withコロナ!介護職の言語化しない5つの失敗と7つの対応策
頭の中では、わかっていてもそれを説明したり、伝えようとしたときに、うまく言葉が出てこなかったり、情報共有できずにわかりにくいと言った受け取り側の意見を聞くことがないでしょうか。
しかし、この「言葉化する」ことが、苦手な人が多いのではないでしょうか。わたしも、そのうちの一人です。
言語化とは、
「言葉で表現すること。感情や直感的なものを説明・伝達可能にすること。」(weblio辞書)
「インプットしたことを、アウトプットしやすいように言葉に変換しておく作業」ともいわれています。
ここでは、ケア現場における介護職同士のコミュケーション不足から起こすが起こしやすい言語化の失敗例から、どのようにしたらうまく言語化する能力を持つことができるか、考えてみましょう。
介護と言語化
1)ケア現場のありがちな言葉化の実例
ケア現場の介護職が、言語化する場面があります。先日もこんなことがありました。
利用者の介護計画立案するカンファレンス時に、「〇〇さん、最近の状態は、歩行が不安定で、この前、転びそうな時がありました。私は、ふらっとした〇〇さんの脇にこんなふうに手をかけました。今の状態をみていると車椅子の方がいいかなと思います。」このような言葉使って利用者の方の状態を報告した人がいました。
しかし、この利用者の方の状態に合わせて、ケア内容を一致させてケアプランについて話をした時、ある職員は、まだ車椅子を必要とする状態ではないのではないかと言いだし、ある職員は、転倒したからでは困る、また、脇を抱えての介助は返って危険を伴うのでないかと、いろいろな意見が飛び交いました。
意見が違うことはよくあるのですが、ケア方針を立て、より詳細な介護計画を立案するにあたって、言語による説明が不足しているなと感じました。
この介護職員の説明では 、抽象的ニュアンスの説明であって、そして説得力がありません。
いつから?、頻度は?、「こんなふうに」とはどのような状態なのか?、具体性に欠け、どのような状態なのかが分かりにくい話し方になっていました。
これは行っているケアを、言語化できていない状態と言えます。
2)ケア現場における言語化の重要性
抽象的ニュアンスな言葉は、その場で分かり合えたような感覚を持てますが、実際には、それぞれケアする段階において、それぞれの職員によってやり方に違いがあるケアサービスを提供することになったり、解釈が微妙にズレて、意見の相違がおきることがしばしあります。
中には「いや、人それぞれなので、違い、ズレが起きることは仕方がない。」と言ったことを思われる方があるかもしれません。
はたしてその言葉で、片付けてしまっても良いのでしょうか。
ケアを受ける人は、一人の方なのに、ケアする人が複数人関わることで、解釈や意味づけをそれぞれにしていて、使う言葉のズレから提供するケアサービスが違っていては、ケアを受ける側としては、たまったものではありません。
そのためには、ケアする側の私たちは何に気をつけ、言語化していく必要があるのでしょうか。
現在、ケアを行っている自分の行動は、どういうことを行っていて、何に注意して、どういう意味があるのかを自分の言葉で、他の職員に伝わるように、話す、プレゼンすることが求められます。
また、物事・状態を体系的に捉え、整理する力、自分で考えたことを「言語化」できる能力が必要です。
3)コロナの時代、言語化の重要性
ところで、私たちはいま、新型コロナ感染の時期に、必要以上の密着することに制限を設けられています。しかしながら、私たち介護職はより人と近く接し、触れ合い、対話しながら行う職業です。感染予防には十分に気をつけながらも密着は余儀なく行う必要性があるのです。
こんな記事を見つけました。
Withコロナの時代には戦略そのものが大きく変わる可能性がある、ということです。たとえば、これまで「集まること」が前提となっていたビジネスは、これからそのビジネスモデルを大きく変えていかなくてはなりません。(中略) 組織内に大量の「モヤモヤ」が発生します。意図がわからない人もいれば、細かな言葉の意味でひっかかって進めなくなっている人もいるかもしれません。そういった大小様々な「モヤモヤ」を適切に表現し、双方向の丁寧なコミュニケーションをし続ける、ということが求められているのです。言うなれば、現在は、コミュニケーションの難易度が高くなっている一方で、コミュニケーションが求められる戦略大転換を控えている、という極めて高度なシチュエーションなのです。(グロービズ知見録 withコロナ時代 変わるビジネス「表現神経が武器になる時代の始まり」荒木博之より引用)
介護業界に限らず、集まり、密着しておこなう職種は、これまで以上に言葉や表現力を求められる時代になってきたと言えます。
私たち対人支援職は、コミュニケーション力が強く求められていると思います。
より相手にわかりやすい言葉を用い、情報を共有し、対話を繰り返し行っていこうといますが、次のような失敗を招くことがあります。
失敗を介護現場でのよくありがちな失敗例を5つあげてみました。
言語化できない5つの失敗例
1)職員同士の情報共有できない。
例えば、「不安定な歩行」と行った言葉を使っていても、意味やニュアンスのズレが生じていることとして、不安定さの度合いや、リスクや課題や目標が明確なっておらず、情報が共有できないことになりかねません。
2)経験・体験の実感が持てない。
頭の中の、整理がいつもできていない状態であり、行動として一生懸命頑張っていたとしても、モヤモヤ感残り、充実感がモテないことになりかねません。
3)能力が最大限に発揮できない。
「なにを言っているのかよくわからない。」となると、説得力にかけ、いつもその状態で言葉にならないとなると、思考力があっても言語化能力が発揮されずに、ときには信用をなくす場合があります。
4)大きなミス・事故に繋がる。
具体的な情報が提供できないことや、論理的に話せないことで、チームでの情報共有や、課題意識にかけ、大きなミスや、場合によってはケアをうける利用者のかたの大きな事故につながる可能性があります。
5)チーム力を低下させる。
論理的な思考や、説得力にかけ、適切な言葉の選択や行動に結びつかない状態、つまり言語化されないことは、チームの中での確信度を低下させ、役割、業務を果たせず、チームとしての機能を低下させることになります。
言語化能力を高める7つのポイント
では、失敗をおこさないためには、私たち介護職は、どんなことに気をつけながら、言語化能力を高めて言ったらよいのでしょうか。
次の7つを実践してみましょう。
1) 全体像を、1言もしくは2言でまとめて話してみる
抽象的な言葉、大きな括りでまとめることを行ってみましょう。
2) 具体的な説明を3つに絞って話してみる
だらだらした要点は、相手の記憶に残こりません。
3) 介護本、参考書籍をできれば声に出して読む
まとめてある書物を、普段から目にしておく。声に出すことで自分の脳に深く刻みこまれます。
4) 介護の専門用語や、わからない言葉・文章は、すぐに調べてみる
わからないこと、知らないことを、そのままにしておくことより、自ら調べることは語彙力を高め、知識を深めることができます。
5) 介護記録は、状態のみでなく、予見まで詳しく記録する
事実と解釈を分けて、整理して書くことを、習慣化を意識してみましょう。
6) 報告書は、忘れないうちに、すぐにまとめて提出する
記憶が明瞭なうちに、書いて頭を整理することができ、提出することで他者からの反応を自覚することができます。
7) 利用者の状態をアセスメント観察する→問いかける
五感覚を使いアセスメント、観察したことを、感覚だけで止まらせるのではなく、「なぜ、どうして、どういうことか」と問いかけにすることで、内省を深め、自分の言葉で話すことができます。
まとめ
このように、ケア現場において、さまざまな介護場面で、言葉を用い、漠然とした事柄を、明確にし、相手に伝えることがあります。
今後も私たちは、言葉を常に意識して、適切にかつ論理的に、そして相手の脳に刻まれるような関わり方として言葉というものを用いていきたいと思います。
行っているケアがより意味づけのあることとして、根拠やエビデンスを明確し、相手の感情に届くように、言語化能力を高めていきたいと思います。
また、より密着してサービスを提供する対人支援職であるからこそ、コミュケーション能力、表現力を高めるトレーニングを研鑽しておくことで、より一層必要になってきていることを実感し、言葉化していくことを実行していきたいですね。
以上 最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
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