「職場の電話は苦手で出たくない!」嫌いが好きに変わる電話対応のメリット5つ
職場の電話なんて、なくなれば良いのに…
内線でも外線でも、電話が鳴るとドキドキする…
そんなことありませんか?
昨今のビジネスシーンではメールやチャットで会話や業務が成立することも多く、固定電話でやり取りする機会は減っている職場も多いでしょう。
でも、電話対応が出来ることで得られるメリットは意外に多いのです。
ここでは、「職場の電話は苦手で出たくない!」というあなたへ、“毎日ココロをフルにするお手伝い!”ココロフルプランナーことマナー・プロトコール講師&国家資格キャリアコンサルタント@大川礼子が、電話対応で得られる5つのメリットをお伝えいたします。
《メリット1》自分自身の売り込みができる!
まず、メリットの一つ目は、「自分自身の売り込みができること」です。
新入社員の頃は、「電話に出ることで、仕事を覚える」「どのような人から電話がかかってくるかを知ることで、取引先を覚える」などと言われていたあなた。
「今では仕事も一通り覚えたし、反対に仕事を覚えたのに、電話に出ると余計な仕事が増えて出たくないんだよね…」
なんて声が聞こえてきそうですね。
でも、一通りの仕事を覚えたからこそ、自分自身を売り込むことがもっと重要になるんです。
職場で大切な人脈づくり
業種や職種に限らず、ひとりで完結する仕事はありません。
新入社員の頃とは違って、入社から数年経ったあなたが担当する仕事には、上司の承認を得るまでに、関係する部署へ協力をお願いしたり、予め根回しを行ったりする必要のあるものも増えているでしょう。
そんな時に大切なのが、職場での人脈です。
接点を増やす
例えば、新商品の営業を行うため、取引先でプレゼンテーションを行うことになった時。
自社の新商品の特性や特徴を知るには開発部門の人との連携が必要ですし、プレゼンテーション用の資料に入れる市場調査の数値はマーケティング部門の人にも協力してもらう必要がありますよね。
この時、仕事を円滑に進められるかどうかを決めるのは、あなたの普段からの電話対応の印象が重要なのです。
「協力をお願いする時には直接挨拶するんだから、別に普段の電話は関係ないんじゃないの?」
なんて、思っていませんか?
初めて接する人との共同作業は、思った以上に気を遣いストレスがかかります。
そのため、よく行われるのが「自分の知っている人に、相手の情報を聞き出す」ということ。
他部署に自分の同期がいればその人に、あるいは自部署で既に接点のありそうな人がいればその人に、「〇〇部の〇〇さんってどんな人?」と聞きますよね。
この時、普段から電話に出て自分の名前を売り込んでいれば、「いつもハキハキ対応する人だよ」とか「電話でお願いしたことの回答が早い人だよ」など、良い印象でスタートすることができます。
普段から電話に出て少しでも多くの人と接点を増やしておくことで、結果的に自分自身の仕事をストレスなく進める基盤づくりにつなげられるんですよ。
《メリット2》時間管理が身につく!
続いて2つ目のメリットは、「時間管理が身につくこと」です。
あなたが「電話に出たくない」と思うのは、仕事が立て込んでいる時が多いのではないですか?
電話の特性には「尋ねたい質問の回答が、すぐに得られることが多い」というメリットがありますが、このことが昨今では「こちらの都合を考えていない」という不満やストレスにもつながりますよね。
「ただでさえ忙しいのに、電話に出ると時間を取られて自分の仕事ができない…」
と、電話が鳴るたびに嫌な気分にならないよう、段取り良く電話に出られる方法をお伝えします。
電話のマナーは時間管理と段取り術の宝庫
電話のマナーには、自分から電話を掛ける時には時間に配慮する、予め用件をまとめておく等、「電話は互いの時間を使い、有料であるもの」だからこそのマナーが多くあります。
ここでは、電話を受ける時のマナーに絞って、3分で終わる電話対応の基本をお伝えしますね。
- 電話は3コール以内に取る→「相手を待たせない」ことの基本。1コールはおおよそ2~3秒なので“5~10秒間で出る”と考えれば、その間に息を整えたり姿勢を正したりして電話に出ることができる。
- 社名や部署名を丁寧に告げる→「はい、〇〇部△△課、××でございます。」と丁寧に名乗る。本来はペンとメモを電話の横に準備しておくが、万一手元になければこの間に揃える。
- 挨拶をする→「お疲れさまです」や「お世話になっております。」だけでなく、「〇〇部の××課長ですね、お疲れさまです」と名前を入れると、自席の周りの人へ誰からの電話かを知らせることができる。電話の名指し人が離席することを防げると同時に、電話を掛けてきた相手へ与える自分の印象もアップ。
- メモを取り、復唱・確認する→相手の名前や連絡先、名指し人が不在の時の折り返し希望の有無等、必要な情報を聞く。最後に復唱・確認をすることで、誤解なく電話を終えられる。
いかがですか?
最後にまとめたメモは、名指し人の机に置いておき、離席から戻った時に電話があった旨を一言添えるだけで、必要な情報をもれなく伝えることができます。
この流れに則れば、込み入った内容でない限り、1本の電話にかかる時間はたった3分以内で済むのです。
また反対に、3分以内で電話が終わらないような依頼用件であれば、「調べて折り返し連絡する」と一度切ってしまうのがベストです。
その時に、「用件の回答期限がいつなのか」を忘れずに確認しておくことで、現在あなたが進めている仕事との優先度を見てスケジュールを立て直すこともできますよ。
《メリット3》丁寧な話し方が身につく!
「敬語に自信がないから電話に出たくないんだよね…」なんて思っていませんか?
電話に出るメリットの3つ目は、「丁寧な話し方が身につくこと」です。
もちろん、敬語がきちんと使えることも必要ではありますが、ここでは敢えて「丁寧な話し方」に着目し、お伝えしますね。
なぜなら「丁寧な話し方」だけでも、充分にメリットがあるからなのです。
丁寧な話し方がもたらすメリット
では丁寧な話し方がもたらすメリットを見てみましょう。
- 丁寧に話すことで、早口になることを防げる
緊張すると早口になりがちですが、丁寧に語尾までしっかり話すと、早口になりすぎるのを防ぐことができます。
- 早口になるのを防ぐことで、心に余裕が生まれる
丁寧に語尾まで話すことで自分のリズムを作ることができ、このリズムで電話対応を進めると、心に余裕が生まれます。
- 心に余裕が生まれることで、相手の言葉を聞き漏らさない
心に余裕ができれば、電話口から聞こえる相手の言葉に集中することができ、話の内容や確認しておくべきことを聞き漏らしません。
- 聞き漏れをなくし、復唱・確認を相互に行うことでミスが起きにくい
もれなくメモに書いたうえで、最後には復唱と確認を行うと、伝達ミスを防ぐことができます。
- 自分が相手に丁寧に話すことを心掛けると、電話を掛けてきた相手の言葉が丁寧になる
直属の上司も含め、こちらが丁寧に話すことで、相手の反応も丁寧なものに変わってきます。
人の印象は、その人自身の言動で決まり、周りから受ける対応にも影響を与えます。
普段からいい加減な言動を取る人は「いい加減な人」と思われ、周りからもいい加減な扱いを受けますし、反対に周りへ丁寧な対応をする人は「丁寧な人」だと思われ、周りから丁寧な扱いを受けます。
特に電話での対応は、普段のあなたの性格や態度を知らない人へも“あなたの印象”を伝えるものですから、電話口ではより「丁寧な言葉遣い」を身につけて、印象アップにつなげましょう。
《メリット4》コミュニケーション能力が身につく!
電話対応で得られるメリットの4つ目は、「コミュニケーション能力が身につくこと」です。
職場でのコミュニケーション能力とは「話すことで相手に意思を伝える力」と「聴くことで相手の意思を理解する力」が基本ですが、この2つとも、電話対応を率先して続けると上達が早くなります。
なぜなら電話は「相手の姿が見えず、声や言葉だけで判断される」という特性があるからです。
対面で会話をする時以上に、話し方・聴き方の基本姿勢が必要になってくるのです。
話し方・聴き方の基本
「基本のマナーはわかっているけど、周りの人に話を聞かれているようで、電話対応そのものが苦手…」
あなたは、電話で話す内容を人に聞かれていると思うと緊張するんですね。
確かに職場では、周りの人が静かにしていればしているほど、自分の話し声が響くようで緊張しますよね。
ではまずは、話し方・聴き方のそれぞれ3つの基本をお伝えします。
- 伝えたいことは簡潔に、要領よくまとめる
- 明るい声でハキハキ話す
- 結論や要望は、最初にしっかりと伝える
- あいづちを入れ、相手の結論・要望を引き出す
- しっかりとメモを取り、復唱・確認する
- 相手の声が聞こえづらい時は、電話のせいにする
自分の仕事を進めながら他の人の電話の内容に聞き耳を立てられるほど、周りの人も暇ではありません。
それに、敬語に少々の間違いがあっても、基本に沿って堂々と話していれば電話での印象は大きく変わります。
でももし、本当にあなたの話を周りが聞いているとすれば、それは“あなたのミスは全体の責任”だと思ってもらえている証拠です。
何かあってもフォローしてもらえる、と安心して、話し方・聴き方の基本を身につけていきましょうね。
メモで伝達する力
そしてもう一つ、コミュニケーション能力に必要なのが「読む力・書く力」です。
このうち、「書く力」の上達につながるのが、伝言メモです。
- 名指し人の氏名
- 電話を受けた時刻と自分の氏名
- 掛けてきた相手の社名・部署名・氏名・電話番号
- 折り返し連絡の要・不要
- 伝言内容と補足(至急かどうか等)
メモを書く時のポイントは、「口頭で補足をしなくても、相手に内容が伝わるか」という点です。
この補足をしなくても良いメモに必要なのが、「5W3H」です。
(「5W3H」…When、Who、Where、Why、What、How、How many、How much)
「誰が、いつ、どのように、何をするのか」等、この5W3Hを明確に書く癖をつけておくことで、読み手の知りたい情報が書けるようになります。
電話メモのように、簡潔に書くことが求められるものから練習を重ねていくと、他の文書にも活用できるようになるので、ぜひ、この機会に身につけてくださいね。
《メリット5》人間力の向上につながる!
「『電話があったことだけ伝えてください』って言う人の伝言、残す必要あるのかな…?」
「『では、携帯電話に直接連絡します』なんて、最初から会社携帯に電話したら良いんじゃないの?」
そんな風に思っていませんか?
電話対応で得られるメリットの5つ目は「人間力の向上につながる」ということです。
電話では、直接的な言葉(言語)以外の情報を、電話口から察する力が必要です。
その“察する力”を鍛えることで、「人間力」が向上するのです。
電話対応の基本は想像力
「『電話があったことだけお伝えください』って、どうメモに残せば良いんだろう…」
業務効率やスピードが求められる中で仕事を進めているあなたにとって、この伝言の“意味が分からない”とか、“回りくどい”と捉えてしまうことがあるかもしれませんね。
でも、この「電話があったことだけ伝えてください」には、実は多くの可能性が含まれているんです。
それは、「名指し人が自分より目上の立場だったり、用件が自分側の依頼だったり、あるいは既にお願いしていることの確認・催促だったり、既に電話をもらっていて折り返した」などです。
このように、電話対応には、言葉そのものでは相手の真意をはかれない部分を察した上で、メモを残すだけで良いのかどうかなどを判断しなければならない場面があります。
この判断に必要なのが、想像力です。
ただここで気をつけていただきたいのは、「想像で先回りして、伝言内容を変えることはしない」と言うことです。
あくまでも、この伝言内容に対してどのような対応を取るのかは、名指し人が判断することです。
ですから伝言メモには「“電話があった旨だけお伝えください”とのことでした」と書き、“補足”として「お急ぎのご様子でした」や「何時頃のお戻りかを尋ねられました」等の一言を添えれば充分です。
でも、この“一言を添える”練習を重ねることで「電話口から、相手の雰囲気を察する力」が身につくようになり、あなた自身の想像力を鍛えることにつながりますよ。
想像力は創造力へと発展する
「では、携帯電話に直接連絡します。」と言われて、「じゃあ最初から電話したら携帯に電話してくれたら良いのに…」なんて思っていませんか?
携帯電話やスマートフォンへの連絡は、実はとても想像力を養うものなのです。
例えば相手が移動中だったり、会議中だったりで、相手と話せない場合もあります。
また話せる場合でも、相手の状況が見えない状態では、相手に「はい」か「いいえ」で答えてもらえるような内容の会話をしなければなりません。
「じゃあ、メールで用件を送ったらいいんじゃない?」なんて思っていませんか?
電話を掛けてきた人は、その判断をするために電話で確認した可能性もありますよね。
またメールで送れない、あるいは文字に残せないような機密情報であることも考えられます。
相手の状況に思いを寄せることは想像力を養うことにつながり、これはマナーの基本である「相手を思いやり尊重する心」につながります。
そしてこの心が高まると、ものごとを創造する力につながります。
仕事の場面において必要なのは、「専門性」「戦略性」「人間力」です。
最近では「専門性」を伸ばすことにばかり注目が集まりがちですが、専門性だけであればいずれAIに取って代わられてしまいます。
時代が変わればマナーが変わるように、電話対応の在り方もいずれ変化するかもしれません。
でもだからこそ、まだ固定電話でのやり取りをする機会のある今のうちに、自分自身のいろんなスキルを磨き人間力を向上させるチャンスだと思ってみてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
電話対応で得られる5つのメリットについて、お分かりいただけましたか?
マナーは相手にとって心地良いだけでなく、自分自身にも良い影響が還ってくるものなので、ぜひ多くの電話対応で実践を重ねてみてくださいね。
あなたの人生が、より良い人間関係に基づいて、充実した毎日を過ごせるよう心から願っています。
Comment
わかりやすく、勉強になりました。ありがとうございます。
「お世話になっております」の後に、「〇〇部の〜課長ですね。お疲れさまです」をつけるの技!聞き取れない時の確認にもいいですね!さっそく明日から使います(^^)
話を聴く練習になるというのは、最近実感しています。早く切りたいなあなんて思って聴いてると、むしろ長くなったり…(^_^;)
?ということを聞かれると、あたふたしてしまうので、落ちついて対応できるようになりたいです。
なかさん、はじめまして。コメントありがとうございます!
わかりやすいとのご意見と、「〇〇部の~課長ですね。お疲れさまです」をつける技を早速使ってくださるとのことで、とても嬉しいです!
なかさんのおっしゃるように、相手の名前を入れることは聞き取れなかった時の確認にもなるので、どんどん実践してくださいね!
また、電話は相手の姿が見えない分、集中力が途切れがちになりますよね^^
「?」ということへも落ち着いて対応するには、本文中の「丁寧な話し方がもたらすメリット」に書いたように、丁寧に話す癖をつけると効果がありますよ。こちらもぜひ、お試しくださいね。