子どもの学費っていくらかかるの?ライフプランで計画的に準備しよう
「子どもが進みたい道を応援してあげたい」と思っている親御さんも多いのではないでしょうか?
そのために必要な学費はいくらかかるのか、どうやって準備したらよいかよく分からなくて不安、という人も多いと思います。
教育費は総額で1,000万円を超える可能性もあります。計画的に学費を準備しないと大変!。
ライフプランで自分と家族の人生設計をしながら、「子ども保険」「NISA」「奨学金」「教育ローン」を利用して、計画的に準備しましょう。
今回は、三大資金の一つとも言われる「子どもの教育費」について、CFP認定資格を持つキャリア設計デザイナーの森脇がご説明します。
こどもの学費っていくらかかるの?
まずは、教育費に関する情報収集をしておきましょう。
その際に参考となるのが「子どもの学習費調査」「教育費負担の意識調査結果」です。
実態調査結果
保護者が支出した1年間・子供一人当たりの学習費総額
(保護者が子供の学校教育及び学校外活動のために支出した経費の総額)
- 公立幼稚園 23万4千円(3年間合計 約70万円)
- 私立幼稚園 48万2千円(3年間合計 約145万円)
- 公立小学校 32万2千円(6年間合計 約193万円)
- 私立小学校 152万8千円(6年間合計 約917万円)
- 公立中学校 47万9千円 (3年間合計 約144万円)
- 私立中学校 132万7千円(3年間合計 約398万円)
- 公立高等学校(全日制)45万1千円(3年間合計 約135万円)
- 私立高等学校(全日制)104万円(3年間合計 約312万円)
- 私立短大
入学費用:73万6千円、在学費用:151万4千円(2年間合計:約376万円)
- 国公立大学
入学費用:80万1千円、在学費用:114万8千円(4年間合計:約539万円)
- 私立大学文系
入学費用:90万4千円、在学費用:160万1千円(4年間合計:約731万円)
- 私立大学理系
入学費用:85万5千円、在学費用:188万3千円(4年間合計:約827万円)
このデータはあくまで参考値です。
必ず必要な金額というわけでもありませんし、足りないかもしれません。
実際に進学希望先があるのであれば、HP等で授業料や入学金について公開してありますので、そちらで調べてみましょう。
授業料を比較したサイトもあります。
教育費は進学プランで変わる
教育費は、進学プランで必要なお金が変わってきます。
上記の調査結果でいくと、
- 幼稚園から高校まで全て公立に進んだ場合542万円。
- 全て私立の場合は1,772万円。
大学に進学するなら、理系又は文系、自宅通学又はアパートを借りて通学するのかによっても変わります。
もし大学に進むのであれば、大切なことは、「どこの大学に行くか」ではなく「何のために」大学に行くのかということです。
「ただ何となく大学に行った方がいいかな」という理由で、限りのあるお金を使っても大丈夫でしょうか?
これから、100年時代、ロボットとの協働等、どんどん変化していきます。
キャリアの考え方も「どこで学んだか」よりも「何ができるのか」という「価値」が重要視されるようになるかもしれません。
参考:2020年4月から、高等教育無償化の新制度が実施される予定です。
文部科学省HPの「高等教育段階の教育費負担軽減」を確認してください。
家族のライフプラン確認
子どもの進学プランを考える時には、家族のライフプランも確認しておきましょう。
子どもの未来も大切ですが、自分の未来も大切です。
「分かっているけれど、今は子どものことで精一杯」という方もいらっしゃるかもしれません。
でも、いつか子どもは巣立ってきます。
その時に、自分はどんな暮らしをしていたら幸せでしょうか?
ライフデザイン
自分自身の生き方について「イメージ」することをライフデザインといいます。
今を一生懸命過ごしていると、未来に目を向ける時間がないかもしれません。
でも、毎日10分でも良いので、これからの未来の自分を思い描いてみてください。
Q:「自分は何を大切に生きていきたい?」
Q:「やってみたいことは?」
Q:「どんな暮らしをしていたい?」
Q:「行ってみたい場所は?」
などなど、いつどんなことをしていきたいか、思い描くことで、不思議と情報が集まってきます。
私は「生涯設計のプロフェッショナル」と決めてから、どんどんFPの情報が集まってきました。
というより、今までそこにあった情報が目に入るようになっただけですが・・・
人は見たい物を見て聞きたいことを聞いています。
ぜひ自分の幸せな生き方を送るためのアンテナを磨いていきましょう。
未来の家計から必要なお金を予測しよう
自分と家族のライフプランが確認できたら、キャッシュフロー表を作成してみましょう。
キャッシュフロー表は現在と将来までの家計の変化を一覧で表わすことができるツールです。
- 子どもが入学・卒業するときの自分の年齢は?
- 子どもが二人以上いる場合、教育費が重なっているのはどのくらい?
- マイホームを買う時期は?教育費と重なるのは・・・?
- 現在の収入と支出、貯蓄残高等でライフプランに問題がないか 等
もし、未来の貯蓄額がマイナスになるようであれば、早めに準備が必要です。
準備方法
①家計の合理化
②ライフプランの変更
③子ども保険
④ジュニアNISA
家計の合理化
最初に貯金しよう
お金が余ったら貯金へ回そうと思いながら、全然貯まらない、という経験はありませんか?
発想を変えて、一番に貯金をしましょう。
①お金がいくら入ってきて、何にいくら使っているかを確認する。
②今の家計の状況で無理なく貯金出来る額を決める。
※この際、無理な額を設定すると続かないので要注意!
③お給料をもらったら一番に貯金に回す。
※お給料から引かれる「財形」や、定期的に積立てる「積立て預金」等にすると強制力が増します。
④残ったお金で生活に必要なお金をやりくりする。
節約できる支出(固定費)がないかを見直そう
節約、という言葉を聞いて「電気をこまめに切る、水道の無駄遣いをしない、食費を切り詰める」等を思い浮かべた人はいませんか?
もちろんその節約方法も大切ですが、お金は家族が安心して笑顔で暮らすための「ツール」です。
節約に意識を向けすぎて「電気つけっぱなしにしないで!」「もうもったいない!」とピリピリしてしまうのであれば、それこそもったいない!
「固定費」の項目を見直してみましょう。
固定費は、毎月もしくは一年に数回、決まった額を支払っているものをいいます。
一度見直しをするとそれ以後は支出額が安定して削減できますので、節約効果が高くなります。
- 勧められるまま契約した保険や、加入内容を把握していない保険はありませんか?。
→もしかしたら、必要のない保障のために保険料を支払っているかもしれません。
- 携帯電話の付加プラン
→自分の加入しているプランを把握していますか?必要最小限のプランにしましょう。
- 会費(クレジットカード・スポーツクラブ・ファンクラブ等)
→なくても困らない会費を支払っていませんか?
削減するポイントは、わくわくしないもの。大好きなものの会費まで削る必要はありません。
- 家賃・住宅ローンの見直し
ライフプランの変更
もう一つの方法は「ライフプラン」の変更です。
こんな未来がいいな、と描いたことの中で、回数を減らせるもの、予算を落とせるものはありませんか?
- 車好きでよく買替える人・・・もう少し長く同じ車に乗ってみる。
- 旅行好きな人・・・予算を落とす。近場に宿泊して旅行気分を味わう。
自分と家族が大切にしていることを基準に、限りあるお金を使う優先順位を決めましょう。
優先順位が決まると、ただ自分が好きなものを我慢した、というのではなく、「こどもの未来の可能性のために、今はそちらを優先している。」と納得感もあります。
子ども保険(学資保険)
子ども保険は、子どもの進学や満期時にお金を受け取ることができる貯蓄型の保険です。
各保険会社によって、保険料支払い期間や満期金の受け取り年齢・受け取り方法等取り扱っている内容が違います。
親などの契約者が死亡した場合には、以降の保険料の払込みは免除され、その場合でも祝い金や満期保険金は予定どおり支払われます。
「受け取るタイミングはいつがいいか?」「保険料をどのように払い込むか?」について、今のうちから考え、自分たちにあった保険に加入しましょう。
<参照>先輩ママパパ達の加入保険
- 保険料を払い終えたい期間は?
1位:10年間、2位 :15年、位:188年
- 学資保険で準備している金額は?
1位:200万円、2位 :300万円、3位:100万円
- 受け取るタイミングは?
1位:大学入学時、2位 :高校入学時、3位: 小学校入学時
- 返礼率を確認しよう
返礼率は、祝い金や満期保険金をどれだけ多く受け取ることができるのかを表します。
返礼率>100の場合、支払った保険料総額よりも、受け取る金額の方が大きくなります。
- 家計に負担を与えない払込み方法にしよう
比較的教育費負担額が少ない「中学校卒業」までが、教育費のためどきです。
ジュニアNISA
NISAとは?
通常、株式や投資信託などに投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。
→「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になります。
ジュニアNISA
ジュニアNISAは、子どもの将来に向けた長期投資です。
大幅にお金が増えるかもしれませんし、投資した額より少なくなるかもしれません。
確実に貯まるということではないことに注意して、どれだけリスクがとれるかということを家族で話しあって、投資商品を決めましょう。
非課税枠:新規投資額で毎年80万円が上限
非課税期間:最長5年間
※18歳までは払出が制限されます。
※ジュニアNISAはおじいちゃんおばあちゃんが孫のために作ることも可能です。
詳細は、金融庁HP「ジュニアNISA」をご参照ください。
それでも足りない時は?
あらかじめ教育費の全てを準備することは難しいかもしれません。
県内の大学に通って欲しかったけれど、県外になってしまった。
希望の大学に合格したければ思った以上に費用がかかった等、いざ大学入学が近づいて教育費が足りない場合には「奨学金」か「教育ローン」の利用を検討してみましょう。
奨学金と教育ローンでは「誰が」借りるのか、返済は誰がしていくのか、という点が変わります。
奨学金→「子ども」が借りる※返済はこども
教育ローン→「親」が借りる※返済は親
奨学金は入学後に支払われます。入学前にお金が必要なときは、教育ローンを検討しましょう。
奨学金
奨学金には、返済の必要がない「給付型」と返済が必要な「貸与型」の二種類があります。
代表的な日本学生支援機構の奨学金をご紹介します。
日本学生支援機構の奨学金を利用するためには「学力基準」「家計(収入)基準」がありますので、申込すれば誰でも受け取れるわけではありません。
給付型の奨学金(返す必要がないもの)
申込時点で、下記のどちらかに該当
①高校全履修科目の評定平均値が、3.5以上(5段階評価)
②将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、進学しようとする大学等におけるが学習意欲を有すること
下記のどちらにも該当
①収入基準:市町村民税非課税等
②資産基準:資産額の合計が2,000万円未満
授業料・入学金の減免も同時に受けることができます。
詳しい基準は給付奨学金案内参照
貸与型の奨学金(返す必要があるもの)
日本の大学生の2.6人に1人が利用している国の奨学金制度です。
貸与型給付金には、第一種奨学金と第二種奨学金があり、それぞれ利用出来る人の基準があります。
奨学金は子どもの「借金」となります。卒業後は返済するということをしっかり頭においておく必要があります。
実際に自由に使えるお金は思ったより少なくなりますので、そのことも計算に入れて返済できる金額を考えましょう。
※奨学金の返済額シミュレーションができるようになっています。
子どものライフプランも作成し、子どもとしっかり話しあうことも大切です。
借りたお金に利息がつかない(借りたお金だけを返済)
- 特に優れた学生及び生徒で、経済的理由により修学が著しく困難な生徒に貸与
学力基準:申込時までの高校の成績の平均が3.5以上(5段階評価)
収入基準:家計収入(年額)が747万円以下(4人世帯の場合)
借りたお金に利息がつく(借りたお金+利息を返済) 詳しい基準額については日本学生支援機構のHPを参照してください。 教育ローンは。公的ローンと民間ローンがあります。 <固定金利>:金利が変わらないため、返すお金が変わらない。 <変動金利>:金利の見直しがあるため、金利が変わった場合、返済額が変わる。 【その他注意点】 給与振込み等の取引内容によって、金利が下がることもあるので、まず通帳を持っている金融機関のローンを確認してみましょう。 【その他注意点】 今回は子どもの教育資金の準備方法について書かせていただきました。 子どもが生まれると、入学・卒業の時期がはっきり分かりますので、自分達の家計と向き合ってみる良い機会です。 いつからどんな方法で貯めるのか、自分達にとって何がメリット・デメリットになるのか、しっかりと家族で話し合いましょう。 商品内容が複雑で分からない場合は、中立的な立場で相談にのってくれるファイナンシャル・プランナーに相談してみてください。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
教育ローン
公的ローン日本政策金融公庫
民間ローン(銀行、信用金庫、JA等)
まとめ