国家資格キャリアコンサルタント集団が斬る仕事論

自分の未来を変えるための方法は? 自分探しの物語

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国家資格キャリアコンサルタント、2級コンサルテイング 技能士。カウンセリングと写真を組合わせ、その人ならではの魅力を引き出すフォトカウンセラー。企業で様々な仕事を経験し、現在は新規事業開発を担当。写真は家業。ライフサイクルの中での様々な転機に際し、自分を変え自己成長を促して、よりハッピーな人生に導くお手伝いをしています。カウンセリングを通じて、あなたならではの本来の価値を探して、新たな人生を拓きましょう。【趣味】旅行、インテリア、コーラス、京ことば源氏物語の語り等

あなたの未来はどうやって決まると思いますか。10年後の自分の姿を想像してみましょう。人生は、過去から現在へと続いており、未来はその延長線上にしかありません。

過去は変えられない、と思っていませんか?

過去に起こった事実は変えられませんが、自分の記憶にある過去を、新しい過去に書き変えることができます。過去の記憶が変われば、予測される未来も変えることができます。

現在からみて、なぜ過去と未来を変えることが出来るのか?

キャリアコンサルタント上松笑子が、物語理論をベースに紐解いてみたいと思います。

言葉と物語り

私たち人類ホモ・サピエンスはの祖先と言われるクロマニヨン人は、生物の進化の過程で、何億年もかけて進化してきました。オラウータンから進化したネアンデルタール人とクロマニヨン人は、共存していた時期もありましたが、クロマニヨン人が生き残りました。

その理由は、言葉だと言われています。

言葉が話せることで、何百人、何千人、何万人規模でのコミュニケーションが可能となりました。共通の概念が共有できることにより、技術の伝承が可能となり、文明の発達に繋がったのです。

言葉は、進化における決定的な道具でした。

その言葉を使って、私たちは生きています。

言葉が人生を形づくる

「おはよう!」という朝の挨拶(言ってますか?)から「おやすみ」まで、意識的に発する言葉、習慣的に無意識に発する言葉。私たちは、毎日言葉を発しています。

例えば、昨日発っした言葉を、すべて覚えていますか?

生まれてから今日まで、いったいどれ位の言葉を発してきたことでしょう?

「昨日は何をしていたの?」日常会話でよくある質問。「映画を見にいきました」「何の映画?」「ボヘミアン・ラプソデイという映画」「へー、どんな内容?」「英国の伝説のバンドのクイーンのボーカルのフレディマーキュリーの半生を描いた映画」「それで?」「めっちゃ良かった、感動して泣いたよ〜」「そうかあ〜、じゃあ今度僕も見に行ってみようかな」「話してるうちに、私ももう一回見に行きたくなった」「じゃあ、明日一緒に見に行かない?」「行こう、行こう」

言葉は、相手との対話により、一連のストーリー(物語)になりましたね!

語るには、確りと聴いてくれる人の存在が必要

相手から質問されなければ、映画を見て良かった、面白かった、怖かった(ホラー映画)、ワクワクした、彼と一緒の時間を過ごせてよかった、時間がつぶせた(XX)と、単なる感想でしかなく、すぐに記憶の彼方に薄れていってしまいます。

相手との対話により、映画の説明に加えて、あなたならではの ”感情を伴う記憶を含めたストーリー” として語ることが可能になります。

相手の行動を変える。語り手が語った感情を伴ったストーリーは、聴き手の感情(琴線)に触れて共感を呼び起こし、行動に繋がります。

この場合、知っていたけど見に行くことまで考えていなかった彼を、明日、あなたと映画を見に行くことにさせたのは、何故だと思いますか?

相手の行動を変容させたのは、あなたの語る言葉、あなたの感情を伴う記憶に基づいた言葉です。

そして、あなた自身も、彼と対話しなければ、もう一度映画を見るつもりは(たぶん、もう一度見に行ってもいいかな〜というモヤモヤした気持ちが、潜在意識のどこかにはあったかもしれませんが)、まだ確りとはなかったのに、明日、映画を見に行くことになるとは。しかも、いつかデートしたいと思っていた彼と。何たる偶然、何たるラッキー!これが縁で付き合うことになるかも(妄想、夢)!!

言葉は、単に論理的な説明をするための一方方向の伝達手段という働きだけで無く、感情を伝えて、自分や相手の心を動かし、行動を変えることが出来る双方向のコミュニケーションツールなのです。

自分語り

自分の過去を語る(対話)

自分を語るということは、自分の過去を語ると同義といってもいいでしょう。

過去を語るとは、過去と現在の間を語る、ということです。 過去というと、過去の印象的な一つの出来事(エピソード)が思い浮かびますが、その前後には、エピソードが生まれる原因やその後の顛末があるはずです。そして、事実の説明に加えて、どう思っていたのか。

書くのではなく語ります。

書く作業は一人で行いますが、語るときは、聴き手は必須。

相手に対して、自分を知ってもらおう、いう気持ちで語りかけます。

聴き手は、質問や意見など口を挟まず、話し手の語りを温かく見守り、 あいづち等の共感的なジェスチャーで、語りやすい雰囲気作りを心がけます。

さあ、安心して語ってくださいね。

このブログのページを開いて下さったあなたは、何某かの理由があってこのページに辿り着いたはずです。

変わりたい、未来を変えたい、という想い。

どうしてそう思うようになったのか、どのような問題を抱えているのか、ゆっくりと時間をかけて語ってください。

このワークは、あなたが本音を語れる人と行ってください。親友がよいかもしれないし、或は、あなたのことをよく知らない人、研修仲間やサークル仲間の方が良いかもしれません。もちろんキャリアコンサルタントならベストですが、本音を出せない人が相手ですと、効果は期待出来ません。

ドミナントストーリーとオルタナティブストーリー

過去の記憶の中のストーリーは、見方を変えれば、全く別のストーリーになります。

ドミナントストーリー(支配的な物語)

  • 自分がこれが自分だと思い込んでいる話
  • 問題に振り回されて途方にくれる話
  • ダメな自分だと情けなく自分嫌いな話

オルタナティブストーリー(語られなかった物語)

  • 問題に立ち向かう自分
  • 問題と正面から戦う勇気ある自分

誰かに語られることが必要で、他人に共有されることで定着します。

過去の古い事実を新しい視点でみる

自分のことを相手に伝えようと、語っている内に、気づきが生まれ、霧が晴れたように、視界が開ける時があります。

過去の古い事実を、時を経て新しい視点でみると、違った価値、新しい理解が出来る場合があります。事実は同じでも、未来へ向かうベクトルの方向性が違ってきます。

例えば、よく言われる例えとして、コップに水が半分あったら「もう半分しかない」と思うか「まだ半分ある」と思うか?

例えば、あなたが高校生で進路を決める時にテストの点が30点だったら?30点しかとれないから3流校を志望するのか、勉強しないで30点とれたなら頑張れば東大に行けるかも、と思うのか? 30点という事実は同じなのに、捉え方の違いで3流校と東大、未来の目標が雲泥の差、目標に向かう現在の行動も変わります。たとえ東大に落ちても、将来の生き方に差ができるのは予想されますよね。

意識の世界

自分を語ることによって、気づきは、なぜ生まれるのでしょうか。

精神分析学では、人間の心を、意識、前意識、無意識の3つに分けます。

ピラミッド構造になっている図をイメージしてください。

自分を語っていくうちに、深く内省し、意識の世界から前意識の世界の奥底、無意識のきわ迄、掘り下げていけたら、いままで悩んでいた原因が、自分自身が枠を決めていたり、思い込みであったことに、自分自身で気づける瞬間があります。

意識の世界

自分で現在認識している内容を意識といいます。

私たちが普通の社会行動を営んでいるのは[意識の世界]です。言葉は、いま浮かんでいる言葉です。忙しく仕事をしたり、家事で時間に負われたり、TVを見て無駄に時間をつぶしているのにやめられないですね(笑)。論理やデータを使って、頭を使って仕事をこなしているようでも、自分にとっては分かりきっていることを繰り返している場合は、自分にとっては学びや気づきがありません。

前意識の世界

自分で現在認識していないが、努力すれば思い出すことができる内容を前意識といいます。

第六感とか、夢に出て来るとか、初めて会ったのにどこかで会った記憶がある、とたまに思うことがあります。普段忘れているけど言われたら思い出す、子供の頃に歌った歌は大人になっても歌える、というのは前意識にある記憶が、意識上にうかびあがってくるためです。抽き出しの多い人、という言い方をしますが、前意識に知識を沢山貯めている人、というと理解し易いかも知れません。

前意識には、論理的な言葉の記憶と、感情を伴う記憶があります。

 無意識の世界

自分で現在認識しておらず、努力しても思い出せない内容を無意識といいます。

意識と前意識の下に、広大な無意識の世界が広がっていいます。

人間の成長は、自分の心の意識と前意識のエリアを拡げることと、他者との共感によって共感力をあげる(幅を拡げる)ことによって、可能となります。

未来を描く = 未来を変える

クイズです。あなたは高校2年生、3歳からサッカーをはじめ全国大会にも度々出場する一方、勉強も真面目にやって来ました。親には、大学くらいは出て欲しい、と言われています。卒業後の進路を決める時、3つの選択肢からあなたならどうしますか。

(A案)今の実力で合格可能な2流大学で好きなサッカーを続ける。あわよくば1流大学に入りたいが、落ちて浪人したくない。親に負担をかけたくないし。

(B案)今から一年間サッカーは我慢して頑張って勉強し1流大学を目指す。大学でサッカーは続けるが、将来は一流企業に就職を目指す。

(C案)大学で学びたい気持ちはあるが、一度しかない人生、プロサッカー選手になる。

あなたなら、どの人生を選びますか?

これは、プロサッカー選手の長谷部誠さんの人生の選択でした。迷う長谷部さんの背中を押したのは、幼い頃から孫を見て来たおじいちゃん。1度しかない人生だから、プロサッカー選手を目指したらいいんじゃないか。長谷部さんはJリーグ入りを決断します。日本代表に選ばれ、歴代の監督にキャプテンを任され、昨年日本代表を引退。現在もドイツでプレーを続けています。将来はサッカーの指導者となることを目標に必要な資格の勉強もしています。自著『心を整える』はベストセラーとなり、印税は全額東日本大震災の復興支援団体に寄付。結婚は遅く一児の父親。カッコいいですね〜。

A案は、他者目線での選択です。やってもみずに浪人したらどうしようと、将来を失敗すると決めつけ、親のせいにして自分の人生を選択しています。後で後悔するパターンです。

B案は、志望の一流大学へ行ける確立は2分の1あります。この選択をなければ、一流大学には行けないのですから。あとは、2分の1の確立をあげるべく、勉強するのみです。

C案は、幼いときから長谷部さんを身近で見守って来たおじいちゃんのアドバイスでした。孫の過去の行動と将来を見据えて、過去と未来を繋ぐ選択を提案します。結果から見て、最善の選択でした。背中を押す役割のおじいちゃんは、長谷部選手にとって最高のメンターと言えそうですね。

夢は、掲げなければ、実現することはありません。

過去〜現在〜未来を描くワーク

このワークは一人で行います。自分語りと同様に、結果を共有して他者に伝えることにより、より深い気づきが得られるでしょう。

【前準備】白い紙に、横に線を一本ひいて、年齢を0歳から、真ん中に今の自分の年齢、右端には、折り返した年齢を書き込みます。ライフラインに似ていますが、ライフラインの対象が、過去〜現在までであることに対し、このワークは、過去〜現在〜未来までを対象としています。

ワーク1 過去から現在までのストーリー

Step1:過去から現在までのラインを描く

誕生から今までの間の過去の出来事(エピソード)があった年齢のところに点をうち、点と点を結び、線にします。過去にあった出来事で思い浮かぶのは、印象深いエピソードかもしれませんが、誕生から現在までの間に、エピソードは無数にあるはずです。

線は複数あって構いません。忘れていた出来事や、子供の頃になりたかったものなど、「語られなかったストーリ」を探索することが大切です。

Step2:過去から現在までのストーリーを書く

書いた線を眺めながら、物語仕立てに纏めて、別の紙に書きます。種類の違うストーリーが複数あって構いません。

自分語りをして、思い出した、忘れていたストーリも書いていきましょう。ああ、あの頃、自分はそういえば、○○が好きだったんだ〜。内面や、好きな本や、憧れていた人、なりたかった職業等、書いてみましょう。

ワーク2 未来の自分を想像する

次に、未来の自分を自由に想像します。将来自分が何をしていたいのか夢を想像します。具体的に将来の自分の姿を具体的に想像して書きます。同じくサッカーの本田選手は小学生の時に、サッカー選手になってワールドカップに出場してイタリアのチームに行って10番をつけて活躍するという夢を作文に書いたそうです。その夢は実現しました。夢や目標は持つから実現出来るのです。かけ離れた夢は?それもOKです。

Step3:ライン上に未来を描く

夢候補がいくつか出たら、ライン上で、その夢を実現したい年齢のところに書き込みましょう。3種類位、バラバラな夢でOKです。

Step4:未来のストーリーを書く

次に、その夢が実現した場合のストーリを具体的に書いてみましょう。200字位で。

どうでしょう?バラ色の夢が描けましたか?

ワーク3 過去と未来を繋ぐ現在の自分

未来の夢は、多くの場合、過去からの延長です。何らかのキッカケが、過去のどこかにあるはずです。子供の頃から、サッカーをやらなくて、将来プロサッカー選手にはなれないし、ピアノを習っていなければ、将来ピアニストにはなれません。

Step5:過去のラインと未来を繋ぐラインを描く

未来の夢を実現するために今何をしたらよいのか、を考え、ラインの現在のところに書きます。

Step6:過去と未来を繋ぐストーリを書く

ラインに書いた現在の行動について、具体的に書きましょう。

そもそも、夢は、過去の延長上にあるものが描かれていることが多いと思います。その夢を実現する為に、今の自分がどのような選択をするべきか、を考えて、過去、未来、現在の順に、書いていきます。

あなたの夢を実現する物語。待っているだけではやってこない未来、なりたい未来の自分を、あなた自身の手(書く)と頭(描く=考える)で変えて行くのです。書くというアウトプットの作業をしている内に、頭が整理されてきて、どんどんアイデアが浮かんできたらしめたものしめたもの。

あなたが、高校生なら、このやり方をそのままやってみてください。あなたが、大人で、30代、40代、50代なら?今更と思うでしょうか。いや、そんなことはありません。

以下は、少し前に行った私のワークです。

Step1と2、過去のワークが超重要でした。私は現在企業に勤めており、大人になってからすっかり忘れていたけれど、子供の頃、自分は教師になりたかったことを思い出しました(語られていない物語、前意識)。

Step3と4で、未来を描いた時、今から教師は難しいけれど、私がやりたかったのは、人の成長に資する仕事、だということに気づきました。

Step5と6、そのために今何をしたら良いのか?キャリアコンサルタントの勉強をし、資格を取得することを決めました。そして、現在の私は、キャリアコンサルタントの資格を取得した今、Step4の未来の具体的なストーリーを描く作業を再度行っている最中です。将来像を具体的にイメージし、Step5と6で今何をしたら良いか、を改めて考えたいと思っています。

まとめ

自分の未来を変える方法、如何でしたか?

自分を変える、というのは、自分の未来を変える、ということです。本気でそう思うなら、是非この自分探し物語メソッドに従って、自分を語る→自分物語を描くワークを行なってみてください。

必要なのは、あなた自身と対話する相手、紙とペン、PC(物語はPCに打ち込んでもok)だけです。

Let's  try!

物語理論は近年様々な研究者によって研究され注目されている分野です。個人のキャリアカウンセリングだけでなく、組織開発プログラムにも応用されています。また、目的や用い方は異なりますが、メンタルヘルスケアや心理療法のセラピーに利用され効果をあげています。
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国家資格キャリアコンサルタント、2級コンサルテイング 技能士。カウンセリングと写真を組合わせ、その人ならではの魅力を引き出すフォトカウンセラー。企業で様々な仕事を経験し、現在は新規事業開発を担当。写真は家業。ライフサイクルの中での様々な転機に際し、自分を変え自己成長を促して、よりハッピーな人生に導くお手伝いをしています。カウンセリングを通じて、あなたならではの本来の価値を探して、新たな人生を拓きましょう。【趣味】旅行、インテリア、コーラス、京ことば源氏物語の語り等










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