キャリアコンサルティング理論と実際(木村周著)は必須か?内容、感想は【徹底分析】
国家資格キャリアコンサルタントの学科試験。
対策としての公式参考書は残念ながら現在は販売されていません。(2019年2月現在)
学科ともなれば何らかの参考書籍が欲しくなるのは受験生として自然な思いですし、現に学科試験の出典元になっている書籍は何冊もあります。
それらの参考書籍、参考本は本当に購読したほうがよいのか?
キャリアコンサルタント学科試験 出典元ナンバー1の「キャリアコンサルティング理論と実際」(木村周著)について、TADAJUKU 学科担当の藤原 あきこが購読の必須度合い、内容や著者、書籍の感想などを合わせてお伝えしていきます。
受験を検討されている方、ぜひ参考にしてもらえれば嬉しいです。
「キャリアコンサルティング 理論と実際」について
木村周先生の「キャリアコンサルティング理論と実際」
学科試験の勉強法として、繰返し読むことメインとしている受験生がいるというのも聞くところです。
どんな書籍なのか?出典の頻度、学科試験対策として購読したほうがよいのか?などを順を追って紹介していきますね。
国家資格キャリアコンサルタント学科試験への出典頻度について
「キャリアコンサルティング 理論と実際」が学科試験では出典常連の書籍であり、第10回までを分析してみてもどれよりも多いのは本当のことです。
例えば、第9回や第10回では50問のうち、それぞれ12問はこの書籍が出典元。
2番手の渡辺三枝子先生「新版 キャリアの心理学」5~6問と比べてもダントツの頻度になっています。
受験生なら出題の約4分の1が関わるとなれば買って読んだ方がいいのかな?と思うのも無理ないと思います。
▼その他学科対策の参考書や本についての記事はこちら
「キャリアコンサルティング 理論と実際」の内容と1冊読むのに何時間かかるのか?
内容は広範囲をカバー。
キャリアコンサルティングの諸理論、人事・労務管理、法律関連、メンタルヘルスや、制度に加わったセルフ・キャリアドック、ジョブ・カード、また第10次職業能力基本計画などなど。
専門書の類にしてはわかりやすい文章で書かれているのでこの点は安心して読むことができます。
ただ、ページ数は381(目次などを省くと355)とかなり大がかり。
持って歩くのは女性ならちょっと重いと感じるほどです。
そして、1ページはざっと数えると約1000文字。
人が1分間に読める文字数が400~600なので、1ページを読む時間は約2分。
すべてのページが文字ばかりではないことと、目次などを省き内容が書かれているページ数で計算すると、1冊読み切るのに約11時間ほどに。
脇目もふらずに読みつづけた場合で約11時間。
実際には何回かに分けて読むことになるでしょうね。
わたしが受験生ならかなりしんどいと思うし、1回読んでどこまで頭に残るだろう?と考えると、受験対策として時間をかけて読破するのは難しいなと感じます。
「キャリアコンサルティング 理論と実際」第4訂と第5訂の違い
「キャリアコンサルティング理論と実際」は現在2018年10月に新しくなり5訂版に。
それまでの本編ページ数(目次などを省く)は、
- 4訂版:353(P11~364)
- 5訂版:355(P11~366)
とほぼ同じです。
4訂版1刷は平成28年5月~で、キャリアコンサルティングの国家資格化が平成28年に実現したこともあり新しく追加されたテーマは盛りだくさんでした。
5訂版は4訂版1刷から約3年半後に出版。
新たに追加された内容の大きなところは次の2点。
- 中小企業と「働くこと」と「人材育成」について、「今、なぜ、中小企業なのか」の意味と木村先生の考えや想い(7ページ)
- 「事業場における治療と職業生活の両立支援」として、働くひとが仕事をしながら病気、メンタルヘルス不調の治療を続けるための事業場の支援についての厚労省ガイドラインの紹介(2ページ)
1つ目の内容は木村先生ご自身が「中小企業」の調査・研究を行なわれていた内容を振返りながら、中小企業が持つ昔からある”義理人情的なウエットな企業観”や”人を育てる中小企業”という観点などを分かりやすく、また熱く語られてるのが印象的です。
ここは試験直結にはならないと思いますが、キャリアコンサルタントとしては勉強になり頷ける内容だと感じました。
また、その他の変化点としては法律や指針、制度、調査の改正にともなうアップデイトや削除などが行われています。
「キャリアコンサルティング 理論と実際」の価格は?
書籍の価格についてはかなり悩ましくて。
4訂版は2,600円(税抜)、5訂版に至っては3,000円(税抜)とかなり高額だとわたしは感じています。
新しくなって1割以上の価格アップは痛いですね。
ページ数だけでいうと変わり無いのですが、新しい情報の収集に費用がかかったのでしょうか。
そして、出版の目的は試験対策本ではありませんから仕方がないとは思いますが、
- 読み切る時間を作る自信がない
- 価格が高いこと
この2点でわたしが受験生なら買わないと思います。
ただ、価格面に対する方法として4訂版を中古本として買うことを考えるとは思います。
今(2018年2月19日現在)であれば、送料込で大手通販サイトで1,800円ほどで手に入るようです。
ただし、キャリアコンサルティングの諸理論などある程度固定的なところはいいのですが、法律や指針などは改正されたり追加もあるでしょうから参考にならないことは要注意。
こういう注意事項を考えるのは面倒なので、5訂版を正規価格で「購読するか」「購読しないか」の選択になるのかなと思います。
やっぱり悩ましいですし、それなら「購読しない」にわたしはなると思います。
キャリコン学科試験に必須なのか?藤原あきこの意見
ここまでキャリコン学科試験の出典元ナンバー1の「キャリアコンサルサルティング理論と実際」について、いろんな切り口で紹介してきました。
わたしの個人的な意見は、「学科試験においては必須と思わない」が結論です。
もちろん、木村先生の熱くそして温かい思いが伝わる素晴らしい書籍には間違いありません。
ただ、前述しているように1回ひと通り読むのに約11時間。
例えば通勤時間が1時間とすれば読破に10日以上かかります。
様々な内容について読んでいる瞬間瞬間で知ることができ納得していくのでしょうが、1回読むことでそのあとどれだけの内容を覚えれるのか?という点で受験対策としてはどうなのかなとわたしは思うのです。
活用方法として、過去問が出ているページを参照しその前後の内容を確認するにはいいですね。
ですが、そこまでの時間を受験生が持てるのかは考えどころ。
これから受験される方は、わたしの意見を1つの選択肢として参考にしてもらえればなと思います。
最後に
「キャリアコンサルティング 理論と実際」は、キャリコン学科対策本というよりもわたしはキャリアコンサルタントへの激励本と感じています。
木村先生の熱い思いを感じますね。
例えば、世の中は第10次職業能力開発基本計画にもあるように、少子高齢化や人口減少、急激なグローバル化、AI、ビッグデータ解析などの技術進歩が目ざましく、働く人たちの環境や求められる能力が激変。
それに対応できるような人材育成の戦略が多数打たれています。
ただ人は変化にとても弱いもの。
以前勤めていた会社でもそうでしたが、世の中や必要とされる能力が変わってきていることが認識できない、または分かりなくない社員が数多くいます。
これは一例だと思いますが、キャリアコンサルタントはこのような現場にいるからこそ、現場のことが分かっている、現場を動かすことができる。
だから組織や社会を変えるという意気込みや覚悟をもって積極的に活動し活躍してほしいと、木村先生は書籍を通じて叱咤激励されていると感じました。
キャリアコンサルタントやキャリア教育に長く携わってこられた木村先生ならではの、後進であるわたしたちキャリアコンサルタントへの期待だなと思いますね。
そして、木村先生は1933年生まれなので御年85歳。
4訂版、5訂版の両方に書かれていますが、改訂にあたりその必要性を感じながらも気力、体力の衰えを感じ執筆が進まないと。
お察しするところは大きいですが、なによりお元気でこれからも私たちを見守ってほしいなと強く思いました。
▼学科過去問入手方法や過去問徹底詳細分析についての記事はこちら
▼キャリコン1発合格の勉強方法についての記事はこちら
▼キャリコン実際の難易度や合格率、必要な勉強時間についての記事はこちら
Comment
[…] […]