も色々とありどれが本人にとって良いかわからない時もあると思います。
買ってみて「失敗した」と思わないためにもレンタルをしている会社もあります。
一度試してみてからの購入はいかがでしょうか?
会社としてイヤーマフ装着の必要性は?
エアコンの音、キーボードの音、足音など仕事場で気になる音は障害特性によって違います。
パーテーション等で区切ったりして集中して仕事を取り組めるようにいている会社もあるでしょう。
しかし、なかなか仕事が進捗しない場合は、イヤーマフの使用を検討してみてはいかがでしょうか?
うまく道具を使うことで仕事に集中できる場合もあります。
まずは、どれくらい必要性があるのか当事者と綿密に聞き取りすることが大切です。
その上で、本人といつどんな時に装着するのかなど相互理解の上、会社での着用等を決めていきましょう。
障害者は自立へ向けて着替えを練習することは必要?
朝起きた時、出勤する時など服を着る時どれくらい時間がかかりますか?
そんなに時間はかからないと思っていますよね。
でも、服を着るという事は細かい作業の連続で障害者にとっても時間を要するものなんです。
外出のために着る服、どれが手間取る?
前開のボタンシャツ、ジーンズ、靴下、ファスナー付きのパーカー
ひも付きのスニーカー
どれが手間取ると思いますか?
ボタンシャツ
右と左は違う動きをし、ボタンを小さい穴に入れること特に手首にある小さい。ボタンや首元は「自分で」は難しい。
ジーンズ
ウエストが総ゴムになっているパンツやジャージに比べて伸縮性が少ない。左右からズボンを引き寄せる力が要り、さらに鍵ホックの場合は輪にひっかけるのが難しい。
靴下
バランスを取るのが難しい。はき口のゴムがキツイと押し広げる力が必要です。つま先とかかとが同色だとわかりづらい場合もあります。
ファスナー
ファスナーのチャームは小さくて指で挟むのが難しい。我が家は、チャームに引っ張りやすいように大きめのチャームや紐を付けるたりしています。これも右と左が違う動きをする為、はめるのに時間がかかり、布にかませず引き上げるのは難しい。スカートの場合だと、フックやファスナーのの形状はさらに小さくなり、より指先の器用さが求められます。
ひも付きのスニーカー
蝶々結びが出来ない。日常生活で結ぶという動作は少ないので年齢が上がってもできない人もいます。
家族はいつまで着替えの手伝いができる?
Tシャツにウエストゴムのズボンで済んでいたのに、年齢が上がるにつれ段々と要領がいるようになります。
進学すれば、休み時間に着替えをしなければならない。また、制服がある会社に就職する可能性もあるかもしれません。
飲食店で仕事をする時、エプロンのひもを自分で結ぶことはできますか?
就活の時、革靴の紐を自分で結べますか?
一人でできるところは練習していきましょう。
自立に向けて着替えを家族で取り組むこと
着替えは手元を見ないと進まない作業が多いです。
が、ズボンのファスナーなど上着の裾を持ち上げないと見えずらいところもあります。だからこそ障害を持つ人にとっては、自分なりの着方を身につけなくてはいけない場合も。
また、障害者本人もおしゃれに興味を持ち、流行の洋服を着たいという気持ちも出てくるでしょう。
毎日の事なので少しずつできることを増やして欲しいと思います。
どんなふうに着替えに取り組めばいい?と迷った時は本をヒントに!
洋服を着るというのは、意外と右と左の動作が違うものがあります。
障害の程度によっては、手先の細かい作業が苦手であったり、力が入らなかったりするので、難易度高めです。
さらに成長するにつれて、複雑さが増えます。
どんな風に服の着替えを練習すればいいのかと悩んだら、図書館や本屋さんの本を手に取ってみて下さい。
必要な練習方法が書いてありますので、一度、家でチャレンジしてみましょう。
家族に大切な見守る力
自分で着替えができるまでには時間がかかります。
練習時にはイライラする事もあるでしょう。
昔、弟が入院時、ある看護師さんが私に言って印象に残っている言葉があります。
「着替えの時手を出したい気持ちはよくわかるよ。でも手を出すと本人の成長を止めてしまうからじっと待っていようね」という言葉を頂きました。
時には手を出したくなる気持ちは本当にわかりますが、成長の為と思って見守ってください。
それから、今日できたことは褒めて下さい。
叱られたことばかり残ると、自己肯定感が低くなっていきます。
どんな小さな一歩でも前進ですよ。
会社として通勤の配慮をどうするのか?
汗ばむ季節。障害者を雇用している企業としては、通勤時間をずらして出社などの通勤時の配慮もしている思います。
しかし、障害者の中には体温調節が苦手な人もいます。
会社に到着して汗をかいた服を着替えたいという人もいるでしょう。
素早くは基本ですが、着替えるのに時間がかかるという点も考慮してください。
その上で、本人や家族と話し合って通勤時の良い方法を考えていきましょう。
障害者の家族として、一人の社会人を育てるために必要なこと
会社にいて、同じ職場の仲間が次のような服装で出勤してきました。
自分の隣の席に座った時、どう思いますか?
- 寝ぐせがついている。
- 髪や爪が伸び放題である。
- 男性の場合、ひげが伸びている
- 髪や肩などにフケがついている
- 洋服がシワだらけである
- 洋服など洗濯をした様子が見受けられない
などです。
社会人として最低限のマナーを身につけるために服装で気を付けること
見た目で判断するのは良くない事ですが、だらしなく見えたり、不快感を与えることについてはどう思いますか?
本人にとってもさらにマイナスのイメージを周りに与えてしまうことになります。
厳しいようですが、障害者だから許されるのではなく、一人の社会人として最低限の身だしなみは整えましょう。
洋服を着たら鏡を見て自分でもチェックするといった準備も大切です。
まとめ
1人で外出する、通勤するというのは当たり前にできる事ではないんです。
社会へ参加する事に向けて大きな一歩になります。
今回の紹介は一例で、外出するための準備はまだまだあります。
家族としては先が遠く感じますが、今日できたことを一緒に喜んで、笑顔を増やしていきましょう。