キャリアコンサルタントとキャリアカウンセラーの違いは?

キャリアコンサルタントの資格取得者が具体的にどのようなことをしてい るのでしょうか。
「転職や就職のときに相談などを手伝ってくれる人」というようなボヤっとしたよくわからないという認識があるようです。
キャリアコンサルタントととしてキャリアカウンセラーは似たような名称ですが、この2つに何か違いはあるのでしようか?
両方とも就労支援やキャリア形成支援をお手伝いする仕事ですが、もう少し具体的に見ていきたいと思います。
キャリアコンサルタントは国家資格
キャリアをコンサルテイングする!
キャリアコンサルタントは、キャリアのコンサルテイングをします。
キャリアコンサルテイングについて、厚生労働省の以下の通り定義しています。
「キャリアコンサルテイング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことを言います。(厚生労働省HP)
例えば、
- 「会社で嫌なことがあった、誰に相談しよう?」
- 「結婚・出産・子育て仕事の両立をどうすればいいのか?」
- 「親の介護が必要になってきた。いままでのように仕事中心では難しい」
といった、誰でも起こり得るもの、人生で予測できること・できないことに直面した際に、どのように考え、対応していけばよいかをサポートする存在がキャリアコンサルタントです。
国家資格について
「キャリアコンサルタント」は、2016年4月に国家資格化されました。
それ以前は、キャリアカウンセラー、キャリアアドバイザー、キャリアコンサルタント等の民間資格が存在し、どれを名乗っても問題はありませんでした。
国家資格とは、国の法律で定められた資格のことをいいます。
又、国家資格には大きく分けて2通りあります。
1)医師や弁護士のような、その資格を持っていないとできない仕事。
2)キャリアコンサルタントや保育士のような、その資格を持っていないと名乗れない職業。
国家資格化されたキャリアコンサルタントのことを厚生労働省ではこのように定義しています。
「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルタントを行う専門家で、需給調整機関(ハローワーク等)、企業、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。(厚生労働省HP)
キャリアコンサルタントとキャリアカウンセラーの違い
似たような名称ですがこの2つに何か違いはあるのでしようか?
両方ともキャリア形成のサポートや就労支援のお手伝いをする仕事です。
違いは国家資格か民間資格という点
両社の違いは、国家資格か民間資格かという点です。
キャリアコンサルタントが国家資格なのに対してキャリアカウンセラーは民間資格となります。
違いはこの1点だけですが、国家資格と民間資格では取得する価値にもおおきな差があります。
国家資格の価値
国家資格は国や国から委託を受けた機関が認定する資格なので、信頼性や社旗的価値は非常に高いです。
有名な資格ですと、例えば看護師、気象予報士、税理士などがあります。
職業をみての通り誰でもが知っていて安定な仕事が多いですね。
安定な職業が多いので需要もある国家資格ですが、国が認定していることもあり求められる知識や技術は高く資格取得も民間資格に比べると難しいです。
民間資格の価値
一方、民間資格は企業や民間が認定しているので、認定元によって資格の種類はバラバラで取得の難しさも異なります。
例えばトリマー、医療事務、ネイルなどが民間資格です。
国家資格に比べると全体的に難易度は低く社会的価値も劣りますが、ある程度勉強すれば誰でも簡単に取得できるといったメリットがあります。
相談業務をするうえで資格は必要か?
キャリアコンサルタントとキャリアカウンセラーは今見てきたように、国家資格又は民間資格という違いがありました。
進路相談や就職支援といったキャリア開発のお仕事は場所によっては国家資格や民間資格を取得しなくてもなることは可能です。
ただ、2016年の厚生労働省がキャリアコンサルタントを国家資格化し人々のキャリア開発により一層力を入れているように、今後はキャリアコンサルタントの資格が必要になる時代もやってきそうです。
キャリアコンサルタントはなぜ国家資格になったのか?
日本は労働力人口が減少し、年功序列や終身雇用などのこれまでのシステムを転換せざるをえないか、働いている人自身がキャリアについて主体的に考え、行動することが求められるようになってきました。
又、一人ひとりが能力を最大限に活かして長く働ける社会を実現させる必要が出てきました。
つまり、個人が自分自身に適した働き方を選択する時代になったといえます。
しかし、どのようなキャリアの選択肢があるのか、どのような教育訓練の機会があるのか等、働く個人が知らないことも多いといえます。
そこで、定期的なキャリアコンサルテイングの機会が求められるようになり、そのサポートを行う専門家として、2016年4月に職業能力開促進発法という法律により、国家資格「キャリアコンサルタント」が誕生しました。
国は、労働者一人一人が自分自身のキャリアを考え、より良いキャリアづくりができるように自らを振り返る機会を作ることを推し進めていき、仕事の内容(職種)や働き方が多様化される中で労働者一人ひとりのキャリア作りを行うことが、社会全体の雇用の促進につながると考えたのではないでしょうか。
キャリアコンサルタントは名称独占タイプの資格
キャリアコンサルタントの特徴
1. 登録制度
国が指定した登録機関に登録が必要。又、登録機関への登録には一定の条件あり。
2. 名称独占
「国家資格キャリアコンサルタント」として登録していない場合に「キャリアコンサルタント」と名乗ると罰則規定(罰金等)の対象となる。この資格を持つ人だけが、「キャリアコンサルタント」を名乗って活動できます。
3. 更新制度
資格取得後5年間に厚生労働省指定の期間で更新講習(知識講習8時間・技能講習30時間)受講終了しないと資格の更新が出来ません。
キャリアコンサルタントの仕事や特徴
①学生の就職活動支援
多くの学生は卒業を見据え、在学中に就職活動をします.
就職活動の開始時期に関しては、一定のルールが企業に求められてお り、各校のキャリアセンターなどにより就職ガイダンスや説明会行われています。その際に中心となるのがキャリアコンサルタントです。
インターンシップを利用し職業のイメージギャップを埋める。
まず、就職活動の一環として学生が考えることに「インターンシッ プ」があります。
インターンシップとは、企業における職業体験のこと。インターンシップは1日のみで完結するものから、1カ月~数カ月に渡るものもあり、有給や無給など様々です。
学校紹介もあれば、自分で調べて参加する場合もあります。
インターンシップに参加して履歴書に記載すると「就職に向けて積極的に動いている」と企業からの印象も良くなる傾向にあります。
よって、就職活動の一歩としてインターンシップへの参加を促します。
もう一つの理由として、実際の職業や仕事内容について知識の向上を図れます。
エントリーシートを一緒に作り上げる。
エントリーシーとは、書類選考の際に企業から求められる応書類のこと です。
エントリーシートはその学生の個性を知るためのものなので、さまざまな形式・内容があります。
一般的なエントリーシートは次のような項目をまとめます
- 学業・ゼミ・研究室で取り組んだ内容
- 自己PR(400字程度)
- 学生時代に最も打ち込んだこと
キャリアコンサルタントの学生就職サポート
キャリアコンサルタントは、学生の自己PRをここからどうやって採用担当者の目に留まるような内容にするかを考え、学生と一緒に作り上げていきます。
まず、キャリアコンサルタントは書類選考に関してその学生の個性・強みなどを引き出すようにキャリアコンサルテイングを行います。
そこから出てきたものをどのように書類へ活かすかを学生と一緒に考え作成します。
面接
面接は最も緊張する場面なので、学生が企業側に良い形で自己アピールができるように模擬面接を実施。
模擬面接では、ノックの仕方、回数等など必ず入退出の練習が必要です。
さらに、面接官から質問をされて受け答えをするための練習も必須となります。
②社会人の転職支援
社会人の転職については、社会人としての経験を持って相談に来ます。
相談者に対して、まず、しっかりと気持ちを聴きます。
とにかく「傾聴」というカウンセリングスキルをフル活用します。
相談者の周りで今、何が起こっているのか、背景は何なのか、今までどんな気持ちで働いてきたのか、今はどのように思っているのか、今後どうありたいのか等を徹底的に話してもらいます。
不安、希望、思い、経験等、相談者が「話したい」ことすべてをキャリアコンサルタントは自身の主観を入れずに受け止めます。
話を聴く基本は、「相手に気持ちよく、たくさん話してもらう」ことです。この時の対話の割合はキャリアコンサルタント2:相談者8くらいでしょうか。
相手と関係構築を維持しながら、どんどん話をしてもらい、相談者が抱える真の問題を捉えていき、問題点の把握、問題点の合意、今後どうしたいのか(転職なのか、残るのか、ほかの手段があるのか)を聴き取り、相談者との目標設定を合意し、支援策を策定し、相談者が自ら納得した行動ができるように支援していきます。
③企業内キャリアコンサルテイング
企業内コンサルテイングの主な内容は、異動や昇進に伴う仕事内容の変化、モチベーションの低下、キャリアアップ、時短勤務で働く情勢の悩み、有機契約に関する問題、メンタルヘルス問題などです。
相談のプロセス
- 導入段階(聴く、質問する)
- 整理段階(整理、説明、リファー)
- 展開段階(確認、掘り下げる、働きかける
具体的な方法
少数のグループまたは1対1で行います。
少数のグループの場合は、キャリアコンサルタントが多くの従業員にキャリアについて考えるきっかけを効率よく提供。
1対1の場合は個人の課題を把握、整理し、その解決をサポートできます。
コンサルタントは中立的な立場を常に意識します。
キャリアコンサルタントはこの時、従業員と企業の架けの役割を果たします。
企業内キャリアコンサルタントとしての役割は、あくまで中立的な立場でキャリアコンサルテイングを行うこと。
特に企業に属している社内キャリアコンサルタントは、その企業から給料をもらっている立場上、このようなスタンスでキャリアコンサルテイングに取り込むことが難しいかも。
その為、常に「キャリアコンサルタント倫理網領」を念頭に業務を遂行する必要がありますね。