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認知症介護におけるストレスと向き合うには? 介護人材育成から学ぶ5つのポイント

 
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1995年 看護師のキャリアを生かし、大手複合医療法人、社会福祉法人の介護・福祉サービス事業に11年間携わる。   2006年〜 認知症高齢者グループホームを立ち上げる。開所当初離職率84%から、4%に激減させる。 2018年〜 人財育成コミュニティ「ケアびと育成Lab.」立ち上げる。 現在までに、さまざまな家族介護の相談、介護保険についての相談、認知症介護の相談、介護職員のキャリア相談など、延べ1万人以上の方の相談、支援してきた。 今も認知症高齢者グループホーム所長として奮闘する中、「ケアする人、される人が、笑顔が溢れる世界を創ろう」と、わかちあう「ケアびと」と共に地域活動・社会貢献をも実践している。

認知症介護とストレスは、切っても切り離せません。

「頭では、わかってはいるんですが…」と、先日、相談に来られた介護者の方の声です。

介護者である娘様は、抑えきれずに、本人を怒鳴りつけてしまった。「いい加減にして」と、母親に対して怒りの感情をぶつけてしまった自分が情けないといった相談でした。

私は職業柄、日常的に認知症介護にまつわる様々な方の相談を受けることがあります。

認知症介護がはじまったばかりでどのように介護したら良いか、または身近に大切な人がもしかして認知症でないかと不安を感じる、この先、どんな介護が待ち受けているのだろうと恐怖が大きく、対応にストレスを感じているといった方がおられます。

今回は、そういった相談の中から、認知症介護をしておられる介護者のストレス軽減につながるヒントをお話しします。

認知症を知る

脳は、人間の行動をコントロールしている司令塔と言われています。

脳は、記憶(覚える、思い出す)、感覚(見る、聞く、)思考(理解、判断など)感情(喜び、悲しみなど)からだ全体の調節(呼吸、睡眠、体温など)といった、生きてくために必要なほとんどのはらたきをコントロールしています。

(認知症サポーター養成講座テキスト引用)

認知症は、誰にも起こりうる脳の病気(症状)です。症状としてよく言われることが、加齢による物忘れと認知症による物忘れのちがいってどんなことでしょうか。

図にあるように、老化による物忘れは記憶の中の一部を忘れてしまい思い出せない状態を言います。しかし、認知症による物忘れは、行なったこと自体の記憶が、ごっそり抜け落ちていて思い出せない状態をいいます。

他のも症状として出現してきます。本人の自覚として、認知症の初期の頃は、「何だか変だな」「頭が痛い」「重い」などといった自覚があり、辛い体験を話されることがあります。また、葛藤や不安から行動・心理症状(BPSD)と言われる状態が、介護者や周囲の人を悩ませます。

周囲を悩ます状態

  • 電話に出たが、重要な話を、伝え忘れケロッとしている。
  • 指摘したら、大声で怒鳴り出した。
  • 道に迷って警察のお世話に何度もなる。
  • 何度も銀行に行き、引き出してきて、しまいこんでいる。
  • 薬の飲み過ぎ、飲み忘れがいつもある。
  • 買い物して同じものを大量に買い込んで腐らせる。

など様々です。

原因として考えられる要因

  • 心理的な要素(不安は最も重要、その他、さびしさ、怒り など)
  • 周囲の働きかけの問題(いきなり手をつかんだ、大声で呼びかけた、行く手を遮った など)
  • 体の不調(便秘、脱水、空腹、痛み、かゆみ、運動不足、発熱 など)
  • 薬の影響
  • 環境(騒々しい、まぶしい、なじみがない、臭いがする など)
  • 以前の習慣(毎朝会社へ行っていた、農家で畑を耕していた など)

他にも何らかのきっかけや要因があります。

認知症介護の事例から考える

相談1「何度も同じことを聞かれて、その都度話しても忘れるので疲れます。」

認知症の記憶障害によるものです。記憶障害のスパンが短い人で、5分前の出来事を記憶保持できないことがあります。

また、不安などの気持ちが強い時は、確認をしたくで、何度も同じことを尋ねることもあります。

そんな時には、不安を増長しないような、安心できる言葉かけや、表情・動作で対応することがよいですね。

または一旦、話すことをやめて傍で見守ることもよい対応かもしれません。

相談2「心ないことを言われ、カチンときた。」

仕事で疲れて帰ってきて、介護をしていたら認知症の母親が「あんた、そんな疲れた顔で来るのなら、帰って!」と言われ、「誰の為に介護していると思っているの!」の頭にきてしまったとことでした。

判断力が低下していると分かっていても感情は生き物ですので、腹を立ててしまうことはやむをえません。

もしかして、母親としての認知症状を隠すため、取り繕いの言葉かもしれません。

あなた自身が、寝込む様なことになってはもともこうもありません。

休息を優先してください。

相談3「認知症の症状なのか、本来の性格なのか、区別しにくく、割り切れない。」

同じような認知症の症状でも、実はひとりひとり違います。

記憶障害で、たとえは財布をしまい忘れた時、ある方はその症状を「何かおかしいな」と感じながらも、「もしかして、おき忘れた」と口に出される方もあります。

しかし、別の方では、「ここにおいてあったのに、誰かが持っていった」と被害的になることがあります。

もっと困るのは、「あの人が、盗んでいった」と攻撃的に訴えをされる場合です。身近な方ほど、その矛先が向けられることが多くあります。

そんな時、認知症の症状だけだとは、思えず、認知症ご本人の性格が悪いとか考えがちです。

この場合は以下の条件が重なり、症状が強く出たり、周囲を困らせることが起きたり、怒らなかったりします。

介護者のストレスチェック

認知症の周辺症状に悩まされ、介護者はストレスを抱え介護に当たっています。

    (社団法人 全国老人保健施設協会 引用)

ストレスチェック表にて、当てはまるものはいくつありますか。

しかし、ストレスは悪者ではありません。ストレスは切ってきれないものです。

介護する上で、上手にストレスと付き合っていくには、感情のセルフコントロールができるようになることが大切です。

感情調整は、喜怒哀楽を起こさないということではなく、 喜怒哀楽を起こしている自分の状態を客観的に調整し行動・言動などをコントロールできることです。

さらに、自身の興味・関心が介護だけに偏らず、多様にある方が良いです。

ストレスとつきあう5つのヒント

私は、介護職員の育成に対応する毎日を送っています。認知症介護従事するスタッフに、次の5つのポイントについて話をしています。

このことは、専門職に限らず、家族の方などの介護者にも共通して言えることです。

1抱え込まない。

あなた自身だけで、全部介護しようと思わなくてよいです。周囲にはあなたを手助けしてくれる人がいるはずです。

専門家に限らず、相談できる人や、これまでに認知症介護を経験してきた先輩たちが多く、あなたの周りにはいます。まずは声を出して見ましょう。

2がんばりすぎない。

「なんで、」「どうして」といった言葉が頭の浮かんできて、怒りや、失望、混乱から、なんとかしなくてはと対応しがちです。

時には割り切りや、諦めも必要なことがあります。ときには手抜きの介護や、他の人にお願いすること、介護サービスを利用することをしましょう。

3愚痴は言おう。

認知症の人には、怒ってはいてない、受容が必要であると言われますが、生身の人間対人間です、ましてや親子や肉親であったりすると、感情がダイレクトにぶつかり合うことが多いです。

その場合、時に喧嘩や言い争いをすることもあります。周囲にはとりとめのない話や愚痴を言うことが大切なことです。

または、第三者、できれば地域包括支援センターの地域の相談窓口や、認知症専門医にまずは相談しましょう。

4比べない。

同じ病名や、症状であっても、性格、素質や生活環境、心理状態によって、ひとりひとり状態は違います。

その為「あの人の状態は、うちにも同じことである。」とか、「あの人よりは軽い」「重症だ」とか他人とは比較はできません。個人差があります。

介護する方は、認知症ご本人の状態を、本人主体してかつ客観的に観ていきましょう。

5今を大切にする。

認知症の経過は早い人、遅い人個人差はありますが一般的には数年から十数年の経過をたどっていきます。また、半年や1年後には違う症状に変わっていくことがあります。

見通しを立てて介護していくことは必要ではあります。しかしたとえ、現在困った症状であなた自身を困らせ、振り回している真っ只中としても、この状態は、決して永遠に続くものではありません。

認知症がもっと進行すれば、口から食べ物を受け付けられなくなり、歩行できなくなる身体的な症状が現れます。寝たきりになることがあります。また大切な人の顔を、忘れてしまうことになるかもしれません。

今の時間を、一瞬一瞬を大切にしたいですね。

きっと、あなたが行なった認知症の介護は意味の深い、貴重な財産につながることを私たち認知症介護者は何度も経験しています。きっとあなたが行なっている必ず貴重な介護経験になって行きます。

終わりに

認知症介護は、一般的に大変、ネガティブなイメージとしてあります。しかし、そんなことばかりでは決してありません。

生身の人間同士が、寄り添い、話、時にはぶつかり合い、時には笑顔になり、ふっとやさしい気持ちが沸き起こり、そんな人として当たり前な、忘れてしまいそうなことを気づかせてもられることがあります。

認知症介護を行なっている、またはこれから起こりそうな介護者のあなたへ、ヒントとなることがお伝えできましたか。

また、何らかしら認知症介護を経験することが訪れるかもしれないです。その時、現在ストレスを抱え悩み対応したことが、今後、認知症介護の道を通っていく人たちの、支えや道しるべになることを願ってやみません。

笑顔溢れる認知症介護を行える人が増えていくことの応援を、今後も行なっていきます。

次回も、引き続き認知症介護についてのお話をしていきます。最後までお読みくださいましてありがとうございます。

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1995年 看護師のキャリアを生かし、大手複合医療法人、社会福祉法人の介護・福祉サービス事業に11年間携わる。   2006年〜 認知症高齢者グループホームを立ち上げる。開所当初離職率84%から、4%に激減させる。 2018年〜 人財育成コミュニティ「ケアびと育成Lab.」立ち上げる。 現在までに、さまざまな家族介護の相談、介護保険についての相談、認知症介護の相談、介護職員のキャリア相談など、延べ1万人以上の方の相談、支援してきた。 今も認知症高齢者グループホーム所長として奮闘する中、「ケアする人、される人が、笑顔が溢れる世界を創ろう」と、わかちあう「ケアびと」と共に地域活動・社会貢献をも実践している。










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