国家資格キャリアコンサルタント集団が斬る仕事論

子供が就職できない!就活失敗時に親ができる関わり方やアドバイスは?

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国家資格キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルタント技能士。我が子へ親の関わり方カウンセラー。20年以上子供指導関連に携わり、保護者の子供への悩みにも寄り添い一緒に考えてきました。人事部等人材育成に携わった経験を活かし、現在は企業での社員教育やキャリア面談、そして大学生就職支援に従事。仕事選びやモチベーション、働き方において保護者の影響力を実感しています。保護者の思いを理解しつつ、子供が幸せになる関わりは何か一緒に考えていきます。

このタイトルに目を留めて見ているあなたは、子供の就職に危機感を持っているのでしょうか。

それとも、既に我が子が就職先を決められずに卒業をしてしまって、親の関わり方や子供へのアドバイスの仕方をお探しなのでしょうか。

私は学生の就職支援に携わっています。

そのうち就職がなかなか決まらない就活生が、親の何気ない言葉が原因となり、悩み苦しんで一歩が踏み出せないでいます。

この悩み苦しんでいる心の叫び、きっと親はこの状態を知らない。

知らないから子供の為にとアドバイスを繰り返し、これがかえって就職活動の足かせとなっている、とこんなふうに感じる事があります。

私にも子供が二人います。

子供が親に見せる姿や発する言葉は、他人に見せる姿や言葉とは違っていたりします。

どちらが子供の本当の姿なのでしょうか。

カウンセラーになって気付いた事ですけれど、そのどちらも子供の本当の姿であり、子供が伝えたい言葉でした。

私が日々学生支援をする中で感じることや、就活のなかで悩み苦しんでいる様子の一部を共有させて頂くことで(個人が特定されないように守秘義務厳守で)少しでも親御さんの関わり方のヒントになれば幸いです。

子供が就職できないときに親はどうすればいいのか。

就活失敗時に親ができる関わり方やアドバイスの方法について、キャリアコンサルタント@小林一美がヒントをお伝えしていきます!

※ここでは、子供を持つ親、保護者向けに記事を書いている為、成人している大人であっても、親の立場で「子供」と表現しています。また、親・保護者の立場を統一して「親」と記載します。

内定が取れない子供の気持ちを理解して

「1日でも早く就職先決めなさい!」「活動しているの?」と親として心配して出てくるこの言葉。

目の前の子供の気持ちを考えもせずに、親の感情をぶつけるのはとても危険です。

上手くいくはずの就活も上手くいかなくなってしまいます。

子供との会話が多いご家庭ならば、直接子供の言葉で気持ちを受け取り理解すればいいでしょう。

しかし、もともと会話が少ないご家庭では、ナイーブなこの問題について気持ちを話して貰うのは少し難しいかもしれません。

多くの学生が経験している就職活動を踏まえながら、就職先が決められなかった子供の気持ちについて書いていきたいと思います。

大半の子供が自信を無くしている

ある学生が私に言いました。

「先生、面接が怖いです。不合格通知を見ると自分が全否定されているように感じるのです」

歯を食いしばり目は悲しんで声は震えているのに、一生懸命に笑顔を見せながら話してくれました。

想像してみてください。

1社でも受けた経験があるならば、書類を提出し当然ですがそこで一度は合否通知を受け取っています。

ドキドキしながら、祈りながら通知を開けてみると不合格通知だった。本命でなかったとしても少なくともがっかりするでしょう。

又は、思いが通じ書類選考通過し筆記試験・グループ面接・個人一次面接・二次面接・最終面接と進んだとしたら、その度に、ドキドキして結果を待っています。

内定0というのは、その結果不合格と言うことなのです。

もっとリアルに想像してみましょう。

面接では顔を合わせて会話をしていますよね。自分についてあれこれと質問され、それに答えた結果が「不合格」の通知だったということです。

2018年卒マイナビ学生就職モニター調査の結果を見てみると次のような結果がでています。

・エントリーシート(最初の書類選考)を提出した会社の数は平均16社

・面接を受けた回数が平均9社

平均で9回面接を受けています。

これだけの回数「あなたは不合格です」と言われたらどんな気持ちになるでしょうか。私は耐えられる自信はありません。

私が就職活動をしていた時期は売り手市場でしたので、最初の職場は3社目で決定。

転職の時は1社目で決まりました。

おそらく学生時代の就職活動で3回以上のトライはできなかったと思います。

なぜなら3回目結果待ちの時「これでダメなら就職は見送ろうかな」と思っていた矢先の内定連絡でしたから。

親だからこそ子供のペースを信じてあげましょう!

こんな私ですから、冒頭の言葉を学生から告げられたとき、胸がグッと締め付けられ、目頭が熱くなってしまいました。

あなたの大切な子供もこのように、社会の洗礼を受けて心が傷ついている可能性があります。

10回頑張れる子もいれば、1回目で心が折れてしまう子もいるのです。

中には、我が子の不甲斐ない結果に苛立ちを感じるかもしれません。

すぐに心が折れていることに、情けなさで怒りをぶつけたくなるかもしれません。

親には、子供の甘えや呑気にしている様子にしか見えないものですから余計ですね。

しかし、これはあなたのお子さんなりの歩み方なのです。そして、この経験はお子さんが成長できる機会になります。

まずは、これら子供の気持ちを理解し、じっくり労い励ましながら見守っていきたいところです。

就職できるかどうかという不安と戦っている

RENGO 日本労働組合総連合会が発表している、就職活動中の不安に関する調査結果によると、7割の学生が「就職できるかどうか不安を抱えている」という結果が出ています。

また、内定が取れなかった学生は「自分は価値のない人間なのではないか」と考えるそうです。

確かに、支援を受けに来る就活生から「いまからでも就職はできますか?」「自分が応募できるような求人はあるのでしょうか」といった相談を受けることが多いです。

また、次に続く言葉で多いのが「特別な成果や能力があるわけではありません」という言葉。

正に、自分は価値の無い人間なのではないかと、考えているから出てくる言葉だったのかもしれません。

そんな就活生から出てくる言葉で印象的なのが「両親を少しで早く安心させたい」という言葉です。

上記のアンケート結果にも、就職活動が長期化すると「親の期待に応えられないのではないか」という不安があるということです。

あくまでもアンケート結果ですので、あなたのお子さんがそう思っているかどうかは定かではありませんが「就職できるだろうか」「両親を安心させたい」「親の期待に応えたい」という気持ちを持っているということ。

この思いを理解した上で関わると、声のかけ方も変わるのでは無いでしょうか。

両親や保護者の言葉で八方ふさがり?!

本人が「よし頑張るぞ!」と求人探しを進めて興味関心がマッチして応募してみたいと思える企業を見つけた時、親の反対が入ります。

そりゃそうですよね!

大切で可愛い我が子。

社会人の先輩として、知っていることは何だって伝えてやりたくなります。

そして、我が子を一番知っているのは、親である私達なのだから!?

・・・でも、過剰すぎるといつまでも前に進むことができなかったり、入社してもすぐに退職することに繋がりかねません。

親が応募先選定で反対ばかりする

応募してみたいと思う企業を見つけ親に進捗報告しました。

すると「大学にまでいってそんな会社??」と親に反対されてしまいました。

この言葉もよく聞く言葉の一つです。

その企業は有名でこそありませんでしたが、老舗の中小企業でした。

しかし、どうやら親御さんがお考えだったラインを下回っていたようです。

親としては、大学まで行かせたのだし、我が子には少しでも良いところに入って欲しいと願いますよね。

親が喜んでいない様子をみて、子供は頑張って別の会社を探して親に報告。

しかしまたもや「IT業界は大変だからやめとけ」と。

さらに、次に見つけた求人では「一人暮らしは禁止なので・・・」「営業は性格的に向かないからやめておけと言われていて・・・」

学生はもう可哀想です!!!

やりたいと思う企業が見つかっても、あれダメ、これダメのだめ出しがあって。

新たな求人を探し検討しているときには「一日でも早く就職先を決めなさい」と言ってくるのですから。

私は思わず「どっちやねん!」と親につっこみたくなります。

その様子はまるで、巨大な迷路で路が何千もある岐路にたち、ほんの一握りのゴールへ通じる路を見つけるような、ほぼ八方ふさがりの迷子状態です。

子供への関わり方やアドバイスの仕方について

子供を思うがあまり、まるで自分が人生をやり直しするかのように、もしくは成功した自分と同様にできるように、今までの経験を振り返りながら「あれはダメ!こうした方が良い」と言ってしまいます。

私も今こうやってアドバイスを示しながら、自分自身子供への関わりについて反省すべきことばかりです。

そう、我が子へのアドバイスとなると、自分や全体を客観視できずに自分の行う全てを正当化して行き過ぎてしまいます。

だからこそ皆さんに一度関わりについて振り返り、気持ちのコントロールができるようなきっかけになれればと思います。

積極的なアドバイスは不要!

親の方から積極的にあれこれとアドバイスや条件提示するのは控えましょう。

ただし、相談され意見を求められたら「私はこのように考える」と意見を述べると良いでしょう。

但し大切なのは、その意見を聴いてあなたはどう考えるのか、又なぜそう考えるのかと子供の意思を引き出し、受け止め尊重し、あなたの考えで決めればいいのですよ、と子供に示してあげることです。

もし、いつまでも決められなかったら、どこで悩んでいるのか、じっくり話しを聴いて一緒に決められない理由をひもといてあげてください。

大学生で成人者であるとはいえ親を前にした子供は、自分を受け止めて貰えている、理解して貰えていると安心して、心を開放し自由に自分を見つめることができ、社会へ羽ばたいて行けるのだと思います。

今の就職活動や就業の変化を理解すること

親の世代と今の世代では、就職活動の状況が変わってきています。

アドバイスをするならば、最低でも現在の就職活動の方法や雇用など働き方の変化について調べて理解しましょう。

親世代と就職活動の違い

今の就職活動はWEBを活用して行われるのが主流となっています。

昔は、手書きの書類を送って選考結果を待ちましたが、今では最初の応募の殆どがWEBで行われ、適性検査までも自宅にてWEBを活用して受験することがあります。

また、求人情報の収集も変わってきています。

昔は学校求人が主流で求人冊子がいくつかあったぐらいでした。

かくいう私も”とらばーゆ”という冊子を見て転職し、お陰様で20年以上勤めキャリアを積むことができました。

就職支援サイトやハローワークの利用

今では就職サイト転職サイトが充実しているので、それらのエージェントを活用して多くの就職活動が行われたりしています。

また、求人情報収集の一つにハローワークがあります。

平成元年にハローワークと愛称がつけられた公共職業安定所の事です。

なかなか思うように求人が見つからず苦労している就活生に、ハローワークの利用を薦めました。

すると次の面談で「ハローワークの利用を親に反対された」というのです。

「あんな所はおまえが行くところでは無い」と。

確かに、少し前までは私も同じような印象で、新卒者や既卒者等若い人が行くところではないように思っていました。

しかし、それは昔の話。

今では施設は整い、新卒者用・既卒者用・女性用の専門ブースや各専門のセンターがあるほどです。

頭ごなしに昔の情報でアドバイスしてしまっては、子供のチャンスを奪い取ってしまい兼ねません。

心配ならば、せめて一緒にどんな所なのか情報をとってから、どのように活用していけるのかと相談することをオススメします。

参考サイト: 厚生労働省新卒応援ハローワーク

大卒の価値は高いのか

大学への進学率は53.3% 短期大学への進学を含めると57.9% 1990年の約35%からぐんぐんと伸びています。

参考サイト: 文部科学省平成30年度学校基本調査

それを考えると大学を出ているだけで市場価値が上がっていた時代とは様子が異なり、二人に一人が大卒となっている現代では「大学まで行かせたのに」という言葉は少々的外れ。

言われた子供は戦い方を見失ってしまうような気がします。

雇用環境の違い

入社したら定年まで雇用されていた終身雇用は、ご承知のように今ではほぼ崩壊していると言われています。

業績が悪いことを理由にした早期退職や希望退職は年々増え、私の勤めていた会社でもありました。

入社してある程度頑張っていれば定年まで会社が守ってくれるという状況は、ひと昔前の話しとなっているということですね。

親が決めた会社にとにかくじっと我慢して勤めていれば、ひとまずはある程度の生活は保障されるというものではなくなりました。

自分の身は自分で守れる力が必要

そこで一番役に立つのが、自分がやりたい事・得意な事・好きな事について携わり力をつけておくことです。

更にその上で柔軟性を身につけ、企業に雇用され続ける力と、転職に必要となる新たに雇用され得る力をつけておくことです。

その為には、自分の意思で仕事を決めておかないと、急に会社を放り出されることになった時には親を恨むしか無く、この時代を乗り越えていくのは少し難しくなるのです。

残念ですが普通ならは先に死んでゆくのは親。

その親が、いつまでも全てをコントロールし子供をその手で守っていくことはできないのですから・・・。

「目が黒いうちはまもってやる!!」

それは無責任と言えるかもしれませんね。

子供がやりたい事を理解すること

夢みたいな話しでもいい。

まずは、子供がどんなことに興味があって何をしたいと思っているのか、理解することをしてください。

もし、やりたい事がわからないと子供がいうのであれば、子育ての中で感じた我が子の得意分野や興味や関心を伝えて、ヒントにして貰うのも良いでしょう。

あくまでヒントですよ!

決してあなたが、親がなって欲しい職業を言うのではありません。

つい言いたくなるけど・・・。

つい親がやってしまうこと

最後に親がついついやってしまいたくなることを列挙しておきます。

そして、これは押しつけではなく、子供の為だと言い聞かせてやってしまいます・・・。

 近所の目・親戚の目・他者と比較してしまう

親の立場が優先され親のプライドが作用し、世間体や体裁を気にして我が子の能力以上の所ばかりを狙わせ、内定がいつまでも貰えずに苦しむという事があります。

どうか、目の前の子供を大切にしてあげてください。

業界や業種を決めつけてしまう

会社選びや職種選びにおいて、親の価値観を押しつけない。

本人がその気でない業界や職種を提案しても、結局就活は気乗りせずその状態で応募しても内定には繋がりません。

本人の気持ちを尊重しましょう。

金銭的援助をしすぎてしまう

金銭的援助は大きく二つに分かれます。

生活の資金援助と就活の資金援助です。

生活の資金援助

この場合の金銭的援助とは、就職活動もしないのに生活費や遊びの資金まで援助し続けることです。

これでは自立心を奪うことになります。

大学を卒業していたなら、通学はなくなり勉強をしなくても良いのに、気分が乗るときだけアルバイトして難なく生活ができてしまったら、働く事がバカらしくなってしまうのは自然な事です。

ある一定のところで押さえて自立心を養うことが大切です。

就活の資金援助

就職活動には莫大な時間とお金が必要です。

服装は勿論、靴や鞄など。企業説明会や面接試験などの移動費もバカになりません。特に地方の学生はとても大変そうです。

これらの経費がかかるため、何とか工面しようとアルバイトに明け暮れていると、シフト制により就職活動で休みが必要な時に、休みを取ることができず内定へのチャンスを逃してしまうことになります。

実際にも、卒業生でアルバイトをしている学生は多く、企業説明会やセミナーがあっても、アルバイトが理由で参加できないという話しをよく耳にします。

就活に必要な軍資金については、期限付きでいいので援助を申し出てあげて欲しいです。

まとめ

子供にアドバイスをしたくなったら

まずは自分自身に問いかけてみましょう!

  • まずは子供の話を聴きましたか?
  • それは本当に子供の為ですか?
  • 自分のためではないですか?
  • 現在の情報ですか?
  • 決めつけ押しつけになりませんか?

一つでもNOがあったなら、アドバイスは見送った方がいいかもしれません。

これから就職をして人生を歩んで行くのはご自分ではなく、就活をしている子供です。

悩みながらも自分で選択して進むから、どんな状況にも責任が持て自分の気持ちと向き合いながら、折り合いをつけつつ頑張っていけるのでは無いのでしょうか。

ご自分が苦労した後悔した部分に目をやるのではなく、乗り越えてきた部分に目をやり、お子さんにはその力に期待をしてください。

可愛い我が子が苦しむのは見たくないですよね。でも、それ自体が親の身勝手なのかもしれません。

何かがあったときに乗り越える力をつけさせてあげるのが、本当の苦しみから守る事に繋がるのだと思います。

お父さん、お母さん、保護者の皆さん、お子さんを信じて見守っていきましょうね。

私も自分に言い聞かせて、見守っていきたいと思います。

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国家資格キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルタント技能士。我が子へ親の関わり方カウンセラー。20年以上子供指導関連に携わり、保護者の子供への悩みにも寄り添い一緒に考えてきました。人事部等人材育成に携わった経験を活かし、現在は企業での社員教育やキャリア面談、そして大学生就職支援に従事。仕事選びやモチベーション、働き方において保護者の影響力を実感しています。保護者の思いを理解しつつ、子供が幸せになる関わりは何か一緒に考えていきます。










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