自分の強みを見つける方法は?自己分析を簡単にできる診断ツール等8選

人生に行き詰まって自分を見つめ直したい時、或いは、進学や就職など自分の進路を決める時には、一度立ち止まって、自分の人生の棚卸しをし、自分の強みを見つけてみませんか?
また、他人とのコミュニケーションが上手く取れなくて悩んでいる人も、自分と相手のタイプを知ることで、コミュニケーションの取り方を格段に向上させることが可能となります。
自分らしい幸せな人生、理想の働き方を実現するための一歩として、少し時間をかけて「自分とはどんな人間なのか」をじっくり考えてみましょう。
今回は、自己理解、自分の強み発見、コミュニケーション力向上の為の自己分析ツールについて、キャリアコンサルタント@上松笑子が実体験も踏まえながら、ご紹介していきます。
強み診断ツール
人にはそれぞれ無意識に繰り返される思考や感情、行動があり、それがその人の「強み」と言えます。これらの強みを生活や仕事で活用することで、人生の満足感や仕事の充実感が向上するという研究結果も報告されています。
強み診断ツールを使って、これまで気づいていないかもしれない自分自身の強みを発見しましょう。
VIA-IS
ポジティブ心理学の第一人者であるクリストファー・ピーターソン博士とマーティン・セリグマン博士が開発したツールで、世界190カ国、260万人以上の人々に使用されました。
強みは全部で24種類に分類され、そのうちトップ5の強みが「自分を特徴づける強み(Signature Strength)」とされています。
全120問の選択方式のWeb診断アセスメントで、10〜15分かかります。
VIA-IS無料診断テストHP(英語)はこちらから。
ストレングス・ファインダー
ポジティブ心理学の祖父として知られる著名な心理学者ドン・クリフトンが開発したツールです。アメリカのギャラップ社が運営しています。世界で1800万人の人が受けており、世界中で高い評価を受けています。
34の資質(才能)が、順番に並べられ、通常は上位5つを強みとします。
「関係に関わる資質」コミュニケーション、共感性、親密性、包含、個別化、責任感、調和性
「影響に関わる資質」指令性、ポジティブ、最上志向、成長促進、競争性、社交性
「動機に関わる資質」達成欲、活発性、適応性、信念、規律性、目標志向、回復志向、自己確信、自我
「思考に関わる資質」分析思考、アレンジ、運命思考、原点思考、慎重さ、公平性、未来志向、着想、収集心、内省、学習 欲、戦略性
才能(ストレングス)を意識して磨くことで、さらに「強み」となるという考え方に基づいています。
全177問の選択方式のWeb診断アセスメントで、20〜30分かかります。
私が最初にこのテストを受けたのは会社の研修でした。Web上で表示される質問に、直感で回答して行きます。当時、とても自己肯定感が低い時期で、ある同じ種類の質問2つに、答えることに躊躇してしまい、後で答えようと思って保留しているうちに、時間切れとなり、結局その2つの質問には答えられないままとなった苦い経験があります。ご注意くださいね。
ストレングスファインダーの診断テストは3つの方法で受けられます。
- 『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』書籍を購入し、カバーの裏に印字してあるアクセスコードを、ギャラップ社のサイトに入力
- ギャラップ社のサイトで直接アクセスコードを購入して入力
- スマホアプリをダウンロードし、アプリ内で課金
リアライズ2
イギリスのアレックス・リンレイを中心としたポジティブ心理学者のグループで開発した世界中で利用されているツールです。やりがいのある職場づくりや、高い生産性を支援するために使われています。
リアライズ2は、強みの活用度が診断でき、「活用している強み」「もっと活かせる強み」「習得した特性」「弱み」の4つに分類しています。
スタンダード版は60の強みから、診断されます。
ストレングスファインダー同様に、世界のリーディングカンパニーが活用するWebによる強み診断で、数千円程度の有料での診断となります。
ただ現在は診断STOP中。再開の目処はわかりません。
自己分析!タイプ分け
人を性格や行動、感情や魅力などによって、タイプ分けするツールです。
エニアグラム
エニアグラムは個人の特性を9つのタイプに分類します。
人間は9つの性格タイプに分かれ、すべての人はそのうちの一つに当てはまるという考え方です。その歴史は古く、およそ2000年前のアフガニスタン地方で生まれ、イスラム教へ受け継がれ、現在に至るものです。
目的はまず自分を知ることです。心や気持ちの仕組み・感情の出方、考え方や言動、行動の傾向を捉えましょう。
- タイプ1:完全でありたい人
- タイプ2:人の助けになりたい人
- タイプ3:成功を追い求める人
- タイプ4:特別な存在であろうとする人
- タイプ5:知識を得て観察する人
- タイプ6:安全を求め慎重に行動する人
- タイプ7:楽しさを求め計画する人
- タイプ8:強さを求め自己を主張する人
- タイプ9:調和と平和を願う人
自分が判り、周囲の人のタイプを理解するとよりスムーズなコミュニケーションがとれるようになります。タイプ間の優劣は無く、タイプが違うから相乗効果が生まれると考えます。
タイプ分け for Coaching
「タイプ分け」は、臨床心理学、組織行動学などをベースに、人をもっとも特徴づけるのはコミュニケーションの取り方である、という前提に立ち、コミュニケーションスタイルによって4つのタイプに分類し、現在のあなたがどのタイプに当てはまるかをチェックします。
私たちの考え方や行動パターンは、自分を中心に固定化しています。
「なぜわかってくれないの?」
「なぜ、あの人はああなんだろう?」
「どうしてもうまく伝わらない・・・」
このような現象は、パターン化した関わりが原因で起こります。
自分のタイプが分かると、自分の行動パターンや考え方についてより深く理解できるようになります。また、相手のタイプを知ることで、タイプの組み合わせによる効果的なコミュニケーションの取り方が分かります。
「タイプ分け」をキッカケに、自分とは違う価値観、感じ方、行動の仕方があること、それまで見えていなかった周りの人の能力を知ることが出来ます。それまで合わないと思っていた人と、共に新しいものを創造していくことができるかもしれません。
- コントローラータイプ:人や物事を支配していく
- プロモータータイプ:人や物事を促進していく
- アナライザータイプ:分析や戦略を立てていく
- サポータータイプ:全体を支持する
私が実際に会社のコーチング研修で本テストを受けた結果、人とのコミュニケーションの取り方が大変し易くなりました。
例えば、褒められて嬉しい人(プロモーター)と、褒められることに興味なく事実だけを知りたい人(コントローラー)がいます。コントローラータイプだな、と思う人には、簡潔に事実のみを伝えるようにします。
診断テストは有料ですが、安価なのでこちらから。お薦めです。
魅力アドバンテージ・システム
米国大手クリエイティブ・エージェンシーで活躍した天才コピーライターサリー・ホッグスヘッドが、500企業、数千人に及び企業幹部など、25万人もの協力を得て10数年かけて行って来た調査研究に基づくツールです。
自分がどんな「自分」であるのか、人からどんな魅力があると見られているのか。7つのトリガー(権力、欲望、神秘性、威信、警告、悪徳、信頼)を縦軸と横軸に置き、組み合わせて「ロックスター」タイプや「学者」タイプなど、49通りのタイプに分類。自分の長所や短所、相性の良いタイプ、また自分の強みをキャッチフレーズ化する方法など。就職活動や仕事をする上での自己アピールの仕方を、知るキッカケをつかむこともできそうです。
テスト、診断結果は英語で無料。日本語の書籍『あなたはどう見られているのか』に詳しく解説があります。こちらから。
書きながら自己理解を深める
現在の自分は、現在という点で存在しているわけではありません。オギャーとこの世に生まれて来た瞬間から、ずーっと現在まで、様々な人たちと関わり、様々な経験をして、現在があるのです。現在の自分だけでなく、生まれてから現在までの自分を振り返り、洗い出しをしてみませんか?
その経緯を全て書き起こしたいところですが、それは無理ですので、自分の人生に影響を与えたと思われる代表的な出来事を思い出してみましょう。
これは、白紙の紙に、自分の手で、自分の人生を振り返り、洗い出していく作業で、主観的に自己分析を行う方法です。自己理解を進める上で、自分の過去に目を向けてみることは大変有効な作業です。
具体的な作業手順を見てみましょう。
ライフレコード(自分史)
これまでの自分を振り返る際に使われる最も一般的な表形式のシートです。
職場の研修で行う場合には、入社して以来のキャリアの棚卸しで利用され、キャリアレコードと呼ばれます。出来れば、キャリアだけではなく、生まれてから現在までの時間軸で、棚卸しを行ってみてください。
横軸の左端を誕生、右端を現在とし、3~4つほどの振り返り期間を定めます。次に、縦軸に、以下の欄を設定し、それぞれ【その内容】と【その要因】欄を設けます。
- 自分にとっての大きな出来事・転機
- うまくいったこと(プライベート・ビジネス)
- うまくいかなかったこと(プライベート・ビジネス)
- その期間中に手に入れたもの(モノ、人間関係・人脈、能力、地位等)
それぞれの項目について自分の過去の出来事や行動を振り返り、記入していきます。
記入したシートをじっくり見直していくと、自分自身のものの見方、考え方や行動の特性が見えてきて、自分の「強み」や「弱み」が明確になってきます。
※就職時には、このシートは応募書類や面接時での自己PRに繋がる自分を語る基本のデータにもなります。しっかり、取り組みましょう。
ライフライン
これまでの自分を振り返る際に使われ、白紙の真ん中に横に一本線を書き、誕生から現在までの、浮き沈みを曲線で描きます。ライフレコードとセットで使われることが多いシートです。
職場の研修で行う場合には、入社して以来のキャリアの棚卸しで利用され、キャリアラインと呼ばれます。しかし、自分で行う場合には、キャリアだけではなく、生まれてから現在までの時間軸で、棚卸しを行ってみてください。
ライフレコードが面倒くさいと思われた方は、ライフラインだけでも描かれると良いと思います。
- シートの中央に横線(左から右に→の線)を引き、誕生から現在まで年代別に均等に区切ります。
- 縦軸には「幸福度・充実度」という尺度を設定し、先程引いた横線を“±0”のラインとします。ラインより上は「幸福度・充実度」の“プラス”、下はその“マイナス”とします。
- これまで自分に起こった出来事や転機等を振り返り、表の該当するところに印をつけ、それを線で結んでいきます。
- 印をつけた部分(出来事や転機)に、吹き出しでそれがどんな内容(モノ・出来事)だったかを記入していきます。
“プラス”では上に行けば行くほど、「幸福度・充実度」が大きく・高く、逆に“マイナス”の度合いが低ければ低いほど、「幸福でなかった・充実していなかった」ことになります。
横軸にひいた年齢で、「幸福度・充実度」がプラスだったかマイナスだったか、点を線に繋げて、出来上がったものが「ライフライン」になります。
ライフラインは、ライフレコードに比べて、自分のこれまでの浮き沈みをグラフ化するため、自分がどんなことを経験してきて、その時どんな感情だったかが、一目でわかる図になります。
併せて、過去の自分、現在の自分が大切にしてきた想い、モチベーションが上がったことなどを洗い出し、書き込んで、見つめなおすことで、気づきが生まれ、将来に活かすことができます。
今の自分は、過去の自分の積み重ねです。自分に起こった出来事は人それぞれ異なり、その行動を取った背景には、何かのきっかけや気持ちの動きがあります。
ライフレコードやライフラインは、自己理解を進めるために作成します。研修などでは、ペアを組んで他人に話を聴いて貰うことで、さらに自分の中での変化が起こり易くなります。ひとりで作業を行う場合でも、信頼できる他人やカウンセラーにシートを見てもらい、率直なコメントを貰うと良いでしょう。自分では気づかない、違った視点で、客観的な意見を聴くことで、さらに気づきが起こる場合があります。
私の勤めている会社では、節目節目で研修があり、会社に入社して以降のキャリアについて、キャリアレコードと、キャリアラインを描く作業を何度か行いました。キャリアで悩んでいる方は、会社に入社以降で書いてみてください。この時、仕事だけでなく、プライベートも洗い出す点がミソです。
また、私は、この作業を通じて、仕事が上手く行かない時に、趣味に一所懸命になる傾向があることに、気づきました。ニワトリと卵で、どちらに原因があったのかは、分かりませんが。二兎を負うもの一兎を得ず。それに気づいてからは、明確に、趣味の自分の中のランクを、三段階くらい下げました。
現在はワークアンドライフバランスで、両方大切という機運になっています。年齢的な側面もあるかもしれませんが、現在では、俯瞰して、仕事も趣味も見ることが出来るようになりました。
このように、ライフラインを描くことで、気づきが生まれ、自分の行動を見直すキッカケになり、将来の成長に繋がることが出来ます。
悩み多いあなた。自分の人生の振り返りを行ってみましょう。
まとめ
自分という鉱脈にはまだ掘り尽くしていない宝があります。
強みには、優劣はありません。
人と比べる必要もありません。
あなた自身の強みをより強化しましょう。
あなたならではの強みを活かして、他人とのコミュニケーションの可能性を拡げ、相乗効果でより大きな価値を創造しましょう。
また、自分では当たり前すぎて、自分の持っている強みに気づかないことがあります。そんな時は、あなたのことを、客観的に見てくれる第三者(メンター)に意見を求めるとよいかもしれません。家族や友人や同僚はあなたと同じ領域で生きているため、気づかないかも。
先輩や上司、できれば、キャリアコンサルタントやカウンセラーに相談されることをお勧めします。相談している内に、あなたの気付かない思いも寄らない強みを引き出してくれるかもしれませんよ。
自分を知ることは新しい発見の連続です。不思議です。ぜひ、楽しんで取り組んでくださいね。