人生100年時代の生き方、働き方はどうなる? これからの子育てポイント!

最近「人生100年時代」というフレーズをよく耳にします。
皆さんはどのように受け止めていらっしゃいますか?
特に意識したことが無い方、ピント来ない方。何となく不安を感じる方、既に備えを始めている方。何よりも子供の将来を心配された方が、そのタイトルに目が留まったかもしれません。
子供たちの老後はどうなるのでしょうか。
お金は大丈夫だろうか?健康は?仕事は?
人生100年時代を見据えた生き方、働き方はどうなるのか。
はっきりしていることは、現在親の年齢が高ければ高いほど、生き方や働き方が親世代とは違ってくるということ。
それを理解したうえで関わり方を変えることが大切になるのではと考えています。
そこで政府の人生100年時代構想会議の有識者メンバーの一人で、リンダ・グラットン氏が著者の「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)人生100年時代の人生戦略」(東洋経済新潮社)より、私オリジナル解釈とこれまでに出逢った方々のお話しを元に、キャリアコンサルタント@小林一美の考える人生100年時代の生き方、働き方、これからの子育てポイントについてお伝えします。
人生100年時代を生きる子供の親の関わり方について、考えるきっかけになれば幸いです。
※ここでは、子供を持つ親、保護者向けに記事を書いている為、成人している大人であっても、親の立場で「子供」と表現しています。また、親・保護者の立場を統一して「親」と記載しています。
親の世代と子供の世代の大きな違い
大手の大学受験塾予備校の保護者会では、人生100年時代を生きる子供達という内容にふれていました。
そこで、それまでは特に意識していなかった「人生100年時代」が身近になり、我が子への影響について関心を持つきっかけとなりました。
CMでは生命保険が、この人生100年時代をふまえた仕組みを取り入れ、新たな保険の提案を始めているようです。
寿命が延びるので保険のかけかたも変わってくるのですね。
更に、年金受給開始を65歳から68歳にする検討がなされているとのことです(※財務省 社会保障(92p参照))。
また、「LIFE SHIFT人生100年時代の人生戦略」では、国別の平均寿命が書かれていますが、
それによると2007年生まれの子供の平均寿命が107歳。2107年の時点では100歳以上が当たり前で、2007年生まれの子供は約半分がまだ生きているそうです。
現在高校生や大学生のお子さんも寿命90歳ぐらいまでが視野に入るでしょう。
親の年齢にも寄りますが、私たちとは一生の期間が随分違ってくると言うことがおわかり頂けると思います。
皆さんはどんなことを思い浮かべたでしょうか。
寿命と仕事期間が長くなる
予測寿命と現在わかっている年金受給開始年齢を表にしてみると、明らかに働く期間が違ってくるのがわかりますね。
この違いにより、子供への影響はどういったものだと考えますか?
子供への影響や求められる力を、私たち親は理解することが大切ではないかと思います。
収入を長く得る為に
定年を迎え引退してからの期間が40年程になります。
検討されている定年68歳で完全に引退したとして、引退してからの期間が一昔前の就業期間と同じになるのです。
その頃、年金だけで40年もやっていけるのでしょうか。
とても不安になります。
そうなると、働く期間を延ばし収入を得る必要性が出てきそうです。
人生100年時代では、途中で転職をするにしても、同じ会社で勤め続けるにしても、起業者であっても、収入を得続ける能力が必要になってきますね。
我が子が必要とされ続ける能力を養う事がポイントになります。
AIの発達
AIの発達により、今後無くなる職業があると言う話しも良く聞くようになりました。
皆さんは何が残っていくと考えますか?
就職相談の現場ではこんな質問を聞く事が度々あります。
「これからも無くならない安定した企業、職業はなんでしょうか」と。
予測されるAIに取って代わる職業リストは種々出ていますが、私は自信をもって答えられません。
未来にならないと答え合わせはできませんよね。
今わかっていることは、安心と言われていた大企業が次々と経営危機を迎え破綻する時代であるということ。
企業も生き残りをかけて、スピードもぐんぐん上がってきていると言うことです。
仮に現在、安定が見込める企業・職業があったとしても、それは未来にまで確約できるものではないと私は思うのです。
不確実で予測のつかない未来。
その未来を予測して、あまり興味もない仕事に就くことを考えるよりも、興味関心や自分の能力にあった職に就き、常にスキルアップを目指して未来の変化に対応出来るよう努力する覚悟を醸成した方がいいのでは無いでしょうか。
あなたは子供にどんな言葉をかけますか?
人生100年時代 子供の未来
本を参考に更にこれからの人生の変化についてイメージしてみました。
どんな感想を持ったでしょうか。
寿命が延びているだけでなく、学ぶ機会が増え、転職や企業の機会が増える様子が見て取れます。
これに先駆けて同本では“変身資産が必要”と書かれてあります。
変身資産
人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力
図のようにこれだけ変化に富んだ未来の人生となれば “人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力が必要” というのは頷けます。
市場や働く環境(仕事・家庭 他)に合わせて能力のブラッシュアップや新たな学びを繰り返し、就職・転職・起業などを通して新しいステージ、仕事へと変化していくということ。
この時に大切なのは「能力」と共に「意思」ということです。
私たち親ができるのは、この成功させる為に必要な「意思と能力」をつけること。
その為にはまず「意思」を持って行動できる様に、子供の「意思」を尊重する関わりが大切だと考えます。
人生100年時代の働き方が変わる
今までの職業期間は40年程でしたが、これからの世代では寿命が延びることで職業期間も50年60年へ延長されます。
今までの就業期間が40年~45年。それより10年~20年延びます。
AIの発展などにより、同じ会社に定年まで働くと言うことは難しくなるかもしれません。
自前の能力アップに学んだり、新しいスキル習得で市場変化に対応したり、やりたい事を見つけ新たに学ぶ等、学び繰り返しながら、社内外問わず働く環境を変えていくことになりそうです。
50年60年働くには必要とされ続ける能力を磨き続ける努力が必要です。
人生選択は色々
高校卒業の進路は進学か就職か
高校時代十分に勉強に取り組まず、大学への進学を希望しない、やりたいこともハッキリしないで、ひとまずアメリカに留学したいという人がいました。結局渡米費用が無いと言うことと、英語が話せない中いきなりアメリカでの生活はさせられないと親の反対もあり、知り合いがいる韓国で働きながらお金を貯めることに。
2年程韓国で働きお金を貯めて帰国してからは、貯めたお金で英語を学ぶ専門学校へ進学。
そして更に、高校時代は勉強しなかったのに大学編入学を目標に勉強し編入試験を突破。大学では経営経済学を学び起業することを目指しています。
この方は、高校生活において勉強は、その先のイメージができず勉強の魅力を感じなかったのかもしれません。韓国に行って色々な経験を通して、高校時代には見つけられなかった志や意思をもてるようになったのでしょう。
今はやりたいこともはっきりし、目標を持って学び始め頑張っています。
母親がいいました。
「普通」という枠でしか考えられない自分だけだったら、こんな風にはいかなかった。普通にこだわらない主人がいたから、子供はこういう歩みかたができたと。
卒業前後の母親は、とにかくフラフラする我が子をとてもとても心配していたのですが、「今のあの子は何があっても大丈夫。心配してない」と誇らしげにいった言葉がとても印象的でした。
普通って何でしょうか・・・
高校を卒業したら、進学するか就職?
大学を卒業したなら一斉に4月から就職すること?
これらの考えで人生100年をやっていけるのか。
そもそもこれ自体が正しいのかも疑わしく思えてきます。
この流れに乗らなくても、子供自身が意思をもって歩み、納得して満足できる人生にできるのではないでしょうか。
安定的な職業は幸せか
公務員を退職し転職に踏み切った人がいました。学生から人気の高い企業は色々とありますが、公務員は人気の高い就職先の一つです。
公務員になりたくて各自治体に挑戦し続けるも、残念ながら狭き門でなかなか叶わない憧れの就職先。しかしこの方は、公務員を目指す人の多くが望む安定的な待遇や環境よりも、自分にとってのやり甲斐という心の充実を優先した結果でした。
実は同じ職場でも働く各個人にとって仕事の満足度は違います。
それは同じ時間同じ場所で、同じ内容の仕事をしていても、ある人にとっては満足度の高い仕事と感じるのに対して、ある人にとっては満足度の低い仕事なのです。
この満足度の違いは、その方の大切にしたい価値観。
自分はこうなりたい、こうしたいといった欲求に則したものの様です。
この欲求は、身体の中に染みついていて、ふつふつとわき起こってくるもので、不思議と本人が気付き自覚できるものではなかったりします。
この欲求が何からきているものなのか、話しを聴いていると学生時代の経験や働いてからの感情が影響していることがわかりました。
人は色々な経験を通して、職業に求める満足要素を探索し続けるのかもしれないですね。
人生100年時代では就業期間が長くなるので、子供たちはその中で成長し別のステージでの活躍を望むようになります。
同じ会社の中で別のステージに移行できる場合も有れば、会社や業界を変えることもあるでしょう。
人生100年ともなれば多くの職業を経験することが可能になります。
そのことは、更に人生を豊かにできるでしょう。
同じ一生ならお得な気がします。
あなたは安定こそが子供を幸せにすると考えますか?
本人の意思
私は思わず「もったいない」と言いました。
実はカウンセラーとして話しを聴いているときには、第一声絶対に言わない表現です。
もったいないと思うかどうかは本人次第だからです。
不覚にも私は続け「最初から意見は言えない、なかなか通らないよね」と言いました。
すると「それは一般論よね」と言われ「あなたの価値観の押しつけ」とも言われました。
外務省での仕事に魅力があるもないも、先に記載している公務員の方の話しの様に、人それぞれの価値観で仕事の満足度が変わるのですから。
更に会話は続きました。
私が「価値観の押しつけ、確かにそうですよね。我が子にもつい自分の価値観の押しつけをしてしまっています。他人には制御できても我が子にはなかなか難しいと感じています」というと「言い訳はいらない」と厳しい表情で一蹴されました。
その上で「親だからって偉いわけではない」とも付け加えがあったのです。
私はハッとしました。
このようにブログを書きながら、子供への関わりを振り返りつつ見直しをしてきました。
しかし、改善すべき関わり方があるとわかっていても、なかなか思っている様には出来ないものです。でもそれは言い訳だったのですね。
子供の意思を尊重する
これからの時代を生きるのは親ではなくて子供です。その方は全面的にお孫さんの意思を尊重していました。
実はこのお孫さん、大学は文系ではなく理系へ進学したかったそうですが、親から文系のすすめがあったそうです。
転職先はIT企業。結局は理系に進む事になりました。
何が良くて悪いのかはないのでしょうね。
子供がどのようにしていきたいのか、まずは意思を大事にしないといけないことなのでしょうね。
私は面談をするとき価値観を押しつけにならないように気をつけていますが、このお叱りを受け改めてカウンセラーとしての振り返りをし、何よりも親としての関わり方を猛省する出来事でした。
あなたは親としてどんな関わりを心がけますか?
人生100年時代の子育てのポイント3つ
変化を肯定的に受け入れる姿勢を示す
変化に対応できる大人にするには、親が変化を楽しみ変化を肯定的に受け止めて対応するといいでしょう。
変化に直面したとき親をモデルにして、変化を受け入れて上手に折り合いをつけて進む事ができるでしょう。
環境変化を感じ取る経験も一緒にできると心強いです。
固定概念に囚われない柔軟な対応
子供が悩んだり、相談にきたときには、固定概念を持たずに「今」「目の前の子供」に意識をおいて、子供の自律を意識して柔軟な対応を目指しましょう。
時代に合わない価値観の押しつけは気をつけて、子供の意思を尊重しましょう。
友達付き合い、人付き合いができる環境作り
変化への対応には情報や人の支えが大切です。
人との付き合い方は、子供の頃からの積み重ね。
親子関係が影響するとこもあります。
躓くことがあるでしょうが、見守りつつ他者と繋がる機会を意識して作るのも一つの手だと思います。
まとめ
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)の“変身資産”をふまえて、これからの子育てについて私なりに考えてみました。
変身資産が求められる未来では、これまでの常識だけで判断したり、これまでの価値観を押しつけるだけでは対応出来なくなります。
私たち親はこのことを肝に銘じて、新しく変化していく世の中を、親子共に変化に対応する方法を模索しながら、自ら変化して生きていくことになるでしょう。
図2のように、仕事の仕方が変わっていくならば、いつまでも親が決めることはできません。
もし、あなたが子供を自分の思い通りにコントロールしてきた、コントロール親ならば、今すぐにでも関わり方を改めないといけないかもしれません。
人生の中で選択機会が増えるのです。
人生80年といわれたところから、寿命がどんどんと延びてまさに人生100年という長寿の恩恵を受けることになります。
子供が自分の人生をどのようにしていきたいのか、意思をもって自律的に人生を生きていく力が必要だからです。
一億総活躍・働き方改革など取り組みもあります。結婚・育児・介護のライフイベントによる生活の変化対応。
会社で求められる能力が変わった時。自分のスキルアップに応じたステージを求めたくなった時・・・。
その度に子供が進む道を選択することになります。
自分がどうしていきたいのか、どうなっていきたいのか、親や周りの環境に振り回されずに自分の意思をもって生きていく力が必要ですね。
「今のあの子なら大丈夫!!」「自分で何とかやっていける!!」
そうあなたは言えますか?