国家資格キャリアコンサルタント集団が斬る仕事論

過労死(自殺)を防ぐ方法!長時間労働削減する働き方改革4選【ビジネスパーソン必見】

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国家資格キャリアコンサルタント。中高年危機脱出キャリアコンサルタント。ソフトウェア開発、システムエンジニアを経て、人事部(労務管理・人材育成・キャリア相談)業務に従事。企業における職場環境・人間関係・セカンドキャリアに関するコンサルティングの他、中高年の危機を乗り越える支援の専門家として活動中。高知県出身、広島県在住。【好き】広島カープ、WoWoW海外ドラマ、坂本龍馬、広島風お好み焼きなど

平成27年 大手広告代理店の若手社員が長時間労働を原因として、過労自殺をするという痛ましいニュースがありました。

このような話を聞くにつけ、長時間労働が引き起こす健康被害の酷さを感じるとともに、この方は「なぜ自殺以外の道(働き方の選択肢)を考えなかったのだろうか?」という思いにとらわれます。

そして、過労死(過労自殺含む)の件数は、ここ10年で年平均200件発生しており、大きな社会問題になっています。

こうした背景の中、2019年4月から「働き方改革関連法案」が施行され、社会では「過労死(自殺)を防ぐ(長時間残業を減らす)」にはどうしたらいいかが、喫緊の課題になっています。

私が考える長時間労働の原因としては、会社の責任と思われる「管理職の意識・マネジメント不足」「人手不足(業務過多)」もありますが、その他、社員1人ひとりが会社、上司に認められたいという「仕事の上での承認欲求」があるが故に、働き過ぎているのではないかと思っています。

ではどうしたらいいのでしょうか。

過労死(自殺)を防ぐためには、会社や人事主導の長時間労働削減施策や管理強化で解決するだけでなく、これからは社員1人ひとりが、承認欲求を克服し、過労リスクを知って自分を守り、自分のキャリアを考え、そして自らを磨き、商品化(ブランディング)することにより、会社に縛られることがない働き方を見つける必要があると考えます。

過労死・過労自殺という問題の解決を、問題社員解決キャリアコンサルタントの坪根克朗が、「会社が行う長時間労働是正」「過労リスクを知って自分で守る」「承認欲求呪縛からの解放」「今後のキャリアを考える」についてお話していきますね。

なぜ過労死は起こるのか

過労死とは

過労死とは、長時間労働が原因の過重な負荷によって、従業員が健康障害・心理的負荷に陥り、死亡や自殺することになります。

過労死の定義(防止対策推進法)
  • 業務における過重な負荷による脳血管疾患、もしくは心臓疾患を原因とする死亡
  • 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
  • 死亡に至らないこれらの脳血管疾患や心臓疾患、もしくは精神障害過労死等

過労死の判定

過労死か否かについては、厚生労働省が定めた「労災の認定基準」に則って、各労働基準監督署で判断されます。

そのため、実際は過重労働が原因での過労死であったとしても、単に病死や突然死とみなされることもあります。

公表値には、労災認定されなかった人の数は含まないので、実際はもっと多くの過労死の方がいると言われています。

過労死ライン=長時間労働

厚生労働省では、以下の時間外・休日労働(以下残業)くらい働くと脳・心臓疾患による過労死を起こし易くなるということで、この時間のことを「過労死ライン」という言い方をしています。

  • 残業が1か月に100時間超
  • 2~6か月間の月平均で残業が80時間超

今後この「過労死ライン」働くことを「長時間労働」として話を進めていきたいと思っています。

過労死の原因となる長時間労働の怖さとは

過労死は、長時間労働による疲労が蓄積した結果、突然起こると言われています。

人は通常、疲れが蓄積すると脳が体に睡眠・休養を求めるようになります。

普通ならそこで睡眠・休息をとり、体を回復させるのですが、そこを無視して働き続けると脳が疲労に麻痺した状態になるため、肉体的に疲れていることに気づかなくなってしまいます。

そして、自分が知らない間に疲労がドンドン蓄積され、徐々に体中をむしばんでいくのです。

その結果、いつの日か、そう突然です!

脳疾患や心臓疾患といった過労死や別の重篤な病気を引き起こすのです。

長時間労働による疲労の蓄積がどれだけ体に悪いか!わかっていただけましたか。

長時間労働になる理由

過労死の原因になる長時間労働の原因はどこにあるのでしょうか

【長時間労働になる理由①】会社の管理上の怠慢

会社の問題としては、会社の「業務遂行上の問題」「管理職の意識・マネジメントの問題」「職場の問題」が考えられます。

業務遂行上の問題

  • 業務過多だのに人手が足りていない
  • 優秀な人に仕事が集中する

管理職の意識・マネジメントの問題

  • 仕事の内容が不明確でかつ、指示に計画性がない
  • 仕事へのアサインが適材適所になっていない
  • 残業することを前提に仕事を割り当てる
  • 残業する人を優秀だと評価する

職場の問題

  • 残業があたり前の職場風土
  • みんなが残業しているので帰れない雰囲気

【長時間労働になる理由②】個人の問題

長時間労働になる個人の問題とは何なのでしょうか。
それは、仕事上で1人ひとりがもつ「承認欲求」と「その呪縛」からくるものだと思っています。

承認欲求とは

承認欲求とは、他人から「認められたい」「気にいられたい」「評価されたい」と言った欲求です。

なぜ会社で承認欲求が生まれてくるの

会社での人事評価は、「業績評価だ!」「成果主義だ!」と“結果”が全てと言われていても、昇給や昇格を決めたりするのは、結局のところ会社や上司から「認められる」「評価される」ことによって始めて成り立つと思っているからではないでしょうか。

承認されることの本人のメリット

承認欲求という行為は、自己効力感が得られて、仕事が楽しくなり、内的モチベーションが高まってきます。

また、会社や上司から認められることにより、自分の価値や実力を理解できるようになります。

そして、その結果として大きな仕事ややりたい仕事ができるようになってきます。

承認欲求の怖さ(承認欲求の呪縛)

承認欲求は往々にして、承認欲求にとらわれ過ぎる状態(呪縛)になって抜け出せなくなることです。

承認欲求の呪縛とはどのようなものなのでしょうか

  • 責任感や真面目さから過度の期待を真正面にうけ、自らを追い込む
  • 仕事が集まることを意気に感じ、誇りに思い、自分の処理能力を超えて仕事をする
  • 昇給、昇格した後は「期待を裏切れない」という思いで無制限で働く
  • 上司や同僚からの信頼を無くしたくないが故に過剰に働く

そして、その結果として長時間労働をしてしまうのです。

次に、それでは過労死を防ぐ方法!いうなれば長時間労働を削減するために会社や1人ひとりがやらなければいけない4つの働き方改革についてお話していきます。

過労死を防ぐ方法!働き方改革4選

【過労死を防ぐ方法!働き方改革①】会社が行う長時間労働是正

会社が行わなければならない長時間労働是正とはどのようなものでしょうか

会社は、業務を削減する取り組みが必要

人手不足を背景として、「セブンイレブンが24時間営業をやめる」検討に入ったとか、「日本郵便が、土曜日の郵便配達をやめ、投函の翌日に届ける範囲を大幅に減らす方針」を表明したなど、時流にそぐわない過剰サービスの見直しが行われてきています。

人手不足をどうするかは経営者の仕事ですから、しっかり考えてもらう必要があります。

上司は、仕事の計画的で的確な指示を出す

仕事の内容があいまいだったり、計画が杜撰だったりすると部下が無駄な仕事をすることになります。この問題は、中間管理職が解決しなければいけないことです。

健康管理時間での残業時間把握

過労死は一般社員だけが起こるのではありません。管理監督者にも起こりえます。

人手不足により、社員を早く帰らせるために管理監督者自らが彼らの仕事の肩代わりをしているのが現状です。

ただ、管理監督者には、労働基準法における残業(時間外労働)という概念がないので、把握できていない会社も多々あるかと思います。

したがって、長時間労働を削減するためには、まずは社員(契約、パート含む)、管理監督者(管理職)に共通な指標となる「健康管理時間」を使った残業時間の把握が必要になります。

健康管理時間
  • 厚生労働省が高度プロフェッショナル制度導入に伴って新たに定義した時間
  • 割増賃金などを算出する際の「実労働時間」とは概念が異なります。

 健康管理時間=「事業場内にいた時間」+「事業場外において労働した時間」

お勧めの勤怠管理パッケージ

残業時間把握のためには、汎用の勤怠管理パッケージを利用することをお勧めします。

私が、前職で「残業マネジメントシステム」を企画、設計した経験をベースに長時間労働管理のために必要な機能・サービス要件は以下になります。

必要な機能・サービス要件
  • 健康管理時間で残業時間を把握できるか
  • 対象は、社員(契約、パート)、派遣社員、管理監督者
  • リアルタイム性(前日の勤務実績が翌日反映され、画面表示されるか)
  • 事業所外でも入退場の記録を残せるか、そして取り込めるか
  • 社員、派遣者は自分の実績、管理監督者は自分含めて部下全員を参照できるか
  • 社員別に複数月の残業実績を1画面で表示できるか
  • インターバル時間(前日の終業時間と始業時間との間の時間)を確認できるか
  • 任意の時間設定すればアラームメールを本人、上司に送れるか
  • 導入支援やヘルプデスクの充実
  • 法令変更に伴うバージョンアップ対応

検索サイトで勤怠管理パッケージの上位に来る製品や導入実績の多いパッケージを中心に10数製品、電話や資料を取り寄せチェックしました。その結果以下の3つの製品が私のお勧め勤怠管理パッケージになります。

  • 製品名:勤怠管理クラウドサービス Touch On Time
  • 提供会社:株式会社 デジジャパン
  • URL: https://www.kintaisystem.com/
  • 導入実績:13,500社 82万人
  • 製品名:就業管理システム e-就業
  • 提供会社:株式会社ニッポンダイナミックスシステムズ
  • URL: https://www.nds-tyo.co.jp/e-asp/es/
  • 導入実績:200社 12年前から提供

【過労死を防ぐ方法!働き方改革②】過労リスクを知って自分で守る

自分自身で身をまもる必要がでてきます。まずは、長時間労働によって引き起こされる過労が体にどれだけダメージを与え、どのような病気を引き起こすか知る必要があるます。また、その兆候を知っておくことにより、病気の早期発見につながります。

長時間労働による過労リスクを知る

まずは、産業医や保険師さんから、長時間労働が引き起こす過労死などの過労リスクを聞いて理解をしておく必要があります。

体の異常を見逃さない

長時間労働が続いていて身体に少しでも異常が出ているような事があったら、過労死の前兆かもしれません。

症状を軽く考えないで、まずいと思ったら救急車を呼んでもいいので病院に行ってください。

脳血管疾患(参考 国立循環器病研究センター)
  • 手足、顔の麻痺しびれ、ろれつが回らない
  • 立てない、歩けない
  • ものが二つに見える、視野が半分かける
  • 激しい頭痛
心臓疾患 (参考 日本心臓財団)
  • 軽い運動でも息切れする
  • むくみにより体重が増加する
  • 呼吸が苦しくて夜眠れなくなる

労働基準法や労働安全衛生法に関する知識を知っておく

労働基準法や労働安全衛生法は社員を守る法律です。「国が定めた残業時間の上限等」「長時間労働をした場合産業医と面談する必要がある等」の知識を、人事から研修等の機会でしっかり学んでおきましょう。

【過労死を防ぐ方法!働き方改革③】承認欲求の呪縛からの解放

それでは、長時間労働を引き起こす承認欲求の呪縛から逃れる方法についてお話していきます。

本人の意識改革

  • 目標未達でも、失うものは会社からの評価だけと割り切る(命は取られない)
  • 承認内容を自分のキャパシティに見合った水準まで落とす
  • 承認欲求は「疲れるもの」と知る

会社・上司の意識改革

  • 部下には「承認欲求」があることをしっかり認識する
  • やりがい搾取はやめる(部下の承認欲求を利用しない)
  • 部下の性格・特徴を理解したうえで、期待値をコントロールする

評価指標やマネジメントの組織・制度改革

  • 主観的な要素を排除し、具体的な事実に基づいた評価に変え、評価基準を公表する
  • 成果のみ評価するマネジメントから、時間あたりの成果も見るマネジメントへの転換(例:提案書20枚作成したことだけでなく、何時間で作ったかも評価に加える)
  • 「残業しないこと」「休むこと」を評価するマネジメント
  • 本人からの申し出があった場合の「希望降格制度」の導入

【過労死を防ぐ方法!働き方改革④】今後のキャリアを考える

過労死にしても、承認欲求にしても「会社に縛られる」「会社に依存する」ことから問題が発生しています。

2019年の働き方改革法案のメッセージは、「会社や仕事に縛られることなく、個人が主体的に自由に働きなさい」ということではないでしょうか。

会社に縛られない働き方をしたいなら、「転職」「起業」もありますが、フリーエージャント(専門のスキル・技能を持つスペシャリスト)などはどうでしょうか。

フリーエージャントの薦め

背景として、今後、会社の業務内容の難易度がますます上がり、かつスピードが求められてくるので、会社人材の成長を待っている時間はありません。

そこで組織に属さないフリーエージェントを「ジャスト・イン・タイム」で使っていく方向に進むと思われます。

会社としては、社員として抱えるより安いし、本人も好きな専門領域で働けるし、報酬も高くなるのでお互いWin-Winの関係が構築できますよね。

世界のグローバル企業は、ほとんどそのようにして事業を進めています。

自分自身のブランディング

フリーエージャントとして働くためには、まずは自分自身のブランディングが必要になります。

ブランディングとは、会社や組織の肩書に頼らずに「〇〇さん」で通じる自分のブランドを構築して、ビジネスの成果に結びつけることです。

ブランディングには、まずは専門領域が必要になります。

私も『複合型研究施設「Shien.Lab」所長の多田健次先生』に教わって、ブランディング中です。

専門領域を作る方法
  1. 「人に教えることができること」を何か一つ見つける
  2. 「人に教えることができること」を自己啓発で、知識・活用スキルを強化する
  3. 強化した「人に教えることができること」を「得意領域」としてプロモーションする
  4. 「得意領域」を副業やボランティア活動で「専門領域」にする

まとめ

20年前、会社の健康管理センターのデータとして、事業部長以上の役職経験者の平均寿命は、63.5歳と聞いた覚えがあります。

あの当時はまさか・・・と思っていたのですが、昨年、私が前職で大変お世話になった事業部長を経験され、関連会社の役員をされた方が、61歳で発病し、62歳の若さで亡くなりました。

この方は非常に優秀な方で、数多くの業績を残されました。

仕事関係の蔵書が1万冊あると噂されるほどの勉強家であったと同時に、ワーカ-ホリックと言われるくらい仕事に打ち込まれていました。

現役時代の頑張りがこの方の寿命を縮めたとしか思えません。

これからは70歳を超えて働くことを期待される時代です。

ビジネスパーソンの皆さん、今からでも遅くないです。

会社嫌だったら辞めればいいのです。

社名や肩書なしの「〇〇さん」で通じるくらい自分自身をブランド化して、フリーエージェントとして活躍しませんか。

TC坪根キャリアコンサルティングOfficeでは、ビジネスパーソン向けに「過労死を防ぐ方法」や「長時間労働削減」をテーマにした集合研修や「勤怠管理パッケージの選定、導入支援、活用コンサル」のサービスが提供可能です。ご相談ありましたら承ります。

坪根克朗のプロフィール詳細はこちら>>

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