〔傾聴〕キャリコン実技面接試験における感情、気持ちに寄り添うポイント
キャリアコンサルタント実技面接の練習で
「クライエントの感情を受け止めてないよ」
「クライエントにもっと寄り添って傾聴したほうがいいよ」
とフィードバックで言われることはありませんか。
自分では傾聴して寄り添っているつもりなのに…どうしたらいいんだろう…
と腑に落ちずモヤモヤしてしまいます。
傾聴? 感情ワード? 寄り添う?
正体が見えないものとの対峙でモヤモヤ感倍増ですよね。
そこで、キャリアコンサルタント@永居まき子が、そのモヤモヤを吹き飛ばし理解できるようにお伝えしますね。
キャリコン受験生の皆さん、是非参考にしてくださいね。
改めて「傾聴」について
キャリコン受験生にとって「傾聴」は、よく耳にして理解している言葉になりますね。
ここで「傾聴」について、ロジャーズの「積極的傾聴法」でシッカリと再確認しましょう。
積極的傾聴は、米国の心理学者でカウンセリング、カール・ロジャーズによって提唱され、
聴く側の3要素として「共感的理解」、「無条件の肯定的関心」、「自己一致」を挙げています。①共感的理解(共感)
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。②無条件の肯定的関心(受容)
相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。そのことによって、話し手は安心して話ができる。③自己一致(一致)
聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反する。(メンタルヘルス教育研修担当者養成研修テキスト 平成22年1月 一部引用)
傾聴の注意ポイント3つ
傾聴の3要素は確認できましたね。
その中でも、実技面接試験の傾聴として最も重要となるのが次の2つです。
◆無条件の肯定的関心(受容)
でも、分かっていても何故か上手くいかないのはどうしてでしょうか。
ここで特に注意すべきポイントを3つ挙げてみますね。
CCの経験則でクライエントの気持ちを分かった気になっていませんか?
「ええ、お気持ちとてもよく分かりますよ」
◆CCが同じような経験をしているとCC自身の経験と重ね理解してしまい、クライエントへの共感的理解が出来ていない。
※子育てと仕事の両立で悩んでいるCLの相談を、私も経験したから、CLの気持ちがとてもよく分かる。
アドバイス・問題解決へと進めていませんか?
「そんな場合は~~~した方がいいと思いますよ…」
◆CCの価値観で方向性を決め誘導するなど、無条件の肯定的感心に欠けている。
※上司から女性活躍推進室長の昇進の話を内々に言われ自信がなく迷っているCLに、今、社会全体がその流れになっていてチャンスだから受けた方がいいのでは…。
苦手なタイプのクライエント!? クライエントの相談がしっかり耳に入ってこないのでは?
(・・・・なんだか、気難しそうな年配の男性だなぁ…)
◆クライエントから受ける第一印象で、CCの苦手意識が強くなり受容感がない。
※私(CC)よりかなり年上だなぁ、以前の苦手な上司と少し似ている感じでイヤだな。
キャリコンの実技面接試験はインテーク面談60分のうちの最初の15分です。
その15分で解決に至るわけではありません。
自分の経験則・価値観で分かった気にならないよう注意することがポイントです!!
寄り添い感とは
次に、どうしたらクライエントに寄り添っていると伝わるのでしょうか。
先ずはクライエントが言った感情ワードを拾いそのまま返すことが、重要ポイントになります。
感情ワードとは
感情ワードとは、クライエントの相談内容で、事象(起こった出来事)ではなく、クライエントの“喜怒哀楽”として発せられた言葉になります。
クライエントは相談に来ている訳ですから、悩みや迷いなどネガティブな内容となり、発せられる言葉は“怒 哀”の感情ワードが多くなります。
そのネガティブ感情ワード、ポジティブ感情ワードを、幾つか挙げてみますので参考にしてくださいね。
感情ワードはどんな時にでるのか
例えば次のようなケース
主人に海外転勤の話があり、主人は嬉しいと言っています。
付いてきてほしいと言われましたが、慣れない海外で子育てをするのがとても不安です。
この場合の感情ワードは『嬉しい』『不安』です。
事象の後に感情ワードを発する場合が殆どです。
[事象+感情ワード]
⇒(事象)海外転勤の話 +(感情ワード)嬉しい
⇒(事象)慣れない海外で子育て +(感情ワード)不安
そこを見逃さずに感情ワードを拾い繰り返しましょうね!!
<キャリアコンサルタント>
ご主人は海外転勤を嬉しいと言ってらっしゃるんですね。
でも、慣れない海外での子育てが不安なんですね。
具体的な練習のポイント
それでも感情ワードを上手く拾えない、そんな場合の練習方法をお伝えします。
是非、実践してくださいね。
練習RPを録音し、その録音を聴き直す時、クライエントが感情ワードを言ったら、一旦録音を止めます。
そして、その感情ワードを声を出して繰り返す。
実践のように声を出して繰り返すことがポイントです!!
クライエントの悩みの原因を確実に掴もう
傾聴を理解し、感情ワードが拾えるようになり寄り添い感もできた。
でも、どうですか…クライエントの悩みの原因は理解できていますか?
悩みの原因をズレて理解していると、寄り添い感が浅くなってしまします。
クライエントは一番分かってほしかったことが伝えきれず、不完全燃焼になります。
クライエントの悩みの原因を確実に正確に掴むことはとても重要になります。
クライエントの悩みの原因をイメージしてみますね。
クライエントのキャリアを一本の線に例えます。
悩みが無ければ一本の線ですが、悩みが起きたことで一本の線が、点線へと変わります。
その点線に変わったことが悩みの原因です。
定年まで頑張りたいと思っていたところで、義母が階段から落ち介護が必要な状態になってしまって…。
後2年で定年だけど、仕事をどうしたらいいかと悩んでいます。
この場合の悩みは『この先仕事をどうしたらいいか』です。
そして、悩みの原因は『義母の介護』になります。
『義母の介護』があることから、一本の線が点線へと変わりました。
誤ってはいけないのは『仕事』について傾聴することは大事ですが、悩みの原因を理解し、そこに寄り添うことが重要だということです。
<キャリアコンサルタント>
お義母さんの介護について、ご家族でお話はされたのですか?
お義母さんの介護が必要になった時、どのように思われましたか?
まとめ
どうでしたか、モヤモヤ感は少し晴れましたか。
キャリアコンサルタント実技面接試験は、傾聴・感情・寄り添い、正体のない敵との戦いと感じてしまいます。
正体のない…ではなく、CCの関わり方で答えが何通りもあるということです。
一つ一つポイントを掴みながら、根気を持って練習に励んでくださいね。
クライエントはCCに悩みを打ち明けたいと待っています。
自信を持って臨んでいきましょう。
頑張っているあなたにエールを送りますね!