会社で評価されて競争社会で成功したい!最強ポータブルスキル「段取り力」とは?
日本型雇用(終身雇用、年功序列)が崩壊しかけている中で、会社に継続して雇用されるにしても、転職して新しい職場で働くにしても、高く稼ぐためには「仕事ができる人と言われたい」「会社で評価されたい」と思いますよね。
そして、今後ますます激化する競争社会で成功するにはどうするか。
私が30数年の会社員生活でみてきた、「仕事ができる人」「会社で成果を出せる人」「競争社会で勝ち抜いて成功をおさめている人」は、皆さんポータブルスキルになる「段取り」スキルが抜群なのです。
「段取り」若干古臭い言葉かもしれませんが、「段取りとは」「段取りの必要性」「うまい段取りの仕方7選」について、中高年キャリアデザインコンサルタントの坪根 克朗がお話していきます。
段取りとは
業務ルーティンや作業工程があらかじめ決まっているような種類の事柄について、その手順を再確認するだけのような場合はふつう段取りとは言いませんよね。
段取りの語源
段取りという言葉の語源は2つあります。
歌舞伎用語に由来する説
話の区切りや一幕のことを「段」といい、これから行う芝居の筋や構成を考えることを「段取り」というようになったという説があります。
土木工事に由来する説
「段取り」とは昔の宮大工用語で、急な坂道に石段を作る際に1段の高さと段数を決めることを「段をとる」と言ったそうです。
段取りの意味とは
段取りとは、語源から推測されるように「成果を最大化し、目標を最短ルートで達成するためのすべての計画と行動である」と言えますよね。
そして、段取りは「仕事のルーティン(決まった手順)化」ともいいます。
なぜ、仕事がルーティン化できるのか、お話していきます。
仕事はすべて同じ
段取りが下手な人やそもそも段取りしない人は、「仕事は新しいことの連続である」ように捉えています。
しかし、あらゆる仕事は、成果物含めて、細かい部分やお客様は違っていても仕事はすべて同じなのです。
だいたいの仕事は以下のように進めますよね。
「調べる」→「大まかな方向性を決める(概要設計)」→「具体的なプランを考える(設計)」→「仕上げ作業をする(製造する)」→「完成」
例えば、「企画書作成」「デザイン制作」「システム開発」といったバラバラに見える仕事でも上記の流れに沿って進めていきますよね。
段取りの必要性
段取りする必要性は何なのでしょうか。
【段取りメリット①】仕事をやり遂げるため
仕事を頼まれたり、任せられたりして重要なことは、仕事をやりぬくことです。
仕事をきちんと段取りができていれば、途中で頓挫したり、空中分解することはありません。
【段取りメリット②】仕事の質を上げる
仕事をルーティンとして段取りしておけば、自分がもつエネルギーに余裕ができます。
このエネルギーを「ここぞ」という部分に注ぎこむことによって、仕事の質があがるのです。
【段取りメリット③】無駄な時間がなくなる
段取りをしないで仕事を始めると、今の仕事をどうやって、どのくらいで終わらせればいいかが頭に入っていないので、無駄に時間がかかってしまいます。
【段取りメリット④】業務の抜け漏れを防げる
段取りをして必要なものを洗い出し、確実に実行していくことで業務の抜け漏れをチェックできます。
必要な手順を飛ばしてしまい、あとで大きなミスになってからでは大ごとになります。
必要な業務を確実にやれるようなスケジュールになっているかを、段取りすることによって前もってチェックすることができるのです。
うまい段取りの仕方7選とは
うまい段取りをしていくためには、いくつか重要なことがあります。
以下の図は、段取りの項目に対して、「うまい段取りの仕方7選」を示した図になります。
そして、うまい段取りの仕方7選について、一つずつ説明していきます。
【うまい段取りの仕方①】ゴールに関する全てを想像する
自分がこれからやろうとしている仕事のゴール(目的)をはっきりさせることです。
そのためには、ゴールに関わるあらゆることを想像していく必要があります。
ゴールの完成形を具体的にイメージする
ゴールは、行動目標になりがちです。
たとえば、「自社の新製品を売り出すための販促企画書の作成」を指示されたとします。
この場合、「企画書の作成」を目標としてしまっては意味がありません。
販促企画書作成の本来の目的は、「自社の新商品を売り出す」ことにあるのですから、せめて、「自分がプレゼンして、役員会議の承認を取り付け、上司から評価されたうえで、新製品が売れて社長賞を取る」といった具合に具体的にイメージした目標にしたほうが、いい段取りを作ることができます。
ゴール到達後の「その後」を考える
ゴールを決めるにあって、そのゴール到達(完成形ができる)時、その後を考える必要もあります。この仕事をしたことにより、まわりへの影響は必ず出てきます。
いい影響もあれば、悪い影響もあります。
いくら売れても生産過程で環境に影響を及ぼすなら、作るべきではありません。
その後まで想像するとは「その仕事で起こりうる最大のトラブル」について、ゴールを決める段階から考えておく必要があるということです。
【うまい段取りの仕方②】準備としての情報収集
段取りにあたって、情報収集すなわち「知る」ことなしに仕事がうまくいくはずはありません。
情報があればあるほど、仕事のゴールや成果を出す精度は高くなります。
そして、情報収集のポイントは以下のようなものです。
日頃からの情報収集を怠るな
情報収集は、自分の仕事に関係すると思われることなら日頃から、メモなどを取るなどして、知識をストックしておく必要があります。
お客様やゴールに関係する基本情報は調べつくす
お客様に関する情報(業界情報、沿革、ビジョン、製品・サービス)や仕事のゴールに関係する情報(競合製品、他社の成功事例等)は小冊子にまとめるくらい調べる必要があります。
最強のインタビュアーになる
情報収集においてお客様の話を聞かずに、自分で調べただけの知識で段取りすると先々の重要なステップ(行動)において抜けや漏れといったミスが出る可能性があります。
そのため、お客様の様々な方(キーマン、窓口、現場の担当者)からお話を伺うことで新しい情報を収集することができるのです。
【うまい段取りの仕方③】コンセプトはわかりやすく
地図がないまま行動してしまうと、途中で迷子になってしまう可能性もあります。
ほとんどの仕事は、1人で完結しません。いろいろな方とプロジェクトを組んで仕事を進めていきます。チームメンバはそれぞれ思惑、立場があります。
「原価を下げたい」「できるだけ納期を守りたい」「いいもの作るには時間はかかるもの」等その誰かの思惑を優先してしまうと、仕事はうまくいきません。
チーム全員がそれぞれの思惑を超えて、一つの方向に進むためにもわかり易いコンセプトが必要なのです。
そしてそのコンセプトをつくる時、注意しなければいけないのが、「言葉の使い方」です。
言葉は人によって解釈が違ってきます。そのためにも、使う言葉の意味をきちんと説明しなければいけません。
【うまい段取りの仕方④】仕事、トラブルのパターン化
仕事において、大きな流れは同じですが、仕事内容の中身(提案書の内容、設計書等)はお客様の業界(自治体、製造、流通、サービス等)によって違ってきます。
その仕事の内容をフォーマットとしてパターン化(型を作る)することにより、仕事の生産性を上げることができます。
その他、お客さまとの付き合い方の特徴(根回しがいる、アウンの呼吸が伝わらないから詳細説明いる等)をパターン化しておけば、似たような仕事であれば戸惑うことなくルーティンとして仕事を進めることができます。
想定されるトラブルをパターン化
トラブルは、仕事にはつきものです。上司に仕事を頼まれたり、納期ぎりぎりで相談を持ちかけてくるお客様はどの業界にもいます。
このようなトラブルに対して「トラブルの回避方法」「トラブルが起きてしまった時のリカバリー方法」もパターン化しておけば、どんなトラブルも想定内になるのです。
【うまい段取りの仕方⑤】すべてに「時間」を優先する
ゴールが決まり、地図が描けたなら、ゴールに向かって行動しなければなりません。
行動にあたって何が重要になってくるのでしょうか。
時間の制限なしにできることは、この世に存在しません。
だからこそ、どんな仕事であっても「どのくらいの時間内でおさめなければいけないか」を常に考える必要があります。
いいものを作るより「締め切りを守る」ほうが大切
締め切りを守れなかったり、段取りの苦手な人は、「いいものを作ることが自分の仕事だ」と勘違いをしているところがあります。
お客さんからお金をいただいて、「この日までに作ります」と約束したのに「いいものが優先だから破ってもいい」などと思うことは許されません。
「締め切り>>いいもの作る」これは絶対のルールであり、時間よりも強い制約はこの世にはないと思っていいです。
締め切りが完成である
「完成したから、世に出す」のでなく「締め切りがきたら世の中に出す」という考えをもつ必要があります。
締め切りが完成であるなら、「一生懸命に頑張っていたけどできなかった」という言い訳は使えなくなります。
但し、締め切りが完成である以上、「完成=自分の実力」と判断されることは致し方ないことだと考えます。
期限に関して「目盛りがついていない言葉」を使わない
仕事の中で「なる早」「今日中」「大至急」「今月中」という言葉を使いますよね。
これは非常に危険な言葉だと思います。
時間という測れるものに対して「目盛りがついていない言葉」を使ってはいけません。
締め切りといった期限については、必ず「日付と時間」まで決める必要があります。
【うまい段取りの仕方⑥】段取りの組み方
時間の重要性がわかり、締め切りを明確にできたとことで、次は段取りの組み方のお話をしていきます。まず仕事の完成までの大枠のスケジュールを見積もります。
時間ボックスにやるべきこと(タスク)をいれていく
仕事がどれくらいで終わるか、「3日」「1週間」「3か月」「1年」など様々なサイズの時間ボックスを選びます。
そして、その中にやるべきこと(タスク)を入れていくことになります。
仕事は、気持ちではなく時間ではかる
時間ボックスにやるべきことを入れていく方法は、「軽い仕事」「重い仕事」というのではなくて、「短時間で終わる仕事」「長くかかる仕事」という時間を目安として、やるべきことをはかる必要があります。
優先順位は、「早くやらなければいけない」こと順
時間ではかったやるべきことを時間ボックスに詰めていくときは、「重要度」ではなくて「早くやらなければいけない」こと順になります。
虫のいいスケジュールは作らない
スケジュールの悩みで多いのが、お客様や上司、先輩からの割り込み仕事のために予定が狂ってしまうことです。
解決策は、スケジュールが虫のいいものになっていないかどうか確認するだけです。
このような場合、やるべきことを時間ボックスに入れていく時、キチキチにしないことです。
締め切りを設定すると同じように、適切なバッファを持たせることです。
ある程度の時間的なバッファを持たせることによって、スケジュールを破綻させることはなくなります。
また、段取りは常に変わるものですから、1日3回、朝昼夕くらいに見直していく必要があります。
【うまい段取りの仕方⑦】段取り表を作る
段取り表とは、やるべきことに日付けを付けたものでスケジュール表というよりタスク表になります。
やるべきことをリスト(箇条書き)にして洗い出し
「役員会議でプレゼン」といった大きなことから「会議室の予約」のような小さなこともゴール(目的)に向けてやるべきこと(タスク)は全て書き出します。
任意の締め切りも設定する
ゴールに到達するために、最終締め切りの他に「上司に確認してもらう日」「お客さまにラフ案を見せる日」など自分で任意の締め切りを決める必要があります。
やるべきことのリストについて所用時間を設定する
どのくらいの時間でできあがるか見積もります。この時大切なことは、「重要度」「難易度」「やりやすいか、やりにくいか」といったことよりも、すべてどれくらいかかるかといった所用時間ではかっていきます。
やるべきことのリストを時間ボックスに入れる
やるべきこと、締め切りや任意の締め切りや所用時間を、時間ボックスにはめ込んでいって完成になります。
まとめ
人生100年時代と言われて、これからは最低でも75歳~80歳まで働ける時代がやってきます。その時会社では定年という期限がある以上、転職やフリーランスといったセカンドキャリアを考える必要もでてきます。
今回お話した「段取り」はビジネスパーソーソンならどこでも使えるポータブルスキルになります。
現役で働いている今こそ、段取りスキルを磨いて、今の職場でもセカンドキャリアの職場でももう一花咲かせませんか。
段取りスキルだけでなく、セカンドキャリアで必要なスキルについて悩みや相談したいことあればTC坪根キャリアコンサルティングOfficeまで連絡してください。