上司、夫婦間で意見衝突!対立を受け入れて自分に正直にキャリアを磨いていく方法
夫婦・家族で生活していると意見や価値観が合わないことってありますよね。
そんな時あなたは「仕事も家事も子育てもできるだけ頑張っているのに心が満たされない・自分に自信が持てない・自分の伝えたいことが伝わらない・理解してもらえない・やりたいことがわからない・・・」などモヤモヤを抱えたりしていませんか?
♪いつか父さんみたいに大きな背中で いつか母さんみたいに静かな優しさでどんなことも越えてゆける家族になろうよ♪この福山雅治の結婚ソング『家族になろうよ』を耳にして「私もそんな家族を思い描いて努力してきたのになぜこんなに辛いのだろう・・・」そんな風に思うことはありませんか?
それはもしかしたら様々な意見衝突や対立の場面で“相手の期待に応えよう”という意識が働いて行動を選択してきたためかもしれません。
「自分に正直」になる視点で自分を見つめて自分らしく豊かにキャリアを磨いていきませんか?キャリアコンサルタント@山田みわきが応援・お手伝いします。
自分に正直とは? 期待に応えないで生きる
もしかしたらあなたは、日ごろ”自分に正直に・自分らしく選択する”よう心がけているかもしれません。
私はそうでした。まず「自分がどうしたいか」を自分に問いかけて選択していたつもりでした。
それなのに夫婦で意見が対立したときに自分の考えや選択をしっかり伝えられない・自分に何ができるのかわからない・自信が持てない・思ったことを楽々と伝えられない・伝えた後が怖い・・・そんな気持ちで過ごしていました。
それはなぜか…
自分らしく選んでいても “家族の笑顔のため” “夫の機嫌が良くなるため” “職場に迷惑をかけないため” などの想いが根底にあると、いつの間にか「他者からの期待」に気が向いて、本当に自分に正直になること、本当の自分を大切にすること、自分の気持ちや感情・欲求に素直になること、に無頓着になっていることがあるのです。
“自分に正直”とは「他者中心」ではなく「自分中心」に生きることです。
「他者中心」と「自分中心」の違い
あなたの意識は「他者」に向いているでしょうか?「自分」に向いているでしょうか?
そのとき選んだことは自分で選んだとしても“他者の期待に応えることで自分が幸せになるため”という「他者中心」の選択となります。
「自分中心」とは、夫の前で「私は、楽しそうにしている夫を見るとうきうきする自分を感じている」、職場で「私は上司の前で緊張している自分を感じている」と意識が「自分」に向いていて自分を感じている状態です。
こんな風に「私は、~と感じている」と意識して生きるのが自分に正直な「自分中心」の生き方です。
車の運転にたとえると自分中心は「自分の車のハンドルは自分で持ち、助手席の人や違う車の意見は参考にするが引きずられない。自分行きたい道を自分で選択する」
他者中心は「自分の車のハンドルは自分で持っているけれど助手席の人や違う車の意見を重視して従う。助手席の人や他の人が心地よくなりそうな道を選択する。」感じです。
自分中心と自己中心(わがまま)の違い
「自分中心」は「わがまま」になることと混同しがちですが、決定的な違いがあります。
自己本位の「わがまま」に対し、「自分中心」は“自分大切にすると同時に相手も大切にする”“自分のテリトリーを守るのと同時に相手のテリトリーを守る”姿勢であることです。
アドラー心理学で言われている“自分の課題か相手の課題かを分離して相手の課題に踏み込まない(課題の分離)”姿勢です。(課題の分離についてはこちらの記事も参考に)
一方、「わがまま」は“自分のことだけを考えて相手を大切にしていない”“相手のテリトリー・課題に踏み込み、自分の価値観を主張・強要する”姿勢です。
もしあなたが誰かに対して「期待に応えなくては」と感じているとしたらあなたはその誰かに自分のテリトリーに侵入されているのでは?と考えてみることも大切です。
自分らしく生きたいと思ってこの記事を読んでいるあなたは、もしかしたらわがままになることを恐れて自分の意見を率直に伝えられないのかもしれません。
相手を思う気持ちを持ちながらも、テリトリー・課題を意識して自分中心に自分の気持ちや感情・欲求に素直に、発言・行動してみませんか。
そんな風に相手だけでなく自分も大切にしていくと自分のやりたいことを感じられるようになったり、自分に自信が持てるようになったりするはずですよ。
「自分中心」で感じるための練習
とはいえどのような状態であれば「自分中心」に感じているのかはっきりしませんよね…。
心理カウンセラー石原加受子氏が著書で紹介している「自分中心」であるためのレッスンでは
・どんな自分であってもいいと認める
たとえば誰かからの誘いがあり、行きたくないけれど断ることもできない場合「私は、本当は行きたくない。だけど断るのが怖い。だから行こう」と自分の気持ちを認め自覚した上で選択する。
・自分を丁寧に扱う
たとえば「相手に反対されても気にならない自分がいてよかったなあ~」「そんな自分に気づいてよかったなあ~」「自分の気持ちを認められてよかった~」とつぶやくことで自分を受け入れ・認めていく。
・「私は、○○がいいな」と言ってみる
たとえば職場の同僚と食事に行くときにみんなの意見に従うだけでなく、ときには「私は、あのお店がいいな」と言ってみることで自分の気持ちを優先する。
などがあります。いかがですか?少しイメージが持てそうでしょうか。
私たちには誰にでも長年付き合ってきた考え方の癖があります。癖というだけあって無意識なため、変えるには意識的なレッスン・トレーニングが必要です。
運動するための筋肉を鍛えるのと同じように、自分に正直に軽やかに生きるための心の筋肉を鍛えましょう。できそうなことからやってみてはいかがでしょう。
自分も相手も大切にする自己表現“アサーション”
自分に正直になるといっても自分の意見や考えの表現方法がわからないと不安ですよね。ここでおすすめなのは“アサーション”という自己表現法です。
最近アサーションに関する書籍も多く出版されていますので詳細はそれを参考にされると役に立つと思いますが、ここではポイントをお伝えしますね。
1950年代にアメリカで生まれた人間関係やコミュニケーションに関する考え方とスキルを1980年代に日本で紹介された臨床心理学者平木典子氏によると
アサーションとは、「自分の気持ち・考え・欲求などを率直に、正直に、その場の状況に合った適切な方法で述べること」「他者の基本的人権を侵すことなく、自己の基本的人権のために立ち上がり自己表現すること」
つまり「自分も相手も大切にする自己表現」です。
大切なのは1.2でお伝えした「わがまま」ではなく「相手を自分の思うとおりに動かすテクニックではない」という点です。また、相手も大切にするため「相手の話を聴く」姿勢も大切にます。
自己表現の三つのタイプ
アサーショントレーニングの開発者の1人である、アメリカの心理学者ウォルピィは自己表現の特徴を非主張的(ノンアサーティブ)・攻撃的(アクティブ)・アサーティブ三つのタイプに分類しています。
非主張的
自表現の特徴:自分よりも相手を優先し、気持ちや考えや欲求を率直に表現しない・しそこなう。 曖昧・遠まわし・遠慮がちな言い方・小声で話すなど。I’m not OK. You are OK.
自分や相手への影響:ストレスがたまる、抑うつ感や無気力感・怒りを溜め込む、相手に誤解される
背景にある要因:葛藤を避けたい・嫌われたくない・察してほしいなどの気持ちがある、自己評価が低い、パートナーとのパワーに差がある
攻撃的
自己表現の特徴:相手よりも自分の意見を優先し、相手の気持ちや考えや欲求を考慮しないで自己主張する。大声を出す・無視する・馬鹿にする・陰で悪口を言うなど。I’m OK. You are not OK.
自分や相手への影響:ストレスに気づきにくい、イライラしがち、喫煙や飲酒による身体疾患、相手からの信頼や愛情を失う
背景にある要因:優位に立ちたい・甘え・自信過剰と根底にある不安・真面目で責任感が強すぎる・自分の弱さを受容できない・疲れている
アサーティブ
自己表現の特徴:相手も自分も大切にしながら自分の気持ちや考えを率直に正直に表現する。「聴く」ことも大切。自分の弱さを認めて表現できる
自分や相手への影響:話し合って歩み寄ろうとする。双方が納得。肯定的なメッセージを伝える
背景にある要因:自分と相手の気持ちや考え(価値観)が異なるのは当然。適度な自信と謙虚さ。自分自身が相手との関係の変化の鍵を握っている
あなたはどのタイプが近そうですか?三つのタイプやアサーションについて詳しく知りたい方はこちらの書籍をどうぞ(『改訂版 アサーショントレーニングーさわやかな<自己表現>のために』平木典子著 金子書房)
対立を受け入れて自分に正直に生きるための自己表現(アサーティブ)
衝突や対立があっても逃げずに自分を見失わず、相手の期待に応えようとするのではなく自分に正直に生きるためにはアサーティブな自己表現ができると良さそうですよね。
アサーティブな自己表現は相手も大切にする「自分中心」です。
「私は○○という気持ち」「私は○○してほしい」とIメッセージで表現すると同時に「あなたはどう?」「あなたの気持ちを聴かせて」と相手の自己表現を引き出し、理解しようとする姿勢があります。
先にアサーティブな自己表現ができる人の特徴を簡単に書きましたが、自分中心で自分に正直に生きるための参考になりますのでもう少し具体的にお伝えしますね。
- 考えや価値観・欲求は違って当然。自分らしさ・相手らしさを大切にするために話し合って歩み寄ろうとする
- 基本的には自分に自信を持ち自分で責任をとるが、尊大・傲慢ではなく自分は不完全で間違うこともある、相手には自分にないよさがあるという謙虚さを持っている。
- 相手に対する感謝や労い励ましなど肯定的なメッセージを自然に伝えることができる。
- 寂しい・悲しい・辛い・苦しい・自信がない・わからないなど、自分の弱さを認めて表現することができる(自己開示できる)
- 相手と話している中で自分の気持ちに変化がでてきたらそれを素直に認めて納得して歩み寄る。
- 自分が相手に脅かされていると感じたり、大切にされていないと感じたり、不愉快な言動をされていると感じたりするときに正直に率直にきっぱりと「私はやめてほしい」「私は嫌だ」と「NO」を伝える。(「NO」が相手にきちんと届いてから相手の話を聴く)
などです。
自分に正直に生きることがキャリアを磨くことに繋がる
意見が対立したときに違いを受け入れながら自分に正直な選択をするためのポイントを少しはお伝えできたでしょうか。
現代の女性は結婚や出産・育児・子離れなど自分の生きかたに外部や環境から変化を求められる機会が多い傾向にあります。
そのとき、相手のため家族のため職場のため・・・と自分の本当の気持ちを我慢して(無意識に期待に応えようとして)選択していると、自分で選んできたにもかかわらず自分が見えなくなりがちです。
自分を大切に自分に正直に生きることが相手も周囲も大切にすること、キャリアを磨いていくことに繋がります。
それは自分がどんな人間なのか・自分の軸はどこにあるのかと自分を見つめることでもあります。
眼には見えませんが、人間は誰でも自分の軸を持っていてそれを中心にらせん状に渦を巻くように様々な経験をしているのだと思います。
それは
- 地球に地軸がありそれを中心に自転していること
- 太陽の周りを惑星がらせん状に公転していること
- 太陽もまた銀河でらせんを描いて公転していること
- 植物の葉は光合成の効果を高めるために重ならないよう茎を軸にらせん状に渦を巻いてついていること
- 生き物を形作るDNAはらせん構造をしていること
など宇宙・地球の目に見える現象から推測される摂理ではないでしょうか。
そのため、その軸を意識して、しなるような柔軟性を持ちながら正直に生きていくことで、自然にどんな経験も栄養とし、渦に取り込んで自分を創っていくことができるのではないでしょうか。
あなたが自分を大切に自分に正直に生きる練習をして、キャリアを磨くお手伝いが少しでもできていたら嬉しいです。
まとめ
最後にちょっと自己評価や自己肯定感が低く自分に自信を持てない…どちらかというと非主張的(ノンアサーティブ)なあなたへの一冊
わたしとなかよし(原題『I LIKE ME!』)ナンシー・カールソン作/なかがわちひろ訳(瑞雲舎)をご紹介します。
最終ページは
「せかいじゅう どこに いたって、なにを していたって、わたしは いつも、わたしと いっしょ。 ね、すてきでしょ! (No matter where I go, or what I do, I’ll always be me, and I like that!!!)」
と主人公のブタの女の子の笑顔で終わります。
この絵本はアメリカの小学校で入学時に配布されるものだそうです。
アサーション発祥の地アメリカでは子どもの頃から”自分を大好きになりましょう””自分を大切にしましょう”というメッセージを受け取っているのですね。