夢を追いかけて就職しない(バイト、ニートなど)子供に対して親の関わり方
「やりたい夢がある」と子供がいってきた。
就職活動をまえにして突然「声優になりたい」「バンドで食べていきたい」と。
子供が夢を追いかけて就職しない!?
親は思わず「はぁ~??」
就職活動の時期になって、現実味のない何とも馬鹿げた夢を語り始め、就職活動をしようとしない我が子に開いた口がふさがらない。
ニュースでは我が子の学年の就活が始まったと言っていた。
周りの子達は企業説明会に行き始めているのに、どうした我が子よ!
このまま、大学を卒業しても就職しないでバイト? ニートになるのでは?!と不安が・・・。
この声優やバンドという芸能関係の夢の他にも、スポーツ指導者・パティシエ・キャビンアテンダント等々、親からすると大学まで行かせ進んだ学校にアンマッチな夢に、しかも就活の時期になって進みたいと言い始め、何て言ったらいいのか親の関わり方で悩んでいませんか?
夢を追いかけて就職しない(バイト、ニートなど)子供に対しての親の関わり方についてキャリアコンサルタント@小林一美がお伝えします。親の関わり方についてヒントになれば幸いです。
※ここでは、子供を持つ親、保護者向けに記事を書いている為、成人している大人であっても、親の立場で「子供」と表現しています。また、親・保護者の立場を統一して「親」と記載します。
子供が夢を追いかけて就職しない時の親の葛藤
就職支援をしていると実はよくある話しです。
就職活動がなかなか進まない人、大学を卒業しても就職が決まっていない人が、心のどこかで何かしらのやりたいこと、夢や憧れを持っていて、それ以外の進む道が見つけられないときに「実は○○がしたかった。これ以外の仕事が思いつかない」と話すことがあります。
親に反対されて悩む人もいれば、自ら中途半端に諦めて悩む人もいます。
夢や憧れ、なりたい職業や目指す人がいることはとても素敵なこと。
親の私たちも応援したい気持ちはありますよね。
しかし、そうはいっても、現実的でないと感じる事があります。
そんなとき、ちょっとした関わり方を変えるだけで、自分自身で現実的でないと気づき将来について考え直すきっかけになり、就職活動がぐんぐん加速する事があります。
【夢を追いかける子供に親の対応①】子供に夢を語らせる
突然現実味の無い話しをしてくると「何を馬鹿げたことを?!」「現実逃避せずにしっかり就活しなさい!!」と言いたくなりませんか。
しかし、ここは我慢です。我慢してください。
我慢して、まずは話しを聴く事です。
目標は「親は自分の話を聴いてくれた、受け止めてくれた」と思ってもらうことです。
夢を聴くときのポイント3つ
最後まで口を挟まず辛抱強く聴く
親御さんから見て、心配するようなどんな職業や夢も、本人にとっては真剣に考えている話です。
子供が親に話してくれているこの機会に、辛抱強く口を挟まずに最後まで聴きましょう。
〈期待できる効果〉
- 就職活動についての本音が聴ける
口を挟まず最後まで聴かないと「どうせ反対されるから」「親には理解してもらえないから」と就職活動に関わる本音は聞けなくなってしまいます。
- 現実に目を向ける機会を与える事ができる
想いをアウトプットする機会がなく自分の殻に入ってしまった時、現実に目を向ける機会を手に入れるのに時間がかかると考えられます。
親が話しを聞けなくなるだけで、子供が現実に目をむけて進めていけるならばいいのですが、そうでない場合はアウトプットする機会が大切です。
- 就職活動に意識がむく
夢を語り、現実に目を向ける機会の無いまま自分の殻に入ってしまうと、学生なら就職しないまま卒業してしまうことに繋がったりします。
夢をもって就職活動が難航している人の多くは「親に話しても反対されるから何も話していません」といっています。
親の代わりに夢を聴き、それに必要な支援が受けられるキャリアカウンセリングを受ける機会があればいいのですが、どこにも本当の気持ちを話さなくなってしまうと、頭で考えるばかりで何も手がつかず、いつまでも現実に目が向けられないまま時間だけが過ぎていってしまいます。これは一番避けたいことです。
まずは辛抱強く口を挟まず最後まで聴きましょう。
あいづちと頷きをする
頷きやあいづちをしながら聴きましょう。
ただ、無表情に話しを聴いているだけでは、子供は親が自分の話を理解しようとして聴いてくれているとは感じません。
むしろ警戒して、親への反発に繋がる防御体制を取らせてしまうことになりかねません。
〈方法〉
- 頷きましょう
まずは、目を合わせながら首を縦に振り頷きます。そうすることで、話しを聴いているという事が伝わり、子供は安心し嬉しくなります。
- あいづちしましょう
「うんうん」「へ~」「そうなんだ」「それがしたかったんだね」など、話しの内容に合わせて返します。
そうすることで更に、親が自分の話を受け止めてくれたと感じ、子供の持ちを素直な状態に整えます。
復唱する
復唱とは、子供が語った話しをそのまま繰り返すことです。
子供が話した内容の気持ちがこもっていたところや、大事だなと思うところを繰り返すことで、『ちゃんと話しを聴いていたでしょう』『あなたが言いたいのはこういうことであっているのかな』と、子供の話しを理解しようとしているという気持ちが、より印象づけることができます。何よりも、親自身の理解確認にもなります。
この3つができれば「親は自分の話を聴いてくれた、受け止めてくれた」と思ってもらえるのです。
【夢を追いかける子供に親の対応②】子供に効果的な質問をする
次は効果的な質問をしましょう。
話しを聴くだけだと「親が認めてくれた」「容認した」と思い込み、楽観的に夢に進んでしまいます。
また、夢があることで就活が手につかないという割に、それを叶えていく為の情報を収集せず、ただ単に夢に憧れ停滞している事が多いところ。
子供が語った夢において、それを叶える為に必要なことは何かというように質問をします。
実はこれがとても重要です。
〈期待できる効果〉
自分を客観視することに繋がります。
- 夢にまっしぐら進むのか
- それとも就活して進み方を見直すのか
- 現実を知り向き合った結果、夢に向かう覚悟・決意・熱意があるのか
子供自身が自分の本気度を深く理解し判断出来るようになります。
子供の突拍子もない夢を聴いて、親が大抵言いたい言葉が「そんなに甘いものではない」就職活動の時期「何を今更そんなこと言い始めて」だと思います。
何故そうなるのか・・・。
アルバイトをしているとはいえ、世の中の仕組みや厳しさをまだ十分知らない子供と、これまでの人生で得た経験や知識で世間を少し知っている親とでは、知識経験値の差があるからだと考えます。
だから、そのギャップをうめるように、子供に夢を叶える為の道のりとリスクがどれだけのものであるかを調べさせ、現実という実態を知り理解する支援をします。
ここで大事なことは、質問をきっかけに自分で調べさせると言うことです。
親がどれだけ正しい現状を伝えても、それは反対されているからとしか子供は受け取りません。
だから、現状を目の当たりにできるように、自分で調べさせる必要があるのです。
子供に考えさせる質問の項目例
- 夢を叶える為には、どんな能力が必要か
- 能力を身につける為にすべき事は何か
- 必要な時間、期間はどのくらいか
- 能力を身につける為の場所はどこか
- 生活基板がどこになるのか(実家通い・一人暮らし・日本・海外)
- 必要な資金(資格取得・技術能力向上・生活費・活動費・各種保険料 等)
- 資金の調達方法(貯金使用・バイトで稼ぐ・仕送り 等)
- 稼げるようになるまでの期間と期待できる収入
- 成功する確率
- リスク(30代で初の就職活動 等)
必要経費
この経費をより具体的に算出することも一つの鍵になります。
具体的に夢に向かうことへの金銭的な部分について質問します。
たとえば、声優志望者の場合
〈経費質問項目一例〉
- 専門学校や養成所の費用
- 生活費(家賃・光熱費・食費・携帯代・各種保険代 他)
- 活動費(オーディション受験移動・特別レッスン)
- 声優で稼げるまでの収入
現実を理解し始める
夢について話しを聴き、それを叶える為に必要な情報を聴いていくと、自然と現時点においてのメリットとデメリット、いわゆるリスクが見えてきます。
はっきりしなくても、感覚的に自分にできるかできないか、覚悟をもって進めることができるかできないか、リスクを負ってまでやっていきたいかどうかがわかるようです。
声優志望者の場合
- 専門学校に行きプロダクションに入ったとしても仕事が必ずあるわけではない
- 稼げるようになるのにどのくらいの期間が必要か、
- 職業として収入を得る可能性、
- 稼げるようになるまでの生活
【夢を追いかける子供に親の対応③】別の方法で夢を考えられる
人には「欲」がありますね。夢はやりたい事として欲の一つと考えます。
この欲は職業として満たすこともあれば、趣味や生活の中で満たすことができたりします。
しかし、自分一人では職業以外での満たし方に目が向かないことが殆どのようです。
夢に正面から向き合い現実にも目が向くと、まずそのことへの想いの強さが自分でも感じ取れるようになるみたいです。
本気なのか、覚悟はあるのかと言った具合に自問自答ですね。
そして「無理してまでしたいとは思わないな」「ただの憧れだった」というように自分自身の本気度について気がつくのです。
声優志望者の場合
声優としての職業にそこまでして就きたいわけではなく、吹き替えをして楽しみたいだけだったと気がつきました。
リスクに立ち向かうだけの熱意や覚悟、本気度が自分には無いとわかったのですね。
結局声優としての職業には進まず、趣味として吹き替えを楽しんでいきたいと言うことになりました。
サッカー指導者の場合
サッカーが好きでサッカークラブのコーチになりたかった人は、土日休みの企業に就職しました。
そして、週末に地域のサッカーチームのボランティアコーチをすることになりました。
ボランティアコーチとして経験を積み力をつけて、ゆくゆくはどこかで活躍するかもしれませんね。
やりきった後に就活が加速した一例
積極的に就職活動しはじめ、同時に何社か内定を頂けるまでに!!
サッカー指導者を目指した人は最初、やりたいことが特にないのでなかなか進まないと相談にきました。
そこからサッカーの指導者になりたいと語り始めたのですが、特別サッカーが上手でも無く実績はないとのこと。
また、それに関わる資格を持っているわけでもなく、ただサッカーが好きだからということでした。
これだけでは指導者になるには条件的に難しいかなと思ったのですが、スッキリと前に進められず情報も十分に無く諦められないようでしたので、これまでに書いたように話しを聴くところから始め、サッカーのコーチになる為の職探しを提案しました。
夢にチャレンジするも不合格 その結果!!
早速いくつかのスポーツクラブ・サッカー教室・クラブチームを探し、社員募集の問い合わせをして応募しましたが、残念ながら内定が貰えることはありませんでした。
更に、並行して採用に有利な資格取得やサッカーのスキルアップも検討しました。
すると本人は「普通に企業に就職します」と宣言!
やるだけの事をやったので諦め、いえ決心がついたようです。
それ以降は就職活動に対して気持ちも前向きになり、表情にも意思と意欲がのりとても積極的に活動したので、同時に何社か内定を頂けるまでになりました。
決心がついてから内定をとる迄、とても早かったのが印象的でした。
自分の人生に責任と覚悟を持って選択できる
夢と向き合い現実を知った上で、ますます想いが強くなる場合も中にはあります。
夢に向かって進んでいきたいと決断する場合です。
そう多くはありませんが0ではありません。
しかし、その場合には是非応援をしてあげて欲しいと思います。
色んな事を調べても尚やりたいという想いが強いなら、そこには調べたそれらの事について覚悟を持って進む事ができるからです。
夢の話しを聴き、効果的に質問をすることができていたなら、それまでの本人の甘い気持ちとは明らかに違うはずで、後悔しても失敗しても自分の人生について責任を取るのは自分であると自覚して進みます。
ここまでくると本当に叶えたい夢だという事と思います。
その上で、全力で本気で頑張る心構えができるのです。
本気で頑張る心構えができると、不可能も可能に変える力が発揮されますね。
決めた事に責任を持って取り組むよう、エールを贈って見守ってあげてください。
まとめ
どんな選択も後悔する可能性は必ずあります。
それと同じだけ後悔しない可能性もあります。
後悔するもしないも子供次第。
しかし親は、子供が後悔するような事は避けさせてあげたい。
少しでも裕福で楽な人生を送らせてあげたいと思うのですが、子供の人生は子供のものなのです。
子供が自分で選択した道に覚悟をもって進む。
後悔しないよう、頑張れるようにエールを贈り見守ることが親の役目の様です。
やりきった、考え抜いた、あの時はこうするしかなかった、あの時の判断は自分の中での最善だった、と思えるようにしっかり話しを聴いて、質問をして現実と向き合い答えが出せるようにしてあげてください。
これが就職支援面談経験から考える、夢を追いかけて就職しない(バイト、ニートなど)子供に対して親の関わり方です。
悩まれている親御さんの、ヒントになれば幸いです。