国家資格キャリアコンサルタント集団が斬る仕事論

子育てでキャリア中断。ブランク後の社会復帰に悩んだときには「自立・自律」がキーワード

 
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国家資格キャリアコンサルタント/価値観受けとめカウンセラー。様々な社会とのかかわりの中で自分を見失うことがあり、心理学や健康法を学び始める。そして、感謝の気持ちや心からの笑顔のエネルギーがその人を満たすと、エネルギーは循環し、家庭平和・世界平和・宇宙平和へ繋がると確信。多様な価値観に触れながら自分らしく軽やかに生きるためのお手伝いをしています。絵本を使った大人のための気づきや癒しのワークショップ(絵本セラピーR)も開催中。

今あなたは「子どもを責任もって育てたい」そんな想いから、悩みながらもキャリアの中断を選択し、「子育てが一段落したら社会復帰を考えよう。ブランクは不安だけど子育ては大事」などのように思っていたりしませんか?

私もその一人でした。

正社員退職時は「子育てが一段落したら」そのときの状況・環境に合わせて再就職(社会復帰)しようと、なんとなく考えていました。

ところが、一旦定着した生活のパターンを再構築するには、思っていた数倍ものエネルギーや勇気が必要でした。

「子育てが一段落した」といってもまったく手がかからないわけではありません。

夫婦ともに実家が遠方だったこともあり習い事の送迎や病時の世話など、気になることは山ほどあり、結局「一段落後の子育ての続き」を最優先し、状況や環境に応じて“できるだけ無理せずできる仕事”に数度転職をしました。

その経験を経て今は「社会復帰をするにあたり、“自分の自立・自律”という視点の有無で選択が変わり未来が変わる」ということを強く感じています。

もしあなたがブランク後の働き方についてちょっとでも悩んでいるのなら、「自立・自律」について一緒に考えてみませんか。

ライフイベントや環境に左右されやすい存在であるが故の「自立・自律」という視点の大切さを、キャリアコンサルタント@山田みわきが女性を取り巻く現状も含めてお伝えしていきますね。

キャリア中断・ブランク後の社会復帰での悩み

キャリア中断やブランクといっても退職しているだけではなく産休・育休取得のための中断・ブランクもありますよね。

また、再就職しても子どもの成長とともに悩みが変化してきます。ブランク後仕事をしようと考えた際に悩むのはどのようなことでしょうか?

  • 産休・育休取得したけれどいざ職場復帰が近くなると、子育てと両立できるか不安
  • 産休・育休取得したけれど環境整わず正社員退職を決心。子どもに無理させない働き方で社会復帰したいがどの程度なら大丈夫か、どのような仕事ならできるのかわからない
  • 子育てに専念したかったため産休・育休取得せず退職した。子育てが一段落したため再就職したいがブランクや年齢が気になる

など、ブランク後の再就職・社会復帰には様々な悩みがありますよね。

また、

ブランク後頑張って仕事をしていても、ライフイベントや環境に応じながら非正規で仕事をしていると

  • 子どもの成長とともにお金がかかるようになり、もっと働きたいが今からなにができるのか・・・
  • 自分の趣味や勉強のためにお金を使いたいが自由になるお金が少ない。夫の給料が主な収入源であり強く主張できない。
  • 子どもの希望に沿った選択のためにはお金が必要だが夫の同意を得られない

など‘経済面“や”価値観の違い“からも多種多様の悩みがでてきます。

女性が働く現状

ここで少し”女性が働く”という視点から社会を見てみましょう。

女性を取り巻く現状について

国立社会保障・人口問題研究所 「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2015年)によると「出産後継続就業率は近年大きく上昇しているものの、約5割の女性が退職している」となっています。

10年ほど前では約6割が退職しています。

日本女性の働き方を示す「M字カーブ」の変化

 

日本女性の働き方の特徴として昔から“M字カーブ”( 結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し,育児が落ち着いた時期に再び上昇する)の形状が取り上げられています。

近年、その形状が台形に近づいてきていますが、就業形態を見ると女性は25歳以降で正規雇用が減少して非正規雇用が増加する傾向がみられています。

これらのデータからは、仕事をしている女性の割合は増えていますが、その雇用形態は非正規雇用の割合が大きいことがわかりますね。

実は女性が希望する雇用形態も“非正規雇用”の率が高いのです。

参考資料

(女性の年齢階級別労働力による世代による特徴:男女共同参画白書平成25年版)

(年齢階級別労働力率の就業形態別内訳:男女共同参画白書平成25年版)

(女性の就業希望者の内訳:男女共同参画白書平成25年版)

仕事はするけれど仕事優先となりやすい正社員ではなく、ライフイベントや環境にあった働き方を望んでいる女性が多いのかもしれませんね。

[女性の働き方] 国における取り組みについて

また、このところ女性が働きやすい環境整備のための法律や制度が増えてきています。

<関連法律>

◆「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」

http://www.gender.go.jp/policy/suishin_law/index.html(内閣府男女共同参画局)

◆「子ども・子育て支援制度」

http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/index.html(内閣府)

◆「育児・介護休業法」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html(厚生労働省)

このように、女性が望んだ働き方を実現しやすくなるような環境は整えられつつあります。

但し、実際に理想通りに運用できているのはまだ一部企業に限られているという現状もあるようです。

このような現状においてあなたの社会復帰のために「自立・自律」の視点がなぜ大切なのでしょうか。

自立と自律

自立と自律の違い

辞書を調べると

自立
「他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに存在すること。自分の力を信じ、自分自身を信頼している状態。自分のあり方・姿勢という<状態>。精神的自立・経済的自立がある。対義語は“依存”。」
自律
「他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。自分で自分をコントロールできること。自分の意志で自分の行動を決めて実行すること。自分の立てたやり方・方法という<行動>。対義語は“他律”。」

とあります。

「自立」とは自分自身を信頼し、独り立ちしている状態。

「自律」は自分自身のビジョン実現のための行動・実践。

という感じでしょうか。

自立・自律を具体例からみてみる

ここで例を参考にして「自立・自律」を確認してみたいと思います。

Aさん、Bさんにほぼ共通していること

第一子妊娠のため退職。夫の海外転勤同行で渡米。

本人に就労ビザはなく専業主婦。ベビーシッターやデイケアなどの一時預かりや保育園を利用。

現地の人たちのコミュニティに積極的に参加。外国人向けの英会話教室に通う。

現地で第二子出産。数年後帰国。

このように表面的にはほぼ同じような状況であった二人ですが、の帰国後の生活は大きく異なってきました。

Aさん

海外での生活は子育てを頑張り楽しむことが目的だった。帰国後、第二子の子育てが落ち着くまで、影響が少ないようにと在宅ワークや単発の派遣等家計や趣味の足しに仕事をし、いずれ英語を使って仕事ができればと英検の資格を取得。子育てが一段落してきたため資格を使える仕事を探すが時間帯が子どもとの生活リズムに合わず断念。生活リズムを崩すことへの不安があり一歩を踏み出すハードルが高い。子どもの教育や習い事等に加え自己啓発や付き合いのため経済的負担が増していることを実感するが、環境や状況を優先するとフルタイム勤務は困難だとも思っている。

Bさん

海外での現地コミュニティや英会話教室参加は帰国後自分で英会話教室を開くという目的のための行動だった。帰国後一時預かりや義母・実母の助けを借りながら子供向け英会話教室講師となり経験を積み、第二子小学校入学前に英会話教室を開く。経営や育児で様々な困難もあったが周囲の協力を得ながら仕事と子育てを両立。時間的余裕は少ないが経済的に自立し、子どもの教育や自己啓発や旅行など、比較的希望を通すことができている。

いかがですか。

どちらの生き方が良いとか好きとかではなく、「自立・自律」して選択し、生活しているかという視点でみてみると、Aさんは自分の意志で選んでいるように見えますが環境や状況に制約を受けていますね。

周囲の環境にコントロールされていて(自律していない)、その結果精神的・経済的自立も難しいようです。

Bさんは自分自身のビジョンに従い行動し(自律している)、必要に応じて他の人アドバイスや協力を得ながら自分の行動を決定し、他からの支配を受けずに自立しているようですね。

Bさんのように「自律・自立」していると、他の人との関わりを持ちながら協力し合い、環境に左右されず主体的に自分の行動を決めることができ、自分自身を信頼することができます。

ブランク後の社会復帰にあたりイメージしてもらいたいこと

「自立」というと時に“他人に頼らない・自分ひとりでやっていく”と思われることもありますが、「自立」には人との関わりは不可欠です。

「自立・自律」していないと上手くいかないときに環境や周囲のせいにしたり愚痴をこぼしたりして終わりますが、「自立・自律」していると“他に上手くいく方法はないか?どうすれば実現できるか?”を考えるようになります。

ブランクから社会復帰を考える際には、一度「自立・自律」の視点で“何の制約もなかったとしたら自分はどうありたいか・何をしていたいか”“そのためにどのようにいつごろ環境や周囲に働きかけるか?”をイメージしてみるのがおすすめです。

社会復帰後のイメージを描く方法

とはいえ、どのように考えるのかわからないかったり、考えてもまとまらないときやイメージが不明瞭なときもありますよね。

そんなときは“今の不安や心配に注目するだけでなく10年先の将来まで一年ずつ考えて書き出してみる”のも役立つかもしれません。

ノートを横に長く置き、左端に今の自分の年齢と西暦を縦に10年分書いてください。横のスペースは空欄でOKです。

そしてその空欄に、自分のしたいこと、こうありたいと思う様子、子どもや夫の年齢、ライフイベントなどを書きたいように自由に書いてみてください。

この時、まず一番初めに“環境から何の制約も受けないとしたら10年後どうありたいか、何をしていたいか”を自分自身で自由にイメージして書いてみることがポイントです。

自信がないこともOKです。”できそうかどうか”ではなく”ありたいかどうか・やりたいかどうか”を大切にしてくださいね。

その後は少しずつ今に近づいていくのでも、まず現状を考えるのでも、ライフイベントを書いていっても、どう書き進めていってもOKです。

予測不可能な未来のことなので何を書いても自由です。

いかがですか?ちょっとワクワクしてきませんか?そのワクワク感はとても大切です。

ぜひワクワクする将来を自由に書いてみてくださいね。

そしてなんとなく書きたいことを書いたな~と感じたら、次は“その将来のために今できることは何か?何をするか?を書いていってください。

小さなことでも良いので”できること“を積み上げていってみてくださいね。

それはあなたが「自立・自律」して社会復帰するために、今できることです。

ひとりで整理できそうなら良いのですが、もしそれがちょっと大変そうなら、プロの手を借りてみるという選択肢も持っていると楽かもしれません(自立を目指しているからこそこの選択肢を選ぶ意味があるんです)。

NowJobサイトにはキャリアコンサルタントのプロ達が記事を投稿しています。他の記事もぜひ読んでみてくださいね。

また、お住まいの地域の「男女共同参画センター」「マザーズジョブステーション」「ハローワーク“マザーズコーナー”」の相談員やフリーのキャリアコンサルタントなどのプロに「自立・自律」した自分のイメージを実現させるために今できることを相談してみるのもありかもしれません。

他に、地域の女性活躍推進課の講演会やイベントに参加してプロの話を聴くのも刺激になったりすることもあります。

あなたらしく勇気の一歩を踏み出してみてはいかがでしょう。

経済的自立について

ここまで「自立・自律」の大切さをお伝えしてきました。

子育てでキャリアを中断し、ブランクがある女性だがらこそ意識していただきたいのが“経済的自立”です。

キャリアを中断しても生活できているということは、配偶者・パートナー・実家など周囲に経済力のある方々がいらっしゃる可能性が大きいのではないでしょうか。

社会復帰を考える際には、可能であれば、その方々の影響下に置かれないために、“いずれ(○年後には)自分で経済的自立をする”という意識を持つことをおすすめします。

すると生き方の自由度が高まります。旅行・おしゃれ・グルメ・子どもの応援・寄付・ボランティアetc…。

家庭や実家との価値観の違いに遭遇しても「自分の意志で選択・行動」できることが増え、自律した生活を送りやすくなります。

自分を信頼し、他の人を助けることもできる精神的に自立した生活を送りやすくなります。

青島祐子さんは著書『女性のキャリアデザイン 働き方・生き方の選択』(学文社)の中で

女性がキャリアデザインを描くにあたって、とりわけ重要な命題がある。自立的に生きるというライフプランを前提として、働くことを自分の一生を貫くキャリアとして位置づけていくことである。学校を卒業して職業を持つことは、女性のライフスタイルとして定着してきた。しかし、(中略)「結婚や出産」「将来の配偶者の都合」によって、その後の仕事がどうなるかわからないと考えている女性が依然として多い。人生80年、何が起こるか予測がつかない時代に、他人まかせ、状況まかせのシナリオは、きわめて高いリスクを伴う。

と述べています。

私は子育てが一段落した後の社会復帰の際に経済的自立を意識しませんでした。

また、自律も不十分で他者や環境からの制約はあって当然のもので、ある程度従うべき当たり前のものと思い込んでいました。

3の例で挙げたAさんのような状態だったと思います。

傍目には落ち着いた平凡なそこそこ幸せな生活に見えていたかもしれませんが、自分以外の人や環境の影響を受けながら判断したり、自分の考えを伝えるのが怖かったりしていました。

特に悩んだのが”経済面での価値観の違い”への対応でした。

私の不安定さは家庭や子ども達へ大きな影響を及ぼしました。

もちろんひとりひとりの環境や使命には違いがあり、多様な選択肢があります。

自分で主体性を持ち、経済的自立を選ばない生き方ができるのも素敵です。

経済的に自立していなくても環境や状況に影響されず「自立・自律」して生きているのであればOKだと思います。

「絶対コレ!」はありません。

“経済的自立を目指せるのであればその方が「自立・自律」が楽かもしれない”という感じです。

また、「経済的自立」の方法は正社員就業だけとは限りません。

はじめに書いたように、途上とはいえ女性が働きやすい法制度等が整いつつあり、副業や起業のハードルも低くなってきました。

活用できる資源は感謝して活用し、人との関わりや縁を大切にして、あなたらしく自分自身の「自立・自律」を意識して社会復帰に向き合っていただけたら嬉しいです。

まとめ 命とは?生きるとは?

 ”命”とは?”生きる”とは?を考えてみることは「自立・自律」してライフスタイルやキャリアプランを考える際に役立ちます。あなたは、いただいた命をどんな風に生きていきたいですか?

著名な方々の言葉をご紹介します。

瀬戸内寂聴さん「生きるとは、自分の存在が誰かの役に立ち、他者を幸福にすることです」『今日を生きるための言葉』第572回 より

スティーブ・ジョブス氏「あなた方の時間は限られています。本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。(中略)他人の考えによってあなた方の内なる声や直感がかき消されないように。そして最も大事なのは、あなたの心と直感に従う勇気を持つことです。」2005年スタンフォード大学卒業式でのスピーチより

日野原重明さん「とは、人間が持っている時間のことです」『十歳のきみへ 九十五歳の私から』(冨山房インターナショナル)より

佐治晴夫さん「生きるとは、自分自身の物語を作ること。」『ぼくたちは今日も宇宙を旅している』(PHP研究所)より

豊かな自立・自律の意識を内包した言葉たちですね。

~テーマに寄り添う おとなのための絵本紹介~

『ルピナスさん―小さなおばあさんのお話ー

バーバラ・クーニー 作/かけがわやすこ 訳 (ほるぷ出版)

ルピナスさん―小さなおばあさんのお話

「世の中をもっと美しくするために、なにかする」という想いを抱いて自分らしい命を生きた女性(ルピナスさん)の物語が描かれた絵本です。

ひとりの自立・自律した女性の凛とした生き様が心に響きます。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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国家資格キャリアコンサルタント/価値観受けとめカウンセラー。様々な社会とのかかわりの中で自分を見失うことがあり、心理学や健康法を学び始める。そして、感謝の気持ちや心からの笑顔のエネルギーがその人を満たすと、エネルギーは循環し、家庭平和・世界平和・宇宙平和へ繋がると確信。多様な価値観に触れながら自分らしく軽やかに生きるためのお手伝いをしています。絵本を使った大人のための気づきや癒しのワークショップ(絵本セラピーR)も開催中。










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