怒り、イライラをおさえる対処法!アンガーマネジメントの実践方法と効果は?
朝、支度をしない家族にイライラ、通勤電車の中でヘッドフォンから漏れる音でイライラ、仕事でわがまま上司にイライラ、帰り道疲れている自分にイライラ・・。
こんなことで怒るのはだめだと思いながら、怒りが湧き出てくる事、ありませんか?
もしくは、その事自体はそんなに怒る事でもないのに、感情に任せて怒ってしまった事や、厳しい言い方をして人間関係が悪化してしまった事はありませんか?
今回のスマイル戦隊ネガティブバスターズの物語(以下参照)では、悪魂モヤーゴの「イライライカ」が「いかりんグゥ」を使って世界中の人たちの怒りを爆発させていました。
ですが、本来、怒りは自らコントロールできるものです。
怒りの仕組みを知って、自分のくせを知って、マネジメントするトレーニングをしていけば、怒りによるストレスも減り、人間関係も改善されます。
アンガーマネジメントの方法について キャリアコンサルタントでスマイル戦隊ネガティブバスターズ司令官 深月あさこがお伝えします!
漫画:スマイル戦隊ネガティブバスターズ! イライライカ~
怒りについて
怒りが増えた背景
最近、イライラしやすい人、キレやすい人が増えたと言われています。
働きかた、雇用環境が変化
社会的には、「年功序列」「終身雇用」といった日本の企業の考え方が急激に崩れてきました。
成果主義で自分よりも若い後輩が上司になり自己効力感が下がる、リストラなどで同じ会社にずっと働き続けるのが難しく不安を抱えながら勤めるなど、働き方も企業の雇用に対する考え方も変動しており、みんな同じように仕事をする時代から、個人が考えて自分の働き方をチョイスする時代になりました。ある意味、頼れるのは自分だけ。
以前に比べると、ストレスが増えた環境で働く人が増えているといえます。
スピード社会
また、世の中はとても便利になり、生活がスピードアップしました。家電も便利になり、メールやスマホで仕事中でも外出中でも連絡を取りたい相手と会話もできるようになりました。
昔に比べて、同じ時間で色々なことを平行してできるようになりましたが、それを前提に生活をすると、あれもこれも短時間でこなさなければなりません。何か支障ができた時、非常にストレスがたまるものです。
- 夫に家の用事でメールしたのに返事がない・・・
- 電車がアクシデントで止まってしまった・・・
- スマホを落としてしまった・・・
こういった環境の変化などにより、イライラや怒りをマネジメントできないと、生きづらい世の中になってきているのではないかと思います。
怒りを感じるのは悪い事?
しかしながら、怒るという感情自体は悪いものではありません。怒りの感情には、自分自身を守るという役割があるのです。
動物でいうと、縄張り争いなどのような、自分が安心に暮らしていくために必要な感情であり、心身の危険や不快な状況など、何らかの対処が必要な問題があることを知らせてくれる「危険信号」です。
無理にフタをしてしまうと、いつか必ずそのはけ口・・・例えばウツ状態になったり、頭痛のような身体症状が出たり、八つ当たりのような不当な攻撃 になって出てきます。
怒りを感じるのは自然な事。無理やり押さえ込まず、でも、振り回されず、怒りとうまく、付き合っていくことが大切です。
怒るのは自分の選択
アルフレッド・アドラーの「人生に革命が起きる100の言葉」(小倉 広著)という本にこう書かれています。
カッときて自分を見失い怒鳴ったのではない。相手を「支配」するために「怒り」という感情を創り出して利用したのだ
「怒るのは自分で選んでいる」という言葉を初めて聞いた時、私は怒りたくなりました。怒りたくて怒っているのではないのに と。
「あらゆる行動には目的がある」というアドラーの「目的論」「使用の心理学」では、怒りという感情は、相手に苛立ちをつたえ、相手を支配するという「目的」のために「使用」されている という事を論じています。
それによると、感情の目的は二つ。
- 自分の思う通りに相手を操作し支配するため
- 自分自身を突き動かすため
前者は、かっとなった表情や態度で相手を威嚇し、自分の言う通りに相手を操作したい、支配したいというものです。
後者は、例えば、「怒り」という感情に背中を押してもらって、「相手をののしる」「離れる・無視をする」などの行動をとるであったり、逆に「さらに頑張って相手を見返す」という行動をとるということです。
高校受験に失敗したけど、その悔しさをバネに3年間頑張って勉強し、希望の大学に合格するなどは、感情をうまく利用して自分を一歩前に踏み出させる例です。
怒りやその怒りからくる自分の行動は、誰かから(もしくは何かから)の影響にもので自分の選択ではないと思っていました。
相手を支配するから怒るという考え方は、人間の心の黒い部分をみた気がしました。
が、怒りをコントロールできれば、ストレスが減り安定した精神状態を保つことができます。
怒る前も怒っている時も怒った後も、そして、怒っている人も怒られている人もそれを見ている人も辛いものです。
まったく怒らない生活は無理でも、少しでも穏やかに過ごせる方法を知りたいと思い、アンガーマネジメントに関する本をいくつか読みました。
ここからは、そのアンガーマネジメントについて、お話を進めたいと思います。
怒りを感じる3段階
人は怒りを感じるとき、3つの段階を踏みます。バスターバイオレットを例に見てみましょう。
1:出来事が起きる
例:戦闘中にバスターイエローが電話をした
2:出来事の認識・意味づけ
例:戦闘中は戦いに集中すべき。電話なんて論外
3:怒りの発生
例:最低!と怒る
第1段階の、「戦闘中にイエローが電話をした」と、第3段階の「怒りの発生」の間にある、「戦闘中に電話に出る事」に対する価値観が、怒りを生んでいる事がわかります。
もし、第2段階で、「戦闘中に電話に出るなんて、余程大事な用事なのね。」 と思ったとしたら、怒りは発生しないのです。
このように、第2段階では自分の持っている価値観と第1段階の出来事にギャップがあるかないかを認識するのです。ギャップがある場合、それが自分の思い通りになっていない事で怒りにつながります。
「怒り」という感情もまた、自分がその出来事をどのようにとらえるかで大きくかわってくるのですね。
コアビリーフとは
私たちは、出来事や誰かの言動を見た際に、自分の価値観や考え方と比べて、その出来事を正しいのかどうかを判断します。
バスターバイオレットは、「戦闘中は戦いに集中するべき」という考え方を持っていましたね。このように、”私たちが大事にしている価値観”のことを「コアビリーフ」と呼んできます。
コアビリーフは、それぞれの人が今までの人生経験により積み重なってできたものです。
10人いれば10通りのコアビリーフがありますし、それに正解も不正解もありません。
しかし、もしあまりにも歪んだコアビリーフがあれば、出来事をマイナスに認識してしまうようになり、怒りの原因にもなります。
アンガーマネジメントをしていくうえでは、自分のコアビリーフを知る事が重要です。
アンガーマネジメントの実践
まずは怒りをしずめる
まずは、怒りに気づいて、瞬間的な怒りをしずめます。
怒りの感情が沸騰して衝動的な行動に移す前に、落ち着かせることが必要です。そのためのテクニックをいくつかご紹介します。
- テンカウント法 ・・相手から目をそらし、軽く息を吸って、心の中でゆっくり1から10まで数える
- ストップ法 ・・自分自身に「ちょっと待って」という。手をたたく。両手を握り合わせる、目をぎゅっとつむる
- 距離を置く ・・怒りを感じている事柄や対象となる人から離れる。
- コーピングマントラ ・・自分を落ち着かせるフレーズ(大丈夫、大丈夫 など)を心の中でつぶやく
諸説あるものの、怒りの感情のピークは6秒程度 と言われています。その6秒を何とかやりすごせば、反射的に怒りの行動をとってしまうのを回避できるということです。
人によって、落ち着ける方法は違いますので、色々試して一番自分に合う方法を見つけておくことをおすすめします。
私の知人に、怒ると掃除をする人がいました。「深月さんのデスクも拭きましょうか?」といって、怖い顔をして力を込めて拭いてくれるのです。嬉しいような、怨念がこもっている気がして怖いような少し複雑な気持ちのまま、「ありがとう」と拭いてもらっています。
私の場合は、怒りをしずめたいとき、まず深呼吸します。
また、相手の言った事を、自分でゆっくり復唱するのも有効かと思います。なぜかというと、ゆっくり言うあいだに少し落ち着きますし、復唱すると相手もまた違った言葉で話をしてくることもあり、あ、「なんだそういう意味か。言い方だけの問題だったのね」と自分の勘違いにに気づけたりするからです。
いったん、怒りの思考から離れて頭を冷やすことが大事なんですね。
何が私を怒らせているのか?それはどの程度の怒りなのか?を考える
先述のとおり、怒りは、発生した出来事を、「自分がその出来事をどう受け止めたか」という認識が、コアビリーフ(自分が大切にしている価値観)とにギャップが生まれていることで生まれます。
どんなギャップがあり、何が許せないのか、どの程度許せないのかを知ることで、客観的に自分を見つめる事ができ、クールダウンすることができます。
また、自分の出来事の受け止め方のクセもわかってきます。それに、自分がどういった時に怒るのか、どんなコアビリーフをもっているのかも知ることができます。もし歪んだコアビリーフだと感じたら修正することも可能です。
このとき、「私はなぜ怒っているのか?」と考えるより、「何が私を怒らせているのか?」と考えると、より客観的に考える事ができるように思います。
そうです、モヤーゴが、イライライカが、悪さをしてあなたを怒らせているんですよ。でも、そのモヤーゴはあなたの何に反応してでてきたんでしょうか?振り返ってみましょう。
アンガーログについて
アンガーマネジメントに関連する本を読むと、アンガーログを書くという方法も紹介されています。アンガーログとは、怒りの感情を感じた場面について、その気持ちを紙に書き出し、クールダウンして自分を客観的に見つめようというものです。
怒りを「見える化」すると、感情のコントロールもしやすくなります。
書き方を簡単にご紹介します。
アンガーログの書き方(項目)
① 日時 ・・・ 出来事が起きた日時
② 出来事 ・・・どのような出来事が起きたのか、自分が思った事は入れず事実を客観的に
③ 思ったこと ・・・その出来事があったときに自分がどう思ったかを書きます
④ 感情 ・・・怒りの種類を書きます。軽いイライラ、むかつく、憤り、激怒など
⑤ 怒りの強さ ・・・10段階のいくつ等、怒りの度合いを数値化してみましょう。
⑥ 行動 ・・・感情を受けてどんな行動をしたのか具体的に、言動も含めて書きます。
⑦ してほしかったこと ・・・もし誰かに何かしてほしかった事があれば書きます。
⑧ 結果 ・・・自分が行動の結果、どのような結末になったかを書きます。
⑨ コアビリーフ ・・・その時の自分のコアビリーフを書きましょう。
ちなみに、バスターバイオレットの例でアンガーログを書いてみました。
アンガーログ:バスターバイオレットの場合
① 日時 ・・・昨日の戦闘
② 出来事 ・・・バスターイエローが戦いの途中で電話に出た
③ 思ったこと・・・ 信じられない!最低!
④ 感情・・・ 怒り心頭、爆発
⑤ 怒りの強さ・・・ 120%
⑥ 言動 ・・・後でとことん説教した。戦いはレッドとブルーに助けてもらった。
⑦ してほしかったこと・・・ ちゃんと戦ってほしかった
⑧ 結果 ・・・イエローが泣いた。
⑨ 信念・・・ 戦闘中は戦いに集中すべき!
いかがですか。あくまでも事実に基づいて、自分のべき論などはおいて客観的に見る事が大事です。
書くのが面倒だ という方も、無理する必要はありません。
何度か繰り返すと、書かなくても心のなかだけでできるようになります。
そうやって、自分の怒りの傾向やクセ、自分が大事にしているこだわりや価値観は何かを知ることができます。
コアビリーフのゆがみを修正する
アンガーログをもとに振り返ってみましょう。自分の怒りのパターンや、どういう時にどんなことがあると怒りやすいのか見えてきます。
中には、それまで気づかなかった歪んだコアビリーフもあるかもしれません。
そして、振り返っているうちに、「これは言いすぎたな」と気づいたり、「今考えてみると、こういうとらえ方もできたな」と反省することもあります。
そうすると、次に同じようなシチュエーションがあったら、行動を変えていけます。
コアビリーフは小さいころからの生活や環境、経験などが積み重なって創られたものです。新たな経験や感じた事で上書き修正していきましょう。
こうした、小さい積み重ねが「怒り」のコントロールにつながっていきます。
日頃からストレスをためない
最後に、日頃から不要なストレスをためない という事も大事だな と思います。
実はこれ、結構大事だと思っています。自分の沸点を日頃から下げておく。
そのためには、ちゃんと食べて、しっかり寝る、自分を大事にして無理をしない。笑顔で挨拶する。
身体が元気なら、多少の怒りも気にならない事もあります。
疲弊してストレスがたまった状態が続いていると、ちょっとした事で怒りっぽくなってしまいますよね。
最後に
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。
まずは、自分の怒りをコントロールするための対策についてお伝えしました。
次回は、周りで怒っている人とどう接すればよいか?また、自分の怒りをどう伝えれば相手も傷つけず、自分の気持ちが伝えられるか?についてお話しています。
怒りを我慢せずに相手に上手く伝えるには?怒られた時の態度や対処法は?
皆様が笑顔で過ごす日々が一日でも増えますように。
スマイル戦隊ネガティブバスターズは、今日もどこかでモヤーゴと戦います!