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【職場マナー】信頼関係は言葉遣いから!敬語の基本と変換のコツ

大川 礼子
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大川 礼子
~人間関係構築プランナー~ 国家資格キャリアコンサルタント、日本マナー・プロトコール協会認定講師。 販売、ブライダル業を経験した後、インフラ企業で営業・研修実務・社内講師を務め、開業。2,000名を超える顧客や受講生と直に接し、人間関係の構築には「自分も相手も尊重する心」が重要であると実感。専門学校等でマナー講師として活動する傍ら、キャリアコンサルタントとしてハローワークで自己理解支援に務めている。

職場でのマナー、敬語って難しいな。

  • 「また今日も、課長に敬語の使い方を注意された…」
  • 「敬語や言葉遣いって難しい…」

あなたもそんな風に思っていませんか?

特にここ最近はテレワークを活用する企業も増え、電話やメール、チャットツール以外にも、ビデオ通話システムやVDR(バーチャルデータルーム)を通じて言葉を交わす機会が増えました。

これに伴って、直属の上司や同僚・後輩など、これまでは“対面だったから何となく”意思の疎通が図れていた人達とのやり取りが、以前より難しく感じられる、と言う声も聞かれます。

一見難しく感じる敬語ですが、本来明確に決められたルールがあり、その法則に従っていれば間違うことはありません。

ここでは「尊敬語と謙譲語の使い分けって難しい!」「言葉遣いについて注意される…」と悩むあなたに、“人間関係構築プランナー”ことマナー・プロトコール講師&国家資格キャリアコンサルタント@大川礼子が、敬語の基本と変換方法のコツをお伝えいたします。

基本中の基本!敬語ってなぜ必要?

研修等で「敬語はなぜ必要だと思いますか?」と聞くと、だいたい次のような答えが返ってきます。

「相手に失礼にならないように必要」「上司や先輩に、敬語を使うのは当たり前」

またこのような回答が返ってきたこともありました。

「敬語を使うと文章が長くなって、面倒くさい…」

ここでは、敬語の基本的な考え方や、言葉遣いの大切さについて見てみましょう。

敬語の重要性

敬語に関わらず、言葉は自分の意思や感情を表現し、人間関係を構築するための唯一のコミュニケーション方法です。

相手と対面して話す時には、言葉そのもの以外の要素(笑顔や身振り手振りなど)を交えることで相手へ自分の意思や感情を伝えることができます。

ただ、職場では対面での会話以外にメールやチャット、文書など、文字だけでやり取りをする機会も多く、相手や状況に応じた適切な言葉遣いがとても重要です。

日本では、文化庁が公表している2007年の文化審議会答申を『敬語の指針』としており、ここには次のように書かれています。

(前略)敬語は,言葉を用いる人の,相手や周囲の人やその場の状況についての気持ちを表現する言語表現として,重要な役割を果たす。

留意しなければならないのは敬語を用いれば話し手が意図するか否かにかかわらずその敬語の表現する人間関係が表現されることになり,逆に,敬語を用いなければ,用いたときとは異なる人間関係が表現されることになるということである。(後略)

出典元:平成19年文化庁『敬語の指針』第1章_第1_1敬語の重要性より~

一般的に日本の企業では、役職や入社年数といった経験の違いによる上下関係が存在しています。

また上下関係と言ったものでなくとも、多くの人で一つの業務を進めるにあたっては、中心となるリーダーが存在するでしょう。

あなたが上司やリーダーに敬語を使うと、それだけで当事者である相手はもちろん周囲の人にも「あなたが上司(あるいはリーダー)に対して、敬意を払っている」ということが自然と伝わります。

ですが反対に、あなたが上司に対して敬語を使わなければ、実際にあなたの相手に対する気持ちがどうであれ、相手や周囲の人には「上司への敬意がない」「上司を見下している」などと受け取られてしまいます。

オンラインやメールなど、身振り手振り以外の「言葉だけ」で意思を伝える機会が増えた昨今では特に、人間関係を構築する上で、敬語はとても重要なのです。

言葉遣いが大切な理由

言葉遣いはなぜ大切なのでしょうか。

それは「言葉は人間性を表す」からです。

ここで、私が過去に2人の上司から言われた言葉を紹介します。

  1. 「いや、本当に大川が入社してくれてよかった。あの時、面接してラッキーだったよ。」
  2. 「大川に作れる書類ということは、どうせ大した内容ではないから、すぐ確認してあげるわ」

私は当時契約社員として働いており、この2人の直属の部下でしたから、1つ目も2つ目も、上司から部下に対する言葉として間違いではないと思います。

ただ、私は実際にこの2つの言葉を言われた時、1つ目の発言をした上司へは「契約社員であること以前に、私個人をきちんと見てくれているな」と感じたのに対し、2つ目の発言をした上司へは「私個人ではなく“ただの契約社員”として見ているな」と感じました。

先に書いた通り、言葉は人が自分の意思や感情を表現し、人間関係を構築するための唯一のコミュニケーション方法です。

一言で人を救うこともあれば、たった一言が人を傷つけることもあります。

だからこそ、あなたも私も立場や年齢に関係なく、発する言葉を大切に扱う必要があるのです。

敬語の種類と変換のコツ

敬語は、尊敬語・謙譲語Ⅰ・丁重語(謙譲語Ⅱ)・丁寧語・美化語の5つに分類されています。

まずは、基本内容について復習を兼ねて簡単に説明しますね。

敬語の5分類
尊敬語…相手側又は第三者側の行為やものごと・状態を立てて述べる。(例:「部長が〇〇とおっしゃった。」)

謙譲語(Ⅰ)…自分側の行為・ものごとなどについて,その行為が向かう先の人物を立てて述べる。(例:「明日、先生のお宅に伺います。」)

丁重語(謙譲語Ⅱ)…自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べる。(例:「先月、東京へ参りました。」)

丁寧語…話や文章の相手に対して丁寧に述べる。(例:「これは〇〇です」)

美化語…ものごとを美化して述べる。(例:「お酒」「お花」など)

この基本を踏まえて、変換のコツなどを見てみましょう。

混同しやすい尊敬語と謙譲語

社外の人に対して「受付で伺ってください」や「弊社の部長がそのようにおっしゃいました」など…。

尊敬語と謙譲語を混同している間違い敬語を、よく耳にします。

でも、安心してください。

敬語にはきちんと法則があり、その法則さえ覚えれば簡単に使い分けができるのです。

敬語の変換方法

文章は原則として、「私は(〇〇を)食べる」というように、「主語+述語」で成り立っています。

この時、「述語」にあたる行為(=“食べる”)を「誰が」(=主語)行うかによって、尊敬語を使うか、謙譲語を使うかが変わります。

例)「私は○○を食べる」

  • 食べる人が目上の人である場合→「先生は○○を召し上がる」(尊敬語)
  • 自分が食べたことを、へりくだって相手に話す→「私は○○をいただく」(謙譲語)

次に、先の例を見てみましょう。

誤)社外の人に対して「受付で伺ってください」 → 正)「受付でお聞きください

解説)「受付で聞く」と言う行為を行うのは「社外の人」=相手です。

「相手側の行為を立てて述べる=尊敬語」のため、謙譲語の「伺う」を尊敬語の「お聞きください」と変換するのが正解です。

尊敬語や謙譲語は、行為以外にも、ものごと(名詞)や状態(形容詞など)に存在します。

これらも全て「誰のものごとか」「誰の状態か」など、「主体となる人物が誰か」によって変化すると覚えておけば、間違いはぐんと減りますよ。

敬語の変換法則

次に、行為を表す「動詞」の変換方法をメインに、尊敬語と謙譲語の主な例を紹介します。

またここでは、変換方法をわかりやすくするために、元の動詞を「使う」に統一して説明します。

特定形
  • 尊敬語:おっしゃる、ご覧になる、召し上がる 等
  • 謙譲語:伺う、申し上げる 等
  • 丁重語:参る、申す 等

*特定の形に変化することで、敬いやへりくだりの気持ちを表現する言葉

一般形
  • 尊敬語:お/ご+行為+になる(お使いになる)、お/ご+行為+くださる(お使いくださる)
  • 謙譲語:お/ご+行為+する(お使いする)、お/ご+行為+いただく(お使いいただく)
  • 丁重語:お/ご+行為+いたす(お使いいたす)*謙譲語でも使用可能 等 
その他/語尾の変化
  • 尊敬語:行為+れる・られる(使われる)、される(使用される)、なさる(使用なさる)等 

これさえ覚えておけば、特定形をうっかり忘れてしまっても、敬語に変換できますね。

間違いやすい敬語とは?

「課長がご使用された○○は…」「先ほど、○○だとおっしゃられましたが…」

このような間違い敬語をよく耳にします。

実は私自身も、マナー講師となる数年前まで、間違いだと気付かずに堂々と使っていました…。

ここでは自分の失敗例も含め、よくある間違い敬語についてお伝えします。

まだある!尊敬語と謙譲語の間違い

「課長がご使用された○○は…」というのは、一見すると正解のように思いますが、実は間違いです。

使用された」は「お/ご+行為+する」という自分側の行為を表す謙譲語です。

この謙譲語に、尊敬語への語尾の変換「れる・られる」をつけても、尊敬語にはなりません。

使用になる使用くださる)」あるいは「使用された」が、相手側の行為を表す尊敬語ですので、ぜひこの機会に覚えておいてくださいね。

ついつい長くなる…二重敬語に注意!

「先ほど、○○だとおっしゃられましたが…」と言う言葉も、よく耳にします。

おっしゃる(言う)、召し上がる(食べる)、ご覧になる(見る)、見える(来る)など「特定形」の言葉は、既に敬意を含んでいます

そのため、語尾を変化させ「れる・られる」をつけると、「二重敬語」と呼ばれる間違い敬語になるのです。

これは尊敬語だけでなく、申し上げる(言う)、いただく(食べる)、拝見する(見る)、伺う(行く)などの謙譲語にも同じことが言えます。

冒頭でお伝えした「敬語を使うと、文章が長くなって面倒くさい…」という悩みは、実はこの間違いによって起こることがほとんどです。

例)間違った二重敬語はシンプルに…

  • 「拝見させていただきます」  → 「拝見します」
  • 「お召し上がりになられましたでしょうか」 → 「召し上がりましたか」

限定的に、二重敬語が習慣として定着した慣用表現もありますが、まずは基本を正しく覚えて、簡潔に敬意を表現する方法から練習してくださいね。

また敬語は、話す時より書き言葉で訓練をすると上達が早まりますよ。

言葉遣いには心が表れる

「取引先との電話を終えると、上司がこちらを見ていて敬語について注意された…」

「敬語は正しく使えているのに、課長に注意された…」ということはありませんか?

ここでは、自分の意思や感情を正しく伝えるために、知っておいてほしいことをお伝えします。

身内と他人の境界線

「取引先との商談で、『弊社の部長がそのようにおっしゃいました』と言ったら、後から上司に注意された…。」

社外の人との会話で、社内の人に関する話題が出た時、あなたは正しく敬語を使えていますか?

日本では、8世紀頃には既に敬語が存在しており、身分制度により根付いたと言われています。

長らく日本での身分や役割による階層の上下関係は絶対的なものでしたから、敬語も「この身分の人にはこの敬語を使う」というように固定化されていたものでした。

ですが現代の日本には身分制度はありませんし、敬語は「相互尊重」を基盤としています。

時々の環境や周囲との関係性により、「相手側」と「自分側」といった上下関係が流動的に変化するため、身内と他人の境界線が分かりづらく、間違いが起こりやすいのです。

この間違いを解消するために、下の図を見てください。

自分から近い関係の人は私的な意味合いが強く身内として「自分側」に、反対に自分から遠い関係の人は公的な意味合いが強く「相手側」となります。

尊敬語と謙譲語を使い分ける時は、先に書いた「主語は誰か」と言うことに加え、「自分から近いか遠いか」を考えると良いですよ。

余談ですが、この考えは結婚式の席次などにも通じるので、ぜひ覚えておいてくださいね。

正しい敬語を使うために必要なこと

ここまで敬語について文法的なことを中心にお伝えしましたが、正しく敬語を使うために、ぜひ知っておいてほしいことがあります。

それは、「どんなに正しい敬語を使っても、人前で言ってはいけないことがある」ということです。

「相手を批判・否定する」「人の秘密を詮索する」「論破して相手に勝とうとする」「不平や不満を言う」ということはもちろん、「善悪についての私見を簡単に述べる」「相手の知識や教養を試す」などは、相手の人権を無視する行為にあたり、相手を不快にします。

企業では、共通の目的に向かって多くの人が事業を遂行する責務があり、そのためには従業員同士の信頼関係が必要です。

いくら正しい敬語を使っていても、先に述べたような「言ってはいけないこと」を言ってしまえば、あなたの人間性は卑しいものとなり、信頼関係を築くことは難しくなるでしょう。

また敬語を使う場面というのは、少なからず目上の人といる時など、緊張を伴っていることも考えられます。

人は緊張やストレスが高まると防衛機制が働き、「本性」と呼ばれる普段の言動が出てしまいます。

職場での信頼関係を築く上で、正しく敬語を使えることはとても重要です。

ただ、自分の発した言葉を意図した通りに受け取ってもらうためにも、言って良いこと、言ってはいけないことの認識は、職場を離れた日常生活においても忘れずにいてほしいなと思います。

まとめ

私は、マナー講師として初めて研修を行った2016年に『敬語の指針』に目を通しましたが、それまで敬語について、特に意識したことはありませんでした。

接客業に長く携わっていたためマナー研修を受講する機会は多くありましたし、お客様との会話などで日常的に敬語を使い、「それが当たり前」だと思っていたからです。

ですが人に教える立場となり改めて学びなおすと、これまでいかに自分が間違った敬語を平気で使っていたかに驚くと同時に「言葉は生き物」「思い込みは禁物」ということを実感しました。

言語は特に勉強しなくとも、その土地に長く暮らせば話せてしまうことがほとんどです。

何となく意思を伝えたり、何となく感情を伝えたりするだけであれば問題ないでしょう。

ですが誰かと信頼関係を築く時、その言葉を使って伝えるのは、あなた自身の考えや価値観を通した「心の在り方」です。

『敬語の指針』には、次のように書かれています。

敬語は,人と人との相互尊重の気持ちを基盤とすべきものである。(中略)現代社会は,基本的に平等な人格を互いに認め合う社会である。(中略)

「相互尊重」とは,年上の人,先輩,上司,教えてくれる人などに対して,年下の人,後輩,部下,教えてもらう側の人が,敬いやへりくだりの気持ちを持つ場合だけでなく,逆に,年下の人に対して年上の人が,後輩に対して先輩が,部下に対して上司が,教えてもらう側に対して教える側が,それぞれ,相手の立場や状況を理解したり配慮したりする場合をも合わせたとらえ方である。

出典元:平成19年文化庁『敬語の指針』第1章_第1_2「相互尊重」を基盤とする敬語使用より~

時代によって敬語の持つ役割や形式が変化しても、その根底にあるのは「相互尊重」、つまり「自分も相手も尊重する心」です。

これは「敬語」というひとつのツールに限らず、全てのマナーに通じます。

年齢、立場、経験などが上であるかないかに関わらず、相手を一人の人間として尊重しているからこそ、対面の会話であれ、メールであれ、オンラインであれ、あなたの言葉が相手に伝わるのです。

あなたの人生が、より良い人間関係に基づいて、充実した毎日を過ごせるよう心から願っています。

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大川 礼子
~人間関係構築プランナー~ 国家資格キャリアコンサルタント、日本マナー・プロトコール協会認定講師。 販売、ブライダル業を経験した後、インフラ企業で営業・研修実務・社内講師を務め、開業。2,000名を超える顧客や受講生と直に接し、人間関係の構築には「自分も相手も尊重する心」が重要であると実感。専門学校等でマナー講師として活動する傍ら、キャリアコンサルタントとしてハローワークで自己理解支援に務めている。










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