【絵本から学ぶ】他人に振り回されずに自分らしく生きていく方法は?

日々を楽しく、感謝して、自分らしく生きていきたいと思っていても、人間関係や様々な環境の中で落ち込んだり、イライラしたり、憂鬱になったり、不安になったり…
特に「自分に影響力のある人、自分をコントロールしようとしている人の言動に振り回されている…」と感じる時や、「他人に振り回されないぞ!」と意識しているのに振り回されている自分に気づく時、私は本当に自分が嫌になります。
そういう人とは関わらないようにと心がけていても、関係性の中ではなかなかそう簡単にはいかないこともあります。あなたもそんな風に感じたりしませんか?
他人に振り回されないようにする、振り回されて落ち込む期間を短くするには主体的に生きることが大切です。主体的に生きるには?
そのヒントは案外絵本の中に隠されていたりします。
大人だからこそ感じる絵本の魅力を届けるワークショップを開催していく中で見つけた絵本からのヒントを、絵本を紹介しながらキャリアコンサルタント・絵本セラピストの@和美紀がお伝えしていきますね。
他人に振り回されるとは?
ところで、「振り回される」とはどういうことでしょう?
私たちは日々の生活の中で、落ち込み、イライラ、憂鬱、不安…いくつかの辛い・嫌な感情を抱くことがあります。これらの感情の中で、私たちを振り回すのは「イライラ」と「憂鬱」の二つだといわれています。
「落ち込み」や「不安」は内省したときに自分の内から生じる感情で、私たちを振り回す感情ではないのです。特に「不安」は、生きるための防衛本能から生じるため必要なものです。
しかし、上司から理不尽だと感じる要求をされて「憂鬱」、家族に自分を都合の良いように使われて「イライラ」は他者の存在によって生まれた感情です。
つまり「イライラ」や「憂鬱」といった「他者からのリアクションや、置かれた状況、ものごとの捉え方からくる不快な感情」が生じている状態のときに他の人に振り回されているのです。
「イライラや憂鬱」か「落ち込みや不安」かを区別する
- 「イライラ・憂鬱」
他者からのリアクション・置かれた状況・ものごとの捉え方から生じる不快な感情
→他の人に「振り回される・コントロールされる・支配される」と感じるため対処が必要
- 「落ち込み・不安」
内省により自分から生じる感情
→振り回されたりコントロールされたりしない。自分と向き合うことや時間をかけることで自分自身のなかで完結。不安は生まれ持った生きるための防衛本能から。
不安への対応についてはコチラ
「落ち込み・不安」は私たちを振り回していないと意識することからスタートしましょう。
*『イヤな気分をパッと手放す「自分思考」のすすめ』には嫌な気分に振り回されないコツが書かれています
絵本から学ぶ。他人に振り回されないための方法は?
他人に振り回されると感じる「イライラや憂鬱」。どうにかしたいですよね。
振り回されず、主体的になるにはどうするか。絵本からいくつかご紹介しますね。
- ストレスや憂鬱を表現する 『ほげちゃん』
- 勇気を出して自分にできる行動を続ける 『ガラスの中のくじら』
- ストレスの源と向き合う『悲しい本』
- 自分を受け入れて力を抜く『やっぱりおおかみ』
- 自分の持ち味を生かす 『じごくのそうべえ』
『ほげちゃん』
ぬいぐるみの“ほげちゃん”は小さなゆうちゃんといつも一緒なので汚され放題。
せっかくのお出かけの日には、「汚れていて汚いから」という理由で置いてけぼり。
誰のせいで汚れていると思ってるんだ!残されたほげちゃんは怒り心頭に達する。
ぬいぐるみという立場?上、なされるがままで自分の主張を全く伝えられないほげちゃんは、ゆうちゃんに振り回されるばかり。「イライラ・憂鬱」状態がMAX。
<ストレスや憂鬱を表現する>
ほげちゃんは「我慢できない~!!」と、ゆうちゃん達がお出かけの最中に、やりたい放題食べたい放題家中を動きまわり、部屋はめちゃめちゃ。
ほげちゃんほどではなくても、こんな風にたまには怒りを発散してみましょう。
“怒っている、ストレスを感じている”自分を認めてあげるのも大切です。
『ガラスのなかのくじら』
街の中におかれた大きな水槽で暮らすクジラのウエンズデー。
ある日女の子に「あなたの ほんとのおうちは、ここじゃないわ」と言われ、心がザラつき憂鬱な日々を過ごす。
<勇気を出して自分にできる行動を続ける>
自分では変えることのできない環境の中で、ある日「思い切ってジャンプする」という行動をおこした。
何度も何度も。
覚悟を決めて“これで最後”と思いっきりジャンプをすると水槽がひっくり返り、水が溢れ出し、ウエンズデーを海まで運び、そこで初て仲間と出会う。
自分の力では変更が難しい(他からコントロールされた)ウエンズデーの環境は、理不尽な上司の指示、やる気のない部下、俺様の夫…に振り回されていて、自分らしくいられない私たちの日常と重なります。
心がザラつき、違和感を感じてイライラしたり憂鬱になったりしたときには、勇気を出して行動し、それを続けると、新しい世界がみえることもあるのではないでしょうか。
どんなに小さなことでも、役に立つかどうかはっきりわからなくても。
もちろん行動の結果を引き受ける覚悟も必要です。覚悟して勇気を出した行動を繰り返し続けることが主体的に生きることに繋がります。
『悲しい本』
最愛の息子を失ったひとりの男は、様々な方法で悲しみから逃れようとする。
悲しみについて人に話したり、楽しいことを考えたり、むちゃくちゃなことをしてみたり、悲しみをやり過ごす方法をいくつか編み出したり…
しかしいつしか悲しみの底に引き戻されてしまう。
<ストレスの源と向きあう>
自分ではどうしようもない事実とそれに伴う感情に徹底して向き合う。
消えてしまいたいという思いに抱き引き摺られながらも、外へ眼をむける。
眼にした風景から、幸せな記憶や誕生日を祝うロウソクの火を思い出し、命あるものへの慈しみと深い慰めを感じたとき、自然体のあるがままの自分と出会い、悲しみから解放されていく。
理不尽と感じる職務上の責任や頼まれ事。拒否できない自分が嫌になるけれどどうにもできないこと。
今は受け入れるしかないと頭では理解していても、受け入れがたいと思うことはありますよね。
考えれば考えるほどその思いはいつまでも自分の根底にくすぶり、その闇の部分に引き込まれてしまうこともあります。
現状をやり過ごす方法を考えたり、他の楽しいことをやってみたり。それでもどうしようもない時には徹底してしっかりと自分の感じている闇の部分と向きあうことも必要です。
本当の自分は?本当に大切にしたいことは?自分を明るく照らすものは?自分の中の光は?と問い、自然体の自分と向き合う勇気を出すことも大切です。
簡単ではありませんが、これができると新しい視座からできごとをみるようになります。
『やっぱりおおかみ』
一人ぼっちの狼は「おれににたこはいないかな」とつぶやきながら、うさぎ・やぎ・ぶた…様々な動物のところへ行く。
しかし、どこでもしっくりこない。
<自分を受け入れて力を抜く>
周り(他の動物)に合わせず、自分らしさを譲らない生き方。
「やっぱり おれは おおかみだもんな おおかみとして いきるしかないよ」とつぶやくおおかみ。
無理にまわりに合わせるのではなく、今の自分を否定せずどんな自分であっても受け入れ認める。
すると、自分にとって、周囲の価値観や基準に振り回されない選択や行動とは何かに気づく。
そこから第一歩を踏み出せることもあるのでは。
『じごくのそうべえ』
綱渡りの途中で綱から落ちた軽業師のそうべえ。
“人をハラハラさせた”という理不尽な理由で地獄へ落とされます。
<自分の特技を生かす・出来事を笑い飛ばす軽やかさ>
地獄での大変な場面でもそれを笑い飛ばす軽やかさを持ちながら、軽業師としての自分の持ち味を生かす姿勢で乗り切る。
同じように地獄に落とされた山伏や歯科医や医者と協力し、力を発揮しあう。
理不尽だと感じたときに、それを笑い飛ばす視点を持って自分の持ち味を生かそうとする。
案外周囲が味方になってくれたりするかもしれません。
絵本の”他人に振り回されない”を現実に置き換えると?
いかがですか?
“主体的に生きて他人に振り回されない”ヒントを5冊の絵本からご紹介してみました。
私が今チャレンジしているのは“自分のストレスの源と向きあう。本当の自分の願いを問う”ことです。
たとえば職場でむっとする出来事があったとき、『ほげちゃん』を思い出しまず。
出来事の中のどの部分にイラッとしているのかを問いかけ、自分の中の何がその感情を生じさせているのか、を見つめてみます。
すると「理不尽に権力を振りかざす力に対する怒り」を感じるのは、実は自分の奥深くに「権力を大切に思う意識」が根をはっていることに気づいたりします。
『悲しい本』の男のように感情の善悪を判断せずに向き合ってみます。
認めたくない感情を持つ自分を認めると、自分らしく自然体で主体的な選択ができます。本当に自分が願っていること・自分でできることが見えてきます。
そして、『ガラスのなかのクジラ』のように自分にできることを諦めずにこつこつと続けていこうとチャレンジ。
自分をごまかさずにどうありたいかを問いながら続けることで自尊の念が高まります。
すると、『やっぱりおおかみ』や『じごくのそうべえ』のように、自分の持ち味を生かし、軽やかに、自分で責任をもって選択できます。
それを繰り返しトレーニングしていくと、他の人に振り回わされずに生きている自分に出会うのではないでしょうか。
絵本には生きるためのヒントがたくさん埋蔵されています。5分~10分程度で読めるので何度でも読み返せます。そして読むたびに新しい気づきがあったりします。
是非絵本を手に取り、大人ならではの深読みで、あなたなりのヒントを見つけてみてくださいね。
『こころの天気図』より
最後に河合隼雄氏の『こころの天気図』から“他の人に振り回されない”ためのヒントをご紹介ます。
「私は……です」から浮かびあがるもの
20クエスチョンズという心理学のテストの中に、「私は……です」の……の部分に、何でもいいからできるだけ早く何かを書くというのがある。
「私は〇〇です」と名前でも、「私は女です」「私は私が嫌いな人間です」「私は私です」でも何でもいいので、とにかくパッパッと20書く。
その後、消してもいいと思うものから消していき、残った部分は、その人にとって大事な意味を含んでいる場合が多い。
「好きなことをするのが糸口に」
「私って何?」と考えてばかりだとこんがらがってわけがわからなくなる。こんがらがったときの対応策は好きなことをすること。何でもいいから好きなことをする。
今、私は私の好きなことをしているーー「私って何?」の答えはその中にある。
「まず、自分の孤独を自分自身が引き受けること」
自分がいきいきと生きたいと思うとき、難しいし、力のいることだと思うけれど、他人をどこまで「生きた人間」としてみていけるかがポイント。
相手といきいきと交流しようとする時、まず、お互いがひとりである、という認識から始まる。お互いが自分の孤独を、自分自身で引き受けていないと成立しない
最後まで読んでいただきありごとうございました。
あなたが、他の人に振り回されず主体的に、自分の人生をいきいきと生きていくためのヒントの欠片になっていたら嬉しいです。