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介護職離職の実態は?転職を悩む人へ3Kを「意識変容」する5つのヒント!

 
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1995年 看護師のキャリアを生かし、大手複合医療法人、社会福祉法人の介護・福祉サービス事業に11年間携わる。   2006年〜 認知症高齢者グループホームを立ち上げる。開所当初離職率82%から、4%に激減させる。 2018年〜 人財育成コミュニティ「ケアびと育成Lab.」立ち上げる。 現在までに、さまざまな家族介護の相談、介護保険についての相談、認知症介護の相談、介護職員のキャリア相談など、延べ1万人以上の方の相談、支援してきた。 今も認知症高齢者グループホーム所長として奮闘する中、「ケアする人、される人が、笑顔が溢れる世界を創ろう」と、わかちあう「ケアびと」と共に地域活動・社会貢献をも実践している。

前回、介護離職率の現状と理想と現実のGapの埋め方についてのお話をさせていてだきました。

介護の離職率は16.7%となっており、5~6人に1人が職場を離れていっている現状や介護の仕事を辞めた理由で最も多かったものは「職場の人間関係に問題があったため」で23.9%、次いで「結婚・出産・妊娠・育児のため」20.5%、「職場の理念や運営のあり方に不満があったため」が18.6%と続き、「収入が少なかったため」は16.5%で6番目となっています。

(注1)http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/h29_roudou_genjyou.pdf

何かしらの理由で介護職から転職を考えておられる方にむけて、3K「きつい、汚い、危険」の意識変容を中心にヒントをお伝えしていきます!

介護職を転職しようかと悩む、ネガティブな3K

一般的に3Kとは「きつい、汚い、危険」をイメージさせる、労働条件の厳しい職種を指します。

清掃業界、建設業界、そして介護業界がその代表的な業界として言われています。介護職を転職しようかと悩む理由にこの3K(きつい、汚い、危険)」というマイナスのイメージをもっていることがあります。

しかし、現代では新しい3Kとして、新3Kという言葉が使われるようになっており、ホワイトカラー(注2)労働に対しても言われてきています。

それは、きつい、帰れない、厳しいや、きつい、給料が安い、帰れないなど、いくつかのバリエーションが存在しています。

介護職は3Kではなく4K・5Kであると言う人もいます。

「体力的や精神的にきつい」「汚物に触れる機会が多い」「危険な病気に感染する恐れがある」という3Kの他、給料がほかの業種よりも安く、昇級や賞与がない職場も多い「給料が安い」などの点を加えることもあります。

しかしながら、介護現場にいる私の実感としては、要介護状態のお年寄りの生活に寄り添い、介護を通じて感謝されたり、人と人とのつながりに大きな喜びを感じたりしながら、楽しみながら介護の仕事を続けている人が周りに多くいます。

また、離職理由の第一位にあがった「職場の人間関係」について、マイナス面だけでなく、職場の人間関係によって、大きな喜びを感じる場面もたくさん経験しています。

1−1 介護はきついの?

自分よりも身体の大きい人や体重の重い人を、車いすからベッドへ移乗させ、入浴の介助で、腰を痛めてしまうことで、体力的に限界を感じてしまうことがあります。

特に慣れない身体介護を行なった場合に、疲労感がより増すことがあります。夜勤のある職場では、変則的かつ連続した勤務に体調を崩してしまうこともあるかもしれません。

体力的にも精神的にもきつい仕事と言えるかもしれません。

1ー2 介護は汚いの?

介護を行う上で、必要なおむつ交換、排泄物を処理すること、失禁した衣服交換することの排泄介助の場面、食事中に涎が垂れることや、食べこぼしを片付けるといった食事介助があります。

これらを「汚い」からといって、避けられるものではありません。

むしろ、そのことを放置すること自体が、さらに状態を悪化させることにつながります。

清潔保持は、介助場面では極めて重要なものです。

1―3 介護は危険なの?

抵抗力の弱い高齢者介護事業所でノロウィルスやインフルエンザなどによる、集団感染が発生した時、感染してしまうリスクが高いため、常に感染予防が欠かせません。

また、介護を行う際は、転倒や転落によるケガのリスクも常に予測を必要としています。

時にはリスク感度を高める危険予知トレーニング(KYT)を求められることもあります。

1―4 ホワイトカラーの新3Kとは

介護現場の直接的介護を行う介護スタッフの3K についてあげてみましたが、次にマネージメント職、管理者やケアマネージャー、人事担当者、施設長職などの3Kの、いろいろなKが考えられます。

3Kを感じているスタッフの育成、指導などを行なっている人たちが「きつい」「帰れない」「厳しい」などといった新3Kな気持ちを抱えながら仕事をしている現状もあると言われます。

頭文字にKがつくとなったら、当てはめて考えがちともいえるくらい、その他にも言葉があるようです。

果たして、この3K、新3Kは、ネガティブな感情だけでしょうか?

ポジティブな3K

介護の現場で活躍する人の中には、介護職は「感謝」「感動」「感激」の3Kとも言われています。

さらには「かっこいい介護」、「クリエイティブな介護」と表現する人もいます。

介護人材不足の厳しい労働環境を強いられながらも、介護を通じて生き生きと暮らす姿を実現するため自分らしい介護のあり方を追求している人や、介護技術をさらに高めようとキャリアアップに励む人も多くいます。

私を含め、周りにいる人たちの中には、ボジティブなKを感じ、楽しみながら快適に仕事することや、心穏やかに仕事することがあります。

2−1 介護職の感謝とは

  • ケアした後の「ありがとう」の言葉が嬉しかった。
  • メンバーのフォローに感謝の気持ちを持てた。
  • 家族からの感謝の気持ちを持受け取り嬉しかった。

私たち自身から感謝の気持ちが湧いてくる場面があります。

誰かに感謝されたい、または誰かの役に立ちたいという思いは、この仕事に就いている人、対人支援を行う人の中で思っている人は多いか思います。

感謝の気持ちが、行動をつなげていくことが自立支援に向けた介護に繋がっていくとも思います。

2―2 介護職の感動とは

失われたと思われていた能力が、回復につながった時、チームのメンバーや家族との一体感が生まれた時、自分たちの想像以上な反応を受け取った時などなど、たくさんの感動場面があります。

感動を目の前の人から、もらったり、誰かと一緒に共有できることも介護の仕事で、出くわすことがあります。

2―3 介護職の感激とは

深く感動した場面の後に、感謝や、親切、思いやり、優しさ、愛情などの、ボジティブな感情を受け取った時に、涙したこと、喜びあったこと、励ましあった時の溢れる感情が、人と関わる上で、多い職種であると言えます。

私たちは、このボジティブな3Kを感じながらも、一方やるせなくネガティブなKを吐露しながら、働くそんな日も、それぞれにあります。この一種の「ゆらぎ」のような日々の中、介護の仕事が営まれているのではないかと思います。

「ゆらぎ」の介護

3−1 ゆらぎとは

ゆらぎとは「気持ちがゆらぐ」「決意がゆらぐ」など、ゆらぐという言葉にはぐらぐらとして、定まることのない不安定な感じを意味として持ちます。

ところがこの「ゆらぎ」は、私たち生命にとっては必要不可欠なものだとか。

人間が自然を心地よく感じるのも、自然界のいたるところに含まれるゆらぎに由来していると言われています。

ゆらぎ研究の第一人者である東京工業大学名誉教授の武者利光さんは、ゆらぎをはっきり定義するのは難しいと前置きしたうえで、「ものの変化、そしてその変化が不規則な様子」それが「ゆらぎ」だといっています。

3−2 ゆらぎの不調

介護職がもつ感情として、ネガティブな3Kもポジティブな3Kも、個人の中の感情として、その時々、場面によってそれそれのゆらぎがあるのではないかと思います。

そのゆらぎが心地よさの範囲であれば、自然体として存在するのでしょうが、そのゆらぎの振り幅が大きすぎたり、強く発動したとしたら、重圧やストレスを感じたり、自分や他人を攻撃したり、攻めることをするといったことにつながるのではないでしょうか。

結果として、離職やメンタルの不調、休職につながることになりかねません。これは、ゆらぎの不調であると言えます。

3―3 1/ f の介護

自然界にある、小川のせせらぎ、草原をわたる風、きらめく木漏れ日、小鳥のさえずりなど、自然界にある「1/f」ゆらぎと同じものが、私たちの体内にもある。それゆえ「この体のリズムのゆらぎと同じ性質をもったゆらぎを外部から刺激として受けると、『快適だ』と感じるのではないか」と武者氏は述べています。

(注4)https://ja.wikipedia.org/wiki/1/fゆらぎ

私たちは、対人支援を行う上で、人と人とが、この「ゆらぎ」を無自覚に感じ「快」と感じたり、「心地よさ」を提供したりしているのではないかと思います。

特に、対人支援を仕事としている私たちは、この1/fを感じ取る力が、敏感であるとも思えます。

「快」か「不快」かを、直感にして感じとり、支援、ケアを行うことが求められているとも思えるのです。

そんな不思議な力が働いているのかもしれないと思えて仕方ないのです。

3Kを「意識変容」させる5つのヒント

さて、「ゆらぎ」を無自覚に感じながら、このネガティブな3Kもボジティブな3Kも、時として同じ一人の人から発しているとしたら、また、今はネガティブな状態の中にいて、このまま変わることはないと感じてどうして良いのかと悩んでいたとしたら、次にあげる「意識変容」の5つヒントを挙げたいと思います。

4―1 人は本能的に変わることは、怖い。

脳科学的に、人間に備わっている「恒常性維持」の本能、いわゆるホメオスタシスが影響していると知っていること。

4ー2 安心・安全かつ信頼のある環境であるか。

安心かつ安全な場づくり、環境が大切である。人、物、お金、職場、地域、社会など、自分が変わることが、この環境で大丈夫だと確信できること。

4―3 必要性があるか。

このまま変わらないとどのようなことが、考えられるか、危機感を持てる。「このままではいやだ」と思う底付き感があること。本当の意味での必要性を痛感していること。

4−4 共感性があるか。

楽しいこと、メリットを考えること。褒められること。感情に響くことがある。ともに目標や、ビジョンを持った仲間がいること

4−5 外部要因と内発要因をバランスよく循環させる。

意識変容には外部要因と内発要因がある。ダブルループを描くように、それぞれの要因を行ったり、来たりして循環させること。循環が多いほど、意識変容につながる。

まとめ

今回は、意識変容について、介護職が持つネガティブな3Kな感情や、ボジティブな3Kな感情を元に、行ったり来たりする無自覚な「ゆらぎ」といった状態についてあるとした時、どのようにそれと向き合い、意識していくかのヒントをまとめて見ました。

介護職は、人が人を支援する=対人支援職であります。毎日継続し、連続した日々の中、この感情は行ったり来たり、ゆらいでいます。

私たちは、心地よさ「快」のゆらぎを持ち続けられるよう、そして「不快」のゆらぎから「快」のゆらぎに戻せるような変化、変容ができること、「無意識の有意識化」の意識変容を目指していきたいと思うのです。

その為には、5つことをヒントに、今の状態はどのような状態なのかと自分をメタ認知することや、省察的振りかえりや、セルフコントロールすることが求められます。

まずはできることから、やってみませんか?働く上での自分を見つめるキッカケになれば良いと思います。

そしてそのことが、介護職の定着や離職防止につながるのではないかと思います。

最後まで、お読みくださりありがとうございました。

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1995年 看護師のキャリアを生かし、大手複合医療法人、社会福祉法人の介護・福祉サービス事業に11年間携わる。   2006年〜 認知症高齢者グループホームを立ち上げる。開所当初離職率82%から、4%に激減させる。 2018年〜 人財育成コミュニティ「ケアびと育成Lab.」立ち上げる。 現在までに、さまざまな家族介護の相談、介護保険についての相談、認知症介護の相談、介護職員のキャリア相談など、延べ1万人以上の方の相談、支援してきた。 今も認知症高齢者グループホーム所長として奮闘する中、「ケアする人、される人が、笑顔が溢れる世界を創ろう」と、わかちあう「ケアびと」と共に地域活動・社会貢献をも実践している。










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