女性営業は我慢して当たり前?社内、商談、接待で発生するセクハラ対処法5選
「商談時の雑談で取引先から『彼氏とはどうなの?』『いつ結婚するの?』『子作りしているの?』とプライベートなことを執拗に聞かれて、次の商談に行きづらい・・・」
「接待で上司に言われて取引先の隣に座ったら、脚を触られて、、、でも怖くて何も言えなかった・・・」
全国女性営業員比率は全体の17.4%。こちらの記事でご確認くださいね。
業界業種にもよりますが、男性の方が多い職場で働いている女性営業職の方は多いと思います。
「イヤだけど我慢して当たり前。私さえ我慢すれば丸くおさまる」そんな風に思っていませんか?
我慢してはいけません!!
仕事で成果を出して、正しく評価されましょう。
社内・社外問わず、男性との接触頻度が高い女性営業職のみなさんに、現役営業マネージャーのキャリアコンサルタント@あおきしずかが社内・商談・接待等職場で発生するセクハラ対処法をお伝えいたします。
セクハラ(セクシャルハラスメント)とは?
セクハラの定義
簡潔にいうと
「雇われて働いている人(労働者)が、業務に関連する場所(職場)で、性的な言動によって仕事に支障が出るほど苦痛を感じる、もしくはそれを拒否したことで不利益を被ること」
男女雇用機会均等法 第11条1項
1.職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること(対価型セクシュアルハラスメント)
2.性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じること(環境型セクシュアルハラスメント)
「職場」で「性的な言動」を受けることによって「不利益を被る・仕事に支障をきたす」ということがポイントです。
引用:職場でのハラスメントでお悩みの方へ(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)
「職場」とは
「職場」とは普段働いている営業所や事務所だけではなく、取引先の事務所や接待・食事会、出張先、業務と関連性の強い宴会も含まれます。
- 営業所、オフィス
- 営業の移動中(営業車、電車等)
- 出張先
- 取引先
- 取引先との接待
- 業務と関連性の強い宴会
「性的な言動」とは
仕事に支障をきたすような不快感を発生させる「性的言動」はセクハラに含まれます。
- 不必要な身体的な接触
例)会社の宴会で、飲み物を取るふりをして胸を触られた - 性的な事実関係を尋ねること
例)結婚してしばらくしてから「子作りはどうしているの?」と聞かれた - わいせつな画像を配布すること
例)上司がグラビアアイドルのクリアファイルを使用しており、不快に感じる - 執拗に連絡をしたり、性的関係を強要すること
例)業務中でも業務外の時間でも毎日LINEで「いつ二人で会える?」と連絡が来る
セクハラの現状
働く女性の約4割がセクハラをされたことがある
ビッグローブ株式会社「セクハラに関する意識調査」によると働く女性の約4割がセクハラをされたことがあると回答しています。
つまり、働く女性の5人に2人はセクハラを受けた経験があるということです。
セクハラされても我慢して働き続けている方を思うと、本当に胸が痛みます。
- 仕事がやりにくくなったらどうしよう。
- 上司の立場が悪くなったらどうしよう。
- 告げ口されたと言われたらどうしよう。
性的言動によって不快な思いをしているのに、今後の仕事や人間関係・コミュニケーションを考えると不安や恐れが先行する。
あなたが声を上げることで、不利益を被るなら、それこそ立派なセクハラです!
あなたはセクハラされて“我慢”していませんか?
出典:ビッグローブ株式会社調査 「セクハラに関する意識調査」
セクハラで最も多い場面は『飲み会』、ハラッサー(ハラスメントをする人という意味)は『上司』
お酒を飲んでいたから許される・仕方ない、そんなことはありません。
女性営業は社内外問わず男性が多い職場環境。上司が男性、商談相手が男性、そしてその上司も男性。
セクハラをされないためにはどうしたらよいか、セクハラされたときはどうしたらよいか、予備知識として備えておきましょう。
出典:ビッグローブ株式会社調査 「セクハラに関する意識調査」
社内・商談・接待時のセクハラ対処法5選
飲み会時にセクハラされた!その時どうする?
お手洗いに行くと言って席を離れる
食べ物や飲み物を取ろうとした上司が、腕を胸に当ててきた、太ももを触ってきた。夫や彼氏との性的関係を執拗に聞いてくる。
そんな時は「ちょっとお手洗いに♪」と言って席を外しましょう。
戻ってきて、他に空いている席があれば移動し、他に空いている席がなければ、「○○さんにご挨拶してきます♪」と言って移動し物理的距離をとりましょう。
会社の飲み会に参加した筆者。
飲み会中盤で席を移動し、ある同僚の隣に。
離婚経験があるので、同僚からその理由や「夜の生活どうだったの?」と聞かれてホントに悲しくて、思わず「それ、セクハラでしょ!?」と言いました。
その場に居続けたら更に色々と質問されて不快感が増し、その同僚と仕事しにくくなりそうだったので「あっちの席に行ってきまーす!」とグラスを持って席を移動しました。
お手洗いであれ、テーブル移動であれ、物理的距離をとることで自ら被害を避けましょう。
上司から「二人で飲もうよ」と誘われた!その時どうする?
ランチの誘いに切り替える
相手は権力のある上司なので、「無理です!」とは断りづらいですよね。
かといって、相談したいこともない、話したいこともない、飲みに行ったとして何かされたらどうしよう。そんな想いをしながら数時間拘束されるのも苦痛です。
そんなときは「お昼ごはん、一緒にいかがですか?」とお誘いしてみてはいかがでしょうか。
ランチであれば1時間で営業所に戻らなければならないですし、男性上司と二人でご飯を食べながら話をするのは不自然ではありません。
アルコールが入らないので健全に上司と部下の「仕事」の会話ができます。
商談時にセクハラされた!その時どうする?
商談は切り上げる、商談場所は周囲に人がいる場を選ぶ
その場に居たら、相手の思うツボ。一刻も早く離れましょう。
個人飲食店を担当していたある食品メーカーの女性営業員の話です。彼女はある日、飲食店の厨房で商談していたところ、だんだん距離が近づいてくる取引先に違和感を覚えながらも話を続けていました。
その場には、彼女と取引先2人しかいません。そして、いきなり取引先からキスをされたそうです。
突然のことで身動きが取れない、怖くて足がすくんでしまう、さらに何かされたらどうしよう。本当に恐怖でいっぱいだったと思います。
それでも、取引先だから嫌われたらどうしよう、取引がなくなったら売上どうしよう、取引停止になって上司に怒られたらどうしよう。
そんなことはどうでもいい!!
1回の商談・1軒の売上より、あなたの身の安全の方が大事です。
一刻も早くその場を離れて、信頼できる上司・先輩に報告しましょう。
商談外での食事に誘われた!その時どうする?
お礼を言いつつ、お断りする
「お誘いありがとうございます!とても残念なのですが、実は会社からお取引先と個別飲食が禁止されているんです。次回の商談でお会いできるの、楽しみにしています!」
取引先担当者の自尊心を傷つけないためにお礼を言いつつ、“会社の規則”と言ってお断りすると決めておけば、言い訳を考える必要がありません。
新入社員だったころ、新規獲得したお客様からしばらくして「飲みに行こうよ!」と誘われたことがあります。
2つ年上の男性の先輩に「先日獲得したお客様から飲みに行こうよ、って言われたんですけどどうしたらいいですか?」と相談したところ「行ってきたら?」と。
「営業だからそういうものなのかな」とまだウブな筆者は思っていました。
「新規獲得したところだから断りにくいな。でも、先輩も行ってきたらと言ってたし、これも営業の仕事なんだ!」と、お客様のお誘いを受けることにしました。
結果、飲み会の終盤で交際したいと手を握られ、怖くなって逃げるように帰ってきてしまいました。
悲しくて、情けなくて、悔しくて、家の玄関に着くやいなや涙が溢れだしました。
その後、そのお客様と疎遠になったことは言うまでもありません。
ビジネスパートナーとして適切な距離を保つこと、二人きりで酒席に行かないこと、「女性」としてではなく「営業員」として認められる仕事をしなければ、と学べた経験です。
接待時にセクハラされた!その時どうする?
接待は男性社員と同行、被害は上司に報告
ある取引先と接待での出来事。
1回目は取引先男性1名と自社男性社員1名、筆者の3名でフレンチレストランに行きました。そのときは、取引先の考え方や今後の展望、今後自社と取り組んでいきたいこと等有意義なお話が出来ました。
2回目は同じ取引先男性1名と自社の女性研究員1名、筆者の3名でイタリアンレストランに。
ところが、出てくる話題は下ネタばかり。あれれ?前回と全く態度が違う!!
それでも重要得意先なので話を合わせながら笑顔で受け流すしかなかった。
上司にも報告できず「仕方ない」と我慢してしまいました。それが、3回、4回と続きました。
今思えば、上司に報告して同席してもらうか、接待をしない方法や上手な断り方を教えてもらえばよかったと思っています。
取引先であっても「セクハラ」は「セクハラ」です。
会社は、雇用契約上の安全配慮義務に基づいて、自社の従業員を取引先のセクハラ被害から守る責任を負っています。
労働契約法5条
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
したがって、上司を通して取引先に被害を申し出ることも可能です。
上司に相談しにくい場合は、下記の相談窓口に相談する。
セクハラの実態が改善されない場合は、我慢せず、一人で抱え込まず、然るべき部署に然るべき報告・相談をしましょう。
- 社内の相談窓口(社内のハラスメント窓口、人事部)
- 会社で対応してもらえない場合や社外で相談したいときは都道府県労働局雇用環境・均等部(室)
お客様や上司を喜ばせる姿勢は大切ですが、毅然とした態度も場面に応じて必要です。
セクハラされた日時と場所・出来事、同席していた人等をメモに残して、事実を正確に報告できるように記録しておきましょう。
予防が大事
肌の露出の多い服は避ける(胸元が開いているブラウス、短いスカート、素足)
「女性らしさ」は出すことと、「女を売りにする」ことは違います。
女性には女性ならではの『華』があります。
『華』の割合を調整せず、相手の下心が見える誘いを利用する、下心を引き出すことは「女を売りにする」ことです。
不用意に相手の下心を引き出さないように、服装は華美になりすぎず、肌の露出の少ないビジネススタイルを身につけましょう。
セクハラの噂がある怪しい人・怪しそうな人には近づかない、二人きりにならない
物理的距離をとる、商談や面談の時間・場所を交渉する、誰かに同行してもらう、時には断る等々、周囲の力を借りてでも自分が仕事をしやすい環境を整えましょう。
まとめ
いかがでしたか?
セクハラを受けると、恐怖心や悲壮感、自尊心が傷つき、仕事が手につかなくなります。
その結果、仕事の生産性が落ち、モチベーションが下がり、会社へ行きたくなくなる。
目標達成できなくて、更に落ち込む。本当に悪循環です。
まずは自分のことは自分で守る。
自分ができるセクハラ予防をし、セクハラを受けたら毅然とした態度で離れる、断る、相談する。
そして証拠として記録を残しておく!!
仕事を楽しく続けるために、大切なあなた自身を守るために、参考になれば幸いです。
あなたが笑顔で生き生きと営業職を続けられますように。
あおきしずかはあなたを応援しています☆彡
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