残業のし過ぎはうつにも。働き方改革で考え方や生活をどう変えるべき?

毎日遅くまで残業、残業、残業・・
急に仕事を振られた、誰かのミスをカバー、物理的にキャパオーバー、帰りたいけど帰れない、そんな状況が続いていませんか?
特に、40代以降の方々は、意識改革が必要だと思います。昔は、朝から晩までバリバリとスタミナ勝負の仕事をしている姿がカッコいい時代がありました。
24時間戦うビジネスマンを助けるドリンクもありました。
でも本当にずっと24時間戦えますか?長時間労働は体調やメンタルにも悪影響を及ぼします。
2019年4月1日より「働き方改革法案」の一環で、残業(時間外労働)の上限規制が導入。
改めて、残業について考えてみたいと思います。また残業を減らすためにできることをいくつかご紹介します。
あなたの会社にも「カエルナァ」とか、「イノコリス」がいますよね?スマイル戦隊ネガティブバスターズと一緒に、「スグカエル」「イマサリス」に変えましょう!
キャリアコンサルタントでスマイル戦隊ネガティブバスターズ司令官の深月あさこが、お伝えします。
漫画:スマイル戦隊ネガティブバスターズ 「残業を当たり前にしないで! —カエルナァとイノコリス―」
働き方改革で変わる事
働き方改革は罪?
TVをみていてひっかかったこと
ある番組で、ビートたけしさんがGWの大型連休の話題で言われた言葉にひっかかってしまいました。
「何ハラとかいっぱいあるけど休みハラスメントっていうのはないの? 俺なんかいつも休めよと言われるけど、『大きなお世話だよ馬鹿野郎』って思うよ。税金払わないといけないから。だけど、いつの間にか労働が悪いことになってるよね、罰なんだね。好きなことやって仕事してるのが嬉しい人には大きなお世話だよね。強引に仕事を減らせというのはちょっとおかしい」
それ、どういうことですかい(怒)?
「オレは仕事が好きだしやりたいし、できるからやっているんだ。休まなくてもいいんだよ。」ということでしょうか。
芸人なら良いかもですが、組織の中では迷惑な話だなと思いました。
40代以降の世代は、長時間働く=成果が出る=頑張っている と認識している人が多いのではないでしょうか。
同じ成果を出した人でも、働く時間が短い人より長く残業する人を評価しがちです。
仕事を任せたいその時にその場にいない人を、「仕事を任せられない」と思いがちです。
労働が悪いのではない、労働の在り方が悪いのです。
時間で稼ぐ時代から、限られた時間で最大限に効率を上げていく事を求められる時代に変わろうとしています。
そして自分の生産性を上げるためには、仕事だけではなく家族や自分の時間も大切にして、バランスよく生活することが大事なのです。
働き方改革で残業はどう変わる?
先にもお話したように、2019年4月1日よりより残業(時間外労働)の上限規制が導入されました。
規制の内容は以下の通りです。
- 年720時間 以内
- 複数月平均80時間 以内 休日労働を含む(「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内)
- 月100時間 未満 休日労働を含む
月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当します。また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。
上記に違反した場合には、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。
詳しくは厚生労働省のリーフレットをご覧いただければ。厚生労働省 時間外労働に関するリーフレット
これで少しでも過労でメンタルに悩む人が減ればいいなと思います。
残業のし過ぎがうつにつながる理由
過度な残業が、どうしてうつになるのか。それは、それは睡眠に関係があります。
慢性疲労研究センターの佐々木司センター長は、「1日の心身の疲労は、「その日のうちに回復させることが大切だ。人間は一晩眠ったとして、肉体の疲労は眠りの前半に回復し、ストレスは後半に解消する。神経をすり減らしている人ほど長時間眠らないと疲労は回復しない。」と言われています。
つまり、睡眠の前半しか取れない日々が続けば、前日受けたストレスが解消されないまま翌日のストレスが積みあがってしまい、疲弊してしまうという事です。
また、「自衛隊メンタル教官が教える折れないリーダーの仕事」(日本能率協会マネジメントセンター)の中で、「蓄積疲労には3段階のレベルがある」とし日々の疲労が「2倍モード」に蓄積してしまうと、普段ならすぐに回復するようなショックでも、受けるダメージが2倍になり、回復にかかる時間も2倍になり、心身に異常が現れる手前の状態に陥ってしまいます。そこにさらに疲労が蓄積してしまうと、心身に何らかの異常を発する疲労の「3倍モード」になり、受けるダメージも回復までに要する時間も3倍になってしまうという事です。
意思とは関係なく、気力と集中力が低下する。すると本来の問題解決力が発揮できなくなり、トラブルが増え、さらに疲労がたまるという悪循環に陥ると、本来のその人なら周囲に助けを求めることもできるが、この状態になるとイライラや猜疑心が非常に強くなり、簡単に援助も求められなくなる。そして、突然業務を投げ出すなどの「折れる」という状態になってしまうのだというのです。
日頃から睡眠の質を上げる事も大事ですが、物理的な睡眠時間の確保が大事なのですね。
睡眠の質を上げるための対処法、興味がある方は、こちらをご覧ください(宣伝です)。スマイル戦隊ネガティブバスターズがムゲン∞ヒツジと戦っていますのでぜひ応援してください!
良い睡眠はストレス解消に効果あるの?よく眠れる方法やおすすめの習慣7選
残業を減らしたい!3つのポイント
法律で残業の上限時間が決まったので企業側も対策を迫られる事になりますが、働く私達も、今までの仕事を同じ時間でこなしていると成果がでなくなります。
先に述べたように、基本的に、残業は会社側の意識改革や組織の体質に寄ることが大きいため、個人レベルで改善出来る事は小さいかもしれません。でも、小さな事から行動してみるのが大事です。みんな早く帰りたい。自分の行動がチームを動かします。
ここではチームでも自分だけでも出来る事をご紹介しました。参考になれば幸いです。
この本おススメ。みんな早く帰りたい!悩んでいるのは自分だけじゃないと思えます。
まずは断捨離をする!
デスク周り、事務所、パソコンの中を断捨離
勤務中に探し物をする時間は、年間で大体150時間だそうです。約19日分。書類がない、ホッチキスがない、ファイルがない、電話をしようとしたら番号がわからない。生産性が全くない、「探す」という行為に、多くの時間をかけているのですね。もったいないことです。
備品類、机、書類、棚やごみ箱まで、不要なものは徹底的に整理をして残ったものを整頓していきましょう。文房具はこんなに使わないけどもったいないし腐るものじゃないしおいておこう、と思いがち。
私もきれいな紙袋は捨てられないタイプですが、余分なものがあるから探す手間ができるのです。
必要なものを厳選して身の回りに置いてみると、見た目も気分も余裕ができます。
整理する時間がなくて後回しにしてしまう という方、探し物が150時間から半分になれば、約10日は改善できることに。早ければ早くやるほど効果が出てきますよ。
また、パソコンの中にあるファイルも断捨離しましょう。不要なものは捨て、必要なものは整理して残しておく。
私は、管理するフォルダを日付順にして、ファイル名にも日付をつけて保管しています。過去ファイルを削除する時に便利ですし、あの時のファイルが見たいとか、このプロジェクトをやったのって確か2014年だっけとか、ファイルを探す時に「いつやったか?」が私の脳内の検索キーワードになっているからです。
パソコンにはファイルの検索機能がありますが、全部探すのは時間がかかりますし、その検索機能を使う際も自分の覚えやすいキーがファイル名についていると便利だと思います。
仕事の仕方を整理する!
自分の仕事の仕方について、癖や課題を見つけ、改善しましょう。
まずは、自分が何にどれだけ時間を割いているのか、正確に理解することが大事です。朝、自分が何をする予定か、15分単位で計画を立てます。日々、予定通りできたか?明日はどう修正すればよいか?振り返って予定精度を上げましょう。やりたくないことを後回しにする癖があるなとか、自分が思っていたより時間をかけてしまっているなとか、課題が見えてきます。
何にどんな時間をかけているか。丁寧に仕事をしようとするあまり想定より時間をかけている事は結構あるものです。
会社の先輩はそれを「マスターベーションだ」と言っていましたが、「求められている」レベルより、自分が「心地よい」レベルを優先させていませんか。
客観的な目線で、自分の仕事をチェックするのが大事です。
パソコン操作も断捨離!
また、パソコン操作も断捨離しましょう。例えば、パソコンで仕事をするならキーボードの機能を使いこなしてなるべく早く入力できるようにする、Excelで仕事をするなら関数やキー操作で資料を早く正確に作る、小さな積み重ねだと馬鹿にされがちですが、仕事中のストレスがまったく違います。
自分の業務にかかる時間を、毎日5秒改善するつもりで工夫をしましょう。1日たった5秒でも1年80時間の削減になります。
余った時間で書類を見直したりする余裕ができると、ミスも減らせますね。
ちりつもが大事
私はこれが大事だと思うのですね。
2時間の業務をいきなり1時間に減らす事は難しいけれど、色々な業務を10分ずつ減らす事はできそう。それを自分だけでなくチームで取り組む、一回こっきりで終わらせずに毎日考える、少しずつ前進する。一つ一つが小さくても、積み重ねると大きな成果につながります。
私、こういう事を考えるのは女性が得意なんじゃないかと思うのですね。家事と育児と会社員という役割を日々務めている女性は日頃から時間の使い方を改善する事に貪欲です。私の同僚も、どうにかして質を落とさず楽ができないか、時短ができないか毎日考えているし情報収集を怠りません。
女性の皆さん、オフィスの無駄で気になるところがあれば、提案してみてはいかがでしょうか。
言われたからってすぐにやらない事!
言われたらすぐやる!言われた通りにやる!まず行動に移す!
つべこべ考えない、文句を言う前にまず上司や先輩の言う通りに身体を動かす事が良い事だと信じていた20代・30代。
でも、本当にそうなのか?この方法で良いのか?今やるのが良いのか?と立ち止まって考えるのが大事だと気が付いたのが40代でした。
体育会系の体質をもつ会社だったにせよ、遅すぎです。
言われたことを言われた通りにやればラクです。でも、大事な事は今日の自分の時間を何に使うべきかを考え抜く事です。
「なるはやで」と頼まれた仕事でも大抵は、今すぐしなくてもよい、その成果物のレベルまで求めなくてもよい、自分が必ずしもしなければいけない仕事ではない事が多いもの。
それより今自分がしなければいけない仕事があるのではないか?と考えてみてください。
私は、迷ったら、自分なりに正しい進め方を考えてみるようにしています。とてもベタですが、紙に書き出してみると、頭の中だけで考えていると漠然とした部分も見えてきます。
また、紙に書くとチームのメンバーにみてもらって相談や調整もできます。
働き方改革では、長い時間働く事を求められた今までから、短い時間で成果を求められるようになります。
私たちの時間は、私たちが考えているより、貴重なものなのです。
コミュニケーションの取り方も工夫して。メールに頼りすぎてないですか?
メールは便利だけど・・
何でもメールで連絡してくる人、あなたの会社にもいませんか?
ちょっと話すればいいじゃないの?と思う事も、全部メール。
メールは確かに便利です。忙しそうにしている人に話しかけるのも申し訳ないし、今日中に確認できればいいからメール送っておこうとか、ちゃんと履歴が残るから言った/言わないのトラブルが起こりにくいとか、たくさんの人に同じ情報共有ができるとか、メールを使うメリットはたくさんあるので良いのですが、やりすぎ感を感じる時がたまにあります。
伝える粒度と伝え方を工夫する
結局、伝えたい粒度と伝え方を工夫するという事に尽きると思うのですが、使えるものは自分の話力も含めて最大限に使いこなしましょう。
緊急性が高い場合、電話で話した方がよい事もあります。電話をして先に話をつけてからメールを送って履歴を残すというやり方だってあります。
内容によっては、ちゃんと顔を合わせて話す方が伝わって、それだけで済む事もありますよね。
言葉を選んでメールを打っているうちに一日終わってしまうのはもったいない事です。
おわりに
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
いかがでしょうか。
私は今、心が病む程の残業はしていませんが、通勤往復2時間+労働8時間で10時間拘束されますと、残りの時間で十分な睡眠と家事・必要な生活時間を除くと、自分のために使える時間は1時間から1時間半くらいにしかなりません。
私もあなたも1日は24時間。自分の時間を大切にできればいいですね。
皆様が笑顔で過ごす日々が一日でも増えますように。
スマイル戦隊ネガティブバスターズは、今日もどこかでモヤーゴと戦います!
今回参考にさせていただいた本はこちらです。興味がある方、ぜひご覧ください。
小室淑恵著 働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社(毎日新聞出版)