パワハラを会社で受けたらどう対処する?辛くてうつになる前に対応できること

「わからなかったら聞けって言っただろう?」と言った先で、「どうしてこんな事もわからないんだ?少しは考えたのか?」とみんなの前で問い詰める上司。
言われた新人さんは、どないせえっちゅうねん」と心の中で思いながら、「はい、すみません」と大人しく謝っている。
心の中で「どないせえっちゅうねん」とツッコミを入れていられる間はまだ良いですが、毎日続くと次第に心が病んできます。
会社に行きたくなくて、夜が眠れなくなったり体調が悪くなったりしたら要注意です。
スマイル戦隊ネガティブバスターズ司令官の深月あさこが、パワハラに負けない対応方法について、お伝えしたいと思います。
ストレッサーパンダを退散させましょう!
漫画 スマイル戦隊ネガティブバスターズ!「ストレッサーパンダ!それ、全部パワハラです」
パワハラとは
パワハラの定義
パワハラの相談が増えて社会問題化されるにともない、国に対しパワハラ対策を求める声が高まってきました。
そこで、厚生労働省は、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を発表しています。
その中で、パワハラの定義を以下のようにしています。
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為をいう。」
「職場の優位性」とは、上司が部下に対して行うものだけではなく、派閥や先輩後輩、合併の親会社と子会社なども指します。
社内に存在する様々な力関係のすべてに対して、その権限を使って誰かに苦痛を与える、仕事をしにくくする事がパワハラになるのですね。
厚生労働省では、どういう行為をパワハラというのか、具体的に6つのパターンに整理した「6類型」も示しています。
パワハラの具体的な6類型
1.身体的な攻撃:暴行・傷害
殴るとか足で踏むなどの暴力行為。もはや暴力です。
昔のトレンディドラマではよく書類で頭をはたいたりするシーンがありました。昔は当たり前のように見ていたけど、今の時代ではダメですよね。
2. 精神的な攻撃:脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
皆の前で叱責される、あほ・ボケ・カスなどと罵倒されるなどの言葉の暴力や謝罪の強要。
お客様のクレームで土下座をさせられるケースもこれにあたります。
3.人間関係からの切り離し:隔離・仲間外し・無視
社内のイベントに呼ばない、挨拶を無視する、情報を共有しない。相手を孤独にさせる事です。これは上司部下の関係以外でも起こりえます。
4.過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
明らかに残業しても終わらない仕事を押し付ける、必要のない仕事を延々とやらせるなど。残業時間が多くなれば、心だけでなく身体的にも影響がでます。
5.過小な要求:業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
上司の私用や雑用ばかりやらされるなど。最近では、東芝が100%出資する主要子会社にこの春、新しい部署ができ、そこには希望退職に応じなかった社員らが集められ、社内外の多忙な工場や物流倉庫で単純作業を命じられているという記事がでましたが、これが事実であれば、こういった事もこのケースに当てはまります。
6.個の侵害:私的なことに過度に立ち入ること
個人の宗教を皆の前で言われ否定される、結婚や妊娠を機に退職を促すなど。
他のパターンに比べて、「過度に立ち入っているかどうか」という線引きが難しい部分もありますが、プライバシーの侵害はハラスメントにあたるということです。
パワハラとメンタル不調
ストレスにはよいストレスと悪いストレスがあります。
良いストレスは、自分の成長につながるストレスです。そのストレスがあるからこそ、困難を乗り越える喜びや達成感が生まれるし、自信にもつながり、次も頑張ろうと思えます。
一方、悪いストレスはパワハラを受けた時のような理不尽なストレスです。そのストレスが大きくなると、心や体に様々な不調があらわれてきます。
こころとからだはつながっているのです。
心からのSOS -こんな症状は要注意-
- 会社に行かなければと思っているのに、朝が起きられない、頭痛や吐き気がする
- 胃が痛む、夜が眠れない、食欲がない。
- 疲れているのに眠れない、いつもより早く目が覚めてしまう
こういった症状が出たら無理をしないで、まずはかかりつけのお医者さんに相談していただきたいと切に願います。
厚生労働省の調査では、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレス」の内容として、「職場の人間関係の問題」が41.3%と高い割合を占めていると発表しています。
本当に多いですね。
職場の人間関係全般の中には、パワハラも含まれている事は間違いありません。
パワハラを受けた時の対処方法
パワハラの改善は職場の環境改善が必要。一人が頑張ってできるものではありませんが、だからといって、今うけているパワハラは何とかしなければいけません。
うつ病などのメンタル不調になってしまう前に、対処が必要です。
一度メンタル不調を起こすと、今後の人生において、社会的にも経済的にも大きなダメージを受けてしまいます。
所詮サラリーマンは雇用される側であり弱い立場の者が戦うのは、打ち手は限られていますが、それでも出来ることはあります。
何ができるか、その対処法についてご紹介したいと思います。
対処法① 自分が悪いと思いこまない
パワハラを我慢して働き続けると、自信を喪失し、だんだん自分が悪いと思いがちで深刻化していきます。
あなた一人が悪いなんてことはほぼありません。
上司がパワハラをする理由は?
- もしかすると上司自身が他方から過度なストレスを受けているからかもしれない。
- 過度な長時間労働が職場環境を悪化させているためかもしれない。
- リストラなどで社員が減り、コミュニケーションが不足や雇用不安の増加が職場の雰囲気を悪くさせているのかもしれない。
まずは、自分のせいだと思いすぎない事。自分を追い詰めなくていいです。
対処法② 記録をする
パワハラされたことをきちんと記録に残しましょう。
社内外の相談窓口に相談するにしても、どんなパワハラを受けたのかを説明する必要が出てきます。
その際にその記録に基づいて事実を訴える事ができます。
ボイスレコーダーで音声を取る事はかえって会社からの印象が悪くなるリスクもありますが、日記ならだれでも記録できます。
証拠として音声記録より多少弱い部分があっても、継続的にパワハラを受けた事やパワハラの深刻さを第三者が測る大切な元情報になります。
何月何日何時、にだれからどんなパワハラを受けたのか、事実を淡々と書いておくことをお勧めします。
パワハラを受けたらその直後に記録しておく。自分の正当性を主張するために備えをしておきましょう。
対処法③ 信頼できる人に相談する
信頼できる人・相談窓口に相談しましょう。
上司や先輩
貴方の事をよく理解している上司や先輩がいれば、その人たちに相談して味方になってもらう事もできます。
職場環境は一人では改善できません。チーム内の業務の変更や雰囲気の改善などを誰かに助けてもらう事ができれば、深刻にならないうちにストレスが軽減されることもあります。
同じ環境で働いていればパワハラがあったことを証言してもらうことも可能かもしれません。
社内の相談窓口、ユニオン
ハラスメント専用の窓口を設けている会社もありますが、「内部通報窓口」を設けている会社も多いようです。
会社の第三者に相談し、実態を確認したうえで対処をゆだねるという事になります。パワハラをした当事者からも話を聞き、状況によっては周りの同僚にも話を聞きながら事実確認を進め、判定をしていく事になります。
社外の労働組合、公的労働相談窓口や弁護士
ここは最後の手段になります。
ある程度退職も覚悟が必要になるかもしれません。
なぜなら、この段階では戦う相手が会社になる可能性があるからです。
会社には、社員がちゃんと働ける職場環境を整える義務があります。
社外の労働組合や公的な機関からは、会社への指導も実施されることになります。
ですから、できれば社内で解決できることを目指し、どうしても動いてもらえない場合は、社外に相談する旨を事前に会社へ話してから踏み切る手順がよいでしょう。
対処法④ 病院に行く。診断書をもらっておく
病院に行って心身の負担を軽減し、体調を元に戻す事が大切です。
最近は心療内科に抵抗がない人も増えてきました。無理をせず、お医者様に相談しましょう。
そして、きちんと診断書をもらっておきましょう。
その時にきちんと会社でのパワハラはお医者様に伝える事が大事です。
状況次第では、配置転換が必要などの意見も書いてくれます。
自分の味方になってくれる第三者の一人です。
信頼できる病院を探しておくのも大事ですね。
対処法⑤ 休む
特に40代以降の方は、長期間休む事は会社で死ぬことを意味するようにとらえている人もいるのではないでしょうか。
でも、どうしても心がしんどい時や、お医者様に休む事を進められたらきちんと休みましょう。
本当は、そこまでしんどくなる前に対処することが大事ですが、対処が早ければ早いほど、休む期間も短くて済みます。
我慢のし過ぎが、問題をどんどん深刻にして、一番いけません。
対処法⑥ 環境を変える
配置転換をお願いする、転職をする、などその職場から逃げましょう。
簡単に言うなよ!と思われた方。ですよね。私も簡単だとは思えません。
でも今は、メンタル不調を経験した私は断言します。
自分を病気にしてまでやらないといけない仕事なんて、この世のどこにもありません。
家族を養うために辞められない人、大切にしたい家族があるなら尚のこと自分を大事にすべきです。
「今ここで辞めたら、会社にも自分にも負けた気がする」と言っていた友人がいました。
その友人は40代後半女性、育児もこなしながら入社後ずっと同じ会社で正社員として仕事を続けてきました。
家族を大切にしながら、仕事もやりがいをもって頑張ってきたのを私は知っています。
確かに継続する事は本当に大事なことだと思います。
でも本当にだめかもと思ったら、環境を変える勇気をもってほしいと思います。
幸せになった人が勝ちです。
番外編 気にしない
戦うのも逃げるのもリスクは発生するものです。気にしない、スルー、やりすごす のもありだと思います。
どこにでもいる、いじわるをする人
気にしないで済むなら、こんなに悩まないのさ と思っているあなた。
おっしゃるとおりです。
それに、こんな風にえらそうに言っている私が、実は一番の「気にしすぎ君」です。
相手の言葉の使い方、返事の仕方や顔色の表情一つ一つが気になります。何か悪い事言ったかしら、何かミスがあったかしら。一度気になりだすと何もかもが気になってしまいます。
でも、いつもどこでも意地悪な人はいるものです。
幼稚園、小中高と学校が変わってもクラスが変わっても会社でも、マウンティングしたがる人、誰かに悪意を向けるはいます。
私はどちらかというといじめられっ子で、何か悪いことをしたわけでもないのになぜ私にそんな意地悪をするのだろうと理不尽な思いを何度も経験しました。
自分が何か悪いことをしているのではないかと行動や考え方に自信がなくなり、良くも悪くも目立たないようにその他大勢に埋もれる事に全力を尽くした学生生活もありました。
でも今から考えると、とてもバカバカしい。
自分の人生は自分のもの
理不尽な人を気にして自分の行動を変えるのは、自分を殺すのと同じだったなと反省しています。
万民に好かれるなんて土台無理な話。
そして、残念ながら、いじめる人はどこにでもいます。
そんな人達に振り回されていたら、いつまでたっても自分の人生を生きていけません。
決めつけもよくない
さんざん嫌なことをされたら、何もかもが嫌がらせではないかと思いこんでしまいがち。
そういう時、敏感になりすぎていないか?と自分をチェックしましょう。
もう一度冷静に、客観的にその状況をみてみましょう。自分が過敏になりすぎていないか、聞き間違いをしていないか振り返ってみましょう。
自分の物事の捉え方が少しネガティブに寄っている可能性もあります。
認知行動療法 という方法で自分の認知が歪んでいないか、チェックをしてみるのも良いかと思います。
認知行動療法について興味がある方は、こちらの記事もご参考にしてくださいね。
最後に
最後までお付き合いくださってありがとうございました。
また企業の立場からも、職場環境が悪化する事によって成果が出にくく生産性が下がることになり、パワハラは無視できない課題です。
優秀な人材を確保するためにも、会社全体で取り組んでいる企業も増えてきました。
無理をせず、しなやかにしたたかに、自分の人生を大切にしていきましょう。
皆様が笑顔で過ごす日々が一日でも増えますように。
スマイル戦隊ネガティブバスターズは、今日もどこかでモヤーゴと戦います!
今回、参考にした本はこちら。興味があればぜひご覧ください。