国家資格キャリアコンサルタント集団が斬る仕事論

問題社員を予防(採用しない)、早期発見および円満に退職させる鉄板施策5選

坪根 克朗
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坪根 克朗
国家資格キャリアコンサルタント。問題社員解決キャリアコンサルタント。ソフトウェア開発、システムエンジニアを経て、人事部(労務管理・人材育成・キャリア相談)業務に従事。長年、問題社員(ローマフォーマー社員含む)の再生・戦力化を目的とした問題社員解決の専門として活動中。高知県出身、広島県在住。【好き】広島カープ、WoWoW海外ドラマ、坂本龍馬、広島風お好み焼きなど

「ツイッター・テロ」とも言われる不適切動画を投稿し、会社に損害を与える社員、ハラスメントを起す社員、遅刻・欠勤を繰り返し、会社のルール(就業規則)に従わない社員、取引先とのトラブルを頻発させる社員、勤務態度が悪く職場をかき乱す社員・・・・

これら問題社員は、会社の規模に関係なく1~2割は存在するといわれ、経営者のほとんどが辞めさせたいと考えていると聞きます。

ただ、SNSでの不適切動画の投稿で、世間からの大パッシングや顰蹙を買った事案のように、あきらかな不正や犯罪が証明されない限り、経営者は問題社員を簡単に解雇できないのです。

だからと言って国内市場の縮小が止まらず、グローバル化などにより企業の経営環境が厳しい中、問題社員を放置することはできません。

そのうえ、資金力の乏しい会社では、退職金上乗せなどの希望退職を募るリストラ(退職勧奨)も、実施できないのが実情です。

このような状況の中、問題社員の見抜き方やその対応策を知りたくなりますよね。

そこで、問題社員解決キャリアコンサルタントである坪根克朗が、問題社員の対応に関して会社がやるべき3つのテーマ「採用時の予防(採用しない方法)」「職場での早期発見(見抜き方)」「円満に退職させる鉄板施策5選」についてお話していきますね。

問題社員とは

問題社員は、勤務態度不良、ハラスメント、出勤不良、協調性欠如、能力不足、業績不良、他者批判、自己中心的、組織攪乱など多種多様です。

そして、このような方々を問題社員として一括りにして、話を進めるのは難しいので、まずは問題社員の定義から始めますね。

問題社員の定義

問題社員とは、組織秩序の観点から許容されない言動が問題となり、会社との関係の中でトラブルを起こし、会社から繰り返し指導を受けても改善できない人になります。

ただ、問題社員の中で、ローパフォーマー社員(低業績・低評価)は会社の指導やフォローによって、再生・戦力化が可能ですので、今回の話の中には入れていません。

ローパフォーマー社員の再生・戦力化の方法については、以下を読んでみてください。

解雇が難しい理由

解雇とは

解雇とは、従業員と会社との間の雇用契約を、会社の側から一方的に終了させることです。

なぜ従業員の解雇は大騒ぎになるのでしょうか!?

日本で解雇が難しい理由

労働基準法ならびに労働契約法といった法律では、懲戒解雇に相当する事案であっても「客観的に見て合理的な解雇理由がなく」「社会通念上相当とみなされない場合」従業員を解雇できないと定められています。

過去の判例で観てみましょうか。

無断欠勤で懲戒解雇が無効とされた判例

ローヤルカラー事件

出勤状態は悪いが、従業員中最悪ではないこと、それによって業務に顕著な遅滞や支障があったとは認められないことから、解雇は無効(東京地裁 1974/3/28)

遅刻や早退等で懲戒解雇が無効とされた判例

共栄印刷紙器懲戒解雇事件

従業員が入社後1年5ヶ月の間に180回に及ぶ無届遅刻を繰り返したことを理由とされた懲戒解雇について、同人は入社以来それまで無届遅刻について懲戒処分に付されたことはなかったのであるから、段階を踏むことなくいきなり懲戒解雇に付することは権利の濫用として無効(名古屋地裁 1978/9/29)

え~ これで解雇にならないの!! 驚きですよね・・・

問題社員の予防(採用しない方法)

問題社員になる可能性のある人を採用しなければ、後々トラブルにならないわけですから、採用時どんな点に気をつければいいのでしょうか。

【採用時の見抜き方①】聞きにくいことはアンケート

採用にあたって、採用面接時に本人に聞きにくい情報や、今後のトラブルに備えて確認したい情報を「アンケート」という形式をとって聞くのです。

当然、本人の自由意志に基づいて回答できるように、回答欄に「答えたくない」という欄は必要になります。

そして、そのアンケート結果で採用の可否を判断すればいいし、場合によっては面接で詳細を聞かせてもらうこともできます。

アンケート項目(案)

  • 健康状況
  • 精神疾患による病歴
  • 前職の退職理由
  • 賞罰の有無と内容
  • 前職への問い合わせの同意
  • 労働争議に参加したことや今後参加する予定
  • 反社会的勢力との関係の有無

【採用時の見抜き方②】面接

応募書類もそうですが、面接時で語る実績、経験、アピールポイントは基本的に自己申告です。

本音を見抜く質問の方法

面接の中で、特に聞きたいテーマでは、「なぜそう思ったのか」「なぜそういう行動をとったのか」のように応募者が話してくれた内容に「なぜ」の繰り返しによって深堀していくのです。

そのような質問によって、発言の矛盾から本音が見えてくるのです。

是非聞きたいテーマ 「退職・転職理由」

退職理由(辞めた経緯・理由)や転職理由(転職先を選んだ理由)は必ず聞いてください。

答え方や表情、しぐさによっていろいろなことがわかります。

例えば
  • 前職でのアピールする実績について、自分の貢献度だけを語る人は、入社後マイペースで独断的に仕事を進める可能性があります。
  • 短期間の転職の繰り返しで、明確な理由が語られないような場合は、入社後もすぐ辞める可能性があります。
  • 面接官の発言・質問に一喜一憂する人、態度が変わるような人は、多様な問題を抱えているかもしれません。
  • 前職で退職時の行動、引継ぎ期間や有給休暇取得日数を聞いてみてください。飛ぶ鳥後を濁さずではないですけど、仕事への責任感や人となりはわかってきます。

【採用時の見抜き方③】適正検査

ここ最近、適正検査はインターネットを使って簡単で安価でできるようになったので、是非実施してほしいですね。また、過去の問題社員の適正検査結果との比較によって、入社後の姿、特に言動を想像することができます。

問題社員の早期発見(見抜き方)

会社において、問題社員は、役職に関係なく発生します。役員でも出張費の不正利用で懲戒処分を受けるケースもあります。日頃から「勤怠」「勤務態度」「経費の使い方」などの言動をみていると問題社員を見抜くことができます。

【職場での見抜き方①】勤怠のチェック

問題社員の勤怠

  • 遅刻が多い、昼休憩からの戻りがいつも遅い
  • 休暇取得の連絡が遅い、ほとんど当日か事後
  • 毎週決まった曜日(月曜日)に休む
  • 午前休が多い
  • 無断欠勤が1回でもある

【職場での見抜き方②】勤務態度

問題社員の勤務態度

  • 理由がわからない直出/直帰が多い
  • 行先を誰も知らない出張や外出が多い
  • 出張を伴う研修に行きたがる
  • 業務中、在席しない時間が長い(どこかでおしゃべり)

【職場での見抜き方③】経費(外注費含む)の使い方

問題社員の経費(外注費含む)の使い方

  • 接待先が決まっている、1回当たりの接待金額が高い、接待回数が多い
  • 購入先が1社に限定、購入金額が高い、購入回数が多い
  • 特定の会社にだけ発注している、発注金額が高い
  • 会社支給のタクシーチケットを私的に使用

円満に退職させる鉄板施策5選

解雇ではなく円満に退職してもらうにはどうしたいいのでしょうか?

そのためには、不当解雇で訴えられても勝てる「段取り」を踏んだうえで、本人との話し合いで退職を勧めることなのです。

これから「指導根拠(就業規則)の改訂」から始まり「退職後の訴訟リスク対策」まで会社が行うべき各「段取り」についてお話をしていきますね。

【円満退社の施策①】指導根拠(就業規則)の改訂

問題社員を指導する根拠、拠り所は、会社と社員との就業上のルールを定めた就業規則になります。問題社員対応を進めたいなら、まずは従業規則の見直しが必要になります。

なぜ就業規則にこだわるのか

就業規則があって初めて、問題社員に「それは間違っている」と言えることになるからです。そのため、書くべきことが書いてないと、問題社員から「就業規則に書いてないのだから、何が問題なのですか」と言われて逃げられてしまいます。

就業規則とは
  • 会社が社員に遵守してほしいことをルールとして言語化したもの
  • 会社が「こういうケースでは、(社員)をこう扱う」というルールを定めたもの
  • ルールとは事前に設定しているから意味があるもの
  • 自社の企業文化にあわせて作成しているもの
  • 社員を成長させるもの

就業規則に盛り込む内容

労働法は政治や経済の影響を受けやすい規則です。そのため、個人情報保護、メンタルヘルス、副業解禁、女性の活用、LGBT等に対して労働法が変わっていくので、就業規則も併せて変更・追加する必要が出てくるのです。

特に、問題社員対応として、就業規則で記載してほしい項目は以下のようなものになります。

  • 労働時間や休日が労働基準法や会社の実態に沿っているか
  • 欠勤が続いた際の休職期間や休職期間満了時の自然退職の条項を記載しているか
  • 服務規律や懲戒事由について、自社の倫理観に沿って、具体的になっているか
  • 懲戒のステップは自社で運用できるものになっているか

就業規則の内容を社員の皆さんへの周知・徹底

就業規則は、会社としてのルールになるので、社員の皆さんに知ってもらうために、入社のオリエンテーションで説明するとか、社員の皆さんがいつでも「見られる」状態にしておくことが重要になります。

【円満退社の施策②】日頃の指導・注意

就業規則にしたがった運用、すなわち日頃からの注意・指導の話をしていきますが、いくつか気をつけてほしい事柄について説明しますね。

日頃のコニュニケーションの重要性

普段あまりコニュニケーションを取ってない部下に突然指導しても、聞いてくれず反発を買うだけになりますよね。普段から「おはよう」「お疲れさま」「体調どう」「仕事困ってない」などの声かけは必要だと思います。

注意・指導の順番

勤怠の問題で、突然人事から呼ばれて・・なんてびっくりしますよね。

注意・指導も問題の質(遅刻 or ハラスメント問題)よって違ってきますけど、注意・指導の順番は直属の上司→上位上司→人事になります。

問題行動、指導内容の文書化が重要

問題社員対応の重要な点としては「問題となる具体的な行動」「それに対する指導内容」を文書化して、本人に渡したうえで問題社員の署名をもらってください。

裁判になった時会社側の対応が問題なかったことを示す証拠になります。

【円満退社の施策③】懲戒

何度も指導を行っても問題行動が改善されないときは、問題行動のレベルに応じた形で「戒告」「けん責」「減給」「出勤停止」「諭旨解雇」「懲戒」といった懲戒処分にします。

そして、各懲戒処分の事由(どういう言動が処分に該当するか)は明確にしておく必要があります。

懲戒処分の例

  • 訓戒は口頭により厳重に行う
  • けん責は文書により厳重に行う
  • 減給は1日の額が平均賃金の半額、総額が月給の10分の1の範囲
  • 出勤停止は20日以内で行う
  • 諭旨解雇は予告なしに行う。自己都合退職金の範囲内で支給する
  • 懲戒解雇は予告なしに行う。退職金は支給しない

懲戒処分社内告知に関して

問題社員へ懲戒処分を下したことを社内告知することによって「周囲の社員に対しても問題行動を許さないという会社の姿勢を明確にし、会社の規律を正すことができる」という方もいますが、私の考えとしては、その後の問題社員の職場での立場などを考えると社内告知はしないほうがいいと思っています。

【円満退社の施策④】退職勧奨

懲戒処分を行っても改善できない問題社員に対しては、退職を勧める(退職勧奨)ことになります。

退職を勧めるなんてドキドキしますね。進め方や留意事項はどんな感じなのでしょうか?

退職勧奨とは

退職勧奨とは、解雇とは違って会社が従業員に退職を勧めることです。違法ではないですが、やり方・進め方を間違うと違法になるので慎重に行う必要があります。

退職勧奨面談の実務

  • 1回の面談で長くて45分(1時間は超えないこと)
  • 2名で対応(組織長+人事担当)
  • ビジネスライクに対応
  • 議論の場でないので論破しない
  • 被面談者を追い詰めない
  • 被面談者の感情的な言動あれば面談中止して、後日実施
  • 話がもつれた時も面談中止し、後日実施
  • ICレコーダーで録音されているつもりで対応
  • 面談終了後「面談状況書」の作成

退職勧奨面談で伝える内容(見出し4)

  • 就業規則または労働協約上の解雇事由に該当していること
  • 問題行動に正当な理由がないこと
  • 会社が再三に渡り本人に注意をしても改めなかったこと
  • 他の従業員と比較して著しく劣ること

当然、過去の指導した文書は手元に必要です。

退職勧奨での優遇策

退職勧奨の場合、鞭(就業規則違反の指摘)ばかりだと退職を考えない可能性があるので、
なんらかの優遇策が必要になります。

  • 退職金の積み上げの支援(凡そ 3か月~半年)
  • 転職支援会社の利用(費用は会社もち)

問題社員が退職を決めてからの注意点

退職を決めたら、退職届を速やかに出してもらってください。
そうしないと、とんでもない事態が起こります。

辞める辞める詐欺

再々の 面談で「辞めます」と言って面談を終了させるが、なかなか退職届を書こうとしない。

安易に解雇する

「失業保険の都合で、形式上解雇にしてください」と言われ、退職理由を「解雇」として辞めてもらったら、後で、不当解雇で訴えられた。

【円満退社の施策⑤】退職後の訴訟リスク対策

退職後の訴訟などのトラブルにさせないためにも、退職届のほか「退職合意書」などの締結が重要になります。

退職合意書で確認する項目

  • 自己都合の退職であること
  • 退職金の支払い
  • 退職までの引継ぎの責任を果たすこと
  • 退職後の秘密保持
  • 債権、債務が無いことの確認

まとめ

問題社員と言っても、縁があって入社していっしょに働いてくれた方々です。

人の問題、特に退職に関しては、問題行動について法律論を理路整然と唱えるだけで、解決できるほど単純ではないのです。日本では問題社員対応の知識の他に、相手の心情を思い図っての対応が必要になってきます。

TC坪根コンサルティングOfficeでは、労務問題に強い弁護士とも連携できるので、問題社員でお困りのことがあれば、ご連絡いただければ幸いです。

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国家資格キャリアコンサルタント。問題社員解決キャリアコンサルタント。ソフトウェア開発、システムエンジニアを経て、人事部(労務管理・人材育成・キャリア相談)業務に従事。長年、問題社員(ローマフォーマー社員含む)の再生・戦力化を目的とした問題社員解決の専門として活動中。高知県出身、広島県在住。【好き】広島カープ、WoWoW海外ドラマ、坂本龍馬、広島風お好み焼きなど










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