国家資格キャリアコンサルタント集団が斬る仕事論

【60歳定年後】仕事を辞めるか続けるか?社会保障、収入の比較は?

森脇昌子
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森脇昌子
キャリア設計デザイナー(国家資格キャリアコンサルタント、社会保険労務士、CFP)。 信用金庫の人事を18年間担当後独立開業。トリプル資格を活かし、「くらしにまつわる各種制度・ファイナンスの知識」と「質問の力・言葉の力」を掛け合わせ、「自分らしい豊かな人生」をサポートするプロフェッショナル。

定年は人生の大きな節目の一つ。

定年後の人生をどうしていくのか、仕事をどのタイミングで辞めるのか、迷う方も多いのではないでしょうか。

私は企業内の人事担当として、60歳で定年を迎えられる方の手続きに携わっていたのですが、今後の方向性がハッキリ決まっておらず、迷っている方もいらっしゃました。

ご本人にとってより良い選択をしていただくためには、様々な判断材料(「収入」「社会保障」「時間の使い方」)が必要です。

どんな違いがあるのか、CFP認定者のキャリア設計デザイナー森脇昌子ご説明します。

自分の人生を設計しよう!

「定年退職」について印象に残っている言葉があります。

数年後のご自身の定年について語られた言葉、「定年退職日はインディペンデンスデイ」

仕事を辞めることも、続けることも「自分」で決める「独立記念日」。

「自分の人生は自分で創っていく」とう強い意志を感じて、とても素敵だな~感じました。

定年手続き時、いつも思っていたことは、「60歳の皆さん、本当に若い!」ということ。

今まで自分のことについて「ゆっくり考える時間が無かった」という人もいらっしゃると思いますが、少し立ち止まって、自分自身の人生を設計してみませんか?

何歳まで働きたい?

政府は、意欲があれば70歳まで働ける機会を確保する制度づくりを目指していますが、実際にはどのくらいの人が何歳まで働きたいと思っているのでしょうか?

内閣府 平成30年度「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査」

Q:「何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいか(したか)」

  • 61~65歳と答えた人   30.7%
  • 66~70歳までと答えた人 21.5%

60歳以上も働き続けたい人は50%以上となっていますが、あなたは何歳まで働きたいと思ってますか?

この答えは、自分自身がが大切にしている価値観によっても変わってきます。

私の場合は、「できるのであれば、人生最後の日まで」。

「自分の出来ることで、少しでも誰かの役に立てることがある」という瞬間が、私にとって大切な時間だからです。

最後の最後まで、そんな時間を感じることができたら、本当に幸せだと思います。

まずは、自分自身が何歳まで、どんな働きか方をしていたら幸せだと感じるか、イメージしてみましょう。

定年後の働き方は?

60歳定年後の働き方について、法律で次のようなルールが定められています。

高年齢者の雇用

65歳までの雇用機会の確保  厚生労働省HP

(1)60歳以上定年

従業員の定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上とする必要があります。(高年齢者雇用安定法第8条)

(2)高年齢者雇用確保措置

定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、

  • 「65歳までの定年の引上げ」
  • 「65歳までの継続雇用制度の導入」
  • 「定年の廃止」

のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を実施する必要があります。(高年齢者雇用安定法第9条)

「継続雇用制度」とは、雇用している高年齢者を、本人が希望すれば定年後も引き続いて雇用する、「再雇用制度」などの制度をいいます。

継続雇用先は自社のみならずグループ会社とすることも認められています。

高年齢者の雇用状況は?

平成 29 年「高年齢者の雇用状況」集計結果

雇用確保措置の内訳

雇用確保措置の実施済企業のうち、

① 「定年制の廃止」により雇用確保措置を講じている企業      2.6%(4,064 社)

② 「定年の引上げ」により雇用確保措置を講じている企業      17.1%(26,592 社)

③ 「継続雇用制度の導入」により雇用確保措置を講じている企業   80.3%(124,982 社)

となっており、定年制度(①、②)により雇用確保措置を講じるよりも、継続雇用制度(③)

により雇用確保措置を講じる企業の比率が高い

自分の働いている会社で、上記①~③のどの制度が導入されているかによって、「働き方」が変わりますので、事前に確認しておきましょう。

確認事項
  • どんな制度があるのか。退職後の身分は?
  • どんな仕事をすることになるのか
  • 収入はどのくらいになるのか 等

現段階では、再雇用制度を導入している場合、定年到達時の賃金と比べて少なくなる傾向があります。

時間の使い方

働き続けることで「給料」という収入を得ることが出来ますが、自由に使える時間がその分少なくなります。

人生最後の日、後悔のないように「やっておきたいこと」はありませんか?

以前私が通っていた英会話サークルで、定年退職後、海外へ語学留学に行かれた方がいらっしゃいました。

帰国後、留学の体験談を話される姿は、とってもイキイキとして素敵!

その方から、「やりたいことって、何歳からでもチャレンジ出来るんだ!」と、教えていただけた気がします。

「できる」と思うことからスタート!

  • これだけはやっておきたい
  • あの人に逢っておきたい
  • ただただのんびり過ごしたい

など、自分がどんな時間を過ごしたいか、イメージしてみてください。

仕事を辞めるか続けるかで社会保障はどう変わってくる?

社会保障がどんな風に違うのかを知ることによって、より良い選択ができます。

辞めてしまってから、「知らなかった」ということにならないように、違いを知っておくことが大切です。

どんな違いがあるのでしょうか?

雇用保険

辞めた場合

辞めた場合の給付というと「失業給付(基本手当)」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

でも、失業給付は、「仕事を探している人」が対象の給付です。

退職したからもらえる給付ではないので、退職後仕事をする予定のない人には支給されません。

ただ、60歳定年を機に「一旦仕事から離れて、のんびりしてから又は仕事を探したい」という人もいらっしゃると思います。

その場合には、退職後2年以内であれば、失業給付を受けられますので安心してください。

ただし、退職後2ヶ月以内にハローワークにて「期間延長」の手続きが必要です

続けた場合

60歳定年後、お給料が低くなった場合に、雇用保険から給付される「高年齢雇用継続給付金」という制度があります。

高年齢雇用継続給付金は、60歳到達時のお給料より25%以上低くなった場合に対象となります。(対象:60歳~65歳)

要件

①60歳以後も雇用保険に加入していること

②雇用保険に加入している期間が5年以上あること

③60歳以後の賃金が60歳時点の75%未満であること

支給額=60歳以降賃金×給付金支給率 (最高15%)

※支給率は、60歳時点と比べてどのくらいお給料が下がったかによって変動します。

※上限額が設定されています。

健康保険・介護保険

辞めた場合

健康保険・介護保険は、定年退職後必ずどこかの制度に加入する必要があります。

「任意継続」「国民健康保険」「扶養」の中から選択することになります。

①任意継続保険

60歳定年まで加入していた保険に、退職後も引き続き2年間加入することができます

  • 要件:在職中の被保険者期間が2か月以上ある人
  • 申請期間:退職後20日以内

注意点
  • 保険料は、お給料から引かれている金額の2倍になります。

 (在職中は、会社が保険料を半額負担していますが、任意継続の場合は保険料を全額負担することになるためです。)

  • 保険料の上限があるため、60歳到達時にお給料が高かった場合は、2倍にまでなりません。(全国健康保険協会の場合:標準報酬月額30万円✖保険料率)
  • ・配偶者やお子さんなど健康保険の扶養に入っていた人がいれば、引き続き扶養にすることができます。(扶養者が何人いても保険料は変わりません)

②国民健康保険

お住まいの市町村役場で手続きをします。

注意点
  • 保険料は前年の収入で決まるため、任意継続保険料と比較して加入を検討しましょう。
  • 配偶者やお子さんなど扶養に入っていた人は、それぞれ国民健康保険に加入することになります。それぞれに保険料がかかります

③扶養

ご家族の扶養に入れる場合は、扶養の手続きをします。

注意店
  • 定年退職後の年間収入が180万円以上見込める場合は、扶養に入れません。

「定年前のお給料で180万円超えているけど扶養に入れますか?」という質問を受けることがありますが、判断されるのは退職後の収入です、在職中の収入は関係ありません。

続けた場合

健康保険に加入義務のある事業所であれば、健康保険に加入します。

※健康保険に加入しない働き方もあります。

目安:正社員の方に比べ、1週間に働く時間(所定時間)及び1ヶ月に働く日数(所定労働日数)が4分の3未満

加入した場合
  • 保険料は会社が半分負担してくれます
  • お給料の額が下がった場合は、保険料も下がります
  • 病気やケガで休み、お給料が支払われない場合、傷病手当金の対象となります

年金

10年以上年金に加入している人は、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。

今年度60歳になる方は、厚生年金に一年以上加入していれば、65歳前にも支給される年金(特別支給の老齢厚生年金)があります。

特別支給の老齢厚生年金(昭和34年4月2日生~昭和35年4月1日生)

  • 男性(共済加入の女性)64歳~
  • 女性 61歳~

辞めた場合

国民年金は、60歳以後は加入する必要がありません

20歳~60歳の「40年間」の内、保険料を支払っていない月がある場合は、老齢基礎年金額が減額されます。

※加入期間や年金額等を知りたい場合は、誕生日月に届く年金定期便、年金ネットや年金事務所の窓口にて確認できます。

減額される部分を少しでも減らしたい、という場合には、65歳まで国民年金に「任意加入」することもできます。

その場合には、手続きをして保険料を支払う必要があります。

続けた場合

厚生年金は、70歳まで加入する必要があります。

標準報酬月額(保険料のランク)によって、将来受け取る老齢厚生年金額が増えていきます。

年金を受け取ることができる年齢になった際、お給料と賞与によって、年金額がカットされる場合があります。

①65歳未満

【停止額(年金カット額)】

  • 標準報酬月額(お給料から引かれている保険料のランク)+過去1年間に受け取った賞与÷12+年金月額>28万円の場合 → 超えた額の半分の金額が支給停止。

また、高年齢雇用継続給付金を受け取っている場合は、給付金の支給率によって、さらに年金がカットされます。

【追加停止額(年金カット額)】

  • 標準報酬月額×年金停止率(最高6%)

②65歳以降

老齢基礎年金はお給料が高くても全額支給されます。(カットされることはありません)

65歳以降は、上記の合計(年金については、厚生年金部分のみプラス)が47万円を超えた場合に、年金が減額されます。

【停止額(年金カット額)】

  • 標準報酬月額(お給料から引かれている保険料のランク)+過去1年間に受け取った賞与÷12+年金月額>47万円の場合 → 超えた額の半分の金額が支給停止。

収入の比較は?

いつから何がいくら貰えるの?

下記の例で何がいくら貰えるかみていきましょう。

  • 60歳時の給料が36万円の男性
  • 年金定期便で確認した年金額 64歳~月額10万円
  • 継続雇用の場合→60歳以降嘱託社員 給料20万円(社会保険加入)、賞与なし

辞めた場合

  • 60歳~63歳 収入0
  • 64歳から年金を受給 月10万円

続けた場合

  • 60歳~給料 月20万円
  • 60歳~65歳 高年齢雇用継続基本給付金  月3万円

【計算式】

20万円×15% ※60歳時の給料から61%未満へ低下のため給付率は最大の15%

  • 64歳~ 特別支給の老齢厚生年金  7.8万円

【計算式】

①在職老齢年金の計算による停止:1万円

(年金月額10万+総報酬月額相当額20万円-28万円)×1/2

②高年齢雇用継続給付金受給による停止:1.2万円

(標準報酬月額20万円×6%)

③支給額:年金月額10万円-(①+②)

キャッシュフロー表で確認

定年後の収入と支出・ライフイベント(やっていきたいこと)を一覧にできるツールとして「キャッシュフロー表」があります。

自分のやりたいことやお金の流れなどを「見える化」できるので、おすすめです!

仕事を辞めた場合と続ける場合の2種類のキャッシュフロー表を作成して、見比べてみましょう。

※キャッシュフロー表の収入欄には実際に使える金額(可処分所得)を記入していきます。

可処分所得:収入―(社会保険料+所得税+住民税)

キャッシュフロー表へ数値を記入

  • 雇用保険からの給付、年金額をいつからいくら貰えるのか?
  • 個人年金や確定拠出年金等はいつからいくら貰えるのか?
  • 配偶者がいる場合、配偶者の収入はいくらか?年金を貰えるのは何歳からいくらか?
  • こらからやってみたいことに何歳からいくらお金がかかるのか?
  • 子どもや孫にかかる費用は?

該当する年齢の欄に数字を入れていくことで、課題の洗い出しと、今できることの優先順位を決めることができます

キャッシュフローがマイナスになる場合は、働き方を含め早めに対策を立てていきましょう。

まとめ

今回は、60歳定年後の「収入」「社会保障」「時間の使い方」をテーマに書かせていただきました。

自分らしく輝く人生を送るために、節目節目でお金も含めた人生設計をしていきましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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森脇昌子
キャリア設計デザイナー(国家資格キャリアコンサルタント、社会保険労務士、CFP)。 信用金庫の人事を18年間担当後独立開業。トリプル資格を活かし、「くらしにまつわる各種制度・ファイナンスの知識」と「質問の力・言葉の力」を掛け合わせ、「自分らしい豊かな人生」をサポートするプロフェッショナル。










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