日本キャリア開発協会(JCDA)、キャリアコンサルティング協議会(キャリ協)の違いや特徴は?

国家資格キャリアコンサルタント試験の受験機関は2団体あり、一体どっちがおすすめで、どちらで受験したらいいのか、悩みますよね。
受験機関の決め手としては、現在学んでいる養成講座の傾向で決める人が多いと思います。
でも、ふと疑問に思いませんか。
キャリアコンサルタントが国家資格になったにも関わらず、受験機関が2つあるってどうしてなんだろうと…
そもそも、日本キャリア開発協会(以下、JCDAという)と、キャリアコンサルティング協議会(以下、キャリ協という)の違いや特徴ってどうなんだろうと?
そこでキャリアコンサルタント@永居まき子が、受験機関である2団体についての素朴な疑問を解いてみたいと思います。
受験機関を迷っている人、興味のある人、是非一読してくださいね。
疑問がスッキリしますよ。
JCDAとキャリ協の歴史
先ずは、それぞれの団体の歴史が気になるところです。
どのような経緯でスタートしたのでしょうか。
JCDA
様々な時代背景(70年代のオイルショック、90年代のバブル崩壊、リストラ、終身雇用制度崩壊等)の中で「人のキャリア」について考えたことが誕生のきっかけとなり、日本マンパワーでキャリアプランにカウンセリングを合わせたサービスを提供しました。
その後「キャリアカウンセリング」の盛んな米国でNCDA(全米キャリア開発協会)の影響を受け、2000年「キャリアカウンセラー養成講座」が日本マンパワーで開設され、同年に「特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(JCDA)」が設立されました。
キャリ協
多様化する社会に的確に対応するためには、労働者個々人のキャリア形成支援等を総合的・体系的に行うことが不可欠となりキャリアコンサルティングの必要性が高まりました。
そのような社会情勢のなかで、キャリアコンサルタントを養成する団体・能力評価試験する団体やキャリアコンサルティングの実践研究等に関わる団体が協力をして、キャリアコンサルタントの資質確保活動等を行うことを目的に、2000年に「キャリアコンサルタント養成講座・能力評価試験実施団体連絡協議会」が設立されました。
2008年にはキャリア・コンサルティング技能検定試験機関に指定され「2級技能検定試験、1級技能検定試験」を実施、その後2017年に現在の名称「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会」となっています。
設立の経緯を探ると、JCDAは、働く意義・人のキャリア等を考え、キャリアプランにカウンセリングを導入するなどこの世界ではパイオニア的存在です。
また、キャリ協は、社会情勢の流れをキャッチし、キャリアに関わる各団体が同じベクトルで、キャリアコンサルティングが社会インフラとなることを目指している、ということですね。
JCDAとキャリ協が大切にしているもの
それぞれの団体の誕生はざっくりと理解できましたね。
では、キャリアコンサルティングを実施するうえで、軸となっている基本的な考え方はどのようなことでしょうか。
JCDA
JCDAのホームページの「協会からのご挨拶」に次の内容(一部抜粋)が掲載されています。
本協会はキャリアカウンセリングを推進、展開する上で、「人の内的成長」を支援する「カウンセリング」の基本的考え方をもとに、さまざまな活動、能力開発支援を行っていることです。こうした考え方は、キャリアカウンセリングの旧来の考え方に大きな変化を及ぼすと考えています。すなわち「問題解決志向」モデルから「成長開発志向」モデルへの転換です。
基本的な考えは、ズバリ“人の内的成長”であると明記してあり、社名にもDevelopment(開発・発展・成長等)(JCDAの“D”)があり十分理解できます。
養成講座受講の当時のテキスト(私はJCDA養成講座を受講)にも、「キャリアカウンセリングの概念を『自己概念の成長』と結論づけた」と記載してありました。
また、キャリアコンサルタントを学んでいる人は“経験代謝”という言葉を耳にしたことがあると思います。
これはJCDA独自の言葉であり、JCDAはこの“経験代謝”もまた「自己概念の成長」にはとても重要であると位置づけ、「経験代謝のキャリアカウンセリング」を薦めています。
自己概念の成長を生み出す“学びの構造”
JCDAでは2009年3月「経験代謝サイクル」を発案、命名。
キャリ協
キャリ協のホームページの「協議会について」に『キャリア・コンサルタント行動憲章』があり、次の内容が掲載(一部抜粋)されています。
2.相談者の「自分らしさ」の追求と、問題解決の支援を行う
キャリア・コンサルティングの目的は、「相談者が自分で自分の問題を解決することであり、相談者自らが本来持っている自分らしさに気づき、自分らしさを発揮して生き生きと活動すること、すなわち、相談者が自分自身の存在価値を追求することができるよう支援すること」である。キャリ ア・コンサルタントは、このキャリア・コンサルティングの目的を明確にしたうえで、支援活動を行う。
“自分らしさの追求”“自分自身の存在価値を追求”など、一人ひとりの価値観に気づきを与え、そして自分自身で問題解決をする方向性でコンサルティングを進めています。
また、キャリアコンサルティングの重要性等、国が計画している人材育成戦略にもリンクされており、時代の変化に柔軟に対応するようになっていることが理解できます。
JCDAとキャリ協は“ライフキャリア支援”という目的は同じであっても、JCDAはカウンセリング要素が強く内面を深く掘り下げ、個人の内的成長の支援をし、キャリ協はコンサルティングの中で自分らしさを発見し、個人の主体的なキャリア形成を支援している、という違いがあります。
また、場合によっては、目標に向かうスピード感も大きく変わってくると思います。
JCDAとキャリ協の会員制度
それぞれの団体には会員制度がありますので、簡単に紹介しますね。
JCDA
キャリアカウンセリングのパイオニア的存在であり、歴史も約20年になることから会員数も多く、支部会があるなど全国組織として展開しています。
会員としては、個人会員・法人会員があります。
個人会員の一部を簡単に紹介します。
種 類 | 内 容 | 入会金 | 年会費 |
一般会員 | JCDAの活動に賛同する人 | 5,000円 | 8,000円 |
キャリア会員 | 標準キャリコン,キャリコン技能士1・2級 | 5,000円 | 7,000円 |
CDA会員 | ・CDA合格者でJCDA会員登録者(2016年3月迄)
・CDA養成カリキュラム修了し国家キャリコン合格しJCDA会員登録者(2016年4月以降) |
5,000円 | 7,000円 |
会員として次のような特典があります。
- 国家資格キャリアコンサルタント更新講習、スキルアップ研修など会員特別価格
- 無料のピアワーク、ピアトレーニングなどの各種研修
- キャリアコンサルタントを育成する指導者養成(JCDA認定CDAインストラクター、JCDA認定スーパーバイザー等)
- 毎四半期毎に機関紙JCDAジャーナル、カウンセリングに関する最新の情報を提供
- 各支部でイベントに参加、スキルアップと幅広い人脈の構築
キャリ協
キャリ協は、協議会では会員制度はなく、別組織として一般社団法人ACCN(オールキャリアコンサルタントネットワーク)が2019年4月に設立され、4月から入会受付が開始されます。
詳細は現段階(2019年3末)では次のような特典があります。
- 保険料が年会費に含まれるキャリアコンサルタント専用団体保険の加入※
- 会員限定動画(月1本)
- 会員限定継続学習支援サービス
- 各種情報配信(学習情報、仕事・ボランティア情報等)
- 講座・書籍の割引
※キャリアコンサルタンならではの保険(名誉棄損・プライバシー侵害等)は、現在CCとして活動している人や今後CCを目指す人には心強い保険でとても興味深い内容ですね。
JCDAとキャリ協会の継続学習機会
実際にキャリアコンサルタントになった場合、その後どのような学習の機会があるのでしょうか。
JCDA
学習の機会は多く設けてあり、大枠では次の内容となります。
- 国家資格キャリアコンサルタント更新講習
- スキルアップ研修
- ピアトレーニング
- 指導者を目指すための研修
キャリ協
前述のとおり学習の機会も一般社団法人ACCNで提供する予定となっています。
キャリ協とACCNの違いは、基本的にキャリ協がCC受験機関であり、ACCNがCCへのフォロー(学習、情報提供等)機関となります。
受験はどっちがおすすめ?どっちがいいの?
両団体の特徴等は、なんとなく理解できましたが、いったいどっちで受験したらいいのでしょうか?
どちらの受験団体で受験するのがお得(合格しやすい)なのでしょうか?
実際の試験内容で考えてみますね。
筆記試験
これは両団体とも、開催日、試験内容等同一になりますので特に問題はないと思います。
実技<論述>試験
開催日は同一ですが、試験内容が異なりそれぞれ特徴があります。
JCDA
設例は、CLとCCの逐語があり、その後対応が2パターンの逐語に分かれています。
(2パターンのうち1パターンはCCの対応が不自然なもの)
問題は4問、特徴としては、その問題のうち1問が、5つの指定語句を使って解答文を作成することになります。
この指定語句を解答のヒントだと思い、解答を組み立てるのが得意な人にお勧めです。
キャリ協
設例は、CLとCCの逐語が1パターンある。
問題は4問、特徴としては、設例の逐語のCCのところ2箇所が空欄となっており、その空欄をCCとしてどのよう応答するか等を記入することになります。
実際のロープレだと思い進めることが出来ますから、設例を読んでロープレをイメージできる人にお薦めです。
実技<面接>試験
JCDAの評価ポイント
➀主訴・問題の把握
➁具体的展開
③傾聴
キャリ協の評価ポイント
➀態度
➁展開
③自己評価
評価項目を比較し、
JCDA<➁具体的展開> = キャリ協<➁展開>
JCDA<③傾聴> = キャリ協<➀態度>
と考えると、JCDA➀主訴・問題の把握、キャリ協③自己評価との違いになります。
ただ、この評価ポイントも個人的には、ほぼ同じことだと考えています。自己評価をするときに「ちゃんと主訴、問題把握ができたかどうか」ということが一番重要になるからです。
あえて特徴をあげると、JCDAはカウンセリングがスタートの団体であるということです。
評価項目にもあった“傾聴”は、JCDAが大事にしている部分です。
受験をJCDAで決めている人は“傾聴”をしっかりと押さえて臨みましょう。
ただ、両団体ともインテーク面談の最初の15分となっています。
最初の15分は、CLに対してしっかり傾聴し寄り添うことは、JCDA、キャリ協どちらも基本中の基本です!
あまり神経質にならず基本を押さえていればどちらの団体でも大丈夫です。
試験会場
都市部に住んでいる人は特に心配もないところですが、地方に住んでいる人は、交通手段・交通費・時間等をとても重要になりますので、要チェックです。
過去に実施された、それぞれの団体の会場です(実施会場は変動します)。
JCDA:札幌・仙台・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・愛媛・福岡・沖縄
キャリ協:仙台・東京・名古屋・大阪・福岡・沖縄
なお、各受験団体の合格率推移からの分析については、下記記事をご確認くださいね。
詳細な勉強方法はこちら!
まとめ
両団体について、受験以外の視点を含め大まかに纏めてみましたが、少しは参考になりましたか。
前述のとおり国家資格キャリアコンサルタントの受験に関しては、インテーク面談の最初15分になりますので大差はありません。
先ずは緊張せず普段の力を発揮することが一番になりますね!
また、JCDAのこだわり、キャリ協の時代背景を反映している様子などを理解することで、キャリアコンサルタントにより興味をもって頂けたら嬉しいです。
▼TADAJUKU代表 多田の意見はこちら!
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